浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#11 [笹]
この人には嘘がつけない
「元気だったなら、
まぁ‥いいんだけどね」
同い年なのに
どうしてそうも大人で
包み込むように優しいのか
あたしの頭を緩く撫でた手は
だいぶ大きくなっていた
:10/03/28 23:44
:D905i
:YbCY9nv6
#12 [笹]
どうしよもなく
‥懐かしくて懐かしくて
泣きたくなっちゃうね
何だか救われた
「あの人と一緒に旅してるの?」
「あぁ‥うん
壱助さんは、命の恩人なんだ」
だって壱助さんがあの日
拾ってくれなかったら
今頃‥どうなってたか
:10/03/28 23:44
:D905i
:YbCY9nv6
#13 [笹]
「そっかぁー‥
いい人そうだよね」
「うん‥見た目は、怖いけど」
「香夜、幸せだな」
「‥幸せ?」
ぽんと出てきた
その聞き慣れない言葉に
すごく違和感をかんじた
幸せ‥幸せかぁ
:10/03/28 23:45
:D905i
:YbCY9nv6
#14 [笹]
「ちょっと‥悔しいけどな」
「‥どうして?」
夜桜をぼうっと見つめたその目は
凛々しくて眩しくて
「ん?それは‥秘密」
そう言ってはにかんだ顔は
とても大人だった
少しばかり見とれた
ぐるぐる胃の辺りが気持ち悪い
:10/03/28 23:45
:D905i
:YbCY9nv6
#15 [笹]
気づけばあたしの右手は
躊躇いもなく吸い込まれるように
倫次の着物の裾を掴んで
「秘密とか‥無しだよ」
秘密なんてずるいじゃない
いつの間にそんなに
距離置くようになったのよ
「んー‥」
:10/03/28 23:45
:D905i
:YbCY9nv6
#16 [笹]
響いた低音
ふわり風が髪を揺らして
「香夜には
‥俺しかいないってさ
馬鹿みたいだけど
そう思ってたから、なんかね」
困ったように笑って
切なそうに抜けてく吐息
:10/03/28 23:46
:D905i
:YbCY9nv6
#17 [笹]
「あぁ、悔しい悔しい
大失恋‥だわ」
「失恋‥って
まだあたし何も言ってな‥」
「馬鹿」
ぴしゃりと叩かれた額
優しく叱るように
一気に事が進みすぎて
よくわかんない
:10/03/28 23:46
:D905i
:YbCY9nv6
#18 [笹]
だけど倫次はあたしのこと‥
「香夜は、自分に疎いなぁ」
藍色の羽織を空中に踊らせ
包み込むように
あたしの肩にかけて
「自分と向き合えよ、ちゃんと」
そう言って背を向けた
:10/03/28 23:46
:D905i
:YbCY9nv6
#19 [笹]
自分と向き合う
あたしが今向き合うべきなのは‥
もう、逃げるのはやめよう
:10/03/28 23:47
:D905i
:YbCY9nv6
#20 [笹]
:10/03/28 23:50
:D905i
:YbCY9nv6
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