浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#79 [笹]
第二章 【救われて】

威勢のいい
香夜ちゃんの辛い過去

普段は興味なんて無さそうなのに
いきなり饒舌になる壱助さん。
なんだ、喋れるんじゃない(笑)

出会ったばかりでも
誰かを救えてしまうんだから、
言葉の力は偉大ですね。
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⏰:10/01/27 17:42 📱:D905i 🆔:.cEN1Iy.


#80 [笹]
 
一週間もすりゃぁ、
人の性格も良くわかるもので


"捨て猫"はと言うと
泣くは、喚くは‥
かと思えば、眠りにつき

何かと‥忙しない猫でして、ね

それに加えて、頑固ときた
"言うは易いが行うは難い"
頑固者には、身に滲みる言葉です

⏰:10/01/28 13:15 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#81 []




ある晴れた日の事である。

「あら、壱助さんじゃないかぁ
相変わらず‥色男だねぇ」

団子屋の腰掛けに座ろうとすると
そこの女将がやって来た。

「あぁ‥伊代さん
ご無沙汰しておりました、ね」

壱助は律儀に正座をして頭を下げた

⏰:10/01/28 13:20 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#82 []
 
「聞いたよー?壱助さんよぉ、
最近若い子‥、
連れて歩いてるそうじゃないか」

伊代はお茶を差し出し
興味深い様子で身を乗り出した

「只の‥"捨て猫"ですよ」

「そんなぁ、隠さなくたって‥」

クスクスと笑って
壱助の肩をポンと叩く

⏰:10/01/28 13:25 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#83 []
 
「紹介しておくれよー
今日は連れてないのかい?」

「えぇ‥、
自立するそうです、よ」

「自立?」

伊代は不思議そうに首を傾げる

話好きな伊代は
話に花を咲かせる"花咲女将"
愛想もいいもんだから
此処はいつでも大繁盛

⏰:10/01/28 13:30 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#84 []
 
「"遊女になる"‥と、ね」

うっすら笑って茶を啜り
壱助は団子を手に取った

「ゆ‥遊女って‥何でまた」


伊代は緩んだ顔を引き締め
唾をごくりと飲んだ

⏰:10/01/28 13:33 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#85 []




こうなったのも、つい今朝の事。

『もういいです!
‥あたし
花街に行って遊女になります!
それで沢山稼いで
壱助さん見返してやります!!』

「と、言うもんでねぇ」

今朝の出来事を坦々と語る姿を
伊代はそわそわしながら見つめた

⏰:10/01/28 14:09 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#86 []
 
「まさか壱助さん‥
止めなかったのかい?!」

つい大きくなってしまった声に
他の客も反応する

「止めましたよ、もちろん
"男を知らないくせに
良く言えたもんだ‥。
雇ってもらえませんぜ"、と」

「そんな言い方しちゃあ、
余計維持になるじゃないかぁ!」

他の客の視線も気にならないほど
慌てふためく伊代

⏰:10/01/28 14:14 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#87 []
 
手にした団子をじっと眺め
変わらぬ口調で壱助は続ける

『だ‥大丈夫ですっ!!
あたし、経験あぁ‥あります!』

「と、分かりやすい嘘まで付いて
維持を張るもんですから‥
"這っても黒豆、ですね"、と」

楽しそうな顔の壱助とは対照に
呆れたような顔の伊代

⏰:10/01/28 14:19 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#88 []
 
『く‥黒豆?!
一体何なんですか?
人を所有物、猫呼ばわりして
‥仕舞いには黒豆?
いい加減にしてくださいよ!!
あたしそんなに色黒くないし
背丈だって人並みです!!』

「‥と、色をなしてしまいまして」

"参った、参った"と微笑し
頭を軽く叩く壱助

⏰:10/01/28 14:24 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


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