記憶を売る本屋 2
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#115 [我輩は匿名である]
「メニューはお決まりですか?」
先輩は響子に愛想良く尋ねる。
「えっ、えーっと…」
響子は少し慌ててメニューを見る。
「あっ、私はとりあえずカプチーノで」
「自分で注いで来な」
「えぇっ!?」
嫌味ったらしく笑う先輩に、飛鳥は変な声を上げる。
「あの…私はアイスミルクティー下さい」
:10/05/01 20:21
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:/1yPoZ8g
#116 [我輩は匿名である]
「はいかしこまりましたー
先輩はにっこり笑って、キッチンの方へと下がっていった。
「意外と、いじられキャラなんだね」
響子は楽しそうに笑って、向かい合っている飛鳥に言う。
「…何かわかんないけど、そうなのかな」
「ははっ、いいじゃない。いじられキャラは、愛されキャラみたいな物よ」
響子はテーブルに両肘をつく。
飛鳥は「そうかなぁ」と首をひねる。
「ところで、私に相談って、何?」
:10/05/01 20:22
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#117 [我輩は匿名である]
響子は話を変え、本題に入る。
すると、急に飛鳥の顔が暗くなった。
「………何から話せばいいんだろ…?」
飛鳥は腕を組んで考える。
『奏子が直人を好きだ』なんて勝手に話すと、余計にこじれるかもしれない。
「…飛鳥ちゃんは、水無月君が好き?」
響子は先に、そう飛鳥に尋ねた。
飛鳥は「えっ!?」と、勝手に下向いていた頭を上げる。
:10/05/01 20:22
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:/1yPoZ8g
#118 [我輩は匿名である]
「やっぱりそういう事か」
響子はにっこり笑う。
「……んー、…わかんない」
飛鳥ははっきりしない顔で答える。
「でも、…他の子が『水無月が好きかも』とか言ってるの聞いたら…何かモヤモヤしてきて…」
「……じゃあ飛鳥ちゃんは、水無月くんの事どう思う?」
響子は優しい表情で、質問を変える。
:10/05/01 20:23
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:/1yPoZ8g
#119 [我輩は匿名である]
飛鳥は少し顔を上げる。
「……いい奴だと、思ってる」
何て言えばいいのかわからなくて、飛鳥はとりあえずそこから始めた。
「…私、高校入ってから、誰とも喋った事なくて……高校入る前からだけど。
でもなんか、あいつとは何も考えずに喋れて、なんか楽しくて…。
本を読み終わって、私がまた自殺しそうになったの、怪我してでも止めてくれた」
ちょっとずつ気持ちが整理できてきたのか、飛鳥の口調がスムーズになってきた。
響子も何も言わずに、その話に耳を傾けている。
:10/05/01 20:23
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:/1yPoZ8g
#120 [我輩は匿名である]
「それから…私が『親を見返してやるんだ』って思えるようになったら、
笑って『頑張れ』って言ってくれるし、
この間も、奏子のおばあちゃんが道で困ってたら、すぐ『手伝ってやるよ』って言って…。
あいつバカで能天気だけど、私は…そういう優しい所が、す…」
飛鳥はそこまで言って、顔を赤くして黙り込んだ。
「…考えまとまったね」
「…なんか、楽しそうな話してるわね♪」
響子だけでなく、たまたま注文の物を持ってきた先輩まで笑っている。
:10/05/01 20:24
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:/1yPoZ8g
#121 [我輩は匿名である]
飛鳥は余計に恥ずかしくなって下を向く。
「いや、でも、そういう『好き』じゃないかも…」
「どっちにしろ同じよ」
響子と先輩が声をそろえて答える。
「あら、あんたなかなかわかってるじゃない♪」
「ありがとうございます♪」
「(何なんだこの2人…)」
気が合って笑い合う2人を、飛鳥は呆れ気味に見つめる。
「ちょっと神崎、今度私にもその話聞かせてよね」
:10/05/01 20:24
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:/1yPoZ8g
#122 [我輩は匿名である]
「さぁどうでしょうね」
擦り寄ってくる先輩を、飛鳥はめんどくさそうな顔で押し返す。
先輩はテーブルにカプチーノとミルクティーを置いて、「ごゆっくりどうぞ」と言って立ち去った。
「(…話できるわけないじゃん…。話が広がったら、奏子がどう言うか…)」
飛鳥はまた鬱陶しそうにため息をつく。
「…他には誰も、その話してないの?」
「うん、他にできる人いないし…」
飛鳥はまた、苦笑して答えた。
響子は鋭い目付きで考える。
:10/05/02 17:30
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:Xl0SkL1s
#123 [我輩は匿名である]
奏子に相談を乗ってもらう事も出来た。先輩にも出来たはずだ。
しかし、「他に出来る人がいない」と言う。
つまり。
「…水無月くんが好きだって言ったの、奏子ちゃんじゃない?」
響子は、他の席にも聞こえない程小さな声で言った。
思わず、飛鳥は目を丸くして響子を見る。
「……何で……」
:10/05/02 17:30
:N08A3
:Xl0SkL1s
#124 [我輩は匿名である]
「相談出来る人が私だけって、おかしいなぁと思って。
水無月くんに出来ないのは当たり前だし、薫はそんな相談を受ける柄じゃない。
…まぁあれでも、相談されれば乗るんだけど。
奏子ちゃんもいるのに、あの子には出来ないって事でしょ?
先輩に出来ないのは、誰かが口を滑らせて奏子ちゃんに知られると面倒だから。
……どう?合ってるでしょ?」
響子は自信満々に笑ってみせる。
「…探偵になればいいと思うよ」
全て図星をつかれ、飛鳥はただ茫然とする。
:10/05/02 17:31
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