浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#141 []



「はぁ‥やっぱりない」

部屋中いたるとこを捜した
なのにない

なんで?なんで?

「まぁ‥あれも
だいぶ使い込んで‥
飾りの部分が欠けてたんだけど」

⏰:10/05/03 22:27 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#142 []
 
新しいの買い直そうかなぁ‥


ふと後ろに気配を感じ
振り返れば

「うわっ!!
お‥お帰りなさいっ」

髪が濡れていた
ぽたり落ちた雫が頬を伝った

⏰:10/05/03 22:27 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#143 []
 
「壱助さん?
傘‥さしてたんじゃ?」

水も滴るいい男。
うん‥悪くないかも

真っ白な首筋から一滴
胸元をすり抜けて
着物の奥に消えた

それを目で負えば
雫の行方が気になって
胸が高鳴る

⏰:10/05/03 22:28 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#144 []
 
「ちょいと‥
破れちまいやして、ね」

やはり紙は脆いのか‥
にしても
どれだけ大きな穴が‥

「ふぅん‥ほんとに?」

「まぁ、いいじゃあないですか」

⏰:10/05/03 22:29 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#145 []
 
壱助さんの声が
上から降り注いで

後ろから
ぎゅうっと抱きしめられた

湿った着物が首筋に貼り付く


「んえ‥あの‥」

⏰:10/05/03 22:29 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#146 []
 
「まるっきり同じとは
‥なかなか言えませんが、」

少し冷えた手がうなじに触れた


綺麗な指に絡まる髪
高く持ち上げられれば
首筋にすうっと空気が抜けた

⏰:10/05/03 22:30 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#147 []
 
「飴色‥ですぜ」

華奢に鳴いた硝子玉
鏡を覗けばきらきら光った

「壱助さん‥これ‥」

「さすがにもう‥これじゃあ」

「あ‥それ」

⏰:10/05/03 22:30 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#148 []
 
今にも硝子玉が落ちそうに
ぷらぷらとだらしない簪

鏡越しに見つめれば
すっと壱助さんの懐の中へ

「もしかして‥わざわざ」

「香夜さん‥」

「‥はい?」

⏰:10/05/03 22:31 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#149 []
 
「ちょいと体が‥冷えます故‥」

優しく首元を抱いた腕は
雨に濡れて冷たくて


「今暫く‥このままで」



たった一時の、幸せを‥

⏰:10/05/03 22:31 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#150 []
【おまけ】
「本当に穴開いたんですか?」

「‥人助け、ですよ」

「はぁ?何ですかそれ」

「あの番傘も‥
綺麗な娘さんの手に渡り
さぞかし‥幸せでしょう、ね」

「‥色男め」

⏰:10/05/03 22:36 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


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