君に告げる
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#29 [すー]
私は春姫という可愛らしい呼び名とは違った呼ばれ方をされていたのを知っている。


『橋の上の君』


まったく意味が分からない呼び名だった。きっと三橋の橋からかけたのかなんてことをその時は思った。



『いいじゃない、橋の上の君』



春姫にそう呼ばれると、不思議とその名も悪くないかと思えた。

⏰:10/01/29 23:41 📱:F706i 🆔:QwaWqOt6


#30 [すー]
カサリと桜の花びらの柄をした手紙を閉じた。
ゆるい風が窓から入ってくる。


「春姫…死んじゃったらどうする?」

「あれ、村井は?」


沙耶の問を無視して、村井がどこに行ったか聞く。



もう春姫の話は聞きたくない。

考えたくない。
死んでしまったら死んでしまったで、彼女の話は終わりにしたい。

⏰:10/01/29 23:48 📱:F706i 🆔:QwaWqOt6


#31 [すー]
『ねぇねぇ橋の上の君と春姫の噂知ってる?』


『でも、橋の上の君は可哀想』


『だって春姫は』



『村井を落とすために近づいたんでしょ』


『それ本当?』


『春姫もやっぱ女だね』

⏰:10/01/30 10:13 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


#32 [すー]
トイレの個室に入ったとき、よくあるパターンで盗み聞きしてしまった。


私と春姫は親密な関係だなんて噂は慣れていたが、村井と春姫のことはその時初めて知った。




だからなのかもしれない。


だから?



裏切られた。



そう思った。

⏰:10/01/30 10:20 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


#33 [すー]
彼女がいったあの言葉も


行動も



すべて嘘だった。



しかしあれは本当だった。


春姫は

⏰:10/01/30 10:30 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


#34 [すー]
私を愛していた




……―――




「瑠衣?」


「あ、ごめん。」



沙耶が不思議そうな顔をして私を見ている。


きっと春姫のことを考えていたことを見抜かれているだろう。


「教室いこ」


朝に起きた出来事なんてあっという間に過ぎていく。
その時の昼の終わりを告げるチャイムはいつもよりゆっくり聞こえた。

⏰:10/01/30 10:45 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


#35 [すー]
授業はいつものように進んだが、朝のあの重い雰囲気が元に戻ることはなかった。


考えたくないのに考えてしまう。


痛かっただろうか。
肌に飛び散ったどろりとした赤い血を、一体何人の人が見たのだろうか。


春姫は今、生きていたら何を思うのだろうか。


そんなことばかり頭をよぎり、朝に見た夢をまた思い出して嫌な気分になる一方だった。

⏰:10/01/30 10:55 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


#36 [すー]
……―――



寮に帰り食堂に行くと入った瞬間、ざわついていた音が静まった気がした。



料理を注文して席につき食事をする。


その動作一つ一つを誰かに見られている、なんとなくそう思った。

⏰:10/01/30 18:03 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


#37 [すー]
『ねぇ春姫』



『私と賭けをしない?』



『橋の上の君は、男に興味がないか。なぜ?だって告白されても付き合おうとしないもの。試してみるだけよ』



『ねぇ、春姫』


『大丈夫、バレても橋の上の君なら笑って許してくれるから』

⏰:10/01/30 18:11 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


#38 [すー]
………―――

「沙耶、もう寝るよ?」


「待ってあと少しで終わるから」


沙耶は珍しく机に向かって勉強をしている。
沙耶の背中を見ながらかつての春姫を思い出した。彼女だけを照らす蛍光灯は不思議と綺麗に見えた。

「明日には分かるだろうね」


「何が?」


そう聞かなくても帰ってくる答えは知っているのに。

⏰:10/01/30 18:19 📱:F706i 🆔:Lwi/9UUc


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