浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#1 [笹]
:10/03/28 23:39 :D905i :YbCY9nv6
#2 [笹]
:
:
盆に滴り落ちた茶に
拭うように触れた
温いその液体は
じわり体に染み込んで
「幼、なじみ」
自らに言い聞かせるように
呟いた
:10/03/28 23:40 :D905i :YbCY9nv6
#3 [笹]
貴女を独占したい
結局は‥それが為
離したくはなかった
貴女が何処かへ
‥行ってしまいそうで、ね
倫次とやらに会った時の
あの嬉しそうな表情
めったに見れたもんじゃあない
:10/03/28 23:40 :D905i :YbCY9nv6
#4 [笹]
「‥やれ、やれ」
月を隠す歪な薄い雲
現れては流れて消えて
夜桜の白い花びらが
儚く散った
:10/03/28 23:41 :D905i :YbCY9nv6
#5 [笹]
放っておけない‥と言いますか
貴女が私を
捕らえて離さない、と
言うことですか‥ねぇ
:10/03/28 23:41 :D905i :YbCY9nv6
#6 [笹]
:
:
少し冷えた空気に
体が小さく震えた
うっすら息が白く染まる
「‥香夜」
羽織を着た倫次が
振り返り微笑した
あぁ‥羽織、忘れた
:10/03/28 23:42 :D905i :YbCY9nv6
#7 [笹]
「ごめん、遅れて」
「いや‥俺もさっき終わったから」
倫次に促され少し先を行く
砂利の上を歩けば
響く独特の音
なんだか懐かしくもあった
:10/03/28 23:42 :D905i :YbCY9nv6
#8 [笹]
「倫次‥ずっと働いてるの?」
「働いてる、って言うか
手伝ってるだけだけどね」
照れくさそうに笑った
目尻の皺が変わらない
たくさん笑ってる証拠かな
「‥香夜は?」
躊躇うように問ったその声が
あたしの奥をくすぐる
:10/03/28 23:43 :D905i :YbCY9nv6
#9 [笹]
あたしは‥いろいろあった
「あたし?あたしはー‥
うーん、元気だったよ?」
もどかしくてたまらないよ
いろんな事がありすぎて
どこから話たらいいか‥
必死の作り笑い
顔の筋肉がつりそうだ
:10/03/28 23:43 :D905i :YbCY9nv6
#10 [笹]
変わってしまっただろうか
倫次から見てあたしは
‥変わっちゃった?
「変わらないな」
「‥え?」
「相変わらず‥作り笑いが下手」
見破られた真実
倫次だけが気づいてしまうから
そのたび恥ずかしくなる
:10/03/28 23:43 :D905i :YbCY9nv6
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