記憶を売る本屋 2
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#185 [我輩は匿名である]
それに見向きもせず、薫は直人に向き合う。
「お前もこんな事に頭を働かすな」
「だってよー」
直人は小さい子どものように頬を膨らませる。
「いいじゃん別に、ねぇ?」
奏子も直人の肩を持つ。
「お前には関係ないだろ」
「そんな言い方しなくていいじゃん」
「ちょっと、やめなよ2人とも」
ピリピリした空気になり始めた2人を、響子が間に入って止める。
:10/05/14 12:41
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#186 [我輩は匿名である]
「だって…」
「奏子、確かに私達関係ないし…」
飛鳥も困ったように奏子に声をかける。
しかし、奏子はムッとしたように飛鳥をにらみ、走って帰ってしまった。
「(…なんか、睨まれた…?)」
飛鳥は少し不安になる。
「…そんなに気を遣わなくても、あいつの事は気にしてないから」
薫はだいぶイライラしているのか、少しきつく直人に言う。
:10/05/14 12:42
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#187 [我輩は匿名である]
「…悪かったよ」
直人はうつむいたまま謝る。
「…もういいよ」
薫はそれだけ言って、黙って家に向かって歩きだす。
「…ごめんね、2人とも」
代わりに響子が直人達に謝って、薫と帰っていった。
直人と一緒に残された飛鳥は、気まずくなって、黙って直人を見る。
「…俺、そんな変な事したのかな?」
いまいち納得できていないのか、直人は首を傾げる。
:10/05/14 22:09
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#188 [我輩は匿名である]
「…他の人に突っ込まれたくない事なんじゃない?月城にとっては」
飛鳥は静かに直人に言う。
「自分でどうにかしたいっていうか、しなきゃいけないっていうか…。
あいつ結構頑固なとこありそうだし、この間負けた悔しさもあるだろうし…。
アレも鬱陶しい性格してるから、余計イライラしてるんじゃない?」
まるで薫の気持ちを見透かしているかのような飛鳥を、直人はぽかんとして見つめる。
「…よくわかるな、そこまで」
「予想だけどね。でも…何となくわかる気がして」
飛鳥は少し苦笑する。
:10/05/14 22:10
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#189 [我輩は匿名である]
「私でも、親の事とかで首突っ込まれすぎたら腹立つだろうし…」
「えっ?じゃあ俺…」
「いや、あんたは元気付けたりしてくれるだけだから怒ったりしないよ。
相談乗ってくれたりするから、むしろ感謝してるっていうか」
飛鳥は素直に直人に言う。
直人は少し照れて、顔を背ける。
:10/05/14 22:10
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#190 [我輩は匿名である]
「……難しいね、友達って」
さっきの奏子の顔を思い出して、飛鳥はぼそっと呟く。
「…お前も何かあったのか?」
「ん?…いや…」
飛鳥は首を振って、「帰ろ」と言って歩きだす。
直人は飛鳥の様子を気にしながら、一緒に帰っていった。
:10/05/14 22:11
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#191 [我輩は匿名である]
「響子さぁ…」
何日か経った放課後、奏子は響子にこっそりと尋ねた。
「飛鳥と水無月って、どういう関係だったか知ってる?」
「…えっ?」
全く予想外の質問に、響子はドキッとして、鉛筆を回す手を止める。
「ど…どういう事?」
「飛鳥も本持ってる事、響子知ってたでしょ」
奏子は真剣な顔で問いただす。
響子は少しの間黙る。
:10/05/15 13:11
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#192 [我輩は匿名である]
「知ってる」と言っているようなものだが、どう言えば良いのかわからない。
奏子もまだ、響子の言葉を待っている。
「……えぇ知ってたわ」
響子は白状した。
「でも、内容までは知らない」
「…ホントに?」
「本当」
疑ってくる奏子に、響子は断言する。
:10/05/15 13:12
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#193 [我輩は匿名である]
「私たちは、自分の本の中の話しかわからない。
まぁ私は、正確には本をもらった者じゃないけどね。
……何でそんな事聞きたいの?」
響子は小さく含み笑いして聞き返す。
今度は奏子が、目を逸らして口を閉ざす。
「…水無月くんの事、気になってる?」
そう聞かれて、奏子はしぶしぶ頷く。
「…そっか」
響子はそれだけ答えた。
:10/05/15 13:12
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#194 [我輩は匿名である]
「…響子達見てたらさ、私、適わないのかなぁ…とか思っちゃうんだよね」
奏子は暗い顔で言う。
響子は黙って、彼女の話に耳を傾ける。
「本をもらった子は、みんな深いつながりがあるけど、…私には何もない。
多分、飛鳥も水無月の事好きだと思うんだ。
だから、水無月は飛鳥を選ぶんじゃないか…って思ってさ」
奏子の話に、響子は何も言えなかった。
「そんな事ないよ」と言えば、良介の背中を押す事にもなりうる。
今近くに良介はいないが、響子は机に肘をついて考える。
:10/05/15 13:12
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