記憶を売る本屋 2
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#95 [我輩は匿名である]
「そりゃお前、あいつに気があるんだろ」
飛鳥と帰った時の事を話すと、薫はあっさり言い切った。
「えぇっ!?」
直人はぎょっとしすぎて、持っていた箸を落としそうになる。
「お、俺が!?あいつを!?」
落とさないように箸を握って、少し声を荒げる。
「まぁ、その逆もありえると思うけど」
薫は言いながらサンドイッチを口に入れる。
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#96 [我輩は匿名である]
そういう事に関して全く疎い直人は、話についていけず呆然とする。
「え…えぇ…?」
「本当鈍感だよな、お前。どうすればそこまで鈍感になれるか知りてぇよ」
薫は呆れ返ってため息をつく。
直人は「そんな事言われても…」と頬を膨らませる。
「まぁ、そういう所がいいんじゃないのか?」
「…なんか嬉しくない」
直人は不機嫌そうに言い返す。
「…全く自覚してないのか?」
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#97 [我輩は匿名である]
「…うーん…何か、よくわかんねぇんだよなぁ…」
直人は箸を咥えて腕を組む。
「好きとかじゃない気がして…。なんかこう…“見守っててやりたい”…っていうか…。
何か、本気で応援してやりたくなるっていうか…」
「(…似たような事だろ)」
直人の話を聞きながら、薫は思った。
「…いいな、お前は平和そうで」
不意に、薫はそう言ってため息を吐いた。
:10/04/29 13:14
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#98 [我輩は匿名である]
「何だいきなり」と、直人は首をひねる。
「…響子は…あいつの事、どう思ってるんだろ…」
薫は遠い目をして、机に肘をつく。
「あいつ?あのアメリカンの事か?てか、結局どうなったんだよ」
「“負け犬の遠吠え”、“君に勝ち目はない”、…そう言われた」
「はぁ!?何なんだあいつ!!」
短気な直人は、思わず声を荒げる。
:10/04/29 13:14
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:VvK4rUGI
#99 [我輩は匿名である]
「…でも、あいつは響子の事を何も知らない。
あんな押し付けがましいやり方で、響子が納得するはずがない」
「当たり前だろ!今までお前らがどんだけしんどい思いしてきたか、あいつ何も知らないんだぞ!?
あんな奴に香月取られてたまるかよ!」
まるで自分の事のように、直人は腹を立てて騒ぐ。
「…でも、あいつは俺の言う事には全く耳を貸さない。
何を言っても、きっとまた“負け犬の遠吠え”って嘲笑うだけだろ。
…だから多分、俺が成績1位を取り戻す以外、あいつは納得しないだろうな」
:10/04/29 13:15
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:VvK4rUGI
#100 [我輩は匿名である]
「あいつが納得するとかしないとか、どうでもいいだろ!」
「前みたいな目には遭いたくないんだよ」
薫は少しきつく言い返した。
そう言われて、直人はやっと、少し黙り込む。
確かに、怜奈のような行動に出られてはいろいろと面倒だ。
薫は1人で、そこまで考えていたのだろう。
そう思うと、直人はそれ以上何も言えなかった。
:10/04/29 13:15
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:VvK4rUGI
#101 [我輩は匿名である]
「ねぇ、飛鳥」
バイトに行く途中、奏子は飛鳥に尋ねる。
「水無月が、前に変なおっさんから、前世の本もらったって話、知ってる?」
「…知ってるよ」
飛鳥は少しきょとんとした顔で答える。
「…飛鳥って、その、水無月の前世の話に関係あったりする?」
奏子は続けて聞く。
「…なんで?」
今度は飛鳥が聞き返す。
:10/04/30 20:32
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:ue2rV2uc
#102 [我輩は匿名である]
「なんか、この間うちのおばあちゃんと会ったじゃない?
その時に、2人とも何か知ってそうだったからさ」
そう言われて、飛鳥は少しの間黙り込む。
「……私さぁ」
飛鳥がなかなか答えようとしないため、奏子が口を開く。
「最近、水無月の事、気になってるんだ」
その言葉に、飛鳥はハッと奏子を見る。
「……好き、って事?」
「……多分」
:10/04/30 20:32
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#103 [我輩は匿名である]
まだはっきりしないのか、奏子は曖昧な言い方をする。
「…それで…何であの本の話…?」
飛鳥は少し動揺しながら、奏子に尋ねる。
「なんか、気になったからさ。水無月の事、いろいろ知ってるのかなぁと思って。
元気づけてもらったとか、前言ってたじゃん?」
奏子は明るく笑ってみせる。
しかし、飛鳥は何故か、ショックを受けたような顔で黙っている。
:10/04/30 20:33
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:ue2rV2uc
#104 [我輩は匿名である]
直人の事で、知っている事はいろいろある。
でも、飛鳥は何も教えたくなかった。
直人の過去を知ってるのは、自分だけの特権。
何もない自分にある、たった1つの小さな自慢。
「まぁまた、いろいろ相談乗ってね♪」
奏子は笑って、飛鳥に頼む。
飛鳥はしぶしぶ、「うん…」と頷くしかできなかった。
:10/04/30 20:33
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