記憶を売る本屋さん
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#503 [我輩は匿名である]
「………で、結局俺はどうしたらいいんだ?」
これで、ここにいる理由はなくなった。
直人は「んー」と腕を組む。
「…ま、腹が減ってはどーのこーのって言うしな!」
1人でぶつぶつ言って、直人はハンバーガー店に入った。
:10/04/10 22:34
:N08A3
:4t4VPhl2
#504 [我輩は匿名である]
30分後、直人は満足そうに腹をさすりながら出て来た。
「さて…もうちょっとで10時半か。どこ行けばいいんだ…?」
直人は腕を組んで考える。
「…もしかしたら、あの交差点…?」
要がはねられた、あの横断歩道。直人は何となく、そこを思い浮かべた。
しかし、要達が住んでいたのは隣の町。歩いていけば2時間近くかかる。
自転車で来なかった事を、直人は今になって後悔した。
「…そんな事言ってる場合じゃねーよなぁ…」
大きくため息をついて、直人はまた走りだす。
:10/04/11 18:35
:N08A3
:IZShO6bo
#505 [我輩は匿名である]
その頃、飛鳥は直人が向かっている横断歩道の前にいた。
「……要…」
飛鳥はあの日の事を思い出し、呟く。
「(…何で…私なんかかばったんだよ…)」
目の前を行き交う車を、飛鳥はボーッと見つめる。
一歩踏み出せば、きっと楽になれる。
そう考えているが、飛鳥にはどうしても出来ない。
:10/04/11 18:35
:N08A3
:IZShO6bo
#506 [我輩は匿名である]
あの日、自分が飛び出した事で、トラックの運転手は真っ青な顔で要に駆け寄っていた。
ただ通りかかっただけの人も、救急車を呼んだり助けようとしたりしていたのも見た。
それを思い出すと、自分の気持ちが緩んでしまう。
飛鳥は横断歩道に背を向けて、またどこかへ足を向けた。
:10/04/11 18:36
:N08A3
:IZShO6bo
#507 [我輩は匿名である]
約1時間半後。
飛鳥が去った後の横断歩道に、今度は直人がたどり着いた。
走ったり歩いたりしたため、かなり汗をかいている。
「はぁ…も…疲れたって…」
しかし、周りに飛鳥らしい女性は見当たらない。
直人は「何なんだよ…」と座り込む。
「だいじょーぶ?」
突然、後ろで可愛らしい声がした。
:10/04/11 18:36
:N08A3
:IZShO6bo
#508 [我輩は匿名である]
振り返ると、3〜4歳くらいの女の子がいた。
「…俺…お兄ちゃんの事?」
「うん」
女の子は大きく頷く。
「んー…お兄ちゃん…だいぶ疲れたなぁ…」
「つかれちゃったの?」
女の子は大げさに身体を傾ける。
「おチビちゃん…こんな所にいたら…危ないぞ…?」
直人は「よしよし」と頭を撫でる。
:10/04/11 18:37
:N08A3
:IZShO6bo
#509 [我輩は匿名である]
「でもねー、さっきおんなのひとが、ずーっとここにいたの。
あのひとも、あぶないよー?」
「女の人…?」
直人は目を丸くする。
「その女の人、どんな人!?」
「えー?んーとねぇー、きんぱつでねー、せなかに、おれんじのねこがいたよー」
「オレンジの猫…??」
直人はそれに首をかしげたが、「金髪」となったらほぼ間違いない。
:10/04/11 18:37
:N08A3
:IZShO6bo
#510 [我輩は匿名である]
「そのねーちゃん、どこ行ったか知ってる?」
「あっちー」
女の子は、直人が来た道を指さす。
「…マジかよ…」
「おにいちゃん、あのおんなのひと、すきなのー?」
女の子はにっこり笑う。
:10/04/11 18:37
:N08A3
:IZShO6bo
#511 [我輩は匿名である]
こんなに小さい子にそんな事を聞かれると思わず、直人はぽかんとする。
「…お友達だよ。鬼ごっこしてんの」
「そうなのー?がんばれー♪」
女の子は両手を上げる。
「おうっ。車には気をつけて遊べよ。お母さんから離れるんじゃないぞ」
直人は立ち上がって女の子に忠告する。
女の子は「うん!」と大きく頷き、直人に手を振った。
直人も手を振り返し、来た道を戻る。
:10/04/11 18:38
:N08A3
:IZShO6bo
#512 [(´_ゝ`)]
どうなるの?
わくわく(><)
:10/04/11 21:10
:T003
:K19ari/w
#513 [我輩は匿名である]
>>512さん
いつもコメントありがとうございます


ぜひ直人の頑張りを見届けてやって下さい(*´∇`)
:10/04/11 21:16
:N08A3
:IZShO6bo
#514 [我輩は匿名である]
「(こっちって…何かあったっけ…?
あ、もしかして、姫崎公園か?…2人で行ったことないけど…)」
直人はどこに行けばいいのか悩みながら、ひたすら歩く。
だいぶ疲れたのか、歩く速度が遅くなってきている。
「(…オレンジの猫って何だったんだ…?)」
女の子の言葉が、直人は気になっていた。
「(あいつ、猫なんか飼ってるのか…?でも、オレンジって…)」
そんな猫がいるのだろうか。
直人は考えつつ、携帯電話を見る。
:10/04/11 21:17
:N08A3
:IZShO6bo
#515 [我輩は匿名である]
もう12時を過ぎている。
「もう昼か…」
さっきいろいろ食べた為、腹は空いていないのだが、時間が経つのは早い。
「やばいよなぁ…」
早く見つけないと、暗くなると探しにくくなる。
直人は「あぁー」と頭を抱える。
困り果てて、携帯電話を開いたり閉じたりしてみる。
:10/04/11 21:17
:N08A3
:IZShO6bo
#516 [我輩は匿名である]
薫に相談したいが、これは自分と晶の問題だ。
第一、薫に聞いたところで何もわからないだろう。
「…自分でどーにかしろって事だよな」
直人は1人でぶつぶつ言う。
20分ほど歩いて、姫崎公園に到着した。
しかし、ここにも飛鳥らしい人はいない。
子ども達が親に連れられて、楽しそうに遊んでいる。
:10/04/11 21:18
:N08A3
:IZShO6bo
#517 [我輩は匿名である]
直人は急に虚しくなってきて、傍にあった長椅子に腰を下ろす。
「はぁ…もうマジありえねぇ…。何でめんどくさがりな俺がこんな事…」
少し休もうと思い、直人は足だけ椅子から垂らして寝転がった。
…ほんの少しだけのつもりだったのだが。
:10/04/11 21:18
:N08A3
:IZShO6bo
#518 [我輩は匿名である]
携帯電話のバイブが鳴り、直人は目を覚ました。
「……あぁ…やべ…寝ちまった…」
まだ寝足りないような顔で起き上がり、携帯電話を開く。
そして、ハッと目を見開いた。
「3時半!?マジで!?」
直人は驚いて辺りをキョロキョロする。
遊んでいるのは、もう幼児ではなく、学校帰りの小学生に変わっている。
「(やってしまった…)」
寝すぎた事にショックを受けながら、直人は電話に出る。
:10/04/11 21:19
:N08A3
:IZShO6bo
#519 [我輩は匿名である]
「もしもし…?」
「直人!あんたどこにいるの!?」
「(げ…)」
母親だった。
「いや、大丈夫だったついでに散歩してたら、道に迷ったというか…。
もうちょっとしたら帰るから!」
直人はそう言って、強引に電話を切った。
「(やべぇなぁ…早く帰らないと怒られる…)」
ますます直人は頭を抱える。
:10/04/11 21:19
:N08A3
:IZShO6bo
#520 [我輩は匿名である]
「(…くそー…晶の行きそうな場所…行きそうな場所…)」
腕を組んで考え直す。
「(…晶の…好きな場所…とか…無かったっけ…?)」
晶と行ったといっても、あの喫茶店しか思い浮かばない。
しかし、直人は思い出した。
:10/04/11 21:20
:N08A3
:IZShO6bo
#521 [我輩は匿名である]
初めてのデートの約束をした時。
『初めて会った、あの場所がいい!』
直人は考えるよりも先に走りだした。
これでダメなら、もう諦めるしかない。
一か八かの賭けだった。
:10/04/11 21:21
:N08A3
:IZShO6bo
#522 [我輩は匿名である]
疲れて、足が何度ももつれて転びそうになりながら、直人は走り続ける。
まるで、“もう1人の自分”が、直人の身体を動かしているかのように。
ただ無心で走った。
あと1つ、角を曲がれば、昔のあの場所に着く。
もうすっかり様変わりしているが、直人は何故か、全く迷わなかった。
「(晶…!)」
角を曲がる。
:10/04/11 21:21
:N08A3
:IZShO6bo
#523 [ま]
(´・ω・`)
:10/04/11 22:06
:P04A
:dO8wnHpE
#524 [我輩は匿名である]
コメントのせいで見にくい
:10/04/12 00:18
:P01A
:☆☆☆
#525 [我輩は匿名である]
:10/04/12 08:38
:N08A3
:RASU4056
#526 [我輩は匿名である]
しかし、その通りには、誰もいなかった。
息を切らして、直人は茫然とする。
そして、再び歩きだした。
初めて会った日の事を思い出す。
リーゼント頭の男。オイルショックの話をしたおばさん。全てが懐かしくなった。
直人はあるところまで来て、ゆっくりと足を止める。
:10/04/12 15:10
:N08A3
:RASU4056
#527 [我輩は匿名である]
細い路地にうずくまる1人の女性。
白いワンピースではなく、オレンジのラインが入った紺色のジャージに金髪頭。
「…やっと見つけた…」
直人は小声で呟く。
女性が顔を上げる。思った通り、飛鳥だった。
「…お前…何やってんだよ…」
直人は膝に手をついて呼吸を整える。
飛鳥はあの日のように、座り込んだままうつむく。
:10/04/12 15:10
:N08A3
:RASU4056
#528 [我輩は匿名である]
「…もう疲れた…」
「それは俺のセリフだ!どんだけ捜し回ったと思ってんだよ!?」
直人は汗だくになりながら怒鳴りつける。
「お前…まさか、自殺でもするつもりじゃねぇだろうなぁ…?
そんなの…絶対許さないからな…!」
「……あんたに何がわかんの…」
飛鳥はまた顔を上げ、直人を睨み上げる。
:10/04/12 17:59
:N08A3
:RASU4056
#529 [我輩は匿名である]
「私には何にもない…。
…あんたは、私の欲しいものをみんな持ってる…。
そんな奴に、私の気持ちなんか…!」
「あぁわかんねぇなぁ、何回も自殺する奴の気持ちなんか!」
直人の「何回も」という言葉に、飛鳥はハッとする。
「…あんた…」
「わかるだろ?俺が誰か…。
…俺は、長月要の生まれ変わりだよ!石川晶!!」
直人は声を上げて、自分の正体を打ち明けた。
飛鳥は言葉を失い、茫然とする。
:10/04/12 20:03
:N08A3
:RASU4056
#530 [我輩は匿名である]
「…嘘だ…あんたが要なわけ…」
「俺が要じゃなかったら、何でここがわかるんだよ?
ここが、要と晶が最初に出会って、初めてデートの待ち合わせ場所にした所だから。
だからここで、あの日みたいに待ってたんだろ?」
飛鳥はそう言われて顔を背ける。
「…今さら来たって…」
「あ?」
飛鳥の声が聞き取りにくくて、直人は首をかしげる。
そして、飛鳥は素早くポケットからカッターナイフを取り出し、刃を出して首に向けた。
:10/04/12 20:03
:N08A3
:RASU4056
#531 [我輩は匿名である]
直人は目を丸くするが、飛鳥の目は本気だ。
「……何で…何でかばったのよ…」
飛鳥は静かに口を開く。
「何であの時死なせてくれなかったのよ!?
1人だけ勝手に死にやがって!
たった1人の友達亡くして、私が生きていけるわけないじゃん!!」
「勝手な事言ってんじゃねぇよ!!」
直人は我慢できず、飛鳥に言い返す。
:10/04/12 21:59
:N08A3
:RASU4056
#532 [我輩は匿名である]
「“何で死なせてくれなかったか”だ!?ざけんじゃねぇよ!!
要がどんな気持ちでお前を突き飛ばしたか知ってんのかよ!?」
「うるさい!!」
飛鳥は自暴自棄になり、めをつぶって、カッターを持つ手に力を入れる。
直人はとっさに手を伸ばす。
その直後、地面にポタポタと血がしたたり落ちた。
:10/04/12 21:59
:N08A3
:RASU4056
#533 [我輩は匿名である]
飛鳥は何が起きたのか理解できず、目を開く。
「…いい加減にしろよ…」
直人は、自分の血で出来た地面の染みを見つめながら飛鳥を見下ろす。
飛鳥はやっとわかった。
直人の手がカッターの刃を握り、飛鳥の首にあたる寸前で止めていたのだ。
飛鳥が動きを止めている隙をみて、直人は飛鳥の手からカッターナイフを奪い取る。
:10/04/13 08:15
:N08A3
:Zq6n1SuI
#534 [我輩は匿名である]
「あー、痛ぇ…」
カッターの刃を引っ込め、溝の中に投げ捨てる。
「…あんた、手…」
茫然としている飛鳥。
そんな彼女の胸ぐらを掴み、直人は壁に押さえ付けた。
「お前…いつまでも甘えた事ばっか言ってんじゃねぇぞ…」
直人の怒りは、頂点に達していた。
:10/04/13 08:15
:N08A3
:Zq6n1SuI
#535 [我輩は匿名である]
「人の話もまともに聞かねぇで、勝手に勘違いしやがって…。
かばってやったと思えば自分で死んで…。お前…あいつの事舐めてんのか?」
頭の中に、トラックが迫ってくるあの光景が思い浮かぶ。
「あいつだってなぁ、死にたくて死んだんじゃねぇんだよ…!
お前に生きてて欲しかったから…笑って生きて欲しかったから!
だからあいつはお前をかばったんだよ!
晶ならきっと、俺がいなくても幸せになれる。要はそう願って死んでいったんだ!
それをお前は、たった3日で捨てやがって…しかも他の奴まで巻き込んで…!
要がいたら何て言うだろうなぁ!?」
:10/04/13 08:16
:N08A3
:Zq6n1SuI
#536 [我輩は匿名である]
直人の話を聞きながら、飛鳥はずっとうつむいていた。
言い終わって、直人はキッと口を閉じる。
その直後。
「…?」
直人の目から、涙が落ちた。
泣きたい気分では無かった。怒りすぎて泣いたことも1度もない。
:10/04/13 08:16
:N08A3
:Zq6n1SuI
#537 [我輩は匿名である]
「…何で…」
飛鳥は直人を心配そうに見つめる。
「…あいつだ」
直人は手を離し、まっすぐに飛鳥を見る。
「俺の中の要が泣いてるんだよ。
お前があんまり死にたがるから、“あの時俺が生きていられたら”ってな」
直人は涙を拭う事なく言った。
飛鳥は何も言えず、ただ直人の涙を見つめる。
:10/04/13 08:17
:N08A3
:Zq6n1SuI
#538 [我輩は匿名である]
「お前…大好きな要に、こんな事思わせて悲しくないか?
要がくれた命、今度こそ大事にしようって思わないか!?」
直人の言葉の1つ1つが、飛鳥の胸に突き刺さる。
飛鳥は下を向き、肩を震わせる。
「…自分には何もないんだろ?」
しばらくの沈黙の後、直人は涙を拭きつつ、飛鳥に言葉を掛ける。
:10/04/13 08:17
:N08A3
:Zq6n1SuI
#539 [我輩は匿名である]
「それって、“無くす物もない”って事だよな?
だったらダメ元でも、頑張って生きてみれば?
“人と接するの苦手”とか言う前に、出来る事全部やってみろよ」
さっきまでとは違う直人の口調に、飛鳥は少しずつ顔を上げる。
「で、どーしても無理だったら俺のとこに来い。
適当に友達になれそうな奴見つけて連れてきてやるから」
「……でも…」
飛鳥は自信がなさそうに、また下を向いてしまった。
:10/04/13 08:18
:N08A3
:Zq6n1SuI
#540 [我輩は匿名である]
「言っとくけど、俺は要みたいに甘くないからな」
直人は少し偉そうに、血が出ていない方の手を腰にあてる。
「あいつは“俺がいてやればいい”みたいな考え方だったっぽいけど、
俺は無理だぞ。女の友達はお前だけ、とか耐えらんねぇし」
「な…何様だよ、あんた」
つーんとそっぽを向く直人に、飛鳥はムッとして言い返す。
:10/04/13 08:18
:N08A3
:Zq6n1SuI
#541 [我輩は匿名である]
「“何様だ”?直人様だよ!!」
「は、はぁ!?何であんたなんかに“様”なんかつけなきゃなんないわけ!?」
「…それでいいんじゃん」
直人はニッと笑う。
何の事かわからず、飛鳥は「は?」と首をかしげる。
「…何が?」
「お前、他の奴とこうやってしょーもない話した事ないだろ。
友達ってのはなぁ、適当に面白い話して笑っときゃ、自然と出来るんだよ。
ま、とりあえずその頭どうにかした方がいいんじゃね?」
直人は呆れた表情で、飛鳥の金髪を見る。
:10/04/13 08:19
:N08A3
:Zq6n1SuI
#542 [我輩は匿名である]
飛鳥もちょっと気にしているのか、自分で髪を見つめる。
「せめて茶髪ぐらいにさぁ…」
「…お金ないし…」
「はぁ?」
直人は「じゃあどうやってその頭にしたんだ」とため息をつく。
「バイトしろ!バイト!」
「えぇ〜…」
「えぇー、じゃねぇよ!
バイトでもしてりゃ、輪が広がっていいぞ?
自分で金稼いで、親でも見返してやれ!」
:10/04/13 08:19
:N08A3
:Zq6n1SuI
#543 [我輩は匿名である]
直人はまるで、自分が見返してやるかのようにフン!と鼻から息を吐く。
それを見て、飛鳥は少し笑った。
「なんだよ」
「…変な奴だなぁと思って」
「お前に言われたくねぇよ!」
直人は本気で言い返す。
が、何だかおかしくなって、直人も同じように笑った。
「…はぁー、帰るか」
「…うん…」
頷きはするが、飛鳥は浮かない顔。
:10/04/13 08:20
:N08A3
:Zq6n1SuI
#544 [我輩は匿名である]
:10/04/13 10:50
:F03B
:8iwuXvoY
#545 [我輩は匿名である]
直人は「…あぁ」と、思い出したように声を出す。
「家に帰りたくないんだったな」
直人はそう言って考える。
「…いや、帰る」
飛鳥は首を振る。
「何、帰んの?」
「うん、…帰る。嫌だ嫌だって言ってても、仕方ないし…」
:10/04/13 12:55
:N08A3
:Zq6n1SuI
#546 [我輩は匿名である]
「そっか。…ま、嫌になったらうちでも来れば?」
「…は…?」
あっけらかんとして言う直人を、飛鳥が横目で睨む。
「何、襲われそうとか思ってんの?…誰もお前なんか襲わねーから!」
「違うから!」
飛鳥は顔を赤くして、声を大にして否定する。
それを見て、直人は声を上げて笑う。
2人はそうして、家の方向に歩きだした。
:10/04/13 12:56
:N08A3
:Zq6n1SuI
#547 [我輩は匿名である]
「…手、大丈夫?」
帰り道、飛鳥がおずおずと尋ねた。
「あ?あぁ、これ?まぁ大丈夫じゃねーの?わかんねぇけど」
「どっかで洗ったら?…ちょうどそこに公園あるし」
飛鳥が指差した先には、姫崎公園があった。
直人は「あっ」と、ある事を思い出す。
「何?」
「そう、お前に…つーか、本当は要が晶にいうつもりだったんだけど」
飛鳥は首をかしげる。
:10/04/13 17:28
:N08A3
:Zq6n1SuI
#548 [我輩は匿名である]
「あれ、本当に道案内だったんだからな。
美代が『来週行けないって言ってた』とかほざいてたけど、要は…」
「美代が?」
飛鳥はムッとして、眉間にしわを寄せる。
「…やっぱり嘘だったのか…」
直人は大きくため息をつく。
「あいつがそう言いに来たの?」
:10/04/13 17:28
:N08A3
:Zq6n1SuI
#549 [我輩は匿名である]
「そう。でも“もしかしたら晶は来るかもしれない”と思って、要も行ったんだ。
で、途中で道聞かれて、一旦待ち合わせ場所に晶がいないか、ちゃんと見に行ったんだよ。
でもやっぱりいなかったから、案内しようってなったわけ」
「…そうだったんだ…」
晶は後悔し、肩を落とす。
「ま、美代にまんまと騙されたってわけだ、俺たちは」
公園に着き、水道の前に直人が腰を下ろす。
:10/04/13 17:29
:N08A3
:Zq6n1SuI
#550 [我輩は匿名である]
「…ごめんね」
飛鳥も、直人の左後ろにしゃがみこむ。
「私が…私があの時、ちゃんと話を聞いてたら…
こんな事にならずに済んだのに…」
直人は黙って手を洗いながら、背後からのすすり泣きを聞く。
「…まぁ、この方が良かったのかもしれねぇけど」
直人はぼそっと、飛鳥に背を向けたまま言った。
:10/04/13 17:29
:N08A3
:Zq6n1SuI
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