記憶を売る本屋 2
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#401 [我輩は匿名である]
が。
「あ!」
「ん?」
飛鳥は困ったような顔でうなだれる。
「あたし、いい服持ってない…」
「あらまー…。家にどんな服があるの?」
「ジャージ」
「だけ!?」
「うん」
暗い顔で答える飛鳥に、響子は目を丸くしている。
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#402 [我輩は匿名である]
しかし、すぐにキリッとした顔で言った。
「……今日、奏子ちゃんバイトよね?」
「うん」
「飛鳥ちゃん、お金ある?」
「…昨日給料日だったから、1万円ぐらいはある」
1万円か。響子は少し考え。
「まぁいいわ。飛鳥ちゃん、今日放課後、買い物行こ」
響子に言われて、飛鳥はきょとんとする。
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#403 [我輩は匿名である]
「…でも、あたし買い物とか行った事ないし…」
「わかってるわよ!私がちゃんとついて行くから!」
手に力を入れて、響子は飛鳥を説得する。
響子が来てくれれば安心だ。
ちょっと間黙った後、飛鳥は「うん!」と大きく頷いた。
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#404 [我輩は匿名である]
「ここさぁ、どうやって行くかわかんねぇんだよなぁ…」
その頃、直人は後ろの黒板を使って、薫とTVゲームの話をしていた。
直人が書いた簡単な地図を、薫はじーっと見つめる。
「お前、これ行けた?」
「このソフト、多分全クリした」
「マジかよ!どうやった!?」
直人に詰め寄られ、薫は腕を組んで考える。
「……忘れた」
「何だよそれー」
直人は悔しそうに壁にもたれる。
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#405 [我輩は匿名である]
「じゃあ今度家に来て、俺の代わりにクリアして」
「は?あぁ、いいよ」
「いつがいいかなぁー?」
「なぁ」
直人が嬉しそうに考えていると、飛鳥が4組から帰ってきた。
「おう、おかえり」
「…カラオケの話なんだけどさ」
飛鳥のその一言に、薫の眉がぴくっと動く。
「カラオケ…?」
:10/06/14 20:01
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#406 [我輩は匿名である]
「大丈夫、俺とこいつが行くだけだから」
「そうか、ならどうでもいい」
直人に言われて、薫は小さく笑う。
「………やっぱり、行きたい。
よく考えてたら昨日給料日だったから、お金もまだあるし…」
「おぉ!じゃあ行こうぜ!いつがいい?」
直人の表情が、パッと明るくなる。
その反応を見て、飛鳥もホッとして笑みをこぼす。
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#407 [我輩は匿名である]
「あたしは…明日はバイトだから、それ以外なら」
「でも、せっかく行くんだし、いっぱい歌える方が良くないか?」
「そうだね。だったら、土曜日とか?」
「それがいいな。日曜日はゆっくりしたいし。へへっ、楽しみだな!
…って、俺金あんのかな?」
直人はぶつぶつ言いながら、席に戻って財布をチェックする。
飛鳥はじーっと薫を見る。
:10/06/14 20:02
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#408 [我輩は匿名である]
「……なぁ、月城」
「ん?」
黒板に書いた地図を消していた薫は、手を止めて飛鳥を見る。
「……今の話さ…」
飛鳥は少しうつむき加減に、話しにくそうにしている。
何を言おうとしているのかわかったらしく、薫はフッと笑う。
「安斎か?」
言う前に聞き返されて、飛鳥は「え…」と顔を上げる。
:10/06/14 20:02
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#409 [我輩は匿名である]
「言わねぇよ。言ったらややこしくなるだろ。
喧嘩でもして、また飛び降りられても困るしな」
「い、いくら何でもそんな事で死なねぇよ!」
「どーかな」
薫はバカにしたように笑って、また手を動かす。
ちょっとイラッとしたが、薫なら黙っていてくれるだろう。
:10/06/14 20:03
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#410 [我輩は匿名である]
「なぁ、4千円で足りるかなぁ?」
直人が戻ってきた。
「足りるよ、充分」
「だよな!じゃあ土曜日、忘れんなよ」
「あんたもね」
直人と飛鳥は、お互いそう言って笑い合った。
:10/06/14 20:03
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