記憶を売る本屋さん
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#573 [我輩は匿名である]
「お前、何とも思ってねーの?」
「思ってないわけないでしょ」
響子は笑顔のまま答える。
直人の背筋に寒気が走る。
「え…」
「大丈夫よ、何もしないから。ていうか、よく連れ戻したね」
「当たり前だろ。また死なれてたまるかよ」
「…でも奏子ちゃんが言うように、意外と普通じゃない。
もっと陰キャラかと思ってたけど」
:10/04/14 21:44
:N08A3
:OramDDpE
#574 [我輩は匿名である]
「…お前の口から『陰キャラ』なんて言葉が聞けるとは思わなかったな」
直人は「へっ」と少し笑う。
「えっ!?バイト探してんの?じゃあさぁ、ウチんとこ来なよ。ちょうど同期の子が辞めちゃってさ」
「…何のバイト?」
「カフェ。ケーキとか紅茶とか配り回るだけだから、慣れれば楽しいよ」
「カフェ…」
飛鳥はますます目を輝かせる。
「…なんか、あいつのペースに乗せられてない?」
「いいんじゃない?むしろそっちの方が」
:10/04/14 21:45
:N08A3
:OramDDpE
#575 [我輩は匿名である]
「まぁな…。あいつ、ちょうど友達探しするって言ってたし」
「そうなの?…あぁ、そっか、“前”の理由がアレだったもんね」
おそらく、薫から聞いたのだろう。
響子は晶の自殺の理由を知っているようだった。
「まぁ、そーゆー事だな。安斎なら、そっからいろいろ繋がりそうな気もするし」
「奏子ちゃん、意外と私といる時が多いよ」
「へ、そうなのか?」
「うん。他の子とも仲は良いけど、浅く広く。
まぁ世渡り上手タイプだから、あの子にとっては勉強になるんじゃないかな?」
:10/04/14 21:45
:N08A3
:OramDDpE
#576 [我輩は匿名である]
「はーん、なるほどね。…つか、お前達何しに来たの?」
「あーっ、そうそう!」
直人の声が聞こえたのか、奏子がいきなり振り向いて返事をした。
彼女のペースに追い付けず、飛鳥はただぽかーんとする。
「今日ライティングある?教科書貸してほしくて」
奏子はぱちんと手を合わせる。
直人は一瞬考えて、とっさに「あ、俺も忘れた」と嘘をついた。
「えー」
奏子は「何それー」と肩を落とす。
:10/04/14 21:45
:N08A3
:OramDDpE
#577 [我輩は匿名である]
それと同時に、直人が飛鳥に目で合図を送る。
飛鳥は最初は「は?」と首をかしげていたが、「あぁ!」と声を上げた。
「わ、私持ってるよ!」
飛鳥の声に、響子と奏子が振り向く。
「本当っ?」
「うん…」
飛鳥はちょっと焦りながら、机の中をあさる。
「………あ、はい」
「ありがとー!1時間目終わったら、すぐ返しに来るからね!」
:10/04/14 21:46
:N08A3
:OramDDpE
#578 [我輩は匿名である]
「うん」
飛鳥はホッとしたように少し笑った。
「じゃあね!」
奏子と響子は、飛鳥と直人に手を振って、教室を出て行った。
「…第一歩って感じ?」
直人はニッと笑って飛鳥を見る。
しかし、飛鳥はまるで埴輪のように呆然とする。
「なんか…びっくりした…」
「嵐みたいな奴だからな、あいつ」
「…でもなんか…面白かったかも…」
:10/04/14 21:46
:N08A3
:OramDDpE
#579 [我輩は匿名である]
「言っとくけど、楽しいばっかりじゃないからな?
喧嘩とかする時もあるんだからな?」
「…そうだね、忘れてた」
飛鳥が意識を全部戻してきたところで、ちょうどチャイムが鳴った。
「じゃ、まぁ何かあったら言ってこいよ」
直人はそう言って、自分の席についた。
:10/04/14 21:47
:N08A3
:OramDDpE
#580 [我輩は匿名である]
1時間目が終わるチャイムが鳴り、奏子が教科書を返しにやって来た。
「神崎さん、だっけ。ありがとう」
奏子は笑って、飛鳥に教科書を手渡す。
「…ねぇ、…安斎さん」
飛鳥は思い切って、自分から話し掛ける。
「ん?」
「…昼ご飯、誰と食べてる?」
「お昼ご飯?響子と食べてるよ。一緒に食べる?」
奏子は、飛鳥が頼むより先に昼食に誘った。
:10/04/15 11:04
:N08A3
:oE0S7Qqw
#581 [我輩は匿名である]
「えっ…いいの?」
「いいよ?おいでおいで」
「…うん…!」
飛鳥は大きく頷く。
直人は気付かれないように、その様子を見ながらホッとしていた。
:10/04/15 11:04
:N08A3
:oE0S7Qqw
#582 [我輩は匿名である]
:10/04/15 19:13
:F03B
:92JHW.eU
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