記憶を売る本屋さん
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#281 [我輩は匿名である]
怜奈はきつく響子を睨み付ける。
そして、いきなり響子の胸ぐらを掴んだ。
とっさに薫は階段を駆け上がる。
直人と女子はどうすればいいかわからず、
戸惑うように顔を見合わせ、とりあえず階段の影から様子を伺う。
2人を引き離そうと、薫は怜奈の腕に手をかける。
「…離してよ!!」
怜奈はまるで錯乱したかのように、振り払おうと両腕を振り回す。
それが、下りの階段ギリギリに立っていた響子と薫に強く当たってしまった。
:10/04/04 18:31
:N08A3
:TU64Ti3w
#282 [我輩は匿名である]
薫は素早く手摺りを掴んで踏みとどまる。
しかし響子はそれが出来ず、足を踏み外した。
落ちる。響子は「もうダメだ」と目をつぶる。
しかし、その響子の手を、とっさに薫が掴んだ。
手摺りを持つ手と引き替えに。
薫は響子を守るようにして彼女を包む。
その直後、2人は一緒に、階段から転げ落ちた。
直人も女子も、何が起こったのかわからず、一瞬動きを止める。
:10/04/04 18:32
:N08A3
:TU64Ti3w
#283 [我輩は匿名である]
が、2人が全く動かないのを見て、女子が先に駆け寄った。
「ちょっと!2人とも大丈夫!?」
彼女の声でスイッチが入ったように、直人もハッとして2人の傍に寄る。
見ると、右向きに倒れている薫の頭部から血が流れ出ている。
どれだけ名前を呼んで軽く身体を揺すっても、2人とも目を覚ます気配がない。
「…私、先生いないか見てくる!」
女子はそう言って廊下に走る。
偶然にも男性教員が廊下からこちらに向かってきていたらしく、
女子が助けを呼ぶとすぐに来てくれた。
直人は急な事態についていけず、救急車が来るまでただ呆然と立ち尽くしていた。
:10/04/04 18:32
:N08A3
:TU64Ti3w
#284 [ま]
うっへーい(*゚Д゚)
ほんますごいなぁ〜♪
薫ー(´・ω・`)
:10/04/04 18:47
:P04A
:HTCg2SGA
#285 [我輩は匿名である]
>>284さん
コメントありがとうございます

薫ちゃんどーなるのやら…
これからもぼちぼち読んで下さいな


:10/04/04 19:28
:N08A3
:TU64Ti3w
#286 [我輩は匿名である]
響子はゆっくりと目を開ける。
目の前で、スーツを着た1人の男性が、脱力したように座り込んでいる。
辺りを見渡せば、墓。
「(ここは…)」
響子がボーッとしていると、誰かが服の胸元を引っ張った。
いつの間にか、響子は生まれたばかり程の赤ちゃんを抱いていた。
「(この子…お腹の中にいた赤ちゃん…?)」
「…今日子…ごめんな…」
目の前の男性が、静かに口を開く。
:10/04/04 19:28
:N08A3
:TU64Ti3w
#287 [我輩は匿名である]
「俺が…俺があんな事言わなければ…」
下を向いていて顔が見えないが、男性は泣いているように見える。
「(…優也…)」
響子はすぐに気付いた。彼が霜月優也だという事に。
「(そうだ…私は…死んだんだ…)」
響子はあの日の事を思い出す。
:10/04/04 19:28
:N08A3
:TU64Ti3w
#288 [我輩は匿名である]
あの日。
「今日の晩ご飯、俺が作ろうか」
優也は何を思ったのか、急にそんな事を言った。
大きなお腹を気遣って椅子に座っていた今日子は、思わずきょとんとする。
「どうしたの?朝から」
「いや…今日は早く仕事が終わるからさ。お腹も大きくなってきたから、大変かなぁと思って」
優也はこちらに背を向けて、ネクタイを締めながら言う。
「でも、優也料理出来る?」
:10/04/04 19:29
:N08A3
:TU64Ti3w
#289 [我輩は匿名である]
「…ま、まぁ本とか箱とか見ながらやれば出来るだろ。ハヤシライスぐらいなら」
「ふふっ。私が見ながら教えた方が良さそうね」
今日子は困ったように笑い、大きく重くなったお腹をさする。
「今日はパパがご飯作ってくれるんだって。楽しみだね」
「そうだぞー。楽しみにしてろよ」
「あ、じゃあ材料買って来とかなきゃね」
「あぁ…結局働かせてしまうな」
「いいよ、買い物ぐらい。家にいても退屈だし、適度に運動しないと」
今日子はそう言ってにっこり笑った。
:10/04/04 19:29
:N08A3
:TU64Ti3w
#290 [我輩は匿名である]
そしてその日の昼頃、今日子はぼちぼち歩きながら買い物に出かけた。
買い物袋を1つぶら下げて、少しウキウキしながら歩道を歩いていた。
あの人はちゃんと作れるかな。少し笑って、そんな事を考える。
周りの人が、傍の建物の屋上を騒めきながら見上げているのに気付かずに。
突然、「きゃあ」「わぁ」と多くの悲鳴が今日子を包んだ。
今日子はそれに驚き、足を止める。止めてしまった。
みんなと同じように空を見上げる。
その時にはすでに、高校生くらいの少女が目の前に迫っていた。
:10/04/04 19:54
:N08A3
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