記憶を売る本屋さん
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#264 [我輩は匿名である]
「…俺は今日一通もメールを送ってないし、電話もしてない」
薫は不思議そうに言った。
「へ?」
直人がきょとんとしている間に、薫は自分の送信メールをチェックする。
『今日放課後、話があるから、屋上まで来て』
このメールが、今日の3時間目前の休み時間に送っている事になっている。
「送ってるじゃん」
直人は「大丈夫か」と薫を見る。
が、薫は黙って画面を見つめている。
そして、何かに気付いたのか、突然「先に帰ってろ!」と直人に言って走りだす。
「え!?」
直人はわけがわからず、少し遅れて薫を追った。
:10/04/04 09:44
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#265 [我輩は匿名である]
響子は何も知らずに、屋上に続く階段の踊り場で薫を待っていた。
「お待たせ〜」
そう言ったのは、女の声だった。
響子は長い髪をなびかせて振り返る。
そこにいたのは、怜奈だった。
「…誰ですか?」
「私は大橋怜奈。月城くんのケータイからあんたを呼んだの、私よ」
怜奈は怪しげに笑う。
「あんたさぁ、月城くんと付き合ってんの?」
「…何ですか?いきなり」
:10/04/04 09:44
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#266 [我輩は匿名である]
響子はうっとうしそうに尋ねる。
階段を降りたくても、下りの階段の前に怜奈がいるため、降りれない。
「私、月城くんの事好きになっちゃって」
「…だから?」
怜奈の強気の態度に、響子も反撃に出る。
怜奈はムッとしたように眉間にしわを寄せる。
「彼女じゃないのに、イチャイチャするのやめてくれる?
…目障りなんだよね」
「お願いはそれだけ?」
響子は臆する事無く聞き返す。
:10/04/04 09:45
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#267 [我輩は匿名である]
怜奈は響子の態度に苛立ち、腕を掴んで壁にたたきつける。
「…調子にのんなよ」
怜奈は顔を近づけ、響子を睨み付ける。
「彼女でもないくせに…気取ってんじゃねぇよ」
「バカじゃないの?」
響子もまた、怜奈をにらみ返して言う。
「こんな事して呼び出して、文句言って怖がらせて手を引かせようと思ったんでしょ?
そこまでしないと私に勝てないって分かってるから。違う?」
「何…!?」
:10/04/04 09:45
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#268 [我輩は匿名である]
「月城くんは、あんたみたいな子は相手にしないわよ。
月城くんに手を出す事は、私が許さないから!」
響子はきっぱりと言い放った。
「おいっ!待てよ薫!!」
直人は必死で薫を追う。
いつの間に俺より足が速くなったんだ。
そう思いながら曲がり角を曲がろうとすると、ノートの山を抱えた女子が出てきた。
:10/04/04 09:46
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#269 [我輩は匿名である]
「うわっ…」
止まり切れず、そのままぶつかってしまった。
直人は思いっきり尻餅をつき、女子もノートをばらまきながら、同様に尻餅をつく。
「いったぁ〜…」
「いててて……あ」
直人はハッと立ち上がり、女子に駆け寄る。
「すいません!大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけないでしょ!?」
肩までしかない短い髪の女子は、直人に怒鳴る。
:10/04/04 09:46
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#270 [我輩は匿名である]
「廊下は走るなって小学校で習わなかった!?あんた何歳よ!?」
「ご、ごめんなさいっ!」
あまりの剣幕に、直人はひたすら謝り、ノートを拾う。
「…ん?」
女子の顔に、何となく見覚えがある気がする。
直人は思い出そうと、手を止めて女子を見つめる。
「…何か用?」
視線を感じて、女子が尋ねてくる。
「えっ…いや…」
直人はサッと視線を反らし、またノートを拾う。
:10/04/04 09:46
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#271 [我輩は匿名である]
よく見れば同じ色のリボン。同級生だったようだ。
しかし、今そんな事に構っている場合ではない。
「怪我してない?」
「怪我は大丈夫」
「そっか!ごめんな、ちゃんと気を付けるから!」
掻き集めて整頓したノートを手渡し、直人は急いで階段を駆け上がる。
「気を付けるって今言ったじゃない!」
女子はまた声をあげるが、もう直人には届かない。
:10/04/04 09:47
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#272 [我輩は匿名である]
「…ん?」
女子は曲がり角に何か落ちているのを見つけた。
青い携帯電話だ。
「…あっ!ちょっとー!ケータイ落としてるよー!!」
さっきの男子がぶつかった拍子に落としていったのだろう。
女子は声の限り階段に向かって叫ぶが、返事はない。
が、その代わり、「おーい、うるさいぞー」と女子の担任が降りてきた。
「あっ、先生!もうこれ重くて無理です!」
「はぁん?しょうがねーなぁ。こっからは俺が持って行くわ」
:10/04/04 09:48
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#273 [我輩は匿名である]
「やったぁ!じゃあ私、今から落とし物届けて来ます♪」
女子はノートの山を担任に預けて、直人のケータイを手に階段を上る。
:10/04/04 09:48
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