記憶を売る本屋さん
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#137 [我輩は匿名である]
「…ん?トイレ?」
直人はハッとする。
トイレには鏡がある。と言う事は、要の顔が映る。
『本当の世界の自分と同じ顔』
ネットでの書き込みを思い出した。
「えっ?ちょっと待てよ、俺そんな、まだ覚悟できてねーって!」
「はぁ…緊張してきた…」
直人が喚いている間に、要は息を深く吐きながらトイレに入ってしまっていた。
「ダメだダメだ!しっかりしろっ!」
要は目を閉じて、パチパチと両手で頬をたたく。
そして、鏡の前で目を開いた。
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#138 [我輩は匿名である]
「…!?」
直人は息を呑んだ。
やはりあの書き込みは本当だった。
どちらかというと釣り上がった感じの目に、筋の通った鼻。
そして何より、左頬の下の方にあるほくろ。
その全てが、直人と全く同じだ。
髪型は違っても、顔は直人そのものだった。
要が何か独り言を言っているが、全く耳に入ってこない。
あの書き込みが本当だということは、やはり長月要は…。
:10/03/24 10:51
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#139 [我輩は匿名である]
いや、待てよ。直人は精一杯考える。
今は1977年。あっちは2017年。今要は16歳で1961年生まれ。
俺も16歳で、2001年生まれである。
2001-1977=24
24+16=40
つまり、要の寿命は40歳?早死に?
と言うことは、あと24年分も読み続けなければならないのか?
その前に、俺は何でこんな計算をしてるんだ?
あーもうわけがわからない!
でも、顔がここまでそっくりだと、他人とも思えない。
しかし、母親姓は北里だったはずだ。
:10/03/24 10:53
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#140 [我輩は匿名である]
つまり、ご先祖様ではない。
薫か誰かに聞いてみるべきか?
いや、でも聞いてばっかりじゃなく、自分で暴いてみたい気もする。
でも、今はそんな事考えている場合でもない。
せっかくのデートなのに、こんな事は帰ってから考えろ!
しかし、頭がボーッとしてそんな気にもなれない。
自分の体なら、頭をぐちゃぐちゃに掻き乱しているところだ。
:10/03/24 10:57
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#141 [我輩は匿名である]
:10/03/24 10:59
:W52SH
:8y8n9HLE
#142 [我輩は匿名である]
「あーダメだダメだ!集中しろ、俺!
…とりあえず、あの2人はどうなったんだ…?」
直人は考えるのを無理に止めて、集中する。
目の前では、晶が笑っている。
考えて込んでいる間に、だいぶ時間が経っていたようだ。
何の話なのかわからないが、2人は楽しそうだ。
「だったら、結構楽しいんじゃない?学校」
「まぁ…ね。でも、やっぱり要くんといる時が1番楽しいよ」
「晶ちゃん…」
:10/03/24 10:59
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#143 [我輩は匿名である]
「私には、…要くんだけだから」
晶はそう言って、ミルクティーのカップに口をつける。
「…俺なんかでいいのか?俺、弱虫だし…頭も良くないし、
何にも役に立たないと思う」
「そんな事関係ないよ」
晶はそっと、要に笑いかける。
「弱虫でも、頭が良くなくてもいい。私は…今の要くんが好き」
晶の突然の告白。
要も直人も、信じられずにぽかんとする。
:10/03/24 11:00
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#144 [我輩は匿名である]
:10/03/24 11:01
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#145 [我輩は匿名である]
「あ…はは、ごめんね、急に変な事言って」
晶は冗談っぽく笑って、何気なく店内の時計に目をやる。
直人の気付かない間に結構話していたらしく、
もう時計の針が4時を回っていた。
「…ここから帰ったら、何分くらいかかるかな?」
「えっ…うーん、30分か、40分くらいかな?どうかした?」
「5時には帰って来いって言われてたの、忘れてた」
「え!?じゃあそろそろ行かないと」
「うん、ごめんね。早く言っとけば良かったね」
:10/03/24 11:02
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#146 [我輩は匿名である]
「ううん。じゃあ行こっか」
伝票を手に、要が先にレジへ向かう。
晶は慌てて鞄を持って後を追う。
「待って、財布が…」
「いいよ、俺出すから」
「え、でも…」
晶が財布を探している間に、会計は終わってしまった。
要は「行くよ」と言って喫茶店を出る。
:10/03/24 11:03
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