浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#330 [笹]
こんなに誰かの隣が
居心地いいなんて‥
知らなかったなぁ
‥生きてて良かった。
:10/02/02 22:59 :D905i :0yxagqRA
#331 [笹]
:
:
「風邪‥引きます、よ」
目を開けると
目の前で小さく丸まる猫一匹
羽織物をかけてやると
微かに声を立てた
『‥拾ってくれて、ありがとお』
‥珍しく素直になるもんで、
起きているとも気付かずに
‥本当に鈍いです、ね
:10/02/02 23:00 :D905i :0yxagqRA
#332 [笹]
寝ている時だけは大人しい
子供同然じゃあ、ないですか
目を細めて前髪をそっと撫でた
するすると指の隙間を抜ける
細くて艶のある具合が
何とも垢抜けていて
子供だと言えないほどに美しい
:10/02/02 23:01 :D905i :0yxagqRA
#333 [笹]
「ちょいと‥
無防備すぎやしやせん、か」
裾の辺りが少しはだけて
女らしい脚が見える
小さく開いた手に指を添えれば
赤ん坊のように
ぎゅっと握りしめられた
:10/02/02 23:02 :D905i :0yxagqRA
#334 [笹]
「本当に‥放っておけやしない」
呆れるように溜め息をつき
緩く笑った
:10/02/02 23:02 :D905i :0yxagqRA
#335 [笹]
:
:
:
あぁ‥寝ちゃった。
壱助さんが起きたら
"寝顔見ちゃったぁーっ"って
からかってやりたかったのに
まぁそんなの
‥からかいの内に
入らないんだろうけど
:10/02/02 23:03 :D905i :0yxagqRA
#336 [笹]
「‥んん」
乱暴に目をこすると
辺りがぼやけて見えた
その時の顔と言ったら
相当酷かったに違いない
「あ‥壱助さん、起きてる」
あたしが買ってきた
新しいお茶の缶が開けられていた
:10/02/02 23:03 :D905i :0yxagqRA
#337 [笹]
いつものように
正座してお茶を啜る姿を見て
夢でないと確信する
「あぁ、やっと」
顔をちらりとも向けず
そう言った
自分にかけてあった
壱助さん香りがする羽織物
‥何だかいい目覚め
:10/02/02 23:04 :D905i :0yxagqRA
#338 [笹]
「夢でも見ました、か」
「夢‥?」
夢なんて見たかな‥
覚えてないや
すると壱助さんは
顔だけこちらに向けて
視線を落とした
:10/02/02 23:04 :D905i :0yxagqRA
#339 [笹]
「"壱助さん、
お慕い申し上げておりました"と
寝言で、言っていたもので‥」
一度瞬きをして
一気に顔に熱が走ったのは
言うまでもない。
"鈍い人です、ね"と
壱助はまた茶を啜った
:10/02/02 23:05 :D905i :0yxagqRA
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