浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#451 []



―‥ある日の事である。

宿から聞こえるむせび声
何かと思って襖を開ければ
ぽつり部屋の片隅で
‥うずくまる"雌猫"一匹


「うぅ‥ッグズ」

‥酒臭い

虚しく転がる一升瓶
滴がぽたり

⏰:10/02/07 18:26 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#452 []
 
足袋が畳に擦れる音に
ぴくりと反応しこちらを向いた


「壱助さぁああぁん」

酷い顔‥ですねぇ

「遅かったじゃ‥ッヒク
遅かったじゃらいれすかぁ」

四つん這いで着物にしがみつく
流石"雌猫"

⏰:10/02/07 18:26 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#453 []
 
「‥酔ってるんで?」

「酔ってまぁぁあっしゅ!!」


"えへへ"なんて言いながら
右手を挙げて見上げた



‥厄介な者に出くわしやした、ね

⏰:10/02/07 18:27 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#454 []



先程からひっきりなしに
だらしない笑みを浮かべ
一人騒ぎ立てる


「‥香夜さん」

「なんれすかぁ?ッヒク」

火照った体をよじり
目の前に座った

⏰:10/02/07 18:27 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#455 []
 
「‥騒がしいのです、が」

そんな事で
黙るとも思わないが
他にかける言葉がないもんで


「壱助さんも‥
飲みましゅかぁあ?」


馬鹿でかい声が鼓膜を突き刺す

⏰:10/02/07 18:28 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#456 []
 
「結構、です」


すると寂しそうに肩を落とし
"飲みましぇん?"と二度押し



―‥全く、困ったもんです、よ

⏰:10/02/07 18:28 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#457 []



「まだ‥寝ませんで?」

既に日付が変わり
静まり返った闇に包まれ
照らすは月の光のみ

子供のようにぐずるので
布団を乱暴に投げつけると
ぱたりと声がしなくなる

急に大人しくなられると
ちょいと、不安になるもので‥

⏰:10/02/07 18:29 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#458 []
 
「風邪‥引きます、よ」

顔にかかった布団を
除けてやれば


―‥ やられたもんだ



「ぶぁぁあっ!!」

‥糞、餓鬼

⏰:10/02/07 18:30 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#459 []
 
飛び出した両手が首に絡みつき
無理やり布団の中に押し込まれた


「命知らずです、ね」


こちらの気も知らずに
‥貴女と言う人は

⏰:10/02/07 18:30 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


#460 []
 
背を向けて目を瞑る
乱れた鼓動を整えて
深く溜め息を吐く

調子が狂います、ぜ


「寝ちゃう‥んれすかぁ?」

「‥」

背中に問う声が
情けないほどに弱まった

⏰:10/02/07 18:31 📱:D905i 🆔:zJfCkqns


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