記憶を売る本屋 2
最新 最初 🆕
#251 [我輩は匿名である]
そして勢い良く薫がいる方を向いて、こう叫んだ。

「どーせ俺は鈍感だよ!もやし野郎!!」

「やっとわかったか!だったらいきなり殴った事さっさと俺に謝れ!!」

薫もこっちを向いて、大声で返事をする。

「悪かったな!」

「2度と人殴るんじゃねぇぞ!」

「おう!」

⏰:10/05/28 22:04 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#252 [我輩は匿名である]
「(何だこいつら…)」

これだけで仲直りになるのかと、飛鳥は呆れ気味に直人達を見る。

「良かったね、仲直り出来て」

響子はにっこり笑って薫に言う。

それを見て、薫も「あぁ」と、いつものように笑い返した。

⏰:10/05/28 22:04 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#253 [我輩は匿名である]
「…なんかわかんないけど、仲直り出来て良かったね」

「おう!俺達はいつもこんなもんだ」

直人はニッと元気に笑って答える。

飛鳥も笑い返すが、どこか元気がない。

「…あ、ごめん、何だっけ?」

「あぁ…」

飛鳥はどこから話せばいいかわからず、黙り込んでしまった。

どうすればいいか直人もわからず、頭を抱える。

「と、とりあえずさぁ、何で安斎に本の話したくないのか聞いていいか?」

沈黙が耐えきれないタイプの直人は、何とか話を続けようと尋ねてみる。

⏰:10/05/28 22:05 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#254 [我輩は匿名である]
「……わかんない」

「はぁ?」

飛鳥の答えに、直人は間の抜けた声を出す。

「わかんねぇのかよ…」

「えっ、いや、わかるよ?わかってるけど…」

直人の前で答えるような事ではない。飛鳥はそれを考えていた。

「なんか…前世の事を知られたくないっていうか…。自殺したからってのもあるけど…」

もちろん理由はこれよりも深いものがあるが、直人に言うには十分だと思った。

「まぁ、言っちまえばお前の黒歴史だもんな」

⏰:10/05/28 22:05 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#255 [我輩は匿名である]
「黒歴史っていうな!」

もっと良い言い方があるだろうと、飛鳥は思わず言い返す。

「…………昨日さ」

しばらくして、飛鳥はやっと話を始めた。

「弟に嫌味言われて、私…何も言い返せなかったんだ。

『出来損ない』とか、『いじめられて当然』とか言われたけど、

私には…あいつに勝てるものなんか何もないし…」

「はあぁぁ!!?」

飛鳥の話に、直人はキレて声を上げる。

明らかにキレた彼の声に、薫達も驚いて振り返る。

⏰:10/05/28 22:06 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#256 [我輩は匿名である]
「出来損ない!?いじめられて当然!?ふざけんじゃねーぞクソ餓鬼が!!

…でも、俺は何も言い返さなかったお前にも腹が立つ!!」

直人は怒鳴りながら飛鳥を指差す。

「出来損ないだから何だ!?そんな事こっちだってわかってんだよ!!」

「な…っ」

出来損ないだと認められてしまい、飛鳥もカチンときたらしい。

「あんたどっちの味方なんだよ!?」

「てめぇに決まってんだろ!」

直人はきっぱりと言い張った。

その答えに、飛鳥はハッとして口を閉じる。

⏰:10/05/28 22:06 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#257 [我輩は匿名である]
「友達いないわ、人の話は聞かないわ、道路に飛び出すわ、

たった1人の頼れる男が死んだら、後を追って自殺するわ、

ついでに妊婦も道連れにするわ…。

そんな奴が出来損ないじゃなかったら、誰が出来損ないだっつーんだよ!?

俺がいつもお前の世話焼いたりしてんのはなぁ!

お前にもうあんな事してほしくないからだよ!

晶みたいに誰も信じれないまま死んだりしないで、

いろんな奴といっぱい笑ったりして、楽しく生きていてほしいからだよ!!

つーか!こーゆー話、あの時もしただろ!!何回も言わすなアホ!!」

息もつかずに怒鳴り続けて、直人は息を切らす。

⏰:10/05/28 22:07 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#258 [我輩は匿名である]
意外と迫力があった直人の説教に、飛鳥はただただぽかんとする。

同じように、薫と響子もじっと直人の話を聞いていた。

「お…お前…」

直人は若干汗をかきながら話を続ける。

「餓鬼に嫌味言われたぐらいで…何しょげてんだよ…。

今までも散々無視されたり…嫌味言われたらしてたんだろ…。

お前だって、この間まで家族見返すって…張り切ってたじゃねぇか…」

直人の言葉に、飛鳥は少しうつむく。

確かに直人の言う通りだった。

⏰:10/05/28 22:07 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#259 [我輩は匿名である]
「…お前…他に何かあったんじゃねぇのか…?」

一息ついて、直人はまた弁当の中身を口に運びだした。

飛鳥は「うーん…」と、曖昧な返事をする。

奏子とちょっとややこしい事になっているが、直人に言えるはずがない。

「…ちょっとさ、いろいろあって」

「やっぱりまだあったのかよ」

直人は不満そうにため息をつく。

「何だよ?言ってみ」

「……やだ」

「何で」

「……あんたに言えるような話じゃないから」

⏰:10/05/28 22:07 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


#260 [我輩は匿名である]
飛鳥は戸惑い気味に答える。

しかし、そういう言い方をされると気になってしまう直人。

「何だよ!気になるじゃねぇか!」と問い詰めてきた。

「言えないっつったら言えないんだよ!」

「何なんだよもう!」

「まぁまぁ落ち着いて」

ポンと肩を叩かれ、直人は「はぁん?」と不機嫌そうに振り向く。

いつの間にか、響子と薫が真後ろにいた。

⏰:10/05/28 22:08 📱:N08A3 🆔:TdbZtgtI


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194