記憶を売る本屋さん
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#147 [我輩は匿名である]
晶が何か言いたそうだが、要はなぜか晶の顔を見ないで、黙って歩いている。
「…さっきの告白で、困ってるんだな」
直人はぼそっと呟く。
結構大口をたたいてきたが、自分が彼の立場に立ったら、
きっと同じように、すぐには返事出来ないんだろうな、と。
待ち合わせ場所に戻るまで、2人は何も話さなかった。
今までの直人なら、気まず過ぎてあーしろこーしろと騒ぐところだが、
そんな気にもなれない。
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#148 [我輩は匿名である]
30分程の間黙って歩くと、あの場所に着いてしまった。
「着いちゃったね」
「うん」
到着してやっと、2人は言葉を交わす。
「今日はありがとう。楽しかった」
「…うん、俺も」
「…じゃあね」
晶は元気なく笑い返して、要に背中を向け、歩きだす。
「…このままで良いのかよ」
心の底からモヤモヤして、直人は要に言う。
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#149 [我輩は匿名である]
要もまた、悩んでいるように両手を握りしめていた。
しかし、その間にも晶はどんどん離れていく。
直人はもう、我慢できなくなった。
「待てよ!!」
「待って!!」
直人と要が叫んだのは、同時だった。
晶が驚いたように振り向く。
「さっき、急に『好きだ』って言われて…
俺、びっくりして…信じられなくて、何にも言えなかったんだ」
要の声が少し震えている。
:10/03/24 11:05
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#150 [我輩は匿名である]
晶は体ごとこちらに向き直る。
「でも俺…っ、俺も…」
要はなかなか言いだせない。
直人はある事気付いた。
これが本当なら…。
直人もちょっとドキドキしながら叫ぶ。
「俺も、晶ちゃんが好きだ!」
それは、要の声となって晶に伝えられた。
やっぱり。直人は思った。
:10/03/24 11:06
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#151 [我輩は匿名である]
「要くん…」
「俺、来週も待ってるよ!今日と同じ時間、ここで待ってるから!
今日は緊張して上手く喋れなかったけど、今度はもっといっぱい話そう!」
要は勢いが出てきたのか、言いたい事を言い切った。
晶も安心したように笑顔を見せる。
「うん!じゃあまた来週会おうね!」
そう言って、晶は大きく手を振る。
要も同じように振り返す。
そして、晶が帰っていくまで、ずっとそこでたたずんでいた。
:10/03/24 11:07
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#152 [我輩は匿名である]
直人はじっと本を見つめながら、さっきの事を考えていた。
「…あいつが困って、そん時に俺が叫んだら、あいつも同じように叫ぶのか?」
晶を呼び止める時。晶に気持ちを伝える時。
直人が叫ぶと同時に、要も同じように叫ぶ。
若干の口調の違いもあるが、ほぼ変わらない。
直人は複雑な気持ちで本を閉じ、部屋を出る。
一気にいろんな事がなだれ込んできた1日だった。
:10/03/24 11:08
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#153 [我輩は匿名である]
その気持ちは、月曜になっても晴れなかった。
直人は浮かない顔で学校への道を歩く。
うっとうしい事に、今日は雨。
「水無月くん」
誰かが話し掛けてきた。
どっかで聞いた声だな。
そう思って振り向くと、見た事がある女子がすぐ後ろに走ってきていた。
「おはよう」
「…えー…」
名前が出て来ない。
:10/03/24 11:09
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#154 [我輩は匿名である]
「…ごめん、誰だっけ」
「大橋よ!
お!お!は!し!れ!な!」
「朝からうるせぇよ…」
耳元で大声で名乗られて、直人は煩わしそうに顔を背ける。
「水無月くん、嘘ついたでしょ」
「何の話?」
「あれ」
怜奈は前方を指さす。
彼らの20メートル程先を、薫と響子が一緒に歩いている。
:10/03/24 11:10
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#155 [我輩は匿名である]
「(あらー…)」
「あの人、彼女でしょ」
ずけずけ聞いてくる怜奈を、直人は迷惑そうに見下ろす。
「何でそこまで聞くんだよ?お前、探偵?」
「探偵だったらもっと上手くやるわよ。
友達が好きみたいって、この間言ったでしょ?」
「友達思いなんだねぇ」
適当に返事をしながら、直人もちょっと気になって、前の2人の様子を伺う。
:10/03/24 11:53
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#156 [我輩は匿名である]
「今日は眼鏡なんだね」
見られているとも知らずに、響子は薫に言う。
「雨の日は視力落ちるからな」
薫は珍しく、茶色いフレームの眼鏡をかけていた。
「目悪いの?」
「そこまで悪くないよ。0.8ぐらい。だからあんまり度も入ってない」
薫はそう言って、響子に眼鏡を貸す。
:10/03/24 19:01
:N08A3
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