浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#212 [笹]
「馬鹿言うんじゃないよぉ!全く」
壱助さんを叩くのも
何となく馴れてる気がして‥
やっぱりあたしなんかは
まだ付き合いが浅いんだって
思い知らされるのだ。
:10/01/30 20:01 :D905i :weUwJGLs
#213 [笹]
"団子屋の女将の伊代です"と
笑顔で言われて
ついついつられて笑顔になる
大人の女と言えば
"あの母親"しか印象にないから
なんだか不思議な感じがするの
:10/01/30 20:02 :D905i :weUwJGLs
#214 [笹]
「‥では、これで」
息つく間もなく
またぐいっと手を引かれ
伊代さんに軽くお辞儀して
団子屋を後にした
「あれは‥仲いいのね、きっと」
クスっと笑いながら
伊代は二人の背中を眺めた
:10/01/30 20:04 :D905i :weUwJGLs
#215 [笹]
:
:
:
「‥此処ですか?」
壱助さんが足を止めたのは
怪しい雰囲気の
お店‥のような建物の前
手を引かれて入ってみると
これまた怪しいお婆さん
こ‥怖いじゃあありませんか
:10/01/30 20:04 :D905i :weUwJGLs
#216 [笹]
「お願いします、ね」
そう言うと今度は
お婆さんに手を引かれて
襖の奥へ
「ちょ‥壱助さん?!」
壱助さんは
こちらに来る様子もなく
側にあった椅子に腰を掛けた
:10/01/30 20:05 :D905i :weUwJGLs
#217 [笹]
次の瞬間壱助さんの姿が消え
ばんっと襖が現れた
‥な、何でぇえ?
「あの‥何を‥」
またこの人も
あたしの存在無視ですか‥?
:10/01/30 20:05 :D905i :weUwJGLs
#218 [笹]
お婆さんは物差し片手に
あたしを睨み付ける
それはもう‥殺されそうなくらい
「あんた‥年は?」
しゃがれ声が沈黙を破る
「じゅ‥十八‥です」
:10/01/30 20:06 :D905i :weUwJGLs
#219 [笹]
"へぇ"と無関心な声を出し
日焼けした黒い手が
こちらに物差しをあてがう
こっちが喋ろうもんなら
キッと睨み付けられる
一体何なんですか?
:10/01/30 20:06 :D905i :weUwJGLs
#220 [笹]
「きゃっ‥何するんですか?!」
突然胸を鷲掴みにする
小さな骨張った手
「‥中の下だね」
壱助さんと同じ捨て台詞。
反論する間もなく
お婆さんは何か書き留め
算盤をはじき出した
:10/01/30 20:07 :D905i :weUwJGLs
#221 [笹]
"こんなもんかねぇ"と呟くと
「壱助!!ちょっと来な!!」
壱助さんを呼び捨て‥
どんな関係‥?
すると壱助さんが
襖の向こうから現れ
あたしに目もくれずに
お婆さんの元へ
:10/01/30 20:08 :D905i :weUwJGLs
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