記憶を売る本屋さん
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#254 [我輩は匿名である]
まだ信じられないような表情で。

「…あれ…本当だったのか…?」

「あぁ、本当だ」

薫は動じずに答える。

直人は呆然とする。

最後まで本を読んだ薫が言っているのだから、間違いない。

そう思っても、やはりまだ信じきれないのだ。

「…昨日」

薫は構わず、話を続ける。

⏰:10/04/01 23:29 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#255 [我輩は匿名である]
「キョウコは全て思い出したらしい。…自分が死ぬ瞬間までな」

「…え…?」

直人はさらに驚く。

「今日子は亡くなる時、妊娠8ヶ月でな。…だから、お腹の子どもも一緒に死んだ」

薫は、どこか遠くを見つめながら話す。

「…お前…」

直人は悟った。と同時に、薫は言った。

「…俺は、その…霜月今日子の夫だった。お腹の子どもも俺の子だったんだ」

直人はもう、何も言えなかった。

⏰:10/04/01 23:30 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#256 [我輩は匿名である]
薫を見ていると、自分の悩みがどれ程小さいか思い知らされる。

「…殺されたんだ」

薫はぽつりとこぼした。

「…殺された…?」

「…巻き込まれて死んだ、と言うのが正しいんだろうけど」

薫が言い終わると同時に、ビーッ!と大きな音が鳴った。

直人は思わず、ビクッとする。

前のチームの試合が終わったらしい。

⏰:10/04/01 23:30 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#257 [我輩は匿名である]
「…まぁ俺は、“殺された”としか思ってないけどな」

薫はそれだけ言い残して、コートの中に入る。

直人は薫の背中を見て、何故か足が竦んだ。

薫の「人を殺してやりたい」という言葉の意味を、知ってしまった。

⏰:10/04/01 23:30 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#258 [我輩は匿名である]
昼休みになっても、直人は気まずくて仕方なかった。

かけてやれる言葉が見当たらず、1人困惑する。

「…そんなに気を遣うなよ」

先に口を開いたのは、薫の方だった。

「別に、恨んでる相手はお前じゃないし」

「…そーゆーんじゃねぇよ。でも、何かなぁ…」

「…言わない方が良かったか?」

薫に聞かれて、直人は黙り込む。

どうなのか、自分でもわからない。

⏰:10/04/01 23:31 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#259 [我輩は匿名である]
「ま、あんな話聞いたら、誰でも困るだろうけどな」

薫は平気そうに笑う。

しかし、直人には無理をしているようにしか見えない。

「じゃ、香月が体調悪いのって…」

「悪い、…体調悪いっていうのは、嘘だ」

「嘘かよ」

「…会いたくない。…そう言われた」

薫はため息混じりに言った。

「会いたくないって…何で…」

「…あいつが死ぬ原因を作ったのは、俺だからだ」

⏰:10/04/02 17:07 📱:N08A3 🆔:yJo1HQwc


#260 [我輩は匿名である]
薫は言う。後悔しているような表情で。

直人はもう耐えられなくなって、「あーっ、やめやめ!!」と声を荒げた。

薫は「何事か」ときょとんとする。

「もう暗い話はやめようぜ。俺が疲れるから!」

直人はそう言って、弁当の中身を次々と口へ放り込む。

その直人の様子を見て、薫は「そうだな」と笑い、同じように手を動かした。

⏰:10/04/02 17:08 📱:N08A3 🆔:yJo1HQwc


#261 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300

⏰:10/04/03 00:40 📱:SH706ie 🆔:5IA1kpfY


#262 [ま]
続きが気になりすぎる。(笑)

⏰:10/04/03 23:47 📱:P04A 🆔:0TV.7tcg


#263 [我輩は匿名である]
放課後。

「失礼しましたー」

日直のノートを出し終え、直人は「お待たせ」と薫に声をかける。

薫は職員室の前にも関わらず、堂々とケータイを見ている。

「何見てんの?」

「これ」

薫はケータイ画面を直人に見せる。

響子からのメールだが、本文は「わかった」の一文だけだ。

「短いメール。いつもこうか?」

⏰:10/04/04 09:43 📱:N08A3 🆔:TU64Ti3w


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