君に告げる
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#39 [すー]
「春姫が」
「その話ばっか」
くるりと沙耶が振り向き私を見る。
さらりとした黒髪が揺れている。
「本当は気になって仕方がないくせに」
:10/01/30 19:38
:F706i
:Lwi/9UUc
#40 [すー]
そうなんでしょ?とまた強い口調で言われると、言い返そうにもできなかった。
「ねぇ」
ギシリとベッドが軋む。
沙耶は綺麗だ。
スラリとした手足に今時珍しい長い黒髪。
顔も整っていて……
自然と沙耶と見つめあっていた。顔がいつもより近い。
「キスしようか」
:10/01/30 19:47
:F706i
:Lwi/9UUc
#41 [すー]
突然の誘いに目が見開く。
前みたいだった。
重なる姿を頭の中から取り払う。
「冗談よしてよ」
そう言って布団の中にもぐりこんだ。
冗談なのかそうじゃないのか、沙耶の無言のままパチリと電気が消える音がした。
:10/01/30 19:53
:F706i
:Lwi/9UUc
#42 [すー]
………――
だからなのかまた夢をみた。
夢の中の春姫はいつものように笑っていた。
『ねぇキスしようか?』
シンクロする。
あの日の春姫がつけていた甘ったるい香水の匂いや、誰もいない教室に埃が光に反射して彼女の顔が輝いてみえたこと。
校舎のどこかで誰かの声が響いてた。
笑っていた夢の中の春姫はいつの間にか無表情になっていて、また私の横を通りすぎていった。
:10/02/01 11:41
:F706i
:JQdT5zys
#43 [すー]
「待って」
「春代っ待って」
私の声に振り向く様子もない。
ふわふわした髪が強い風に吹かれた瞬間、春姫は桜の花びらのように散ってしまった。
「春代っ!?」
手を伸ばしても彼女の塵さえ掴めなかった。
:10/02/01 15:09
:F706i
:JQdT5zys
#44 [すー]
……―――
暗い、まだ暗い。
そんなことを思いながら目が覚めた。
まだ5時前だった。
顔に手をやると目尻のあたりの肌がザラザラしている。
泣いた?
泣いてしまうような夢だったろうか。
取りあえず顔を洗いに行かないと……笑われるか奇妙な目で見られてしまう。沙耶が布団にくるまっているのをチラリと見て部屋を出た。
:10/02/01 15:17
:F706i
:JQdT5zys
#45 [すー]
洗面所に向かうまで自分だけの足音が聞こえる。薄暗い廊下はいつもより長く感じた。
洗面所につき電気をつけ、鏡に映る自分の顔をみた。
両方の目から涙が乾き白い後が残っている。
見られなくて良かった。そう思いながら蛇口から出てくる冷たい水を顔につけた。
:10/02/01 15:27
:F706i
:JQdT5zys
#46 [すー]
「早いですね、三橋先輩」
いきなり自分以外の存在を知ると怖いもので、一瞬体が硬直した。
ゆっくりと顔を上げ鏡越しに声が聞こえたほうを見た。
濡れた髪が顔に張り付いて鬱陶しい。
ぽたぽたと滴が落ちる。
:10/02/01 15:40
:F706i
:JQdT5zys
#47 [すー]
そこには見慣れない子が立っていた。
髪はショートで目は細いがキリッとした顔つき。初対面だからとくに何も言うことがない。
「……そっちも早いね」
そう言うと相手がムッとした表情をしたのが分かった。
「何か用なの?」
:10/02/01 15:48
:F706i
:JQdT5zys
#48 [すー]
「……平気なんですか?」
そんな問いかけをするということは、また春姫の話だなとすぐに分かった。
「……平気だけど、名前なんていうの?」
「1年の豊川薫です…私はっ」
顔をタオルでふきながら今日の朝食は何にしようか考えた。
「桜田先輩が好きです」
:10/02/01 15:56
:F706i
:JQdT5zys
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