記憶を売る本屋 2
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#195 [我輩は匿名である]
「…難しいわね、こういう事を考えだすと」
奏子よりも深刻そうな顔をして、響子はまた鉛筆を回す。
「なーにを考えているんだい?」
響子の背後で声がした。
「誰もあんたの話してないから。どっか行ってくれる?」
響子の後ろにいる良介に、奏子が眉間にしわを寄せて釘を刺す。
しかし、良介は奏子の相手をする気はない。
:10/05/15 18:54
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#196 [我輩は匿名である]
「あのCool Boyの相手をするのが難しいって?
いっその事、そろそろ僕に乗り換えたらどうだい?」
「遠慮しておくわ」
「どうやったらそんな風に聞こえるのか教えてくんない?このクレイジー野郎」
ノリノリな良介に、響子も奏子も冷めた目で言い返す。
「あんたは多分、あのクールボーイには勝てないと思うよ?」
「Why?つーか、君発音下手だね」
「ほっとけよ」
奏子は真顔で言い返す。
:10/05/15 18:54
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#197 [我輩は匿名である]
「あんた、本の都市伝説聞いたことある?」
「都市伝説?あの男、そんなFantasy信じてるのかい?
バカだなぁー。だから僕に勝てな…」
良介が相変わらず自意識過剰な発言を始めた時、
響子の手元から『バキッ』という変な音がした。
見ると、さっきまで彼女の手の中で回っていた鉛筆が、真っ二つに折れている。
「きょ…」
「響子ちゃん…?」
目を疑っている2人をよそに、響子は折れた鉛筆を見下ろす。
:10/05/15 18:55
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#198 [我輩は匿名である]
「……都市伝説、私も信じてるんだけど」
響子は満面の笑みで良介の方を向く。
「えっ?そうなのかい?どんな話?」
良介はコロッと態度を変える。
「(何で今の怖い笑顔を無視できるんだ…?)」
奏子は呆然と良介を見る。
「言わない。話すと長くなるから」
響子はフンと顔を背ける。
:10/05/15 18:55
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#199 [我輩は匿名である]
「えっ!?気になるじゃないか!教えてくれよ!」
良介は顔の前で手を合わせて響子に頼み込む。
「…薫へのライバル心を改めてくれるなら、教えてあげる」
響子は少し挑発するような笑みで答える。
「………じゃあいいや」
良介はあっさり諦めて、何故か早足で教室を出ていった。
「……何なの?あいつ」
奏子は鬱陶しそうにため息をつく。
しかし、響子は黙ったまま、ドアの方を見つめていた。
:10/05/15 18:55
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#200 [我輩は匿名である]
「おい、月城」
良介は薫の目の前で仁王立ちをする。
眼鏡を拭いていた薫は、早くも迷惑そうな顔でそれを見上げる。
「なんだ?お前、目悪いのか?僕は裸眼だぞ」
「だから何だ」
威張る良介に、薫は短く言い返す。
「…また来てるな、あいつ」
「懲りないね…」
直人と飛鳥は窓際で、2人の様子を見つめる。
:10/05/16 12:35
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#201 [我輩は匿名である]
「いや、目の事は今はどうでもいいんだ!」
「(俺はお前の存在がどうでもいい…)」
大きく首を振っている良介に、薫はため息を吐いて目を逸らす。
「今この辺で、どんな都市伝説がBoomなんだ!?」
「…は…?」
良介に迫られ、薫は首をひねる。
「お前と響子ちゃんがハマっているっていう都市伝説だよ!
響子ちゃんは全く教えてくれないんだ!」
良介はショックを受けた素振りを見せる。
目の前に居座られても目障りな為、薫は口を開いた。
:10/05/16 12:36
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#202 [我輩は匿名である]
「…大きなリュックサックを背負った男が、ある本を『読め』と押しつけてくる。
その本を読み終えると、ほとんどの奴は死んだり、行方不明になったりするって話だ」
薫は要点だけを拾って、簡単に説明した。
「…何で本を読んだだけで死ぬんだ?」
「内容に問題があるんだよ」
薫は眼鏡の汚れを見ながら答える。
「本の中身は、前世の自分の世界。
それも、自分の死ぬところまで見届けなければならない。
…過去の自分の記憶を取り戻せば、精神的に大きなショックを受ける。
そして、自分に対して絶望を感じる者は死を選び、恨む相手がいる者は殺しに行く」
:10/05/16 12:36
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:mFv/GhVU
#203 [我輩は匿名である]
「…何なんだ…それは…」
良介は珍しく、真剣に話を聞いている。
「…まぁ、たまに過去の自分の悲劇に打ち勝つ者もいるけどな」
薫は最後に、それだけ付け足した。
「…なかなか興味深いな」
良介は腕を組んで言う。
「要するに、前世の本、って事か。…本当なのか?それは」
「それが原因で人を殺した男が、何ヵ月か前に捕まった。まんざら嘘でもないだろ」
眼鏡をかけ、薫は座ったまま良介を見上げる。
「まぁ本をもらったおかげで、物事が良い方に傾く奴もいるけどな。
今まで見えなかった物が、見えてきたりする奴も」
:10/05/16 12:36
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#204 [我輩は匿名である]
「…そうなのか?」
「ほんの一部の話だ」
薫は小さく笑って、汚れのとれた眼鏡を外してケースに入れる。
「……そういえばさ」
薫達の様子を見ていた飛鳥が、ふと直人の方を向いた。
「ん?」
「あの自称・本屋の男、『代金は前世の奴からもらってる』って言ってたけど…
何の事だったんだろうね?」
飛鳥は首をかしげるが、直人はきょとんとしている。
「…そんな事言ってたっけ?」
:10/05/16 12:37
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