浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#282 []
 
羞恥に目を潤ませてみても
柔らかい唇を何度も重ねられ
少し斜めに傾いた
壱助さんの首筋が艶容で‥


やっと唇が離れた頃には
あたしはすでに彼の下
見下げる視線が柔らかい

つり上がった口元が
意地悪そうな笑みを作る
まるであたしをからかうように

⏰:11/01/26 13:31 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#283 []
 
「壱助さんって‥
甘いもの‥苦手なんじゃ?」


あっという間に
黄金に濡らされたはずの唇は
彼に染まって

もどかしい余韻を残したまま

「其れと、此とでは‥訳が違う」

「はちみつ、
‥わざわざ買ってくれたの?」

⏰:11/01/26 13:32 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#284 []
 
まだ整わない呼吸をよそに
目を細めて含み笑い

「食後の甘味として‥
今後、如何なものかなと‥ね」

「毎回、こうするんですか?」


優しく髪を撫でられる
これも神様が決めたこと?

⏰:11/01/26 13:32 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#285 []
 
「気に食わない、と」

「いいえ、
‥保湿は大事でしょう?
大人の女性にとっては」


時折あたしは素直じゃない
それは壱助さんも同じよね?

「まぁ、ね
今宵、十九になったのですから‥
後は老いて行く一方、ですよ」

「まだまだ若いですぅ!」

⏰:11/01/26 13:33 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#286 []
 
毒を吐く前にさらりと言ったけど


「壱助さん‥もしかして
今日があたしの‥」

「なぁに‥
それくらいの日付くらい
誰でも覚えられるもんです、ぜ」

本当は泣きたいくらい嬉しいよ
誰かに誕生日を
祝ってもらうのは約10年ぶりだ

⏰:11/01/26 13:34 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#287 []
 
これを祝ってもらったと
言うかどうかは別として


「‥ありがと、壱助さん」

大人ぶってみても
やっぱり頬が緩んでしまうの

「では、記念に"これ"‥
全身に塗りたくりましょう、か」

今度は手を丸々突っ込んだ
透き通った黄金が輝く
その奥で、いつもの怪しい笑み

⏰:11/01/26 13:34 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#288 []
 
「記念って‥何記念?!
ちょ‥壱助さんっ‥本気?!」


「大人記念、ですよ」


_

⏰:11/01/26 13:35 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#289 []
 
ねぇ、神様

何でも全部が既に決まってて
時々あたしは悲しくなります。
悔しくもなります。


だけど
この世に生を受けたことを
悲しいことだとは思いません


愛する喜びも、愛される喜びも
あたしは教えられたからです

⏰:11/01/26 13:35 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#290 []
 
「壱助さん‥?」

「何、か」


あたしの呼びかけに
答えてくれる人がいるからです

⏰:11/01/26 13:36 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#291 []
 



「‥大好き」


運命があってもなくても
ずっと一緒にいたいと思える人

_

⏰:11/01/26 13:36 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


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