浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#136 []
 
茶を啜り一息つく姿を見ると
ひとりで騒いでる自分が
惨めに思えてくる


無くしたあたしが悪いんです
自分の物は自分で管理しろ
そういうことですよね


雨音がさらった
少しばかりの心意気

⏰:10/05/03 22:24 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#137 []
 
湿気に犯された畳を拭うように
着物が擦れる音がした


「ちょいと、野暮用に‥」

「え‥
あたしの簪は??」

「今、自分で捜すと
仰ったじゃあ‥ないですか」

⏰:10/05/03 22:24 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#138 []
 
「うぅん‥
でも外雨降ってるし‥ねぇ?」


ちらり外に向いた壱助さんの視線
右手に握られた真っ赤な番傘

ガサッと紙が擦れるような音
こんなもので
何故雨を防げるのかと
不思議に思う

⏰:10/05/03 22:25 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#139 []
 
そして此方に向けられた視線は
相変わらず鋭いもので

「ちょいと‥野暮用に」

「‥い、いってらっしゃい」


雨の中に埋もれた真っ赤な色は
遠く遠くに姿を消した

⏰:10/05/03 22:26 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#140 []
 
「んうぅ‥簪‥」

雑に髪をたくし上げ
そのまま手を離せば

切りっぱなしの
伸びかかった黒髪が
だらしなく揺れていた

⏰:10/05/03 22:26 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#141 []



「はぁ‥やっぱりない」

部屋中いたるとこを捜した
なのにない

なんで?なんで?

「まぁ‥あれも
だいぶ使い込んで‥
飾りの部分が欠けてたんだけど」

⏰:10/05/03 22:27 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#142 []
 
新しいの買い直そうかなぁ‥


ふと後ろに気配を感じ
振り返れば

「うわっ!!
お‥お帰りなさいっ」

髪が濡れていた
ぽたり落ちた雫が頬を伝った

⏰:10/05/03 22:27 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#143 []
 
「壱助さん?
傘‥さしてたんじゃ?」

水も滴るいい男。
うん‥悪くないかも

真っ白な首筋から一滴
胸元をすり抜けて
着物の奥に消えた

それを目で負えば
雫の行方が気になって
胸が高鳴る

⏰:10/05/03 22:28 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#144 []
 
「ちょいと‥
破れちまいやして、ね」

やはり紙は脆いのか‥
にしても
どれだけ大きな穴が‥

「ふぅん‥ほんとに?」

「まぁ、いいじゃあないですか」

⏰:10/05/03 22:29 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#145 []
 
壱助さんの声が
上から降り注いで

後ろから
ぎゅうっと抱きしめられた

湿った着物が首筋に貼り付く


「んえ‥あの‥」

⏰:10/05/03 22:29 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


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