記憶を売る本屋さん
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#581 [我輩は匿名である]
「えっ…いいの?」
「いいよ?おいでおいで」
「…うん…!」
飛鳥は大きく頷く。
直人は気付かれないように、その様子を見ながらホッとしていた。
:10/04/15 11:04
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#582 [我輩は匿名である]
:10/04/15 19:13
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#583 [我輩は匿名である]
次の月曜日。
直人は登校して来てすぐに、目を丸くして足を止める。
下駄箱で、ジャージ姿の薫が、響子に付き添われて靴を履いていたのだ。
「薫!?」
「ん?よぉ」
「よぉ。じゃねーよ!来れるようになったんなら言えよ!!」
「びっくりさせてやろうと思って」
「いらねぇよ!!」
直人はテンションがおかしくなって、朝から大声を上げる。
:10/04/15 20:23
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#584 [我輩は匿名である]
「一応登校は許可されたからさ。まだこっちの腕使えないけど」
薫は左腕を見ながら直人に言う。
「折れた骨があんまりズレてないらしいし、だいぶ痛みも引いたからさ。
もちろん体育とかは出来ないけど、休みすぎるとダブるし」
「そっかぁ…。ま、マシになって良かったな!俺も何かホッとしたわ!」
直人は満面の笑みを見せる。
:10/04/16 09:13
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#585 [我輩は匿名である]
「おはよー」
3人が下駄箱で立ち止まっていると、奏子と飛鳥も登校してきた。
「おう。珍しいな、一緒に来るなんて」
「…ちょうどそこで会ったからさ」
飛鳥はそう言いながら校門を指差す。
「あー、それでか」
「あっ、月城くんだっけ?あんた学校来れるようになったんだね」
「あぁ、まぁ…」
薫はすぐに誰だったか思い出せず、少しぽかんとする。
:10/04/16 09:14
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#586 [我輩は匿名である]
「…奏子、日直って言ってなかったっけ」
「へ?あぁっ、そうそう!じゃあまたお昼休みね」
奏子はそう言って、さっさと靴を履きかえて走っていった。
4人はボーッと、奏子の走っていく背中を見る。
「忙しい子だねぇ」
4人の背後で、老人のしゃがれた声がした。
:10/04/16 09:14
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#587 [我輩は匿名である]
直人と飛鳥は素早く、薫と響子はゆっくりと振り向く。
そこには、直人達に本を渡した、あの老人が立っていた。
「…おっさん…」
「死ななかったんだねぇ、君」
驚いて立ち尽くす直人をよそに、老人はニヤッと笑って飛鳥に言った。
「わしはてっきり、後ろの彼に殺されでもすると思ってたがのぉ」
老人は小汚い手で薫を指差す。
飛鳥も「は…?」と薫に目をやる。
「…何だ、俺が誰か知らなかったのか」
薫は不思議そうに答える。
:10/04/16 13:25
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#588 [我輩は匿名である]
「どういう…」
「止めろ!おっさん!」
直人はとっさに老人に向かって叫び、詰め寄る。
飛鳥も薫も、びっくりして直人を見る。
が、老人は笑顔のまま、口を動かした。
「…君の後ろのお友達、君が巻き込んで死なせた、あの女の人だよぉ?」
「…え…?」
飛鳥はゆっくりと、響子の方を向く。
直人はキッと、老人を睨む。
「…嘘…でしょ…?」
:10/04/16 13:25
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#589 [我輩は匿名である]
茫然としながら、飛鳥はただじっと響子を見つめる。
「本当だよ」
そう答えたのは、薫だった。
「俺はその夫だ」
「薫…!」
直人は思わず、薫に手を伸ばす。
しかし、響子がすぐにそれを止めた。
:10/04/16 13:26
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:67c2oJas
#590 [我輩は匿名である]
「君、よく我慢できたねぇ?わしゃあ、絶対無理だと思ってたけど」
老人の言葉に、薫は小さく笑い、響子の肩を抱いて引き寄せる。
「俺はなぁ、こいつがいてくれたら、もうどうでもいいんだよ。
後は、あんな“事故”が2度と起こらなければ良いと願うだけだ。
恨み続けるのも疲れたしな。それに、俺は今の生活の方が楽しいし」
直人も飛鳥も、黙って彼を見る。
:10/04/16 13:27
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