もぅえぇわ!
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#401 [だーいし]
『まぁ、たこ焼き食いながら練習出来るからええやろ?』

2人がたこ焼きを頬張りながら笑顔で頷く。


ガラララ…

入口が開く。

『ここが、新しい部室かぁ!』
『あっ今田先生!』

『らっしゃい!』

⏰:12/01/24 03:48 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#402 [だーいし]
今田は3人が座っているカウンターに座る。

『店長、漫才部の顧問の今田先生。元芸人さんなんや!』

『は、初めまして。』

店長は鉄板の手入れをしていたのをやめ、まじまじと今田を見つめる。

『な、なんでしょうか。顔になんか付いてます?』

『先生……、こいつらに漫才絶対やらしたってな。』

⏰:12/01/24 03:51 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#403 [だーいし]
店長の発言に全員きょとんとする。

『………、なぁ〜んてな!ハハハハ!さぁ、先生もたこ焼き食って!』

全員が愛想笑いする。

『でも、ホンマなんでバレたんやろな?』

ヒロシは言った。

今田はたこ焼きを手に取り言った。

『どうやら、教育委員会直々に申し入れがあったらしい…』


『えっ???』


キヨシは言葉を失った。

⏰:12/01/24 03:54 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#404 [だーいし]
『教育委員会?なんでそんなもんが?』

『いや〜、僕もさっぱり分からないんだ。』

キヨシは重い口を開いた。


『母さんだ……』


マヤは下を向く。


『か、母さん?どういう事や?』


『僕の母さんは東京都教育委員会委員長なんだ…。それでだよ。』

⏰:12/01/24 03:57 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#405 [だーいし]
『そ、そうやったんや。』

『次期総理候補に教育委員長……』

ヒロシと今田はショックを隠しきれなかった。

『なんや、身内が偉かったらお前らの夢は終わんのか?』

『えっ?』


店長は洗い物をしながら言った。

⏰:12/01/24 06:33 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#406 [だーいし]
『「お袋が委員長やから」とかを言い訳にするんかー言うてんねん!!!』

4人は黙り込む。

『漫才したいんやろ?文化祭で!んなもん、やったったらえぇねん!やりたい気持ちがあるんなら、みんな分かってくれるはずや、な!そんなんを言い訳にするな!「迷わず行けよ!行けば分かるさ!」てな。』


『そうだよね、そうだよ!やりたい気持ちがあればみんな分かってくれるよ!』

『ホンマやな!よし、頑張るで〜!』

『やりましょ!』

『みんな、頑張ろう!』

⏰:12/01/24 06:37 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#407 [だーいし]
4人は一致団結し、ハイタッチをした。店長はそれを見てまた洗い物を続けた。


『青春やな〜。』



見渡す限りの水平線。
太陽が熱く照りつけ、海は輝かしいほど眩しい。


『うわ〜!海や海!!見て、キヨシ海!!』

『電車だから静かにしようよ。みんな見てるよ。』

『そうよ、ヒロシ。遊びに来たんじゃないんだから。』


車窓から見える絶景にヒロシは人目を気にせず、はしゃいでいた。
そう、今日は合宿初日。

⏰:12/01/24 06:43 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#408 [だーいし]
『くわ〜!!キヨシ見てみ!!ビキニばっかや!ビキニ!』

3人がやってきたのは湘南のとある海岸。毎年この季節になると海水浴を楽しみたい人でいっぱいになる。

『キヨシ、あんなエロ関西人ほっといて行きましょう。』

マヤはヒロシをほっていく。
『あっ待ってーな!』

⏰:12/01/24 07:23 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#409 [だーいし]
『紹介するね、ヒロシにキヨシ。』

『小林ヒロシです!コバヒロ呼んで下さい!』
『鈴木キヨシです。よろしくお願いします。』


『で、この人が私の伯父さんでここの海の家のオーナーの徳井さん。』

『よろしく、みんな。』

⏰:12/01/24 07:26 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#410 [だーいし]
2人は徳井に挨拶をすませた。

『結構、落ち着いた雰囲気やなぁ…』


店内には客が2組ほど。
周りの海の家に比べると閑散としていた。


『あぁ、そうなんだよ。周りの海の家はどんどん新メニューとか出すんだ。うちはそういうの嫌いでね。ハハッハハハ。』


徳井は謎の笑みを浮かべる。

⏰:12/01/24 18:15 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#411 [だーいし]
『おじさん!何笑ってんのよ!このままでは赤字必至よ!』

徳井は口を尖らせ、下を向く。
『てなわけで、あんたたちに漫才で「客寄せ」をしてもらうの。昼と夜の2回公演ね!』


『おーけー!任しとき!』


キヨシも力強く頷く。


『でも、マヤちゃん。客が来んことにはな〜。』


『何言ってんの?あんたたちが集めてくんのよ。』


『へっ?』

2人の頭にはくっきりとクエスチョンマークが浮かんだ。

⏰:12/01/24 18:25 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#412 [だーいし]
『ぱーどぅんみー?マヤちゃん。』

『だから、チラシでも配って集めんのよ。』


ヒロシとキヨシは顔を見合わせる。


『マヤ、それはいくらなんでも…』

『キヨシ、あんた緊張癖直したいんでしょ!?』

⏰:12/01/24 18:50 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#413 [だーいし]
『ああ。』

『でもね〜マヤちゃん、いくらなんでも…』

『わかった!』

マヤはヒロシの言葉を遮った。
『おぉ!わかってくれたか?』
『チラシは私が作るわ!』

ヒロシはずっこける。

『そこ!?』

『とにかく、急は無理だから3日後の合宿までにネタよろしく!』

⏰:12/01/24 18:57 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#414 [だーいし]
ヒロシとキヨシは本当は『3日後?そんなの無理』と言いたかったが、自分達を追い詰めるためにあえて言わなかった。


『上手く行ったらバイト代も弾むからね〜ハハッハハハ。』


徳井は天を見上げて笑っている。徳井は客が集まるとすっかり思い込んでいる。

⏰:12/01/24 19:06 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#415 [だーいし]
漫才披露まであと2日。
夏期講習終わり、マヤはたこ焼き屋に向かった。


ガラララ…


『お疲れ!!……あれ?』


いつもならヒロシが明るく出迎えるはずがそうはいかなかった。
マヤが目撃したのは今まで見たことのない2人の真剣な姿だった。


『ねぇ!2人とも!』


すると、店長はカウンター越しにマヤに向かって縦に伸ばした人差し指を口元に当てる。

⏰:12/01/24 19:14 📱:S003 🆔:Wq8zui02


#416 [だーいし]
『やっぱり夏やからここは夏に関するボケに変えた方がええな。』

『なるほど。……、じゃあツッコミは…?』

『こうやな。』

『了解。』

しばらくマヤは2人のやりとりに見とれていた。

『よし!じゃあ一回やってみっか!』

『うん!あれ、マヤ。いたんだ。』

『おぉ!マヤちゃんなんやおったんやったら声かけてくれたらよかったのに!』

『へっ?いや、今来たばっかだったの。』

⏰:12/01/25 03:04 📱:S003 🆔:2SGpbcKQ


#417 [だーいし]
店長はマヤの方を見て笑った。マヤもそれに返すように笑った。

『今ネタ合わせしててん!』

『そう。あっこれ見て!チラシできたの!』

マヤはバッグからチラシを出し、2人に配る。


【夏だ!海だ!漫才だ!現役高校生による大爆笑必至の漫才ライブ!見なきゃ損♪損♪サマーラブよりサマースマイルをあなたに…絶対笑わす自信があります!───海の家 とっくん】

チラシにはこう書いてあり、下には時間と場所の地図そして2人が漫才をしているイラストが書いてあった。

⏰:12/01/25 03:12 📱:S003 🆔:2SGpbcKQ


#418 [だーいし]
2人は絶句した。

『これ……』

『ま、マヤちゃん??』

『何よ!文句ある!?』

『あまりにハードルあげすぎちゃう?サマースマイルて…』


バンっ!!!


マヤはテーブルを両手で叩く。

『これぐらいしないとダメよ!私、昨日徹夜で書いたんだから!コンビニでコピーもして!なんならコピー代欲しいぐらいよ!』


マヤの威圧感に圧倒される2人と店長。

⏰:12/01/25 03:15 📱:S003 🆔:2SGpbcKQ


#419 [だーいし]
ガラララ…


『やってるかい?みんな。』


『今田先生!今、ちょうどネタ合わせしてたんです!』

『ほう。これは?』

今田はチラシを手にとる。

『海の家でやる漫才のチラシです。いいでしょ?』

今田はまじまじとチラシを見ていた。

『結構いいできだね!すばらしい!』

⏰:12/01/26 04:41 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#420 [だーいし]
ヒロシとキヨシはぽかんとしていた。

『ねー!!いいでしょ!ほら、先生は分かってくれるのよ〜。』

『あああ…………。』


2人は唖然とする。


『これぐらいインパクトがあった方がいいよ!うん。』


『………、せやな!キヨシ頑張ろうや!!』

『う、うん!そだね!』

⏰:12/01/26 04:44 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#421 [だーいし]
『………、でもやっぱりハードル……』

『まだ文句あんの〜!!』

3人はまた言い争いだした。
その光景を眺めながら今田はこう切り出した。

『みんな、ちょっといいかな。』

3人は今田の方を見る。

『……漫才、頑張ってね。僕も合間見つけて海の家お邪魔するから。』

『今田先生!まかしとき!』

『うん!じゃあ戻るよ。』

⏰:12/01/26 04:48 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#422 [だーいし]
ガラララ…バン。

3人は今田が帰ると、これからの段取りについて話し出した。この時、今田の異変に気づいていたのは店長だけだった。


今田は学校に戻り、中庭の花に水をあげ始める。


『やっぱり、言えないよ。』



数時間前───


『漫才をやめさせてほしい!?ど、どういう意味ですか?』

⏰:12/01/26 04:52 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#423 [だーいし]
今田は校長室に呼ばれていた。そこには、井本校長・赤羽教頭がいた。

『教育委員会から直々に言われてね。部として成立させるのはいかがなものかと。』

赤羽教頭は言う。

『しかし、あの子達は真面目に取り組んでます!他の部活と変わりはないじゃないですか!』
『今田先生。我々は教育委員会に逆らう事は出来ないんです。伝統ある帝都西高校が「漫才」をやっているなんて世間にバレたら、大問題ですよ。』

『しかし、』

『とにかく!あなたの口からやめさせるように言って下さいね!』

⏰:12/01/26 04:57 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#424 [だーいし]
『こ、校長先生はどうお考えなんですか?』

今田は窓の外の景色を見ている井本校長に問う。

『何を言っているんだ!私も校長先生も同意見です!ねぇ、校長先生。』


井本校長は黙ったまま窓の外の景色を見続けている。


『とにかくお願いしますよ!あなたは優秀なんですから。分かりますよね?』

⏰:12/01/26 05:00 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#425 [だーいし]
今田は凄まじい葛藤と戦っていたのだ。


そんな事は知る由もなく、とうとう漫才披露当日を迎えた。



『あっつ〜。』


この日の気温は40℃近くあり、いつも以上に海岸は人で溢れていた。

⏰:12/01/26 05:04 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#426 [だーいし]
『こんにちは〜。徳井さん今日はよ…』

ヒロシとキヨシは目の前に広がる光景に目を疑った。


【大爆笑!漫才オンステージ!】


店内の奥に設置されていたのは3日前までなかった特製のステージと看板だった。
看板は色とりどりに装飾され、ステージの真ん中にはセンターマイクがある。

⏰:12/01/26 05:07 📱:S003 🆔:T7fX44n2


#427 [だーいし]
『どう?いい感じでしょ?』

店の奥からマヤと徳井が出てきた。

『これって…?』

『特設ステージよ!伯父さん前大工さんだったの。』

『2人の為に作ったよ。ハハッハハハ。』


2人は愛想笑いするしかなかった。

⏰:12/01/27 14:27 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#428 [だーいし]
こうして、文字通り舞台は整った。

ヒロシとキヨシは早速チラシを配りに行くことに。

『キヨシ、バラバラで配ろう!その方が早いやろ。』

『う、うん。』


キヨシは返事をしたものの少し不安だった。

⏰:12/01/27 14:31 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#429 [だーいし]
ヒロシは海岸の入口、キヨシは砂浜でチラシを配る事にした。

『海の家とっくんでーす!漫才やりまーす!』


しかし、立ち止まる所かチラシを受け取ってさえくれない。

『なんやねん。』


ヒロシは不安になった。キヨシも同じだった。

⏰:12/01/27 14:34 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#430 [だーいし]
『海の家とっくんです。漫才やります。』

『…………。』

キヨシは砂浜でパラソルを立ててる女性客に声をかけたが無視された。


『海に来てるのに、漫才なんて。』


そう言われて気がした。

⏰:12/01/27 14:37 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#431 [だーいし]
それでもめげずに2人はチラシを配ろうとする。


キヨシはまだ全然チラシを配れていなかった。
パラソルの下で一人、麦わら帽子を被った女性に声をかけた。

『海の家とっくんです。漫才やります。』


『ヨ…シキ?』


キヨシはハッとした。自分の事を『ヨシキ』と呼ぶのはあの人しかいなかった。


『アキちゃん…。』

⏰:12/01/27 14:41 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#432 [だーいし]
一瞬時間が止まった気がした。お互い何も言わず見合っていた。


『ヨシキ、久しぶり!で、何?漫才がどうかした?』

『ああぁ、いやっなんでもないんだ。それじゃ。』

キヨシはその場をあとにしようとするがアキに止められる。
そしてキヨシが持っていたチラシを半ば強引に取った。

⏰:12/01/27 17:29 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#433 [だーいし]
『これって……、ヨシキ、漫才やってんの?』

『………あぁ。』

アキの表情がどんどんと曇っていく。



『こんな事するために帝都西に行ったの?』



キヨシは何も言えなかった。

⏰:12/01/27 17:36 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#434 [だーいし]
『こんなとこおったんや!はよ、行くぞ!時間や時間!』

ヒロシは息を切らしながらキヨシとアキの所に。

『あら可愛い子〜♪言うてる場合か!お前もナンパしてる場合か!』


ヒロシはキヨシの腕を引っ張り、海の家とっくんに向かった。引っ張られている時も、キヨシはアキの方を見ていた。お互い寂しそうな顔で。

⏰:12/01/27 17:42 📱:S003 🆔:7M7SLvP.


#435 [だーいし]
第1回目公演まであと10分。ヒロシは店の奥から、テーブルの方を見た。


『2……4…5、5人?普段と変わらんや〜ん。』


チラシを配った効果は全く出ず肩を落とす。

『客少ないけど頑張ろ!キヨシ!』

『…………』

『キヨシー。キヨシ!!』

『……ああぁ、ゴメン。』

⏰:12/01/28 16:39 📱:S003 🆔:dHQcGotE


#436 [だーいし]
『何ボーとしてんねん。もう時間や。準備ええか?』

『う、うん。』

出囃子が流れ、2人は勢いよくステージに飛び出した。


『『はーい!どーもー!小林鈴木でーす!』』


まばらな拍手が起こる。
マヤと徳井も固唾を飲んで2人を見守る。

⏰:12/01/28 16:44 📱:S003 🆔:dHQcGotE


#437 [だーいし]
『いや〜夏やな!』

『夏ですね〜』

『やっぱ夏は暑いな〜!』

『まぁ、夏ですからね。』

『夏って……やぱ暑いな〜。』
『ままぁ、ねっ、夏ですから。』

『あつ〜〜、やぱ夏は』

『何回言うんだよ!僕たちまだ「夏」しか言ってないよ!』

⏰:12/02/03 19:12 📱:S003 🆔:sili3k36


#438 [だーいし]
始めこそシーンとしていた店内だったが漫才が進行するにつれ、わずかではあるが笑いが起き始めていた。


『せやな!スイカ割りは塩で割った方がかける手間省けるもんな!』

『言ってないよ!そんなこと!まるで…』



キヨシはツッコミに詰まった。ヒロシは目を見開き、キヨシの方を見る。


キヨシの目線の先には、アキがいた。

⏰:12/02/03 19:17 📱:S003 🆔:sili3k36


#439 [だーいし]
『おまっ、緊張でセリフ忘れてるやんけ!もぅえぇわ!』


ヒロシはなんとかその場を誤魔化し、舞台からはけた。
客もハプニングの一つと捉え、笑っていた。
舞台裏。


『練習では上手くいったけど、やっぱ客前にしたら緊張癖出たな、キヨシ。』

『…………』

『まぁ、オレのアドリブがバッシーン決まったからよかったけど。』

『ご、ごめん。』

⏰:12/02/03 19:21 📱:S003 🆔:sili3k36


#440 [だーいし]
『初舞台にしてはよかったんじゃない?』

マヤと徳井が拍手をしながら2人に近づいてきた。

『いや〜よかったよ!2人とも!これでうちも潤うよ。ハハッハハハ』


『あの〜……』


キヨシは絶句した。

⏰:12/02/03 19:24 📱:S003 🆔:sili3k36


#441 [だーいし]
『げっ!バカアキ!なんでアイツがいるのよ!』

マヤがボソッと呟く。
舞台裏に現れたのは紛れもなくアキだった。

『初めまして、窪地アキっていいます。さっきの漫才すっごくおもしろかったです!』

『あっ!さっきの可愛い子やん!』

『どうも♪』


アキはいわゆる「ギャル」に近い面持ちだった。

⏰:12/02/03 19:28 📱:S003 🆔:sili3k36


#442 [だーいし]
『あっ!!なんだマヤちんもいたんだ!』

『あはっはは、うんいるんだ〜』

マヤは無理矢理作った笑顔で応える。

『マヤちゃんなんや2人は知り合いなんや?』

『知り合いも何も、マヤちんとヨシキと私は中学一緒なのよ!』

『ヨシキ?あああ、キヨシの事か。へぇ〜そうなんや!』


『ヨシキ、ちょっといい?』

『う、うん。』

アキはキヨシを呼び出した。

⏰:12/02/03 19:33 📱:S003 🆔:sili3k36


#443 [だーいし]
『だぁ〜!息が詰まるかと思ったわ!なんでアイツがいるのよ!!』

マヤは首元を両手で掴みながら言った。

『ん?どしたんや?』

『どうも苦手なのよねあの子、なんていうか生理的に合わないっていうか。分かるでしょ?』
『うん、なんとなく分かります。』

ヒロシは即答。

『あの2人あんな遠くの防波堤で何喋ってんねやろ…』

ヒロシの目線の先には遠くで並んで座っているキヨシとアキが見えた。

⏰:12/02/03 19:37 📱:S003 🆔:sili3k36


#444 [だーいし]
『さあね!』

『えらい冷たいな〜。』

誰もいなくなった店内でヒロシとマヤはかき氷を食べる。
マヤはヒロシとかき氷を交互に見た。


『どーせ、久々の再開に酔いしれてるのよっ!』

『ん?』



『あの2人、付き合ってたのよ。』

⏰:12/02/03 19:40 📱:S003 🆔:sili3k36


#445 [だーいし]
防波堤に腰をかけて2人は、静かに波打つ海を見ていた。
『漫才、おもしろかったよ。』
『うん。ありがとう。』

キヨシの返事はどこかぎこちない。


『あの事まだ気にしてるの?』

キヨシは何も言えなかった。

『気にしないで!もういいから…』

『………、ごめん。』

⏰:12/02/05 22:29 📱:S003 🆔:BTTuXwks


#446 [だーいし]
『なんでそうやって謝ってばっかなのよ!!』

アキは立ち上がり言い放った。
『ごめん……』


アキはたまらず走り出した。
キヨシは追いかけなかった。 というより追いかけられなかった。

『あっアキちゃんこっちくんで。』

『なに!?』

こちらに向かって走ってくるアキにヒロシは手をふった。
しかしアキはこちらを見向きもせずに去っていった。

⏰:12/02/06 23:34 📱:S003 🆔:bmb8rKHc


#447 [だーいし]
『あら、行っちゃった。』

しばらくしてキヨシが海の家に帰ってきた。

『おお、キヨシ、なんやったんや?アキちゃん帰ったで。』

『……うん。』

『なんや?どした?』

『この後の公演だけど、早退してもいいかな?具合が悪くて…』

『えっ?う、うん。いけるか?』

『うん。じゃあ。』

キヨシは帰り支度をすませ、海の家を出た。

⏰:12/02/06 23:43 📱:S003 🆔:bmb8rKHc


#448 [だーいし]
しばらくしてマヤが店の奥から出てきた。

『あれっ?キヨシは?』

『なんや体調悪い言うて帰ったで。』

『えっ?何それ?漫才はどうするの?』

『相方おらんのにどーせえいうねん。』


マヤは腕を組み考えた。
その結果、

『あんた1人で漫談やんなさいよ!』

『ほえ?』

⏰:12/02/08 18:04 📱:S003 🆔:VsTMJfqk


#449 [だーいし]
『お客さん裏切る訳にいかないでしょ!ほらさっさとネタ考える!』

マヤは有無を言わさずヒロシを強引に店の奥の部屋へ押し込んだ。
扉を閉めると部屋からドアを叩く音がしたが、しばらくして諦めたのか鳴りやんだ。
フーッとため息をつくマヤとヒロシ。


『キヨシったら、まーた悩んでんな、アイツ。』

キヨシの「体調が悪い」は悩んでる証拠。
マヤははっきりと気づいていた。

⏰:12/02/08 18:09 📱:S003 🆔:VsTMJfqk


#450 [だーいし]
東京へ向かう電車の中でキヨシは床を一点に見つめていた。


『あの時の僕は、どうかしていた。』


晴れ渡る夏空とは裏腹にキヨシの心は曇っていた。



2年前…
帝都中学校の朝は二人の喧嘩から始まる。

⏰:12/02/08 18:14 📱:S003 🆔:VsTMJfqk


#451 [だーいし]
「まーた始まったよ。」
「1年の時からだろ?」
「まぁあれ見ないと1日始まったって感じしないけどな。」
「平和だねー。」


クラスメイトの視線の先には何やら言い争っているキヨシとマヤがいた。
いつも些細な事から喧嘩する2人。

『だから、なんで僕が手伝わなくちゃいけないんだよ!』

『いいじゃない!たまには手伝ってよ!』

⏰:12/02/11 23:58 📱:S003 🆔:uR1t2C1M


#452 [だーいし]
『今日のテーマは何?』
『「私が日直だけど手伝いなさい」だって』
『毎度ながらのドSっぷりだな。』


クラスの男子達はいつも2人の喧嘩に「テーマ」を付ける。


『で、キヨシのやつ折れるだろ?』
『あぁ「ったく分かったよ」って。』


黒板消しを無理矢理渡すマヤ。

『いつもいつもやると思うな!』


キヨシは教室を出た。


『おっ??珍しいな〜。』

⏰:12/02/12 00:59 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#453 [だーいし]
『何よ!アイツ、帰ってきたらタダじゃすまないからね!ん?』

『やべっこっち見てっぞ!』

マヤは男子達の方を見た。

『あんたたち、手伝いなさいよ。』

男子数名は顔を見合わせる。 答えは1つだった。


『はい……』

⏰:12/02/12 01:02 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#454 [だーいし]
昼休み。
キヨシはいつものように参考書を片手に中庭のベンチで1人で昼食をとっていた。

『いつも1人ぼっちですね。』
1人の女子が話しかけてきた。
『ん?あぁ、1人の方が落ち着くんだ。……あの君は?』

『あっ私?私、窪地アキっていいます。4組の。』

『あっ初めまして。』

⏰:12/02/12 01:06 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#455 [だーいし]
『僕は、鈴木キ…』

『キヨシ君でしょ?知ってるよ〜♪有名だもん。』

アキはキヨシの隣に座る。

『有名?なんで?』

『だって毎日マヤちんと喧嘩してるでしょ?おしどり夫婦のノロケだって。いいな〜♪私も毎日喧嘩できる恋人欲しいな〜♪』

『恋人?なんの事?』

⏰:12/02/12 01:12 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#456 [だーいし]
『付き合ってんでしょ?マヤちんと。』

キヨシは目を見開く。

『とんだ誤解だな。付き合ってなんかないよ。』

『えっ?そうなの?』

アキは驚きを隠せない。

『だってあんなに仲良いじゃない?』

『ただの幼なじみってやつだよ。しかも、本当に腹立つから喧嘩してるんだよ。』

⏰:12/02/12 01:15 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#457 [だーいし]
まだ何か話そうとするアキにキヨシは

『もういいかな?勉強したいんだよね。』

『あっ、ゴメン。また話しましょう♪じゃ!』

アキは去って行った校舎に入る前にもう一度キヨシの方を向いて手を振った。

『なんだろう。あの子。』


これがキヨシとアキとの出会いだった。

⏰:12/02/12 01:20 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#458 [だーいし]
『うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!もう無理やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

2回目の公演まで2時間を切った。ヒロシはイスから立ち上がりウロウロする。

『なんでや。なんでこんな悩むんやろ。フリートークは自信あんねんけど、いざ客を前にするとなると…なんも浮かべへん。せや、全部キヨシのせいや!体調悪いとかウソやろ!クッソ!鬼電したろ!』

ヒロシはキヨシに電話する。

⏰:12/02/12 01:25 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#459 [だーいし]
自分の部屋のベッドに仰向けに寝転がりキヨシは天井を見ていた。


ピリリリリ……
【着信:ヒロシ】


キヨシはケータイを手に取るが電話にでない。


『ヒロシごめん…』

⏰:12/02/12 01:30 📱:S003 🆔:m4EjHC4M


#460 [だーいし]
『今日のテーマは?』
『それが、分かんねー。なんつうか、今日はシャレっ気がない。』
『ん??』

いつものようにキヨシとマヤは喧嘩をしているが、今日は雰囲気が違った。お互いに目を合わせずにしていた。まさに絶縁状態。

理由はこうだった。

⏰:12/02/14 08:28 📱:S003 🆔:Xd6BwVNc


#461 [だーいし]
それは登校時。
キヨシは欠伸をしながら目をこすり、学校に向かっていた。

『よ!』

後ろからマヤに肩を叩かれた。
『なんだ、マヤか。』

『何よその言い方〜。たまにはカワイイ幼なじみと登校したいと思わない?』

マヤはその場で一回転した。
キヨシはじっとマヤを見て、何も言わずまた歩き始めた。

『ちょっと!何か言いなさいよ!』

⏰:12/02/15 06:00 📱:S003 🆔:kgoawEVg


#462 [だーいし]
キヨシは黙って歩き出す。
マヤは膨れっ面で後を追う。
学校の正門が見えてきた時だった。

『あんたねぇ、そんなんじゃ一生彼女とかできないわよ!』


キヨシの歩みが止まる。


『なんていうか、女の子の気持ちをもっと理解しないとって感じよね。』

『………わかる。』

『えっ?』

『お前に何が分かるんだ!!!』


キヨシは珍しい大声を張り上げた。

⏰:12/03/03 01:06 📱:S003 🆔:cViPeg0M


#463 [だーいし]
それから2人は一切口を聞かなくなった。


昼休み
いつものようにキヨシは1人で昼食をとっていた。

『よっ!』

『窪地さん……』

アキはいつものようにキヨシの横に座る。

『アキでいいわよ♪聞いたわよ〜マヤちんと大喧嘩したんだって〜なんなの?理由は?』

キヨシは何も言わない。

⏰:12/03/03 02:15 📱:S003 🆔:cViPeg0M


#464 [だーいし]
アキは一息ついた。
『そっ。まっ理由はどうでもいいか!ねぇ、明日もここに来てよ。』

『来てよも何も僕はここにしかこないよ。この時間は。』

『絶対そう言うと思った〜♪フフッ!じゃあ明日ね!』

そういうとアキは去って行った。

⏰:12/03/03 02:18 📱:S003 🆔:cViPeg0M


#465 [だーいし]
『ねぇ〜いい加減仲直りしなよ〜』
マヤの親友アヤがマヤに切り出す。
『なんでよ!べ、別にあたし悪いことしてないし。』

『とかいってまた余計な一言言ったんでしょ〜?』

『それは〜……』

『でしょー?お互い頑固なんだからたまにはマヤが折れないと。ね。』

『う〜ん。』

『ね!』

『分かった!分かった!明日謝るわよ!』

⏰:12/03/03 02:24 📱:S003 🆔:cViPeg0M


#466 [だーいし]
次の日の昼休み
マヤはキヨシがいつも昼食をとっている中庭に向かった。

『……ったく、しょうがないわね〜。』

『ヨシキー!!』

後ろから声が聞こえ、マヤはとっさに草むらに身を潜めた。

『や、やぁ。ヨシキって?』

『キヨシ君の新しい呼び名よ♪いいでしょ?』

『う、うん。』

『(この声はアキ……)』


マヤはすぐに気付いた。

⏰:12/03/03 02:29 📱:S003 🆔:cViPeg0M


#467 [だーいし]
『聞いたよ〜。またマヤちんと喧嘩してるんだって?』

『あっあぁ。』

キヨシはうつ向く。そのキヨシを見上げるような体勢をとりアキは続ける。

『今回はマジだ。』

キヨシはアキの目線と自分の目線を合わせ、静かに頷いた。
アキはひょいと立ち上がり、こう言った。

『もぅ、いんじゃない?そのままで。』

⏰:12/03/15 04:29 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#468 [だーいし]
>>467
ミス
『またマヤちんと』
→『まだマヤちんと』

⏰:12/03/15 04:31 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#469 [だーいし]
『えっ?』

思わず口から出た言葉を必死に両手で塞ぐマヤ。

キヨシは何も言わずただただ、アキの方を見つめる。

『何て言うか、その……見てて羨ましいっていうか……イライラするっていうか……。』

『えっ?』

『あんまし好きじゃないんだ……ってかイヤ!好きな人が誰かと喧嘩してんの。………私と付き合って。』

あまりにも突然の事でキヨシは驚いた。
マヤも同じだった。

⏰:12/03/15 04:36 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#470 [だーいし]
しばらく沈黙が続いた。


キーンコーンカーンコーン♪


昼休み終了を知らせるチャイムが鳴り響く。


『ごっごめーん!私何言ってんだろ〜。あっ気にしないで!ってか戻ろっ!遅刻になっちゃうよっ!』

アキは振り返り校舎の方へ走り出そうとし、またキヨシの方へ振り返る。

『……あっでも、好きなのは本当だから。』

そう言うとまた校舎の方へ振り返る。

『待って。』

キヨシがアキを引き留める。

『いいよ。付き合っても。』

⏰:12/03/15 04:43 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#471 [だーいし]
『えっ??うそ??』

アキは驚きを隠せない。

『だって……マヤちん……』

『ただの幼なじみだよ。』

アキの表情が笑顔に変わっていく。

『やったぁ!!絶対にダメだと思った!じゃあさ!今日一緒に帰ろうよ!』

『あぁ、いいよ。』

『じゃいこっ♪』

そういうと2人は校舎に向かって走り出した。そう2人は。

マヤはさっきまで2人が座っていたベンチに崩れるように座った。

⏰:12/03/15 04:49 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#472 [だーいし]
こうしてキヨシとアキは付き合う事になった。
毎回休み時間はアキがキヨシのクラスに来て2人で話す。
昼休みも一緒にご飯を食べ、放課後は一緒に帰る。
2人が付き合っている事実は、瞬く間に全クラスに知れ渡った。

『いいの?マヤ。』

アヤがマヤに尋ねた。

『べっ別にあいつはただの幼なじみだし!』


マヤは浮かない顔で2人が楽しそうに話しているのを見ていた。
浮かない顔をしていたのはマヤだけではなかった。

⏰:12/03/15 04:54 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#473 [だーいし]
コンコン。

ドアをノックする音。

『入るわよー。』

ガチャ。

『ってあんた何ていう顔してるの!?』

目を真っ赤に充血させ震えているヒロシ。

『もう、時間ですか?時間なのですか?』

『そうよ。さっきより人多いからね!』

『さいですか。。』

⏰:12/03/15 04:57 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#474 [だーいし]
『全校集会の時のテンションはどこに行ったのよ。』

『いざ知らない人達を目にすると、緊張すんねん〜。』

ヒロシはマヤの前で正座をし、マヤの足を両手で掴んだ。

『もぅ無理ですかぁ?出ないといけないですかぁ??』

半泣き状態のヒロシにマヤは腕を組みこう言った。

『ダメです!はいっ行くっ!』
と急にヒロシは立ち上がり

『やるしかないなぁ!!!!』
とマヤを押し退けステージへ向かった。

『ついていけないわ。』

マヤも後を追った。

⏰:12/03/15 05:03 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#475 [我輩は匿名である]
続きかなり楽しみにしてるぜ☆

⏰:12/03/15 07:55 📱:840SH 🆔:tG8mwWso


#476 [だーいし]
>>475
職人さん!おはようございます!更新頑張ります!

⏰:12/03/15 08:54 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#477 [だーいし]
『ねぇ!明日、どっか遊びに行こうよ!そうね〜隣町の遊園地とか!』

『ごめん、明日塾なんだ。これからは毎日のように塾があって遊びには行けないな。』

昼休みのキヨシとアキのやり取り。

『……そっか。そうだよね!帝都西目指してるもんね!』

『窪地さんはどこ進学するの?』

『私も……帝都西かなっ!』

『そうなんだ。あっゴメン次の時間自習なんだけど先にやっときたいから戻るね。』

『えっ……あっうん。』

そういうとキヨシは校舎に向かっていった。

⏰:12/03/15 09:16 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#478 [だーいし]
残されたアキは空を見上げた。
『付き合って今日は1ヶ月記念なのになぁ〜。てか、付き合ってどこも遊びに行ってないな〜。これって付き合ってんのかな?』

アキはこの頃からあることを考えていた。




案の定、それは的中する。

⏰:12/03/15 09:19 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#479 [だーいし]
漫才を楽しみに?しているお客さんが今か今かと2人の登場を待っている。

ヒロシはその光景を舞台袖から震えながら見ていた。

『このまま出囃子鳴らんといてほしいな〜。』

けたたましい音とともに出囃子が店内に鳴り響く。

『鳴るんかい!……行くしかないっ!!』


ヒロシは拍手が鳴り響くステージへ飛び出した。

⏰:12/03/15 09:24 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#480 [だーいし]
『はいど〜も〜!!小林ヒロシです!コバヒロ呼んで下さい。』

会場から漫才じゃないの?などのどよめきが聞こえる。

『えぇ相方がね、ちょっち体調不良でね、僕1人で漫談でもしようかな〜って感じでね。まぁ会場には綺麗な人ばっかりですね!そちらから、不細工さん・不細工さん・1人飛ばして不細工さんって綺麗なん1人だけかい!言うてね!』


……………。


ヒロシはとっさに後ろを振り向いた。

『あの野郎、覚えとけよ!』

⏰:12/03/15 09:30 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#481 [だーいし]
キヨシは何も変わらない天井をベッドからただただ見ていた。ふと時計を見る。

『そろそろ、始まったかな。』
窓を見るとポツポツと雨が降りだしていた。

『雨?』

ヒロシは立ち上がり窓の外を見る。

『あの日も雨だったな。』


あの日とはキヨシとアキが付き合って1ヶ月と2週間が経とうとしていた日。

⏰:12/03/15 09:34 📱:S003 🆔:vQjFKOfM


#482 [だーいし]
塾帰り、時刻は23時をまわった所だった。
キヨシは足早に家路へと急いだ。家まで最後の曲がり角に差し掛かった時、コンビニ帰りのマヤに偶然出くわした。


『あっ。』


互いに思わず声を出した。
あの日、喧嘩して以来ろくに喋ってなかったのだ。

『じゅ、塾の帰り?』

『う、うん。』

『大変ね。』

『慣れっこだよ。』


会話がぎこちない。

⏰:12/03/16 17:24 📱:S003 🆔:HidMOvTg


#483 [だーいし]
『じゃあ、また学校で。』

キヨシはその場を離れようとした。

『あっ待って!』

マヤはキヨシを引き留める。

『ちょっと、いいかな。』


2人は河川敷にあるベンチに腰かけた。

『あのさ、謝りたくて…』

『……。』

『この前は、ひどい事言ったなって。許してくれる?』

『……。』

⏰:12/03/16 17:33 📱:S003 🆔:HidMOvTg


#484 [だーいし]
キヨシはしばらく黙った後にこう言った。

『明日は雨だな。うん、大雨だ。』

『えっ?なんでよ?』

空は雲一つなく、晴れ渡っており星が輝いている。

『マヤが謝ってきたから。』

キヨシは少し笑いながら言った。

『ちょっと!何よそれ!』

2人は笑いあった。

⏰:12/03/17 10:25 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#485 [だーいし]
しばらく他愛もない会話が続き、さてとと2人は立ち上がる。マヤが神妙な面持ちでこう言った。

『アキと付き合ってんでしょ?』

キヨシの顔から笑顔が消える。
『あ、あぁ。』

『まさか、あんたに彼女ができるなんてね〜。』

キヨシは黙ったまま。

『いいじゃん!アキ可愛いし!』

『あ、ああ。』

⏰:12/03/17 12:29 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#486 [だーいし]
『幸せにしてやんなよ〜。じゃあね!』

『あっ家まで送るよ。』

『いいよ。寄るとこあるし!じゃね!』

そう言うとマヤは河川敷の階段をかけのぼり、去って行った。

マヤの顔から笑顔が消えていた。

⏰:12/03/17 12:33 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#487 [だーいし]
次の日の昼休み。

『よっ!』

アキはいつものようにキヨシが座っているベンチへ。

『さっきさ、体育で転んで超痛い!』

『うん。』

『あぁー午後から退屈な授業ばっかだなー。』

『うん。』

『ヨシキ?聞いてる?』

『うん。』

『ねぇ!明日の休みなんだけどどっか行かない?明日はだっ』『お願いがあるんだ。』

キヨシはアキの話を途中できった。


『別れてほしい。』

⏰:12/03/17 12:38 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#488 [だーいし]
『えっ?』

アキは耳を疑った。

『学校でしかこうして話せないし、放課後・休みは僕は塾だから会えない。帝都西には絶対に行かなくちゃならない。このまま付き合ってても君を幸せにする事が出来ない。』

『いいよ。そんなこ』
『君には、君には僕よりいい人が見つかるよ。』

『私は、私には、ヨシキしか…』

『実は………』

キヨシは次の言葉をためらった。

『分かった。それ以上言わないで。。お願い。言いたい事はなんとなく分かる。』

午後の授業を知らせるチャイムが虚しく鳴った。

⏰:12/03/17 12:45 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#489 [だーいし]
『ごめん。』

キヨシは足早に校舎に向かった。アキは1人、ベンチに腰かけた。

『まっさか、今日フラれるなんてね〜。だって明日は私の誕生日だよ。。』


アキの気持ちを悟るかのように、ポツポツと雨が降りだした。

⏰:12/03/17 12:47 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#490 [だーいし]
江ノ島にもポツポツと雨が降りだした。

『まぁ夏やからスイカをねこう、手で割ろうとしたらね、』

ヒロシの必死の漫談をよそに、客たちは天気を気にしていた。

ドバー!!!!!


いきなりタライの水がひっくり返ったような雨が降りだした。途端に客たちはガヤガヤしだし、店を去って行った。

店内には誰もいなくなった。

『あれっ?おーい!オチまだやでー!』

⏰:12/03/17 12:52 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#491 [だーいし]
次の日の夏期講習。
ヒロシは教室に入るやいなやキヨシの席に向かった。
キヨシはそれに気付き

『や、やぁ。昨日はごめん。』
『や、やぁちゃうわ!お前のせいで激スベリやってんで!雨降ってみんな帰るし!』

『ご、ごめん。』

『あんなにスベったん初めてやわ!「弘法も筆の誤り」ってやつや!』

『言い過ぎじゃない?』

『嫌みや!!』

『ご、ごめん。』

⏰:12/03/17 12:56 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#492 [だーいし]
夏期講習が行われている最中、帝都東高校特別会議室にぞくぞくと近隣の学校関係者が集まってくる。
井本校長・赤羽教頭も席につく。井本は緊張で顔がこわばっていた。

最後に教育委員会委員長鈴木薫子が会議室に入る。
全員が立ち上がり、委員長に会釈をする。

『えぇ、それでは帝都地区高等学校定例集会を始めます。』

⏰:12/03/17 16:30 📱:S003 🆔:i96XLGtE


#493 [だーいし]
副会長の号令とともに帝都地区高等学校定例集会が始まった。
『えぇ今年から帝都東に導入された「文学強化クラス」の件ですが…すばらしい。全クラスの平均点が上がっていますね。』
おぉと会議室がどよめく。

『強化クラス以外のクラスにもほぼ強化クラスと同じ内容の授業をさせておりますからね。我が校が帝都地区…いや、東京都1位の進学校になるのは夢ではないかもしれません。』

帝都東の校長 坂本は井本の方を見ながら言った。井本はそれに気づいていたが坂本の方を見なかった。

⏰:12/03/19 00:59 📱:S003 🆔:uaFAbAvk


#494 [だーいし]
その後、各学校の現状・成績などの発表がされ定例集会は終わりに近づいた。

『了解です。では、以上で定例集会を終わります。次回は2週』
『少しよろしいでしょうか。』
誰かが席を立とうとした皆を引き留めた。委員長 鈴木薫子だ。皆は少し困惑していたが、井本と赤羽は引き留めた理由が分かっていた。

⏰:12/03/19 05:18 📱:S003 🆔:uaFAbAvk


#495 [だーいし]
『すいません、お忙しい所、お時間は取らせません。こちらをご覧下さい。』

薫子がリモコンを操作すると、天井からスクリーンが降りてきて棒グラフが表示されていた。
『こちらは帝都西高校と帝都東高校の中間テスト全校生徒の平均点のデータ過去10年分をグラフにしてみました。こうして見てもらったら一目瞭然ですね。帝都東が帝都西に追いついてきております。』

坂本は腕を組み、少しニヤリとする。

⏰:12/03/19 05:24 📱:S003 🆔:uaFAbAvk


#496 [だーいし]
『お互いにスキルアップせな!』

ヒロシは部室でたこ焼きを頬張りながら言う。

『………。』

『このまま同じネタちまちまやっても客は集まれへん。いかに笑いの要素を今のネタに盛り込むかや。』

『………。』

『ってキヨシ聞いてんのか?』
『あああ、ゴメン。』

『何やねん!夏バテか?』

キヨシはアキの事を思っていた。このまま漫才を続けていいのか…
葛藤に苦しんでいた。

⏰:12/03/23 07:08 📱:S003 🆔:7ZSFQc8c


#497 [我輩は匿名である]
ガラララ…

『おぅ!先生!』

店長が声をかけると、そこには何やらニヤニヤしている今田がいた。

『な、何?ニヤニヤして。』

『みんな!先生考えたぞ!コンビ名!』

おぉ!と店内がざわつく。

『ホンマか?ホンマか?』
『さすがだね。』
『やるじゃん!先生!』

今田は咳払いをし3人の前に起つ。

⏰:12/04/05 04:34 📱:S003 🆔:fcI939C2


#498 [だーいし]
『2人を見てて思うんだ。何か大切なものを教えてくれる。いわば、誰しもが通る道…』

3人は頷きながら集中し、今田の話を聞く。

『この2人の漫才を聞いたら、みんな思い出すであろう!』

今田は手に持っていた模造紙を大きく広げた。

『青 春 街 道 男 児 !どう?いいだろ〜』


『え、先生?』
『おいおい、嘘だろ。』
『………。』

カラン。
店長も思わず金属製のソースの容器を落とす。

『あれ??結構自信あったんだが…』

⏰:12/04/05 04:41 📱:S003 🆔:fcI939C2


#499 [だーいし]
『せ、先生せっかくやけどしばらく「小林鈴木」でいくわ、ちょっと「青春街道男児」は考えとくわ。。』

『あぁぁ、そう。。』

今田は明らかに落ち込んだ様子。


ピリリリ…


今田のケータイが鳴る。

『はい、今田ですが。えっと…今はちょっと、外に出てまして…えぇ、はい、はい、分かりました。すぐ戻ります。』

今田はケータイをポケットにしまうとガックリ肩を落とし部室を出ていった。


3人は何事もなかったかのように、今後について話し出した。

⏰:12/04/05 04:48 📱:S003 🆔:fcI939C2


#500 [我輩は匿名である]
ガララ…

職員室に戻った今田は周りをキョロキョロとした。

『あっ今田先生。』

『斉藤先生、どうしました?』
『いやっ用があるのは私ではないんだ。至急、校長室に向かって下さい。』

『こ、校長室……ですか。』

今田は何か嫌な予感がした。

⏰:12/04/23 02:34 📱:S003 🆔:rb4y0yyk


#501 [我輩は匿名である]
コンコン。

大きく息を吐き今田は校長室のドアをノックした。

『どうぞ。』

『失礼します。』

校長室に入ると井本校長は窓の外の景色を見ていた。
井本校長は振り返り今田をソファーに案内した。

『用件は何でしょうか?』

今田は何かに気づきながらも井本校長に問う。

『実はだな、この前の定例会で教育委員長が「部活動廃止」を提案してな。次回の定例会で他の学校に賛否を聞くそうだが………、どうやら決まりそうだ。間違いなくうちの学校から始まるだろう。』

⏰:12/04/23 02:43 📱:S003 🆔:rb4y0yyk


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