浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#954 []
 
壱助さんがいれば
いつだって春が来る
色んな意味で‥ね

「行きます、よ」

春になってもこの手は
ひやり、あたしの手首を冷ます
だけど捕まれるたび
そこからじわり熱を帯びてしまう

いつまで保つかな‥あたしの心臓

⏰:10/03/22 11:52 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#955 []



「ひろっ‥!!」

部屋間違えてないですか?
二人部屋にしては
空間を持て余しすぎ‥

目の前に広がる空間は
とても洗練されていて
それでいて上品な‥

置いてあるもの全てが
とても高価に見える

⏰:10/03/22 11:53 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#956 []
 
この座布団さえ‥
座るのを躊躇ってしまうほど


「ほぉう‥」

興味深そうに
部屋の隅々を見渡し
壁にもたれて外を眺めた
足袋が擦れる音が心地いい

どことなく楽しそうな壱助さん

⏰:10/03/22 11:53 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#957 []
 
と言うかお花見の日以来
‥ご機嫌な気がする

いつか雷が落ちなきゃいいけど

「壱助さん?
何で急にこんな‥」

「失礼致します。
お茶を‥お持ちしました」

男性の声と共に
襖が丁寧に開けられた

⏰:10/03/22 11:54 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#958 []
 
そちらに目をやれば
藍の着物を着た男性
此処で働いてる人なのかな‥


「香夜‥香夜だろ?」

あ‥やっぱりそうだ
此処は‥

「倫次‥?」

⏰:10/03/22 11:54 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#959 []
 
そう声をかければ
ぱぁっと笑顔になった

「やっぱり香夜だ!!」

何も変わりやしない
無邪気なままの笑顔


過去の闇の中の
ほんの一握りの至福の時を
彼はくれたのだ

⏰:10/03/22 11:55 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#960 []
 
「久しぶりだぁあっ
元気にしてたぁ?」

思わずにじり寄り手を握った
そう、倫次は唯一の幼なじみ

真っ黒な髪と瞳
笑った時にできる皺
何だかほっとする

「もちろん!!‥香夜は?」

⏰:10/03/22 11:55 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#961 []
 
倫次の視線があたしの後ろへ
‥あの色男へ向いた
そして同様にして
あたしにそのまま聞き返す


どんな顔をしてるのかな壱助さん
相変わらずの仏頂面?

「うん!元気だった
‥えっと、こちらは‥」

⏰:10/03/22 11:56 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#962 []
 
恐る恐る体を後ろへ向けた

思いのほか彼の表情は柔らかく
口元を釣り上げ目を細めていた


「香夜さんの‥"主人"、です」

「しゅ‥主人?」

⏰:10/03/22 11:56 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#963 []
 
「あぁああっ!!
こちらは壱助さん!!
あたしの‥あたしの‥えっと」

ほら‥戸惑う
結局あたしたちって何なの?

「友人‥じゃないな
えっと、恩人‥そう!恩人!!」

どうして焦る必要があるのか
どうして無理に恋仲を避けるのか
一番自分がよくわかってる

⏰:10/03/22 11:57 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


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