記憶を売る本屋 2
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#55 [我輩は匿名である]
「月城、あいつ見返してやれよな!」

クラスの男子たちが、薫に声援を送る。

「あぁ」

「あいつ、入ってきてそうそう、女子にちやほやされやがってさぁ…」

「あぁ…」

「でも、月城くんこの間学年1位だったから、楽勝なんじゃない?」

「いや、どうかわかんないけど…まぁ頑張るよ」

薫は笑ってみせる。

「(学年1位…あぁ…そう言えばあいつ1位だったな…。

俺110位っていう超微妙な順位だったのに…)」

⏰:10/04/21 22:10 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#56 [我輩は匿名である]
この学年は生徒が320人いるため、直人の順位もそこまで悪くないのだが、

親友が1位という事を考えるだけで、何となく欝になってくる。

「やっぱ頭良いんだね、月城」

斜め後ろの席にいる飛鳥が、直人の傍にやって来た。

「よく1位とか取れるよな、脳みそどうなってんだか」

「ははっ、あんた何位だっけ?」

「110位」

「…警察呼べそうな順位だね」

⏰:10/04/21 22:10 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#57 [我輩は匿名である]
「何ちょっと上手いこと言ってんだよ。そういうお前は?」

「あたしは101位」

「俺が警察ならお前は犬じゃねぇかよ」

2人は何だか面白くなって笑いだす。

すると、学校中にチャイムが鳴り響いた。

「ま、お互い月城に近付けるように頑張ろ」

「おうよ」

飛鳥は笑って、自分の席に戻った。

⏰:10/04/21 22:11 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#58 [我輩は匿名である]
「え?あのアメリカンと月城くんが点数バトル?」

バイトに行く途中、飛鳥は今日の薫達の話を奏子に聞かせた。

「まぁ、月城くんなら1学期の期末1位だったから、楽勝だろうけどね」

「そうだよね」

奏子と飛鳥はそろって頷く。

「今回は順位2桁だったらいいなぁ…」

飛鳥は「はぁ…」とため息をつく。

「何で2桁取りたいの?」

「2桁っていうか、出来れば1桁取りたいんだけどね」

⏰:10/04/21 22:12 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#59 [我輩は匿名である]
「えっ!?何で!?」

奏子に聞かれ、飛鳥は少し躊躇いながら答える。

「…私、…親を見返してやりたいの」

「…親?」

「うん。私の親、弟しか見てないから…いい成績とって見せてやりたいんだ」

「へぇ…」

飛鳥の話に、奏子はきょとんとする。

「最初は親なんかどうでも良かったんだけどさ。

でも…水無月に元気付けられてから、自分にも何か出来そうな気がしてきて…」

⏰:10/04/21 22:13 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#60 [我輩は匿名である]
飛鳥は柔らかな笑顔を見せる。

奏子は黙って、その横顔を見つめる。

「…飛鳥はやっぱり、水無月の事好きなの?」

「へ?」

思いもしない質問をされて、飛鳥は素早く奏子を見る。

「ま、まさかー!」

飛鳥は手を振りながら否定する。

「そ…そうだよねー。ごめん、何か変な事聞いた!」

奏子は「へへへ」と笑う。

⏰:10/04/21 22:13 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#61 [我輩は匿名である]
「(…好き…じゃない、よな…」

飛鳥は答えてから、自分の心臓の鼓動が高鳴っているのに気付いた。

「(……そりゃ…晶と要はそうだったけど……、私は…)」

考えれば考えるほど、何だか胸が熱くなる。

「(……水無月は……私の事、どう思ってるんだろ…?)」

「飛鳥!」

⏰:10/04/21 22:14 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#62 [我輩は匿名である]
奏子が飛鳥の腕を掴む。

「へっ?」

振り向くと、アルバイト先のカフェを通りすぎかけていた。

「あれっ?ごめんごめん」

飛鳥は笑いながら店の中に入る。

奏子も何だか少しモヤモヤした気持ちで入っていった。

⏰:10/04/21 22:14 📱:N08A3 🆔:S8dNuXTM


#63 [我輩は匿名である]
4日後。

廊下に張り出された課題テストの順位を見て、一年生のほぼ全生徒が愕然とした。

直人は100位、飛鳥は98位、響子は121位、奏子は165位だった。

しかし、4人とも自分の順位など、もはやどうでも良かった。

「薫が…」

「2位…?」

「ええーっ!?」

直人、飛鳥、奏子が茫然とする横で、響子と薫が凍り付いている。

⏰:10/04/22 18:36 📱:N08A3 🆔:07aOrgP2


#64 [我輩は匿名である]
『2位:月城 薫(8組) 498点』

の上に1行、

『1位:桐生 良介(4組) 499点』

と書いてあった。

「月城ー!」

クラスの男子たちが薫に詰め寄る。

「何であと2点頑張れなかったんだぁー!?」

「…これでも自己ベストなのに…」

肩を持って揺さ振られながら、薫はブツブツ呟く。

⏰:10/04/22 18:36 📱:N08A3 🆔:07aOrgP2


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