記憶を売る本屋さん
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#502 [我輩は匿名である]
「ハゲる…?」
「だから、俺はただ友達の頼みを聞いただけ。他には何とも思ってない。
…そういう事だ」
「…へっ、かっこいい事言いやがって。ハゲちまえよ」
直人何だか悔しくなって、鼻で笑う。
「ありがとな。また何かあったら電話するから!」
そう言って、直人は電話を切った。
:10/04/10 21:59
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#503 [我輩は匿名である]
「………で、結局俺はどうしたらいいんだ?」
これで、ここにいる理由はなくなった。
直人は「んー」と腕を組む。
「…ま、腹が減ってはどーのこーのって言うしな!」
1人でぶつぶつ言って、直人はハンバーガー店に入った。
:10/04/10 22:34
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#504 [我輩は匿名である]
30分後、直人は満足そうに腹をさすりながら出て来た。
「さて…もうちょっとで10時半か。どこ行けばいいんだ…?」
直人は腕を組んで考える。
「…もしかしたら、あの交差点…?」
要がはねられた、あの横断歩道。直人は何となく、そこを思い浮かべた。
しかし、要達が住んでいたのは隣の町。歩いていけば2時間近くかかる。
自転車で来なかった事を、直人は今になって後悔した。
「…そんな事言ってる場合じゃねーよなぁ…」
大きくため息をついて、直人はまた走りだす。
:10/04/11 18:35
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:IZShO6bo
#505 [我輩は匿名である]
その頃、飛鳥は直人が向かっている横断歩道の前にいた。
「……要…」
飛鳥はあの日の事を思い出し、呟く。
「(…何で…私なんかかばったんだよ…)」
目の前を行き交う車を、飛鳥はボーッと見つめる。
一歩踏み出せば、きっと楽になれる。
そう考えているが、飛鳥にはどうしても出来ない。
:10/04/11 18:35
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:IZShO6bo
#506 [我輩は匿名である]
あの日、自分が飛び出した事で、トラックの運転手は真っ青な顔で要に駆け寄っていた。
ただ通りかかっただけの人も、救急車を呼んだり助けようとしたりしていたのも見た。
それを思い出すと、自分の気持ちが緩んでしまう。
飛鳥は横断歩道に背を向けて、またどこかへ足を向けた。
:10/04/11 18:36
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#507 [我輩は匿名である]
約1時間半後。
飛鳥が去った後の横断歩道に、今度は直人がたどり着いた。
走ったり歩いたりしたため、かなり汗をかいている。
「はぁ…も…疲れたって…」
しかし、周りに飛鳥らしい女性は見当たらない。
直人は「何なんだよ…」と座り込む。
「だいじょーぶ?」
突然、後ろで可愛らしい声がした。
:10/04/11 18:36
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#508 [我輩は匿名である]
振り返ると、3〜4歳くらいの女の子がいた。
「…俺…お兄ちゃんの事?」
「うん」
女の子は大きく頷く。
「んー…お兄ちゃん…だいぶ疲れたなぁ…」
「つかれちゃったの?」
女の子は大げさに身体を傾ける。
「おチビちゃん…こんな所にいたら…危ないぞ…?」
直人は「よしよし」と頭を撫でる。
:10/04/11 18:37
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:IZShO6bo
#509 [我輩は匿名である]
「でもねー、さっきおんなのひとが、ずーっとここにいたの。
あのひとも、あぶないよー?」
「女の人…?」
直人は目を丸くする。
「その女の人、どんな人!?」
「えー?んーとねぇー、きんぱつでねー、せなかに、おれんじのねこがいたよー」
「オレンジの猫…??」
直人はそれに首をかしげたが、「金髪」となったらほぼ間違いない。
:10/04/11 18:37
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:IZShO6bo
#510 [我輩は匿名である]
「そのねーちゃん、どこ行ったか知ってる?」
「あっちー」
女の子は、直人が来た道を指さす。
「…マジかよ…」
「おにいちゃん、あのおんなのひと、すきなのー?」
女の子はにっこり笑う。
:10/04/11 18:37
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:IZShO6bo
#511 [我輩は匿名である]
こんなに小さい子にそんな事を聞かれると思わず、直人はぽかんとする。
「…お友達だよ。鬼ごっこしてんの」
「そうなのー?がんばれー♪」
女の子は両手を上げる。
「おうっ。車には気をつけて遊べよ。お母さんから離れるんじゃないぞ」
直人は立ち上がって女の子に忠告する。
女の子は「うん!」と大きく頷き、直人に手を振った。
直人も手を振り返し、来た道を戻る。
:10/04/11 18:38
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