浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#107 []
 
「いいなぁ‥旅かぁ」

完全に緩みきった顔
男に抱かれたって嬉しかない
そっちの気は
流石にありゃあしない


抱き寄せられた体を
投げるようにして任せれば
にこにこと笑い満足げ

⏰:10/05/02 20:52 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#108 []
 
「俺も旅したいさぁー。
できるなら、あんたみたいに
1人でいろーんなとこ‥」


馬鹿でかかった声は一転
萎んで終いにはかすれて消えた

もう片方の手で酒瓶を握り
何かから逃れるように
喉の奥に流し込んでいた

⏰:10/05/02 20:53 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#109 []
 
「何か、厄介なことでも
‥あるんで?」

横目で問えば
困ったように笑ってた

「んあぁ‥んん」

「まぁ、誰にでも‥
そんなものは有ります、よ」

「あぁそうだ!!
聞いてくれるか?あんちゃんよ」

⏰:10/05/02 20:53 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#110 []
 
肩に乗っていた手に
ぐいっと引き寄せられた

酒の甘ったるい臭いが
顔にかかる

自分もこんなに酒臭いのかと
少しばかり気落ちした


「娘がな、居るんだけどな」

⏰:10/05/02 20:54 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#111 []
 
溢れんばかりの笑み
この先の言葉に
だいたいの検討はつきますが‥


「それがさ、もう‥
可愛くて可愛くて仕方ないんだ!」

そんな事を言われて
抱き寄せられた私に
あんたは何を求めてるんだ‥

⏰:10/05/02 20:56 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#112 []
 
「ほぉう」

「もう今年で十になるんだが
最近じゃあお姉さんになって‥」

「へぇ、はぁ」

「ほんとに何というか‥
いい子でなぁ、」

その瞬間
父親の目つきになった
力強く、その上暖かい

⏰:10/05/02 20:57 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#113 []
 
「危なっかしい所もあるが、
責任感と正義感が強くて‥
唯一の‥励みなんだ」

少しばかり低くなった声
読みとれるのは
暗闇に埋もれた絶望


娘を語る口調は
暖かくも悲しみに濡れていた

⏰:10/05/02 20:57 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#114 []
 
「そりゃあ‥いい娘さん、ですね」

「‥」

その男は突っ伏したまま
ぴくりともしなかった

人々の騒がしさに埋もれた姿は
たった独りだけ
取り残されたような
別の空気をまとって見えた

⏰:10/05/02 20:58 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#115 []
 

酔いつぶれた‥か


ため息ひとつ
猪口を持ち上げ飲み干す液体

普段よりも苦味を感じた

⏰:10/05/02 20:58 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#116 []



「なぁ‥あんちゃん。」

‥起きてたんですか

「あんた、名前は?」

「壱助‥と申します」


突っ伏したままの頭に答えれば
"ふぅん"と弱々しく唸った

⏰:10/05/02 20:58 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


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