記憶を売る本屋さん
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#227 [我輩は匿名である]
「…壁…かぁ…」

女性に言われて、要は繰り返す。

確かに晶の性格なら、あり得なくはない。

「その子に、『思い切って踏み込んでみて』って言っといて下さい。

『受け入れてくれない子は、その程度の子。他にもいい子はたくさんいるから』って」

女性はにっこり笑って、要に伝えた。

要は「はい!」と大きく頷く。

前方に大きな公園が見える。

「あっ、あれですよ。姫崎公園」

⏰:10/03/31 10:35 📱:N08A3 🆔:Cnlymdz2


#228 [我輩は匿名である]
「え?あっ、着いたー!」

女性は胸に手をあて、大きく息をつく。

公園の前で、2人の女性が、こちらに手を振っている。

「良かった、友達もちゃんと待っててくれたみたい。ありがとう」

「いえ、こちらこそ楽しかったです。また来て下さいね」

要は笑って女性に手を振る。

女性もこちらに手を振って、友達の元へ走っていった。

要もまた、家へと引き返す。

もう一度あの場所に行こうかとも考えたが、

さっきいなかったから今日は来ないだろうと、要はまっすぐ家に帰った。

⏰:10/03/31 10:35 📱:N08A3 🆔:Cnlymdz2


#229 [我輩は匿名である]
直人は本を閉じる。

あの女性に会って、何だか元気が出た気がする。

「直接晶を会わせてやりたかったなぁ…」

自分が伝えるよりも、あの女性が直接話をした方が、晶も勇気が出たかもしれない。

「(…あの女の人、元気かなぁ…?)」

直人はそんな事を考えながら、ボーッと窓の外の夜空を眺めた。

⏰:10/04/01 17:03 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#230 [我輩は匿名である]
直人は大きなあくびをして机に突っ伏せる。

大好きなゴールデンウィークも終わってしまった。

外は雨が降っており、廊下を見れば、屋上に行けない薫と響子が窓の方をむいて話している。

「…この間ね、プロポーズされたんだ」

響子は薫だけに聞こえるような声で言った。

「霜月優也に?」

「うん。寒かったから、冬だったと思う」

「12月13日」

薫は開いた窓の桟に両肘を置く。

⏰:10/04/01 18:04 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#231 [我輩は匿名である]
「そうなの?…よく知ってるね、相変わらず」

「まぁな」

薫は鼻を高くして笑う。

「3月に結婚式しようって。…私も嬉しくて、すぐにうんって返事して…」

響子は少し頬を赤らめて話す。

薫も笑ってそれを見つめる。

「でね、今日はその、結婚式だったの。

真っ白い、綺麗なドレスを着せてもらって、優也に指輪をはめてもらって…。

…すごく幸せだった」

薫はすぐに気付いた。

⏰:10/04/01 18:04 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#232 [我輩は匿名である]
響子が「優也」と、呼び捨てで呼び始めている事に。

ついこの間まで「あの人」と呼ぶ事が多かった。

「(…話の進度は速くても、キョウコの見る夢はあの本とほぼ同じみたいだな…)」

薫は1人、静かに考えを巡らせていた。

⏰:10/04/01 18:05 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#233 [我輩は匿名である]
「うーん…」

直人は本を手に、ベッドの上で頭を悩ませる。

今日は何事も無かったのだが、やはり晶の、来れなかった理由が気になるらしい。

「(…何かある気がするんだよなぁ…)」

今まで素直に要と接していた晶が、理由も無しに来ないのはおかしい。

それも、自分で言いに来ないとなると尚更だ。

めんどくさがり屋の直人ならともかく、晶はそんな性格でもない。

しかも、嫌いだと言っていた美代に、そんな伝言を託すだろうか?

直人は大きくため息をつく。

⏰:10/04/01 18:05 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#234 [我輩は匿名である]
「(…やっぱり、帰りにもう1回あの場所に戻るべきだったのか…?)」

直人の意志で要の身体を動かせないにも関わらず、直人はそんな事を考える。

しかし、2時頃に1度見に行っても、あの場所に晶はいなかった。

「…あー…わかんねぇなぁ…。何か気に障る事したか…?」

あぐらをかいて、直人は長い間頭を抱えていた。

⏰:10/04/01 18:06 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#235 [我輩は匿名である]
次の日、珍しく飛鳥が学校を休んでいた。

「(…今日あいつ休みなのか)」

そこまで仲良くは無いのだが、どこか気になってしまう。

「(…最近気になる事が多いなぁ…。悩みがないのが自慢だったのに…)」

直人はシャーペンをくるくる回しながら、机に肘をついて考える。

晶の事、飛鳥の事…。

おまけに、またある事を思い出す。

薫の「初めて人を殺したいと思った」という言葉。

あれは一体何だったのか?余計な事を思い出してしまった。

⏰:10/04/01 18:06 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


#236 [我輩は匿名である]
「水無月」

「へ?」

ボーッとしていた直人は、先生に名前を呼ばれたのに気付かなかった。

顔を上げると、先生も周りの生徒もこっちを見ている。

が、何で呼ばれたのかわからない。

「24ページの2行目から読め!」

幸い、後ろの席の男子が小声で教えてくれた。

「サンキュ!」

直人は小声で礼を言い、慌てて立ち上がって、言われた所を読み始めた。

⏰:10/04/01 18:45 📱:N08A3 🆔:IMFDvu/M


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