記憶を売る本屋 2
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#15 [我輩は匿名である]
そう言った瞬間、奏子が階段を踏み外した。
「うわっ……」
「えっ、ちょ…」
奏子のすぐ下にいた直人は、左手でとっさに手摺りを掴み、右手でバランスを崩した奏子の体を受け止めた。
薫も響子も飛鳥も、息を呑んでその状況を見つめる。
「お前…喋るか歩くかどっちかにしろよ…」
直人は「世話が焼ける」と、ホッと息を吐く。
:10/04/19 10:12
:N08A3
:6hENWB/Y
#16 [我輩は匿名である]
「ごっ…ごめん…」
奏子は体勢を立て直して直人から離れる。
「ありがと…」
「ん。気を付けないと、誰かさんみたいに鎖骨折るぞ」
「あー誰の事だろうな」
直人に見られ、薫はさっさと階段を上る。
:10/04/19 10:12
:N08A3
:6hENWB/Y
#17 [我輩は匿名である]
安心して、みんなも足を動かし始める。
しかし、奏子はなかなか足が動かなかった。
少し頬が熱くなっている。
奏子は一歩引いて、直人の背中を見ながら階段を上がった。
:10/04/19 10:13
:N08A3
:6hENWB/Y
#18 [我輩は匿名である]
全校集会で校長の話を聞いて来て、生徒達はぞろぞろ帰ってきて自分の席に座る。
響子もおとなしく、自分の席でボーッとする。
「はーいおはようございまーす」
チャイムが鳴り終わると同時に、響子達の担任が入ってきた。
学級委員の掛け声で、クラスメイト立ちが立ち上がり、礼をして着席する。
:10/04/19 18:30
:N08A3
:6hENWB/Y
#19 [我輩は匿名である]
「そうそう、今日からねぇ、このクラスに転入生が来ます。男の子ですー」
まだ30歳くらいの担任は、いつもの可愛らしい笑顔で言った。
教室内が一斉にざわめく。
「…奏子ちゃんが言ってたの、本当だったんだ…」
机に肘をついて、響子は呟く。
信じていなかったわけではなかったのだが、改めて驚く。
「(女の子が良かったのになぁー…)」
響子が考えていると、担任の「入ってー」の合図で、前のドアが開いた。
:10/04/19 18:31
:N08A3
:6hENWB/Y
#20 [我輩は匿名である]
入ってきたのは、少しロン毛がかった茶髪に細身で長身の、優しそうな顔の男子。
女子が再度ザワザワと声を上げる。
「(…ん…?あの子どっかで…)」
彼を見て、響子は1人首を傾げる。
桐生 良介。
担任が黒板に名前を書いた。
「…キリュウ…リョウスケ…」
名前にも聞き覚えがあるが、響子はどうしても思い出せない。
「桐生良介くんです。じゃあ簡単に自己紹介を」
「はい」
:10/04/19 18:32
:N08A3
:6hENWB/Y
#21 [我輩は匿名である]
転入生は笑顔で返事をして、生徒の方を向く。
「桐生良介です。5歳まで隣町に住んでたんですけど、父の転勤でアメリカにいました」
要するに、帰国子女ってやつだ。
響子の前の女子達が、嬉しそうにはしゃぐ。
「この辺もだいぶ変わってて何にもわからないんですけど、
楽しくやっていきたいと思うので、仲良くして下さい。よろしくお願いします」
桐生良介はそう言って一礼する。
クラスメイトが歓迎の拍手を送る。
:10/04/19 18:32
:N08A3
:6hENWB/Y
#22 [我輩は匿名である]
「(……隣町……アメリカ……)」
響子は手を叩きながら考える。
そして、ふと思い出した。
「(……もしかして…隣の隣に住んでた、あの“良介くん”…?)」
響子が幼稚園の時に、近所の同い年の男の子が引っ越していった気がする。
幼なじみだったのだが、すっかり忘れていた。
:10/04/19 18:32
:N08A3
:6hENWB/Y
#23 [我輩は匿名である]
休み時間になり、良介の周りは女子でいっぱいだ。
響子は暇なので8組にでも行こうと、席を立つ。
それを良介がたまたま見ていた。
「ねぇ、あの子は?」
ちょうど出ていく所だった響子を指差す。
「あぁ、あの子は香月響子ちゃん」
「えっ!?香月響子!?」
良介が驚いて立ち上がる。
そして、響子を追い掛けるようにして教室を出た。
:10/04/20 10:09
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:DuuM/8z6
#24 [我輩は匿名である]
「あぁ、響子」
8組では、黒板の前であの4人が喋っていた。
薫に呼ばれて、響子も輪の中に入る。
「どうだった?転入生」
「それが…」
「響子ちゃぁぁぁん!」
廊下で誰かが叫ぶ声がした。
5人がぎょっとして見ていると、良介が走ってやって来た。
:10/04/20 10:10
:N08A3
:DuuM/8z6
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