浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#922 []
 
「じゃあ伊代さんっ
お団子くださいなっ」

「はいよぉ!!
そいやぁ‥壱助さんは?」

団子を手際よく皿に乗せ
真っ黒な瞳が此方を見つめる


「"酒のお供が欲しいです、ねぇ"
って‥お使いに来たわけです」

⏰:10/03/20 21:29 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#923 []
 
あの人は本当に動かない
相当な事がないと動かない
そしてあの言葉の威圧感
‥遠まわしに言わなくても

"あの人らしいね"と呟いて
沢山の団子を手渡された

「香夜ちゃん!!
乗せられちゃだめよぉ?」

別れを告げた背中に
一言そう告げられた
‥何の事だろう

⏰:10/03/20 21:29 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#924 []



"主人"の元へ戻れば
桜の木に寄りかかり
立て膝をついてすでに飲酒中

はらはらと舞う花びらを
愛おしそうに見つめて
お猪口を口に運ぶ

何て綺麗なんだろう
その色っぽさに何度嫉妬した事か

⏰:10/03/20 21:31 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#925 []
 
「はい、どーぞ」

山のかかった調達品を
目の前にどさっと差し出せば
一瞬その量に目を見開いた

「‥食いしん坊」

鼻で笑いながら
横目でちらり見つめられ

「な‥別に
あたし一人分じゃないですぅ!!」

⏰:10/03/20 21:31 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#926 []
 
結局いつも通り
意地になって反論してしまう
乗せられるとは
こういうことかな?


隣に腰を下ろせば
ふわり漂う壱助さんの香り
着物の襟から伸びた
首筋が淡く溶けてしまいそう

何だか緊張する
体がじわりと熱を帯びた

⏰:10/03/20 21:32 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#927 []
 
「おや‥何処かで酒を
召してきたんですかい?」

「飲んでないですよっ!」

そう答えれば怪しげに笑い
細い指があたしの頬に触れた


「良い色に染まってます故‥
そうなのかな、とね」

⏰:10/03/20 21:32 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#928 []
 
完璧にからかわれてる‥
そうわかっててもやっぱり駄目で


「んもっ‥馬鹿っ!!」

羞恥に目を潤ませて
その指を払いのければ
一気に顔が熱くなり

⏰:10/03/20 21:33 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#929 []
 
「‥紅い」

楽しそうに笑みを浮かべ
お猪口を此方に差し出した


乗せられる‥
やっぱりこういうことかぁ

⏰:10/03/20 21:34 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#930 []



あっという間に日が暮れて
昼とはまた違う
大人な雰囲気の夜桜

賑わいはさらに増して
陽気に踊り出す人々もちらほら

あんなにあった団子も
いつの間にかあと数個

⏰:10/03/20 21:34 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#931 []
 
「あぁっ
もう‥飲めないれす‥ッヒク」


自分でもわかってた
だんだん酔っていくのを

頭がぼーっとして
何だか楽しくなって
勧められればぐいぐいと

調子に乗らされました

⏰:10/03/20 21:34 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


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