浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#350 [笹]
「鯛焼き一つくださぁーい」
「毎度ありーっ!!
おや、お嬢ちゃん‥
別嬪さんだねぇ」
鯛焼きを売ってたのは
お兄さんって感じの若い人
威勢がよくて粋な感じ
:10/02/03 21:29 :D905i :s1isUj7A
#351 [笹]
「へ?
や、やだなぁーお兄さんっ
そんなお世辞言っても
一つしか買いませんよー?」
とか言いながら
やっぱり内心嬉しくて
顔を赤く染めてしまったんです
「手厳しいなぁー
‥今夜、どうだい?」
まさか鯛焼き屋さんから
そんな言葉でるとは
思いもしないじゃない?
:10/02/03 21:30 :D905i :s1isUj7A
#352 [笹]
だから驚いて
ついついどもってしまって‥
「おや、
照れた顔もかわいいねぇ」
なんて言われて
"あいよ"って鯛焼きを
わざわざこちら側にきて
渡してくれたわけです
「あ、ありがとうございます」
:10/02/03 21:31 :D905i :s1isUj7A
#353 [笹]
突然背筋が凍りついた
後ろから殺気
カラン‥コロン
壱助さんの下駄の音が
だんだんと大きくなる
:10/02/03 21:31 :D905i :s1isUj7A
#354 [笹]
「あぁ、では‥こっこれで」
「ちょいと、お話くらい‥」
鯛焼き屋さんに
腕を掴まれ引き寄せられた
カラン‥コロン
来る‥来るよぉーっ
鯛焼き屋さん離れてくださ‥
:10/02/03 21:31 :D905i :s1isUj7A
#355 [笹]
「‥鯛焼き屋さん、とやら」
低い声がこちらに向かって
刃を剥いた
「んあ?何だぁ?あんた」
たたたたっ鯛焼き屋さん!!
壱助さんに何て口のきき方っ
:10/02/03 21:32 :D905i :s1isUj7A
#356 [笹]
壱助さんの切れ長の目が
鯛焼き屋さんを捕らえた
「私の妻に‥
触れないで、いただきたい」
あたしを捕らえた手がぱっと離れ
鯛焼き屋さんの目が開ききり
口がだらしなく開いていた
「つつ‥妻?!
そりゃあ‥失敬し‥」
:10/02/03 21:33 :D905i :s1isUj7A
#357 [笹]
―‥ドカッ
壱助さんの拳が
勢いよく鯛焼き屋さんの
顔面に吹っ飛んできた
あたしの足元に倒れ込んだ
彼の鼻から垂れる赤い血
有 り 得 な い !!
:10/02/03 21:34 :D905i :s1isUj7A
#358 [笹]
「壱助さん何てこと‥
‥大丈夫ですか?」
"悪いのは俺の方だ"と
軽く笑って謝る鯛焼き屋さん
「壱助さん!!謝って下さい」
正反対にしれっとした顔で
そんな様子も見せない壱助さん
と言うか
まだいらいらしてる模様
眉間にしわが寄っていた
‥人に当たるなんて酷い
:10/02/03 21:34 :D905i :s1isUj7A
#359 [笹]
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結局壱助さんは謝らず
あたしが代わりに謝って
鯛焼きをたくさん買って今
「ねぇ?伊代さん
あたし間違ってないですよね?!」
事情を話せばぶり返す熱
自然と声量も大きくなる
「まぁ、いきなり殴るのは
良くないねぇ‥」
呆れ顔で伊代が壱助を見つめる
:10/02/03 21:35 :D905i :s1isUj7A
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