記憶を売る本屋 2
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#220 [我輩は匿名である]
「飛鳥、本の事に詳しいの?」

「え…」

ドキッとして、飛鳥は奏子を見る。

意外にも、奏子の表情は真剣そうで、飛鳥は再び目を逸らした。

「この間言っただろ、神崎も本もらったって…」

何も知らない直人は、ますます不思議そうに奏子に話す。

その直後、飛鳥は直人達には見えないように顔を背け、眉間にしわを寄せた。

「やっぱりそうだったんだぁ!」

そうとは知らず、奏子は驚いたように手をパチンとたたいた。

⏰:10/05/20 22:48 📱:N08A3 🆔:PIPg2LvY


#221 [我輩は匿名である]
響子は困ったように、薫と目を合わせる。

「何だぁ、何で言ってくれなかったの?

まぁ、何となくそうじゃないかなぁとは思ってたんだけどね」

奏子はポンと、飛鳥の肩に手を置く。

しかし、飛鳥は戸惑い、目を合わそうとしない。

「飛鳥の前世って、どんな感じだったの?すごい気になる!」

奏子は目を輝かせて食い付いてくる。

「どうかしたのか?」

直人は、急におとなしくなった飛鳥の様子が気になって、声をかける。

⏰:10/05/20 22:49 📱:N08A3 🆔:PIPg2LvY


#222 [我輩は匿名である]
「…ごめん、頭痛いから先に帰る」

飛鳥は苦笑しながら言って、そそくさと走って帰っていってしまった。

直人はわけがわからず、「何だ?」と首をかしげる。

「…大丈夫かな?」

響子が心配する振りをしながら、奏子に声をかける。

奏子は何か考えるような顔で、「うん…」とだけ返事をする。

すると、ポケットに入れていた直人の携帯電話が震えだした。

⏰:10/05/20 22:49 📱:N08A3 🆔:PIPg2LvY


#223 [我輩は匿名である]
『安斎の前で、神崎の本の事には触れるな』

それだけ書かれた、薫からのメールだった。

「…はぁ?」

直人は思わず、斜め後ろにいる薫に目を向ける。

奏子と響子も、どうしたのかと直人を見る。

薫はその状況を真顔で見回した後、「あ」と声を上げた。

「そういえば、ちょっと直人について来てほしい所があるんだった」

「え?何だよいきなり。お前さっきから…」

「じゃあ、私達先に帰るね」

薫が考えている事が何となくわかったのか、響子はにっこり笑う。

⏰:10/05/20 22:50 📱:N08A3 🆔:PIPg2LvY


#224 [我輩は匿名である]
直人は2人の意図が全くわからず、薫と響子の顔を交互に見る。

「あぁ、悪いな。また明日」

手を振る響子に、薫も手を振り返す。

そして、小声で「ちょっと来い」と言って直人の腕を掴む。

「えっ、ちょっ…」

薫に引っ張られ、足がもつれて転びそうになる。

曲がり角の影まで来て、薫はやっと手を離した。

「何だよ!?」

自分だけ何もわかっていない気がして、直人は苛立ったように薫に詰め寄る。

⏰:10/05/20 22:50 📱:N08A3 🆔:PIPg2LvY


#225 [我輩は匿名である]
薫は呆れたように、髪をかきあげながらため息を吐く。

「…神崎は、安斎に知られたくないんだよ。…自分の前世の事を」

「はぁ?」

直人は少し落ち着いて、薫の顔を見る。

「何でだよ?あいつら友達だろ?」

「友達でも、話したくない事ぐらいある」

「そうだけど…」

薫は困ったように、肩を落としてポケットに手を入れる。

「…お前、安斎と神崎見ていて、何も思わないのか?」

⏰:10/05/24 07:54 📱:N08A3 🆔:W2DVh2T6


#226 [我輩は匿名である]
「何もって…別に何も」

直人は検討もつかず、首をひねる。

鈍感すぎる直人の面倒に疲れて、薫は手を出し、その場にしゃがみこむ。

「もうお前見てると疲れて仕方ねぇよ…」

薫にここまで言われてしまい、直人は何だか恥ずかしくなってきた。

「だから、何だよ!?ハッキリ言えよ!!」

直人はしびれを切らして声を荒げる。

それを聞いて、薫は勢いよく立ち上がった。

「じゃあ言ってやるよ!この鈍感野郎!!」

⏰:10/05/24 07:56 📱:N08A3 🆔:W2DVh2T6


#227 [我輩は匿名である]
いきなり大声を出されて、直人はぎょっとする。

「な、何がだよ!?俺は別に…」

「お前が鈍感じゃないなら、どういう奴が鈍感なんだ!?

お前がちゃんと分かってたら、神崎もあんな変な帰り方せずに済んだのに!」

「あ、あいつが帰ったのは頭痛ぇからだろ!?」

「そこが鈍感だって言ってんだよ!

あんなあからさまに逃げるような帰り方で、頭痛なわけないだろ!!

わからないならもう喋るな!!」

「何だとこの野郎!!」

直人はカッとなって、薫に掴み掛かる。

⏰:10/05/24 07:56 📱:N08A3 🆔:W2DVh2T6


#228 [我輩は匿名である]
「本当の事だろう!?もうちょっと人の顔色とか気にしたらどうなんだ!」

同様に、薫も直人を睨み付けながら、彼の手を振り払う。

「してんだろうが!!」

「お前の『してる』は、やってるうちに入らねぇんだよ!」

「じゃあお前は出来てんのかよ!?

いつも何でも知ってるような、涼しい顔しやがって!!」

「お前よりは出来てるだろうなぁ!お前みたいなバカと一緒にするな!」

薫の一言に、直人はもう我慢できなくなった。

固く握り締めていた拳を、薫めがけて振り下ろした。

⏰:10/05/24 07:56 📱:N08A3 🆔:W2DVh2T6


#229 [ま]
>>150-250

⏰:10/05/27 07:51 📱:P04A 🆔:yEI3oh4M


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