記憶を売る本屋さん
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#337 [我輩は匿名である]
2人は「失礼しましたー!」と、走って出ていった。
薫は本当に疲れたように、大きくため息をつく。
「ただいまー」
入れ違いに、響子が検査から帰ってきた。
「…どうしたの?怖いよ?顔」
勝手に薫のベッドのカーテンを開けながら、響子が尋ねる。
「いや…大丈夫…」
薫は返事をしながら、大きくため息をついた。
:10/04/06 18:40
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#338 [我輩は匿名である]
「はぁ…疲れた…」
病院を出て、直人と奏子は息を切らせて立ち止まる。
「本当…あんなに怒られると思わなかったね…」
「お前…地雷踏みすぎだろ…」
「そ…そうかな…?」
2人は話ながら、目の前にあった椅子に座る。
「…さっきの看護師…何言い掛けてたんだろうな…?」
「…ほんとだね」
「かなり気になるね」と、奏子は目を光らせる。
その様子に若干呆れながら、直人も考える。
:10/04/06 20:27
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#339 [我輩は匿名である]
「(…やっぱり…わかるもんなのかな…?)」
薫は高校に入ってすぐ、響子が前世の自分の妻だった人だと見破った。
それは、ただ薫が、勘が冴える奴だからなのか、
それとも本を持つ者はみんなそうなのか…。
もし後者なら、自分にもそんな力があるのか…?
「……そう言えば…大橋さん…どうなったんだろうね…」
奏子がふと、そんな事を言った。
考え込んでいた直人は、「は?」と、ふざけた声を出す。
「……どーでもいいよ…あんなやつ……」
奏子は「まぁね…」と頷く。
:10/04/06 20:27
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#340 [我輩は匿名である]
「…大橋さんさ…小学校の時から、あんな感じだったんだ」
「え、知ってんの?」
「小・中一緒だったもん」
こいつは何でも知ってるな。直人はじーっと奏子を見る。
「ほら…あの子、結構背も高いし、顔も可愛い方だし、スタイルも抜群でしょ?
だから、周りからちやほやされっぱなしで…」
「だから調子にのったのか、あいつ」
奏子は頷く。
:10/04/06 20:27
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#341 [我輩は匿名である]
「自分が欲しいものは絶対手に入れないと気が済まない。
でも、月城くんは香月さんを選んだ。
…だから、許せなかったんじゃない?」
「まぁ香月は結構ちっちゃいしな」
「そうだね、私は香月さんの方が可愛いと思うけど」
「可愛いっていうか、将来美人になりそうな顔だよな」
2人は「うんうん」と頷く。
「…だから『私より劣ってるくせに』とか言ってたのか」
「そういう事。ここまで大事になったのは初めてだよ。
もういい加減懲りて、こんな事しなくなるんじゃない?」
:10/04/06 20:28
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#342 [我輩は匿名である]
「これ以上やったらもう人間失格だろ」
直人はため息をつきながら笑う。
「…さて、帰るか」
「そうだね」
直人と奏子は椅子から立ち上がり、一緒に家に帰っていった。
:10/04/06 20:28
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#343 [我輩は匿名である]
「さーてさて…お?」
奏子と別れて1人で歩いていた直人は、ふと足を止める。
目の前を、ジャージを着た金髪の女性が歩いている。
飛鳥のようだ。
直人は早足で近づく。
斜め後ろくらいから顔を見ようと、前かがみで歩く。
「(やっぱりな)」
ジャージの女性は、やはり飛鳥だった。
「おい、金髪女」
直人はポンと、彼女の肩をたたく。
:10/04/06 20:42
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#344 [我輩は匿名である]
飛鳥は足を止め、ゆっくりと振り向く。
彼女の顔を見て、直人は少し驚いた。
ひどく疲れたような、暗い表情。
「え、何…どうしたんだよ?…お前、最近元気ないぞ?」
直人は内心焦りながら、おどけて笑ってみせる。
が、飛鳥はにこりともしない。
彼女が笑わないのはいつもの事だが、今日はどう見ても様子がおかしい。
:10/04/06 20:43
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#345 [我輩は匿名である]
「…あんたさぁ…」
飛鳥が静かに口を開く。
「…本読んでて、人間不信になった事ない…?」
「…は…?」
直人は首をかしげる。
「俺は、別に…ないけど…」
「……だろうね、あんたなら。…変な事聞いた、ごめん…忘れて」
飛鳥はそれだけ言って、またフラフラ歩きだす。
:10/04/06 20:43
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#346 [我輩は匿名である]
「ちょ、ちょっと待てよ」
直人はとっさに、飛鳥の手を掴む。
しかし、飛鳥が素早くその手を振り払ってしまった。
「……ほっといて…。誰とも話したくない…」
直人は言葉が出なかった。
一体何があったのだろう…?
寂しげに見える飛鳥の背中を、直人はただ心配そうに見つめるしかできなかった。
:10/04/06 20:44
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