浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#39 [笹]
ムスッとして少し睨みつける
‥動じない。
もっと睨みつける
‥全く。
ここまで来ると‥
何故か芽生える、寂しさ
:10/01/26 16:21 :D905i :3fGEyA9k
#40 [笹]
「どう、されたいんで?」
お茶をすすって放った声は
すごく低くて部屋中に響き渡った
「どうって‥
どうされたいも、こうされたいも
言わなくてもわかるでしょう?
所有物なんて嫌です!!絶対に」
つい声が大きくなってしまった
はっとして咄嗟に下を向く
:10/01/26 16:26 :D905i :3fGEyA9k
#41 [笹]
―‥沈黙
何故か急に恥ずかしくなる
「では‥夫婦にでも、なりますか?」
「め‥め、おと?!
ふざけるのもいい加減に‥」
と、言い終わる前に
あの綺麗な手で塞がれた馬鹿でかい声は情けなく語尾を弱めた
:10/01/26 16:32 :D905i :3fGEyA9k
#42 [笹]
「あまり大きな声を出されると‥」
ばつが悪そうに
眉を下げて小声で‥
初めて人らしい振る舞いを見た
「ほら‥、」
足音が近づいてきた襖に目をやる
:10/01/26 16:37 :D905i :3fGEyA9k
#43 [笹]
「壱助さん?
如何なさいましたか?」
襖の向こうから
落ち着いた女の人の声が聞こえた
「あぁ‥いえ、
どうか、お気になさらず」
目に見えない向こうの人に
その人は律儀に頭を下げた
足音が遠ざかると
すっと口元から冷たい感覚が消え
妙な緊張と息苦しさに
深く息を付いた
:10/01/26 16:42 :D905i :3fGEyA9k
#44 [笹]
あ‥なるほど、
「壱助‥さん?」
馴れ馴れしく、だけどぎこちなく
「‥」
興味なさそうな
冷たい目がこちらを向いたが
‥あたしは見逃さなかった。
"壱助さん"の口元が
少しだけ、ほんの少しだけ緩んだ
:10/01/26 16:47 :D905i :3fGEyA9k
#45 [笹]
:10/01/26 16:55 :D905i :3fGEyA9k
#46 [笹]
浮き世、とは
辛く儚い世の中の事‥。
‥誰にでも
思い出したくない過去は
あるもの、ですよ
威勢の良い、この"捨て猫"も
また‥然り。
:10/01/26 22:25 :D905i :3fGEyA9k
#47 [笹]
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どうやって逃げ出そうか‥
取り敢えずここは宿みたい。
さっきの女の人は
ここの女将さんのようだ
壱助さん、とやらは
逃げようと企んでるのをわかって
あたしから目を逸らさないのか‥
:10/01/26 22:29 :D905i :3fGEyA9k
#48 [笹]
「何か‥変ですか?」
様子を伺うように
恐る恐る目を合わせてみる
「いえ‥、何も」
真っ直ぐに伸びた長い睫
綺麗な首筋、透き通った肌
見れば見るほど美しくて、
ただ見てるだけで
惚れてしまいそう‥。
:10/01/26 22:32 :D905i :3fGEyA9k
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