記憶を売る本屋 2
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#676 [我輩は匿名である]
「…大丈夫?眠たいの治った?」

「ん?あぁ、だいぶな。まだちょっとだるいけど」

「そうだね。あの時より元気そうに見える」

飛鳥は安心したように笑う。

「家でずーっと寝てたからな」

鞄から机に教科書を放り込みながら、直人も笑って返事する。

「さて、あたしノート取ってくる」

「取って来なかったのか?」

「持てなかったんだよ。鞄も持ってたし」

⏰:11/01/22 12:55 📱:N08A3 🆔:ZOWzt0vc


#677 [我輩は匿名である]
「あぁなるほどな。暇だし、手伝いに行ってやるよ」

「ゆっくりしてればいいのに」

「いいよ別に。お前手痛めてただろ」

直人は飛鳥に笑いかけて、さっさと立ち上がって歩きだす。

飛鳥も直人について教室を出る。

「…なんか、いつも助けてもらってばっかりだね、あたし」

廊下を歩きながら、飛鳥は申し訳なさそうに言う。

「な、何だよ急に。気持ち悪い」

「だってそうじゃん。あたし全然お礼とか出来てないしさぁ…」

⏰:11/01/22 12:55 📱:N08A3 🆔:ZOWzt0vc


#678 [我輩は匿名である]
「お礼したいの?」

「そりゃしたいよ!」

「ふぅん。じゃあ楽しみにしてるわ」

直人はそれほど期待せずに返事をする。

「…何か、欲しいものとかある?」

階段を下りながら、飛鳥は直人に尋ねる。

今のところ特に何もない直人は、腕を組んで考える。

「今んとこ、無いかな」

「じゃあ、まぁ考えといてよ」

「あぁ」

⏰:11/01/22 12:56 📱:N08A3 🆔:ZOWzt0vc


#679 [我輩は匿名である]
話が終わるとほぼ同時に、職員室の前に到着した。

棚の中には、スキー実習前に提出したノートが約40人分と、プリントの束が入っている。

「な?俺が来てて良かっただろ?」

「うん」

ノート等の量を見て、飛鳥は大きく頷く。

飛鳥はプリント類を、直人はノートを抱えて、また教室に引き返す。

すると、誰かが後ろから2人の背中をポンと叩いた。

「おはよ♪」

後ろにいたのは、ちょうど登校してきた奏子だった。

⏰:11/01/22 12:56 📱:N08A3 🆔:ZOWzt0vc


#680 [我輩は匿名である]
「おはよう」

飛鳥は普通に挨拶するが、直人は奏子を見て思い出した。

「(…そうだ、こいつに返事しないと)」

しかし、今は飛鳥がいるし、自分も両手にノートを抱えている。

「(…後でちょっと話すか)」

直人はそう心の中で決めて、教室に戻った。

⏰:11/01/24 19:59 📱:N08A3 🆔:OV5OGioo


#681 [我輩は匿名である]
昼休み。直人は今までと同じように薫と昼食を摂っていた。

「そういえば、香月はまだ休んでんの?」

「あぁ。昨日はもう熱は下がってたらしいけど。

インフルエンザって熱下がってから何日かしないと学校に来れないからなぁ」

「お前毎年かかるもんな。さすが」

「うるさいな」

直人にバカにされ、薫はムッとして睨み付ける。

直人はからかうように笑い、弁当のおかずを口に運ぶ。

⏰:11/01/24 20:00 📱:N08A3 🆔:OV5OGioo


#682 [我輩は匿名である]
「(…今までと変わらないみたいだけど…本当に覚えてないのか…?

でも石川晶と長月要を『知らない』って言ったんなら、やっぱり覚えてないんだろうな…)」

飛行機内で飛鳥に全てを聞いた薫は、そう思いながら直人を見る。

「でももう1月だろ?今年はかからねぇんじゃねぇの?」

「さあな」

「これから体でも鍛えたら?いくら前世の事で不健康になったからって、

お前が頑張ればどうにでもなるだろ」

「(…俺の事は覚えてるんだな。他人事みたいに言いやがって…)」

直人から見れば完全に他人事なのだが、薫は納得できなさそうな顔で直人を見る。

⏰:11/01/24 20:00 📱:N08A3 🆔:OV5OGioo


#683 [我輩は匿名である]
「でも、改めて考えてみたらすげぇよなぁー。自分の前世がわかるなんてさ。

俺の前世ってどんな奴だったんだろうな?もしかして、超大物だったりして!」

直人は楽しそうに笑う。

それを見て、薫は呆れたようにも、淋しそうにも見える小さな笑顔を見せる。

「何だよ、大物って」

「んー…徳川家康とか!」

「はぁ?ははっ、無いね。絶対無い」

「何で言い切れるんだよ!?わかんねぇだろ!」

直人は、薫にわかりきった言い方をされて膨れる。

⏰:11/01/24 20:01 📱:N08A3 🆔:OV5OGioo


#684 [我輩は匿名である]
「水無月」

昼食を食べ終えた飛鳥が、傍に来て話し掛けてきた。

「んー?」

「今日、放課後時間ある?」

「あぁ…あるよ」

「ちょっと…ついて来てほしい所があって」

「ふうん。いいよ、別に」

「良かった。ありがと」

飛鳥は小さく笑って、自分の席に戻っていった。

⏰:11/01/26 21:46 📱:N08A3 🆔:cSvZSEnk


#685 [我輩は匿名である]
放課後、飛鳥が日直の仕事を終わらせている間、直人は奏子を呼んで話をした。

「ごめん、遅くなって」

「忘れられたと思ってた」

奏子はからかうように笑う。

「…その…付き合ってって話なんだけどさ…」

直人は少し恥ずかしそうに下を向きながら言う。

奏子の表情も自然と真顔になる。

⏰:11/01/26 21:57 📱:N08A3 🆔:cSvZSEnk


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