記憶を売る本屋さん
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#234 [我輩は匿名である]
「(…やっぱり、帰りにもう1回あの場所に戻るべきだったのか…?)」
直人の意志で要の身体を動かせないにも関わらず、直人はそんな事を考える。
しかし、2時頃に1度見に行っても、あの場所に晶はいなかった。
「…あー…わかんねぇなぁ…。何か気に障る事したか…?」
あぐらをかいて、直人は長い間頭を抱えていた。
:10/04/01 18:06
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#235 [我輩は匿名である]
次の日、珍しく飛鳥が学校を休んでいた。
「(…今日あいつ休みなのか)」
そこまで仲良くは無いのだが、どこか気になってしまう。
「(…最近気になる事が多いなぁ…。悩みがないのが自慢だったのに…)」
直人はシャーペンをくるくる回しながら、机に肘をついて考える。
晶の事、飛鳥の事…。
おまけに、またある事を思い出す。
薫の「初めて人を殺したいと思った」という言葉。
あれは一体何だったのか?余計な事を思い出してしまった。
:10/04/01 18:06
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#236 [我輩は匿名である]
「水無月」
「へ?」
ボーッとしていた直人は、先生に名前を呼ばれたのに気付かなかった。
顔を上げると、先生も周りの生徒もこっちを見ている。
が、何で呼ばれたのかわからない。
「24ページの2行目から読め!」
幸い、後ろの席の男子が小声で教えてくれた。
「サンキュ!」
直人は小声で礼を言い、慌てて立ち上がって、言われた所を読み始めた。
:10/04/01 18:45
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#237 [我輩は匿名である]
「今日、元気ないじゃん」
昼休み、薫が直人に言った。
「…そうか?」
「ないだろ、どう見ても。授業中はずっとボーッとしてるし」
「…うーん…」
直人は口をモグモグさせながら、鼻からふぅっと息を吐く。
「……なんかさぁ、考え事多すぎて、もう頭がパンクしそうっつーか…」
「考え事?珍しいな」
薫はきょとんとする。
:10/04/01 18:46
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#238 [我輩は匿名である]
「…俺、何か怒らしちまったかなぁー…」
「…誰を?」
「…晶」
直人は言いながら、ボーッと弁当のおかずを口に入れていく。
逆に、薫の箸が止まる。
「…石川晶か」
「んー…」
直人は適当に返事をした後、思い出したように薫を見た。
:10/04/01 18:46
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#239 [我輩は匿名である]
「そういえばお前、晶の事も知ってんのか?」
直人の問いに、薫はしばらく黙る。
そして、考えながら口を開いた。
「あぁ、知ってるよ」
やっぱりな。直人は思った。
「何で?何かお前、何でも知ってるよな」
「俺の本にも出てくるからだよ」
「…へ?じゃあ俺も出てくるからくんの?」
「お前は出ない」
薫はきっぱりと否定する。
:10/04/01 18:47
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#240 [我輩は匿名である]
直人はどういう事かと首をひねる。
「わかった!お前、晶の施設の…」
「残念ながら俺は両親の元で家で育った」
ちっ。直人はブスッとする。
「じゃあ何で晶だけがお前の本に出てくるんだよ?」
そう聞かれて、薫はまた、しばし考える。
「…お前が本を全部読み終わったら教えてやるよ」
「はぁ〜?それ、いつになるんだよ」
薫の言葉に、直人はうなだれる。
薫はそれを見て、笑いながら心の中で呟いた。
「あと1ヶ月もしないうちにわかる」と。
:10/04/01 18:47
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#241 [我輩は匿名である]
次の日曜日も、何故か晶は待ち合わせ場所に来なかった。
要は気になって、晶の住む施設まで行ってみる。
忘れているのだろうか?
それとも、先週会わなかったため、今週は約束していない事になっているのだろうか?
確かにそれはあるかも知れないが、何も言わずに来なくなるのはおかしい。
直人は要の中で、必死に頭を働かせる。
もしかしたら、他に好きな男でも?
しかし、彼女は「私には要くんしかいないから」と言っていた。
まぁ時が流れれば変わる事もあるわけだが。
:10/04/01 19:55
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#242 [我輩は匿名である]
でも、ちょっとひねくれてはいても、普通の純粋な女の子である。
そんなにコロコロと気が変わるような子ではない。
少なくとも直人はそう信じている。
直人がそうだという事は、きっと要も同じであるだろうが。
あれこれ考えている間に、目の前には施設の門が迫っていた。
要はふうっと、息を吐く。
「…あ」
晶はちょうど、門の近くで花壇の花に水をやっていた。
「何だよ、普通にいるじゃねぇか」
直人は少しムッとした。
:10/04/01 19:55
:N08A3
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#243 [我輩は匿名である]
要は少し重い足取りで晶に近づく。
「…晶ちゃん」
要は彼女にギリギリ聞こえるような声で呼ぶ。
晶は少しキョロついてから、要に気が付いた。
「来ないから、何かあったのかと思って」
要はちょっと苦笑する。
しかし、晶は何も言わない。
それどころか、顔を背けてどこかへ走り去ってしまった。
:10/04/01 19:55
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