浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#192 []
 
心の準備が間に合わなくて
驚きにかっと開いた瞼を
ゆっくりと閉じてみて

うっすら隙間から見える
柔らかな睫や通った鼻筋
毛穴などないんじゃないか?
‥そんな馬鹿なことは有り得ない

「ん‥んん」

⏰:10/05/27 21:23 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#193 []
 
遂に息苦しさも限界に達し
眉間にしわが寄った
壱助さんの着物の襟あたりを
ぐいっと掴み合図をしても
一向に離れる気配なし


まさか‥これは‥
一種のお仕置き?拷問か?
接吻にて窒息死‥

うぅん悪くないかも‥

⏰:10/05/27 21:24 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#194 []
 
若干遠のく意識を横目に
やっと離れた唇

余裕たっぷりなその唇の隙間から
小さく息が漏れていた


壱助さんの吸う分の空気まで
吸ってしまう勢いで
肺の隅から隅までに
部屋中の酸素を取り込んだ

⏰:10/05/27 21:24 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#195 []
 
「すぅ‥はぁ‥。」

「ほぉう‥」

「あの‥えと‥」

近すぎてぼやけていた顔が
少し離れてみてはっきり見えた

さっきまでの甘い時間に
恥ずかしさわ覚えて
胸のあたりから
どくどくと熱を帯びてきた

⏰:10/05/27 21:25 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#196 []
 
「物足りない‥と」

先ほどまで触れあっていた
艶容な唇がつり上がる

「我慢ならない‥か」


自分の手が
壱助さんの首に回ってることに
はっと気づく

⏰:10/05/27 21:25 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#197 []
 
離そうとしたときには
‥もう手遅れで


「欲しがり‥です、ね」

「ちが‥」


違うこともない。図星です

⏰:10/05/27 21:26 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#198 []
 
壱助さんはいい香りがする
お花みたいな匂い
金木犀に近い甘い匂い

ふわり香って
再び視界がぼやける


「ああ‥あの!!」

「何、か」

⏰:10/05/27 21:27 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#199 []
 
そんな接吻に
脳内を洗脳されてる場合じゃない

はっきりさせなきゃいけない
今が‥そのとき


魚のように泳ぐ目を
ぴたりと彼に向けて


「あの‥
壱助さんは‥何なんですか?」

⏰:10/05/27 21:27 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#200 []
 
「何、と申しますと?」


のどが乾く
ぴりぴりとした感覚が
のどの奥を突き抜ける

その感覚が声を押し付けて
中身のない弱々しい音となって
口から漏れた

⏰:10/05/27 21:28 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#201 []
 
「あたしと壱助さんの‥
関係って‥何なんでしょう?」


どんな答えが返ってきても
怖じ気付いてはいけない

呼吸をやめた
取り込んだ空気を
体いっぱいに溜めたまま
その返事を待つ

⏰:10/05/27 21:28 📱:D905i 🆔:LasqqonI


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