記憶を売る本屋さん
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#525 [我輩は匿名である]
:10/04/12 08:38
:N08A3
:RASU4056
#526 [我輩は匿名である]
しかし、その通りには、誰もいなかった。
息を切らして、直人は茫然とする。
そして、再び歩きだした。
初めて会った日の事を思い出す。
リーゼント頭の男。オイルショックの話をしたおばさん。全てが懐かしくなった。
直人はあるところまで来て、ゆっくりと足を止める。
:10/04/12 15:10
:N08A3
:RASU4056
#527 [我輩は匿名である]
細い路地にうずくまる1人の女性。
白いワンピースではなく、オレンジのラインが入った紺色のジャージに金髪頭。
「…やっと見つけた…」
直人は小声で呟く。
女性が顔を上げる。思った通り、飛鳥だった。
「…お前…何やってんだよ…」
直人は膝に手をついて呼吸を整える。
飛鳥はあの日のように、座り込んだままうつむく。
:10/04/12 15:10
:N08A3
:RASU4056
#528 [我輩は匿名である]
「…もう疲れた…」
「それは俺のセリフだ!どんだけ捜し回ったと思ってんだよ!?」
直人は汗だくになりながら怒鳴りつける。
「お前…まさか、自殺でもするつもりじゃねぇだろうなぁ…?
そんなの…絶対許さないからな…!」
「……あんたに何がわかんの…」
飛鳥はまた顔を上げ、直人を睨み上げる。
:10/04/12 17:59
:N08A3
:RASU4056
#529 [我輩は匿名である]
「私には何にもない…。
…あんたは、私の欲しいものをみんな持ってる…。
そんな奴に、私の気持ちなんか…!」
「あぁわかんねぇなぁ、何回も自殺する奴の気持ちなんか!」
直人の「何回も」という言葉に、飛鳥はハッとする。
「…あんた…」
「わかるだろ?俺が誰か…。
…俺は、長月要の生まれ変わりだよ!石川晶!!」
直人は声を上げて、自分の正体を打ち明けた。
飛鳥は言葉を失い、茫然とする。
:10/04/12 20:03
:N08A3
:RASU4056
#530 [我輩は匿名である]
「…嘘だ…あんたが要なわけ…」
「俺が要じゃなかったら、何でここがわかるんだよ?
ここが、要と晶が最初に出会って、初めてデートの待ち合わせ場所にした所だから。
だからここで、あの日みたいに待ってたんだろ?」
飛鳥はそう言われて顔を背ける。
「…今さら来たって…」
「あ?」
飛鳥の声が聞き取りにくくて、直人は首をかしげる。
そして、飛鳥は素早くポケットからカッターナイフを取り出し、刃を出して首に向けた。
:10/04/12 20:03
:N08A3
:RASU4056
#531 [我輩は匿名である]
直人は目を丸くするが、飛鳥の目は本気だ。
「……何で…何でかばったのよ…」
飛鳥は静かに口を開く。
「何であの時死なせてくれなかったのよ!?
1人だけ勝手に死にやがって!
たった1人の友達亡くして、私が生きていけるわけないじゃん!!」
「勝手な事言ってんじゃねぇよ!!」
直人は我慢できず、飛鳥に言い返す。
:10/04/12 21:59
:N08A3
:RASU4056
#532 [我輩は匿名である]
「“何で死なせてくれなかったか”だ!?ざけんじゃねぇよ!!
要がどんな気持ちでお前を突き飛ばしたか知ってんのかよ!?」
「うるさい!!」
飛鳥は自暴自棄になり、めをつぶって、カッターを持つ手に力を入れる。
直人はとっさに手を伸ばす。
その直後、地面にポタポタと血がしたたり落ちた。
:10/04/12 21:59
:N08A3
:RASU4056
#533 [我輩は匿名である]
飛鳥は何が起きたのか理解できず、目を開く。
「…いい加減にしろよ…」
直人は、自分の血で出来た地面の染みを見つめながら飛鳥を見下ろす。
飛鳥はやっとわかった。
直人の手がカッターの刃を握り、飛鳥の首にあたる寸前で止めていたのだ。
飛鳥が動きを止めている隙をみて、直人は飛鳥の手からカッターナイフを奪い取る。
:10/04/13 08:15
:N08A3
:Zq6n1SuI
#534 [我輩は匿名である]
「あー、痛ぇ…」
カッターの刃を引っ込め、溝の中に投げ捨てる。
「…あんた、手…」
茫然としている飛鳥。
そんな彼女の胸ぐらを掴み、直人は壁に押さえ付けた。
「お前…いつまでも甘えた事ばっか言ってんじゃねぇぞ…」
直人の怒りは、頂点に達していた。
:10/04/13 08:15
:N08A3
:Zq6n1SuI
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