浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#318 [笹]
消毒だと言っているのに‥
"顔に紅葉を散らす"訳を
教えていただけや、しやせんか
:10/02/02 22:52 :D905i :0yxagqRA
#319 [笹]
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:
:
「ただいまぁー」
たった五日で
お茶の葉一缶終わっちゃうって
‥飲みすぎでしょうよ
だから今日は
三つも買ってきちゃったっ
安くしてもらえたし
んー‥得した気分
:10/02/02 22:53 :D905i :0yxagqRA
#320 [笹]
これで半月はもつよね
って言っても‥半月だけ
「壱助さーん!!
買ってきましたよーお茶の葉」
「‥」
‥無視ですか。
せっかく買ってきてあげたのにぃ
:10/02/02 22:53 :D905i :0yxagqRA
#321 [笹]
「‥返事くらいしてくださいよぉ」
ぷぅっと頬を膨らませて
横になってる背中に訴えた
‥チュンチュン
何も音がしない
静かな日だなぁー
:10/02/02 22:54 :D905i :0yxagqRA
#322 [笹]
窓の外をじっと眺めて
葉から落ちる雫を目で追った
‥チュンチュン
‥チュンチュン
「‥もっしっかっしってぇ」
:10/02/02 22:55 :D905i :0yxagqRA
#323 [笹]
不思議と緩む頬
着物をきっちり整えたまま
左腕を枕にして
横になってる壱助さんに
そろりと近づいた
「‥寝てる?」
‥って言うか、生きてる?
死んでる?って
不安になる程微動だにしなくて
また肌が白いから余計‥。
:10/02/02 22:55 :D905i :0yxagqRA
#324 [笹]
「おーい」
目の前で手を振ってみたり
いろんな角度から覗いてみたり
‥どの角度から見ても
綺麗だよねぇ、と感心。
「‥ふふ」
怪しい笑みを浮かべる
壱助さんの寝顔なんて
‥初めてみた。
:10/02/02 22:56 :D905i :0yxagqRA
#325 [笹]
‥いつも寝てるのかなぁ
あたしが出かけてる時
こうして、寝溜めしてるのかな
伸びきった首筋
伏せられた長い睫
筋の通った鼻
腰の辺りなんてあたしより‥
「‥きれいですねぇ、本当に」
全く抜け目がないから
憎たらしくなる
:10/02/02 22:56 :D905i :0yxagqRA
#326 [笹]
壱助さんの横に寝転がって
ふうっと息を吐く
天井を眺めて
独特の自然の模様を
ぼうっと目に映してみた
よく耳をそばだてると
微かに壱助さんの寝息が
耳をくすぐった
乱れない規則正しい呼吸
:10/02/02 22:57 :D905i :0yxagqRA
#327 [笹]
「‥消毒」
ふと横に顔を向けると
色っぽい唇に目が行く
消毒‥消毒かぁ
本当に触れただけだったけど
柔らかかったなぁ‥
しかも、あったかかった
「‥むふっ」
:10/02/02 22:58 :D905i :0yxagqRA
#328 [笹]
思わずにやけてしまうほど
あの一瞬は
あたしの脳内を満たして
甘ったるい時間をくれた
「"消毒です、よ"なぁんて‥
そんな消毒がありますかぁ?」
人形のように固まった頬に
語りかける
もちろん返事はない
:10/02/02 22:58 :D905i :0yxagqRA
#329 [笹]
なんとなく
あの簡素な返事が恋しくなる
無関心そうな声も
あるとないとじゃ大違いだ
「‥壱助さん?
拾ってくれて、ありがとお」
面と向かって
言えた試しがないから‥
こんな時に言ってみるのは
ずるいかな、
:10/02/02 22:59 :D905i :0yxagqRA
#330 [笹]
こんなに誰かの隣が
居心地いいなんて‥
知らなかったなぁ
‥生きてて良かった。
:10/02/02 22:59 :D905i :0yxagqRA
#331 [笹]
:
:
「風邪‥引きます、よ」
目を開けると
目の前で小さく丸まる猫一匹
羽織物をかけてやると
微かに声を立てた
『‥拾ってくれて、ありがとお』
‥珍しく素直になるもんで、
起きているとも気付かずに
‥本当に鈍いです、ね
:10/02/02 23:00 :D905i :0yxagqRA
#332 [笹]
寝ている時だけは大人しい
子供同然じゃあ、ないですか
目を細めて前髪をそっと撫でた
するすると指の隙間を抜ける
細くて艶のある具合が
何とも垢抜けていて
子供だと言えないほどに美しい
:10/02/02 23:01 :D905i :0yxagqRA
#333 [笹]
「ちょいと‥
無防備すぎやしやせん、か」
裾の辺りが少しはだけて
女らしい脚が見える
小さく開いた手に指を添えれば
赤ん坊のように
ぎゅっと握りしめられた
:10/02/02 23:02 :D905i :0yxagqRA
#334 [笹]
「本当に‥放っておけやしない」
呆れるように溜め息をつき
緩く笑った
:10/02/02 23:02 :D905i :0yxagqRA
#335 [笹]
:
:
:
あぁ‥寝ちゃった。
壱助さんが起きたら
"寝顔見ちゃったぁーっ"って
からかってやりたかったのに
まぁそんなの
‥からかいの内に
入らないんだろうけど
:10/02/02 23:03 :D905i :0yxagqRA
#336 [笹]
「‥んん」
乱暴に目をこすると
辺りがぼやけて見えた
その時の顔と言ったら
相当酷かったに違いない
「あ‥壱助さん、起きてる」
あたしが買ってきた
新しいお茶の缶が開けられていた
:10/02/02 23:03 :D905i :0yxagqRA
#337 [笹]
いつものように
正座してお茶を啜る姿を見て
夢でないと確信する
「あぁ、やっと」
顔をちらりとも向けず
そう言った
自分にかけてあった
壱助さん香りがする羽織物
‥何だかいい目覚め
:10/02/02 23:04 :D905i :0yxagqRA
#338 [笹]
「夢でも見ました、か」
「夢‥?」
夢なんて見たかな‥
覚えてないや
すると壱助さんは
顔だけこちらに向けて
視線を落とした
:10/02/02 23:04 :D905i :0yxagqRA
#339 [笹]
「"壱助さん、
お慕い申し上げておりました"と
寝言で、言っていたもので‥」
一度瞬きをして
一気に顔に熱が走ったのは
言うまでもない。
"鈍い人です、ね"と
壱助はまた茶を啜った
:10/02/02 23:05 :D905i :0yxagqRA
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