記憶を売る本屋さん
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#187 [我輩は匿名である]
「ねぇ」

まためんどくさい事が。直人は横目で、声がした方を見る。

怜奈がじっとこっちを見ている。

「何だよ、薫ならどっか行っていないぞ」

「そんなの見たらわかるわよ。どこ行ったのか知らない?」

「…知るかよ」

薫はもちろん屋上にいるのだろうが、直人はしらばっくれる。

薫は香月に気があるから、邪魔は入れたくない。そう思ったのだ。

⏰:10/03/29 17:20 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#188 [我輩は匿名である]
「あいつに何か用?」

「先生から伝言」

「伝言?何の?」

「さぁね」

怜奈はぷいっとそっぽを向く。

「(うぜぇ…)」

こういう女は大嫌いだ。直人は腹立たしそうに彼女を睨む。

「勘違い野郎」

直人の後ろで声がした。

⏰:10/03/29 17:20 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#189 [我輩は匿名である]
振り向くと、浮かない表情で飛鳥が立っている。

「俺の事かよ」

「あんた以外に誰がいるわけ」

飛鳥はいつものように憎まれ口をたたくが、どこか元気がなさそうだ。

「…どうかしたのか?」

「…ちょっと」

飛鳥に手招きされて、直人は席を立って、彼女について教室を出る。

「何だよ?」

廊下に出て、飛鳥は周囲を見渡した後、小声で言った。

⏰:10/03/29 17:21 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#190 [我輩は匿名である]
「さっきの女、気を付けた方が良い」

「…大橋の事か?」

「名前は知らないけど」

飛鳥は真剣そうだ。

飛鳥がこんな事を言うとは思わなかった為、直人は少し呆然とする。

「まぁ…確かに薫を好きすぎて若干ウザいけど…」

「あいつ、欲しい物は手に入れないと気が済まないって言ってた。この間聞いたんだ。

だから、諦めるように言った方が良いと思って」

「…あいつそんな事言ってたのか」

⏰:10/03/29 17:22 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#191 [我輩は匿名である]
直人はそう言った後、「ん?」と首を傾げる。

「あいつ、『友達が薫を好き』って言ってたけど」

「そんなの嘘に決まってんじゃん。それ信じ込んでたの?」

飛鳥は呆れている。

言われてみればそうだ。いくら友達思いだといっても、熱心に身辺調査しすぎだ。

「(自分が好きだったのかよ、あいつ…)」

「…とりあえず、あいつには気をつけなよ」

飛鳥はそう言って、教室に向かう。

「あ、ありがとな」

直人は飛鳥に礼を言う。

飛鳥は少し黙って、「別に」とだけ言って教室に入っていった。

⏰:10/03/29 17:22 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#192 [我輩は匿名である]
「やっぱりな」

「知ってたのかよ!?」

「話聞いてたら大体わかるだろ。俺の事が好きっていうの、友達じゃなくて本人だって事ぐらい」

薫は知っていたらしい。

直人はショックで箸を持つ手を止める。

「俺…どんだけバカなんだ…?」

「さぁ?まぁ勉強になったんだからいいじゃん」

薫は笑っているが、少ししてから真顔に戻った。

⏰:10/03/29 17:23 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#193 [我輩は匿名である]
「そういえば、あいつ伝言があるって言ってたけど…」

「聞いたよ、今日委員会があるって。めんどくせぇ…。先帰っといて」

「あぁ、同じ委員会だっけ?頑張れ♪

「からかうな!」

満面の笑みでからかう直人に、薫は怖い顔で言い返した。

⏰:10/03/29 17:23 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#194 [我輩は匿名である]
放課後。

薫は時間どおりに、風紀委員会に出席していた。

隣には怜奈が座っている。

「…俺の事、いろいろ直人に聞きまくってるらしいな」

周りに聞こえないような声で、薫は怜奈に言う。

「そこまで聞きまくってないよ?朝いつもいないから、どこに行ってるんだろうなぁって」

「悪いけど、俺の事諦めてくれる?大橋と付き合う気はないし、俺には」

「好きな子がいる、でしょ?」

怜奈は少し笑って薫を見る。

⏰:10/03/29 20:30 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#195 [我輩は匿名である]
薫は黙って見返す。

「でも、あの子じゃなくて私に目が行く事があるかも」

「残念だけどそれはない」

「そんなにあの子の事好きなの?」

そう聞かれて、薫は黙る。

そんな一言で済まされる気持ちではない。

「あの子普通の子じゃない。背も大きくないし、胸も私より小さい。スタイルだって」

「俺はそういう事には興味ない」

薫はきっぱりと言い張る。

⏰:10/03/29 20:30 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


#196 [我輩は匿名である]
まぁ、そう言っても薫も男なので、全く興味がないわけでもないが。

「俺には、あいつを守る義務がある」

「義務?何それ」

怜奈は笑う。少しバカにしたように。

「お前みたいな軽そうな奴にはわからないよ」

薫はイラついたように言い捨てる。

「…ふぅん、つまんないの」

怜奈も同じようにして、それ以上何も話さなかった。

⏰:10/03/29 20:31 📱:N08A3 🆔:P5Rp3vxg


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