浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#360 [笹]
「‥わからない人です、ね」
「ただ手を握っただけでしょう?
それだけで殴るなんて‥酷い!!」
明らかな温度差に
伊代はくすりと笑った
「手をあげるのは良くないけど‥
全く、わかりやすいねぇあんた」
:10/02/03 21:36 :D905i :s1isUj7A
#361 [笹]
「‥」
「香夜ちゃんも、
わかってやんなよぅ?」
わかってやれって‥
人を殴る気持ちなんて
あたしにはわかんないよ
何だか突然泣きたくなった
:10/02/03 21:36 :D905i :s1isUj7A
#362 [笹]
「妻に手出されちゃ‥
誰だって‥ねぇ?」
伊代が目で壱助に訴えると
"全くです、よ"と茶を啜る
そんなのはもう
耳に入らないくらい香夜はご立腹
:10/02/03 21:37 :D905i :s1isUj7A
#363 [笹]
「こりゃあ‥手強いです、ね」
涙目で伊代に訴える香夜を
横目で見つめて呟いた
「"妻"と言う言葉も
ご存知ないんですか、ね」
‥ぽつり呟き微笑んだ
:10/02/03 21:38 :D905i :s1isUj7A
#364 [笹]
:10/02/03 21:41 :D905i :s1isUj7A
#365 [我輩は匿名である]
:10/02/04 08:23 :W53H :1leDQ1V.
#366 [笹]
私の飼い猫は、
幼い頃に親の愛情を
あまり受けてないようで‥
そうとなれば、親代わり
"蝶よ花よ"と育てましょう、か
:10/02/04 19:11 :D905i :5gVCO4/Q
#367 [笹]
:
:
:
またお茶の葉がなくなり
また買い出し
半月もたなかった‥有り得ない
壱助さんを連れてくると
喧嘩の原因になりかねないので
今日はひとりです。
:10/02/04 19:12 :D905i :5gVCO4/Q
#368 [笹]
「‥。」
一枚のチラシが
お茶屋さんの壁に貼ってあった
ぴらぴらと風になびいて
音をたててるもんだから
ついつい目が行った
「‥わぁ」
胸を時めかせた
:10/02/04 19:12 :D905i :5gVCO4/Q
#369 [笹]
:
:
:
「壱助さぁぁああん!!!」
子供みたいに駆け寄って
息を切らせて叫ぶ
「何、か」
珍しくお茶飲んでない‥
って、もう無いんだった
ぼうっと窓の外を眺めて
枝に止まる雀を
愛おしそうに見つめてる
:10/02/04 19:13 :D905i :5gVCO4/Q
#370 [笹]
‥お茶なくても
機嫌良いときあるんだぁ
新しい発見である。
「壱助さん!!今日の夜お祭り!!」
そう
あのチラシは夏祭りの物で
心惹かれたの
:10/02/04 19:13 :D905i :5gVCO4/Q
#371 [笹]
だって小さな時に
数回しか行ったことないんだもん
‥水飴とか食べたいし
「それが何、か」
早く茶を渡せと言わんばかりに
湯飲みをカタカタ鳴らす
‥依存症ですかあなた
:10/02/04 19:14 :D905i :5gVCO4/Q
#372 [笹]
「一緒に行きましょうよーっ!!」
人が勇気出して誘ってるのに
"何、故"と言う
乙女心わかれーっ!!もうっ
「‥水飴食べたいんですぅ」
やっぱり今日は
ご機嫌がよろしいらしい壱助さん
「ほぉう‥よし、よし」
睫を伏せて口角を上げ
一度だけ頷いた
:10/02/04 19:15 :D905i :5gVCO4/Q
#373 [笹]
:
:
「壱助さん早くぅっ!!」
浴衣の袖をひらひらさせて
下駄が忙しなく踊る
「まぁ、まぁ」
と言って出てきた壱助さんは
目眩がするほど美しすぎた
緩く着こなした浴衣
懐から見える白い肌の面積が
いつもより確実に多い
:10/02/04 19:16 :D905i :5gVCO4/Q
#374 [笹]
こりゃあ‥
落ち着いてあるけない‥
いかんいかん!!
しっかりしろ香夜!!
「水飴は逃げやしやせん、よ」
‥それでもって
今日はかなり穏やかだから
少し調子が狂います
:10/02/04 19:16 :D905i :5gVCO4/Q
#375 [笹]
壱助さんの一歩後ろを歩く
‥いい匂いがする。
提灯のぼんやりした明かりが
壱助さんの首筋を照らして
この世の物とは思えないくらい
本当に綺麗で‥
やっぱり女なんじゃないかとか
疑ってしまう
:10/02/04 19:18 :D905i :5gVCO4/Q
#376 [笹]
お昼の街の賑わいとは
また違う雰囲気で
家族連れや恋仲の人達が
たくさんいた
周りの人たちに
あたしと壱助さんは
‥どう映ってるんだろう
一歩の距離がもどかしくなる
:10/02/04 19:18 :D905i :5gVCO4/Q
#377 [笹]
:
:
「お父さん!!金魚すくい!!」
小さな女の子が
父親の浴衣の袖を引っ張った
「おぉ!懐かしいなぁ
やってみるかい?」
目線を合わせて小さく屈んで
答えた笑顔が羨ましい
思わず足が止まった
お父さん‥か
:10/02/04 19:19 :D905i :5gVCO4/Q
#378 [笹]
‥ギュウ
突然手に冷たい感覚
目をやれば真っ白で綺麗な手
「金魚すくい‥やりたい、かい」
視線を前に向けたまま
壱助さんがそう言った
「‥え?」
今日の壱助さんは
やっぱりどこか可笑しい
:10/02/04 19:19 :D905i :5gVCO4/Q
#379 [笹]
きっとこの握った手も
ぎこちない喋り方も
壱助さんなりの気配りだ
‥何となくそんな気がした
何も言わずに
あたしの答えを待つ
器用そうに見えて
案外不器用なのかもな‥
今日二つめの新しい発見
:10/02/04 19:20 :D905i :5gVCO4/Q
#380 [笹]
:
:
結局金魚すくいやって
やっぱり壱助さん器用で
ひょいひょいすくうもんだから
叔父さんも困り顔
言うまでもなくあたしは
一匹もすくえず‥。
と言うか正直な所
壱助さんの横顔に見とれてた
睫‥また伸びてた気がしました。
:10/02/04 19:21 :D905i :5gVCO4/Q
#381 [笹]
"猫のくせに、
魚一匹も捕まえられぬとは‥
‥やれ、やれ"
クスっと鼻であしらわれ
いつもの調子の壱助さんに
少し緊張がほぐれた
:10/02/04 19:21 :D905i :5gVCO4/Q
#382 [笹]
:
:
:
「あ!水飴だよ壱助さん!」
まるで子供なのだ
壱助さんの手を引いて
人混みを掻き分けて先走る
だけどそれでも構わない
だって水飴なんて久しぶりよ!!
「はい、はい」
水飴を手にしたあたしに
呆れるように返事をした
:10/02/04 19:22 :D905i :5gVCO4/Q
#383 [笹]
水飴をびろんと伸ばして
目を輝かせて巻き取る
キラキラ光るそれを
目を細めて眺める壱助さんと
自然と目があった
「‥食べますか?」
「甘味は‥好みません、で」
あぁそうだったと
気落ちするあたしの手を
また引いて歩く
:10/02/04 19:22 :D905i :5gVCO4/Q
#384 [笹]
親子みたいかな?
それとも恋仲同士?
‥何でもいいのだ
ただ今の時間が心地いいの
:10/02/04 19:23 :D905i :5gVCO4/Q
#385 [笹]
:
:
人が疎らになり
明かりもあまり届かない土手へ
蒸し暑かった人混みで
じわりと汗をかいた背中に
ひんやりした心地いい風が吹く
水飴を銜えて
浴衣を気にしながら腰掛けた
:10/02/04 19:23 :D905i :5gVCO4/Q
#386 [笹]
「壱助さんって‥」
あたしの口は
急に語り出すから冷や汗物
"愛する人いますか?"なんて
聞こうとするのだから
‥本当に恐ろしい
:10/02/04 19:24 :D905i :5gVCO4/Q
#387 [笹]
「人混みは疲れます、ね」
「え?あぁ‥
そ‥そうですねぇーあはは」
壱助さんの声が
久しぶりにはっきり聞こえたから
何だか、どきっとした
:10/02/04 19:25 :D905i :5gVCO4/Q
#388 [笹]
「‥満足ですかい?」
水飴を頬張るあたしを見つめて
壱助さんが呟いた
いやもう
壱助さんの浴衣姿だけで満足‥
なんて言えませんよ。ええ
:10/02/04 19:26 :D905i :5gVCO4/Q
#389 [笹]
「はいっ!!
ありがとうございまし‥」
あれ‥?
突然目の前がひっくり返る
微かに首筋に感じる温もり
:10/02/04 19:26 :D905i :5gVCO4/Q
#390 [笹]
「いぃいっ壱助さん?!」
暗くてよかった‥
絶対今あたし顔赤いよ‥
「たまには、
いいじゃあ‥ないです、か」
甘い声が耳をくすぐる
:10/02/04 19:27 :D905i :5gVCO4/Q
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