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#4 [コウ]
Title:僕の構成要素(上)
目を覚ますと、僕の世界は一瞬グニャリと曲がって見えた。ガンガンと頭の奥が痛い、痛い。隣にはまだ彼女が眠っていて、布団の温さが心地好かった。
(あぁ、飲み過ぎたな)
サイドテーブルに収まり切らない安いチューハイの空き缶が、床にまで散らばっている。
「んー」
ぐっと天井に向けて伸びをするとパキパキと骨がなった。頭が覚めないけだるさと“何か”が抜けきった様な倦怠感が僕を取り巻いている。久しぶりだといつもこうだ。調子にのって何度も求めた結果、次の日には必ずバテる。もうそろそろ盛り期は終わるんじゃないかと、思い始めて三年は経った気がする。
男の本能はいつまで健在するのだろうか。
:10/02/01 22:51
:SH02A
:☆☆☆
#5 [コウ]
Title:僕の構成要素(中)
「……ひろ、さん」
「あ、起こしちゃった?」
彼女は小さく首を振ると大きな欠伸をした。所々についた寝癖を撫でてやると、まだ眠たそうにぱたりと枕に埋もれる。
「だるい」
「ごめん、無理させたかな」
艶のある黒髪がするりと僕の指をすり抜け、枕に落ちた。彼女はもう少し長くても全然似合うのに、面倒臭いの一言で三日前にばっさりと切り落としてしまったのだ。
「ひろさん、今年でいくつだっけ」
「もう30。君よりひとまわり上だよ」
「ひとまわり……ああ、12年か。もう三十路なのね」
もふもふと枕に頷き、チラとこっちを横目で見る彼女。僕は薄く微笑んで見せた。
:10/02/01 22:54
:SH02A
:☆☆☆
#6 [コウ]
Title:僕の構成要素(下)
「オッサンなのに、なんでそんなに元気なの」
「オッサンとは失礼な。てか現役女子高生が何言ってんだよ」
「だーって……」
ぶつぶつと文句を呟く彼女の頬にキスを落とす。少し不満げに唇を尖らせているが、そんなもの、誘ってるようにしか見えない。
「まー三十路なる前にやり残しをしないようにね」
「変態。教師としてあるまじき発言だ」
「だってほら、俺、保体も受け持ちだし」
「理由になってない。つーか何処触ってんの」
「んー」
バタバタと暴れる彼女の白い肌に顔を埋める。柔らかい温もりが心地好かった。
僕の構成要素
(約七十%の水分と二十数%の汚物と、君への愛と欲望)
-end-
:10/02/01 22:54
:SH02A
:☆☆☆
#7 [我輩は匿名である]
いい!!
:10/02/02 01:01
:SH001
:WwFsMq.M
#8 [コウ]
:10/02/02 08:43
:SH02A
:☆☆☆
#9 [コウ]
Title:2−1=2 (始)
それは突然なる出来事で、目
を閉じる前に勝手に視界に飛
び込んできた。彼女と知らな
い男が、楽しげに歩いて行く
その姿。なんて残酷な光景だ
ろう。端から見れば微笑まし
い恋人に見えるその構図。僕
にとっては残虐な地獄絵図に
しか見えない。君から別れを
告げられて九ヶ月。君の気持
ちは既に僕にないと知って九
ヶ月。
改めて思い知らされた。彼女
はもう、新しい道を歩んでい
ること。僕はまだ彼女のいな
い道に地縛霊の様に取り残さ
れていること。
:10/02/02 08:51
:SH02A
:☆☆☆
#10 [コウ]
Title:2−1=2 (中)
僕もいい加減、進まなくちゃ
いけないのだろうか。曖昧な
感情をぶら下げたまま、次の
日僕は彼女に会いに行った。
「昨日の、彼氏?」
僕の言葉にはにかみ笑いを浮
かべながら彼女は頷いた。僕
の、心にもない「おめでとう
」に、彼女は幸せそうに「あ
りがとう」を呟いた。ぐちゃ
ぐちゃどろどろ、なんだこの
気持ち悪い感情は。
:10/02/02 08:57
:SH02A
:☆☆☆
#11 [コウ]
Title:2−1=2 (中の2)
昨日までは不確定だった想い
が、幸せそうな彼女を前にひ
とつに固まりはじめる。嫉妬
、絶望、憎悪。愛とは呼べな
いどす黒い何か。僕が幸せに
してやれば、こんな感情知ら
ずに済んだのだろうか。
「幸せ?」
「うん」
相変わらず、彼女は目を細め
て笑う。そんな癖を思い出し
ながら僕はふたつの感情にと
り憑かれた。彼女が幸せにな
った。それは何より僕の願い
であり、喜びだ。けれど……
:10/02/02 09:05
:SH02A
:☆☆☆
#12 [コウ]
Title:2−1=2 (中の3)
「貴方も、幸せになって」
僕を置いて消えた彼女を恨む
気持ち。彼女はさよならと僕
に背を向ける。その動作があ
の日と重なる。長い髪が風に
流れ、スローモーションの様
にゆっくり彼女が歩き出す。
「待って」
あの日、掴めずにいた肩を強
く引く。
:10/02/02 09:16
:SH02A
:☆☆☆
#13 [コウ]
Title:2−1=2 (終)
僕の動きも、彼女につられて
ゆっくりと流れる。
「 」
彼女の口が何かを叫ぶ。僕の
耳には届かない。
僕の手はゆっくりと、けれど
確実に。
白い首筋を握り締めていた。
2−1=2
(何も消えちゃいない。残っ
たのは、動かない彼女と
動
けない僕)
-end-
:10/02/02 09:16
:SH02A
:☆☆☆
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