記憶を売る本屋 2
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#105 [我輩は匿名である]
次の日。

飛鳥はじっと、4組の教室を覗く。

幸い、響子と奏子が別々の子と話している。

飛鳥は気付かれないようにササーッと、早足で響子に近づく。

「響子…」

背後から声がして、響子は振り返る。

「うわっ!びっくりした…」

響子は、いつの間にか背後にいた飛鳥に驚いて声を上げる。

「どうしたの?昨日のバイトで、また何かやらかした?」

⏰:10/04/30 20:34 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#106 [我輩は匿名である]
「違う……事もないけど」

飛鳥はやつれたような表情で答える。

確かに、昨日奏子の突然の告白に動揺していた飛鳥は、

皿は割るわ、カップから紅茶を溢れさせて床をボトボトにするわ、

レジ操作を誤って1000円以上の現金差異を出すわで、

店長にかなりこっぴどく怒られたのだが、響子に相談に来たのはその事ではない。

「…今度、2人っきりで相談があるんだけど」

「2人っきりで?……ははーん、なるほどね」

勘の良い響子は、ニヤリと笑う。

⏰:10/04/30 20:34 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#107 [我輩は匿名である]
「恋の話ね」

「えっ…!?わかんない。でも、多分そーゆーの」

「じゃあ僕も一緒に♪」

2人の隣に、急に良介が割り込んできた。

「あんたはどうでもいいから、消え失せてくれる?」

「残念ながら、君みたいに背の高いバカそうな女には興味ないよ」

良介は飛鳥に目もくれず、響子と向き合う。

「ねぇ響子ちゃん、僕は絶対、1位を守りぬくからね!」

⏰:10/04/30 20:34 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#108 [我輩は匿名である]
「…え?薫が断りに来たでしょ?」

響子は眉をひそめて確かめる。

「来たけど、女々しい事言うから、追い返したよ」

良介は笑顔で言い張る。

「女々しい?薫が何言ったのよ」

響子もさすがにムッとして言い返す。

「“勝負降りる”って。自信無くしたんじゃない?

あんなに張り切ってのってきたのに、あっさり僕に負けちゃったんだもんね」

良介は呆れたように、「やれやれ」と首を振る。

⏰:10/04/30 20:35 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#109 [我輩は匿名である]
「お前なぁ」

響子の代わりに、飛鳥が良介を睨む。

「調子に乗るのもいい加減にしろよ。お前みたいな新入りに、こいつらの何がわかるんだよ?」

「じゃあ聞くけどさ、君たちに僕の何がわかるわけ?」

良介も負けじと言い返してくる。

「僕は元々勉強なんか好きじゃない。

でも、響子ちゃんが“格好よくて、頭が良い、優しい人”が好きだって言ったから、

僕はそれを目指して今まで頑張ってきたんだ。

邪魔をしてる新入りは、あいつの方だろ?」

響子はそれを聞いて、昔そんな事を言ったのを思い出した。

⏰:10/04/30 20:35 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#110 [我輩は匿名である]
「だから、僕は絶対、あいつから君を取り戻すよ。

あんなクールぶってる奴、君には似合わないからね」

そう吐き捨てて、良介は背中を向けた。

「…マジでムカつく」

飛鳥は苛立ったように、彼の背中をにらみつける。

響子は暗い顔でため息を吐く。

「(……私が…あの時ちゃんと断ってたら…)」

「…響子?」

⏰:10/04/30 20:36 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#111 [我輩は匿名である]
飛鳥に声をかけられ、響子はハッと顔を上げる。

「…ごめん、ボーッとしてた」

「…まぁ気持ちはわかるけどさ」

飛鳥も呆れて息をつく。

「…あ、そうだ。どうせなら、どっかでご飯かお茶かしながら話さない?

ちょうど明日土曜だし。…バイト入ってる?」

「ううん。大丈夫」

⏰:10/04/30 20:36 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#112 [我輩は匿名である]
「じゃあ明日、飛鳥ちゃんがバイトしてるカフェ行こ♪」

「何でそうなるの!?」

「だって、1回行ってみたかったんだもん。じゃあ決まりね」

響子はにっこり笑う。

「(…まぁ、社割あるから、いっか)」

飛鳥は特に深く考えないまま、「しょうがないなぁ」と頷いた。

⏰:10/04/30 20:38 📱:N08A3 🆔:ue2rV2uc


#113 [我輩は匿名である]
次の日。

飛鳥は響子と共に、バイト先のカフェにやってきた。

「おう神崎」

入るなり、店長が飛鳥に話しかけてきた。

「売り上げのために、全ケーキ食って帰れよ!」

「無理ですよ。そんな金あったらケータイ契約しに行きます」

飛鳥は顔を引きつらせて言い返しながら、適当な席に座る。

「そっか、飛鳥ちゃん、ケータイ持ってないんだっけ」

「うん、仲悪い親に出してもらうの、嫌だしね。自分で稼いでから買おうかなぁと思って」

飛鳥は苦笑して言った。

⏰:10/05/01 20:21 📱:N08A3 🆔:/1yPoZ8g


#114 [我輩は匿名である]
そういうところは頑固な飛鳥に、響子も笑い返す。

「とりあえず、何か頼もっか」

「うん」

飛鳥は響子にメニューを開いて渡す。

「飛鳥ちゃん、見なくていいの?」

「いいよ、大体覚えてるから」

「『大体』じゃなくて、『完璧に』覚えてほしいわね」

飛鳥の先輩の女性が、そう言いながらお冷やを持ってきた。

「すいません…」

飛鳥は口を尖らせる。

⏰:10/05/01 20:21 📱:N08A3 🆔:/1yPoZ8g


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