もぅえぇわ!
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#1 [だーいし]
この物語は、ある男達の『漫才』にかける情熱と青春の日々の記録である。
頻繁に更新出来ませんが、興味ある人は見ていって下さい。
:10/05/08 03:13
:W64S
:p3R99LBg
#2 [だーいし]
日本の中心 東京。
そこの、とある区の、とある高校に、とある男子生徒が転校しようとしていた。
『ここでオレの伝説が始まるでぇ!!』
男の名前は『ヒロシ』。
この物語の主人公だ。
:10/05/08 03:18
:W64S
:p3R99LBg
#3 [だーいし]
ヒロシはグラウンドを駆け抜け、学校に入っていった。
『ねぇ!知ってる今日転校生来るんだって!』
『えっマジ?』
『しかも男らしいよ!』
『えぇーイケメンかもー!!』
女子が騒いでいた。
キーンコーンカーンコーン♪
『はい皆席につけー。』
1年B組の担任マツモトが皆を席に座らせた。
『えぇホームルームを始める前に、今日から新しい友達が増えます!』
キャーキャーキャー♪
女子が黄色い声援を送る。
:10/05/08 03:24
:W64S
:p3R99LBg
#4 [だーいし]
『はいっはいってー』
クラス全員が入口を見た。
『どーもー!!!小林ヒロシでーす!コバヒロやで♪コバヒロが来たで♪うわーこのクラス可愛い子ぎょうさんおるな!こっちから、べっぴんさん・べっぴんさん・一つ飛ばしてべっぴんさん♪なんちゃって!』
:10/05/08 03:27
:W64S
:p3R99LBg
#5 [だーいし]
『何この空気??えっ皆暗い!暗い!暗い!私はドントクライ。もう泣きましぇん。』
シーン。
外の小鳥のさえずりが聞こえた。
『はいっ若干個性強いけど皆仲良くしてやってくれ。』
:10/05/08 03:30
:W64S
:p3R99LBg
#6 [だーいし]
『小林の席は、鈴木の横な。』
ヒロシはスキップをしながら一番後ろの窓側に座った。
『じゃーホームルームを始める。』
担任が話している。
『なぁ!なぁ!』
:10/05/08 03:32
:W64S
:p3R99LBg
#7 [だーいし]
ヒロシは横に座っているいかにも真面目そうな『鈴木』に話しかけた。
『なんか皆暗ない?ノリ悪いしー。』
『この学校には君みたいなキャラはいないからね。』
:10/05/08 03:35
:W64S
:p3R99LBg
#8 [だーいし]
『いやっにしても暗すぎるやろ〜。』
『ここは進学校だよ。いくら1年だからといってももう受験勉強は始まってるんだ。静かにしてくれかな。』
『はぁ〜!!!ここそんな学校やったん???』
:10/05/08 03:37
:W64S
:p3R99LBg
#9 [だーいし]
ヒロシは立ち上がり、大きな声で言った。
皆の視線が窓側の一番後ろに注いだ。
『小林!!静かにしろっ!』
担任は怒鳴った。
『す、すんまへん。』
ヒロシは鈴木にヒソヒソ声で、
『そんな高校生活楽しいか?』
と尋ねた。
:10/05/08 03:40
:W64S
:p3R99LBg
#10 [ななしのごんべい]
おもしろいです!!
あたし大阪やから
こーゆうのおもしろいです


がんばってください


:10/05/08 11:23
:P904i
:ldzr/OLg
#11 [だーいし]
『この学校にはそういうヤツしかいないよ。知らなかったの?』
鈴木は前を見ながら言った。
『ん〜知らんかったなぁ。てかノリで来たみたいな♪』
鈴木は目を見開いて言った。
『ノリで来れる所じゃないよ!』
:10/05/08 15:46
:W64S
:p3R99LBg
#12 [だーいし]
『たまたまやって!たまたま。』
ヒロシは言った。
鈴木は少し呆れていた。
キーンコーンカーンコーン♪
『はいっホームルームはここまで。10分後授業だから準備しとけー。』
:10/05/08 15:49
:W64S
:p3R99LBg
#13 [だーいし]
マツモトが伸びをしながら教室を出た。
それを見るやいなや、女子3人がヒロシに近づいてきた。
『ねぇどこから来たの?』
女子の一人が言った。
『笑いの本場 大阪やで!』
『なんで来たの?』
『ええやろ!教えてやろう!』
:10/05/08 23:24
:W64S
:p3R99LBg
#14 [だーいし]
ヒロシは咳払いをし、立ち上がった。
『オレは漫才がしたいねん!笑いの本場は大阪や。せやけど、日本の中心は東京や。いくら大阪で一番おもろーても、東京で天下とらな意味ないねん!』
:10/05/08 23:30
:W64S
:p3R99LBg
#15 [だーいし]
『この学校にも漫才したいヤツがぎょうさんおるはずや!そん中からオレは相方を見つけたる!』
ヒロシは片手を天に突き上げながら言った。
クラス全員が一瞬ヒロシを見た。
鈴木は自習していた。
:10/05/08 23:34
:W64S
:p3R99LBg
#16 [だーいし]
『あっそう。まぁ無理やと思うけど頑張って。』
女子3人が席に着いた。
『なんやねん。聞いといて。』
昼休み
『隣ええか!?』
ヒロシは鈴木が弁当を食べている中庭のベンチに座った。
:10/05/08 23:38
:W64S
:p3R99LBg
#17 [だーいし]
『この学校には楽しい事なんてないんだ。見てみな。メシの時間まで勉強してる。まぁオレもだけどな。』
鈴木が弁当を食べながら言った。
『……オレが変えたる!確かに勉強は大切かもしれへん、でももっと大切なものがあるんや。高校生活には。』
:10/05/09 01:35
:W64S
:Nb2sZD/6
#18 [だーいし]
『なぁ、オレと漫才せぇへんか?一緒に高校生活エンジョイしようや!!』
ヒロシは鈴木に手を差しのべた。
鈴木はそれを無視し、立ち上がった。
『悪い。他あたってくれ。』
鈴木は参考書を持ち、向こうにいった。
『よっしっ!!明日や!明日がある!』
:10/05/09 01:44
:W64S
:Nb2sZD/6
#19 [だーいし]
次の日。
その日は朝礼がある日だ。
鈴木は大きな欠伸をしながら校長先生の話を聞いていた。
『あれっ?小林君は?』
『さっきまでいたのにね。』
女子達が話していた。
:10/05/09 02:39
:W64S
:Nb2sZD/6
#20 [だーいし]
鈴木は周りをキョロキョロした。
『ちょっと君何をしてるんだ!やめなさい!』
舞台袖から先生達の声が聞こえた。
『えぇやんけ!ちょっとマイク借りるだけやから!』
あの声はヒロシだ。
:10/05/09 02:43
:W64S
:Nb2sZD/6
#21 [だーいし]
『なんだ君は!』
『校長先生。ちょっとマイク貸してくれます?』
ヒロシは校長からマイクを奪いとった。
『えぇ!皆さんおはようさん。オレは1年B組、小林ヒロシです。』
:10/05/09 02:50
:W64S
:Nb2sZD/6
#22 [だーいし]
『オレは大阪から来て、漫才で、天下取ったろうと思う!離せっ!』
ヒロシは止めようとする先生達を振りほどき話を続けた。
『オレと漫才やってくれるヤツ、誰でもいい!放課後、理解準備室に来てくれ!ほな!』
ヒロシは先生達に連れていかれた。
:10/05/09 03:12
:W64S
:Nb2sZD/6
#23 [だーいし]
『はいっみんな静かに!』
校長先生がざわめいてる生徒達に言った。
その後ヒロシはこっぴどく叱られた。
『あなたね!どういうつもり!?』
ヒロシが教室に戻るやいなや、一人の女子が怒鳴ってきた。
:10/05/09 23:32
:W64S
:Nb2sZD/6
#24 [だーいし]
『な、なんやねん。いきなり。』
『あなたが勝手な事したから、アタシ達のクラスが変な風に見られたじゃない!!そういうの内申点に響くのよね!』
『わりぃ。わりぃ。』
『ホントっいい加減にしてよね!』
彼女の名前は佐藤ユカ。このクラスの学級委員だ。
:10/05/09 23:37
:W64S
:Nb2sZD/6
#25 [だーいし]
そして放課後。
ヒロシは理科準備室にいた。
ヒロシはホルマリンに入ったカエルをずっと見ていた。
『誰も……けぇへんか…。』
ガチャ。
ドアが開いた。
:10/05/09 23:40
:W64S
:Nb2sZD/6
#26 [だーいし]
『まだいたんだ。』
『おぉ!鈴木か!なんや漫才したく…』
『勘違いするな。オレはただ様子を見にきただけだ。それと、キヨシ。キヨシでいいよ。』
『お前キヨシゆう名前やったんか!じゃあこれからキヨシやな!』
:10/05/09 23:44
:W64S
:Nb2sZD/6
#27 [だーいし]
『じゃあ、僕塾あるから。』
『おぅ!また明日な!』
そういうとキヨシは去っていった。
キヨシが去ってしばらくして、また扉が開いた。
:10/05/09 23:57
:W64S
:Nb2sZD/6
#28 [だーいし]
『なんやぁ?キヨシ忘れもんかぁ?』
窓を見ていたヒロシが扉の方に目を向けた。
『あ、あのすいません。』
『だ、どちらさん?』
『あっ初めまして!1年D組の浜田カズヤと申します!ヨロシク!』
『よろしゅ〜。で、なんや?まさか……?』
『はいっ!一緒に漫才やりましょう!!』
:10/08/17 04:20
:W64S
:HqxqSfiY
#29 [だーいし]
『ホンマか?ホンマか?』
『はいっ!やりましょう!』
『よっしゃぁぁぁぁ!!!』
ヒロシは部屋をぐるぐる走り回った。
『じゃあ、早速練習やな!』
『ごめん。今日塾なんだ。だから明日からでいい?』
『おう!全然オッケーや!じゃあ明日も同じ時間に!』
『うん!それじゃ。』
カズヤは部屋を出た。
次の日。
:10/08/17 04:23
:W64S
:HqxqSfiY
#30 [だーいし]
『相方が見つかったってホント?』
朝のHR前。ヒロシの机の周りには人だかりができていた。
『あぁ!ホンマやで!これから、ビシバシ鍛えてやるで〜!』
『で、相手誰?』
『D組のカズヤや!浜田カズヤ!』
『えっ、そ、そうなんだ。』
周りにいたクラスメイトは何事もなかったかのように自分の席に着いた。
『な、なんやねん。』
『アイツとはあまり関わらない方がいいよ。』
キヨシは数学の参考書をみながら言った。
:10/08/17 04:28
:W64S
:HqxqSfiY
#31 [だーいし]
『なんでや?』
『まぁ今に分かるよ。』
ヒロシはキヨシに理由を尋ねようとしたが、チャイムが鳴りマツモトが入ってきたのでやめた。
放課後。
ヒロシはニヤニヤしながら、理科準備室にいた。
しかし、カズヤはこなかった。 次の日もまた次の日も……
:10/08/17 12:32
:W64S
:HqxqSfiY
#32 [だーいし]
カズヤが相方になってから1週間…
結局カズヤは理科準備室にこなかった。
:11/12/04 08:34
:S003
:VvOeydzQ
#33 [だーいし]
放課後。キヨシが家路を急いでいると
『お前、漫才の練習いかなくていいのか?クックク』
『おいおい、勘弁してくれよ。やるわけないじゃん。』
『だよな。』
『ちょっとからかっただけだよ。ハハハ』
カズヤの声だった。
キヨシは校舎に戻った。
:11/12/04 08:38
:S003
:VvOeydzQ
#34 [だーいし]
ガララ…
『キ、キヨシ!?』
『なっ!?まだいたんだヒロシ君』
『あぁ、カズヤと約束したさかいな。』
『あいつならこないよ。さっき話聞いたんだ。』
『…………。』
『ずっと君を騙して嘲笑ってたんだよ!どうして君はそんなこ…』
『わかってたんや。それは』
『えっ?』
:11/12/04 08:41
:S003
:VvOeydzQ
#35 [だーいし]
『なんとなく分かってた。でもなキヨシ。オレは生粋の大阪人なんや。そんなんも含めて「シャレ」や思うねや。アホやろ〜だからな、もしカズヤがきたら「いつまで待たすねん!」言うたろ思ててん』
『変わってるよ君は。』
『ははっ。せやろ。』
『まぁいい。じゃあ失礼するよ。』
そう言い残しキヨシは去って行った。
ヒロシは一人窓から夕日を眺めていた。
:11/12/04 08:45
:S003
:VvOeydzQ
#36 [だーいし]
皆さん、見てくれてます?
:11/12/05 23:56
:S003
:tnivwt4I
#37 [我輩は匿名である]
楽しみにしています
頑張って下さい
:11/12/06 00:08
:LIGHT-P
:4Y//JG5I
#38 [だーいし]
中間テストが1週間と迫ったある日の帰りのHR
キヨシがヒロシに話しかけた。
『で、漫才の相方はどうなったの?』
『ん?あぁ、まぁ、うん。』
『もう諦めなよ。ここはそんなとこじゃないからね。』
『う〜ん。そうかもな。』
『見てのとおり、みんな授業が終わったのに勉強している』
『そこの2人!何してるの?』
1人の女子が話しかけてきた。
:11/12/06 02:22
:S003
:HVGjt/ww
#39 [だーいし]
『なんだ、マヤか。』
『なんよ!その言い方!』
『なんや、2人は知り合いなんか?』
『初めまして、隣のクラスの宮本マヤです。キヨシとは家が近所の幼馴染みなの!』
『そうなんや!こんな可愛い子が幼馴染みなんて、このこの〜』
『やめてくれ!』
『で、小林…君だっけ!?漫才の相方はどうなったの?』
:11/12/06 02:28
:S003
:HVGjt/ww
#40 [だーいし]
『う〜ん、それがさっぱりやねんな〜。』
『そっか。まぁこの学校だしね。ってかさキヨシ!あんたが相方になってやりなよ!』
『なんでだよ。』
『だって小林…君だっけ?困ってんじゃん!』
『困ってるからってなんで僕が漫才なんてしなくちゃいけないんだよ!』
『ヒロシでええで!』
『あんたは黙ってて!』
『君は静かにしてくれないか!』
『さすが幼馴染みや。。』
:11/12/06 02:32
:S003
:HVGjt/ww
#41 [だーいし]
暫く2人の言い争いが続いた。
『まぁまぁ2人とも…』
『分かったわ!今度の中間テストでもし、小林…ヒロシ君がヒロシ君が、5教科の合計点数で上回ったら相方になるって!どうよ?』
『…………』
『宮本さん、気持ちは嬉しいけど…』
『いいよ。僕はそれで。引き受けるよ!』
『ほんまか?やった!!』
『………ふぅ、じゃあ僕は塾があるから。』
そう言い残すとキヨシは教室を去った。
:11/12/06 02:51
:S003
:HVGjt/ww
#42 [だーいし]
『宮本さん!ありがとうな!っしゃぁ頑張るでぇ!』
『ヒロシ君…あのぅゴメンね!多分無理だと思うよ…』
『なっなんでや?』
『あの……ゴメンね。キヨシこの学校でもトップクラスの成績なの…てかぶっちゃけ学校1位。。』
『あいた〜。そうやったんや〜』
:11/12/06 03:05
:S003
:HVGjt/ww
#43 [だーいし]
その日の夜。
ヒロシは自宅のベランダから星を眺めていた。
『はぁ〜どうしよかな〜。』
時を同じくしてキヨシは塾で勉強に勤しんでいた。
『理由はどうであれ、勉強で勝負を挑まれたんだ…僕が負けるはずがない…』
キヨシはメラメラと闘争心を燃やしていた。
:11/12/06 05:56
:S003
:HVGjt/ww
#44 [だーいし]
中間テスト5日前…
授業中。
キヨシは授業そっちのけで受験勉強をしていた。
『中間テストは勉強をしなくても大丈夫だ。ガーゴー…目指すは東大。1秒足りとも無駄にガーゴー…できない!って「ガーゴー」ってなんだ?』
ガーゴー…zzZ
ガーゴー…zzZ
『こ、コイツ寝てるぞ!なんだ?なんなんだ??』
イビキを立てて寝ているヒロシの元にマツモトが歩み寄った。
:11/12/06 06:06
:S003
:HVGjt/ww
#45 [だーいし]
『コラッ!小林!!いつまで寝てるんだ!』
『は、はい!おかわりは2回まで!!!あ、あれ?』
『なんの夢を見てたんだ!?』
ワァッとクラス内が一瞬沸いたが、すぐに静寂を取り戻した。
『こんなヤツに負けるわけがない!転入できたのもたまたまだろう…大体この学校で漫才なんてできる訳がないんだ!』
寝ているヒロシを裏腹にキヨシは着々と闘争心を燃やしていた。
:11/12/06 06:12
:S003
:HVGjt/ww
#46 [だーいし]
中間テスト前日
放課後帰り道
『あちゃ〜また今日も1日中寝てもうたな〜。明日テストどうしよかな〜。あっヤバい今日は「勝ち抜け!お笑い戦(いくさ)」の日や!絶対見なアカンな!!』
ヒロシは走って家路を急いだ。
数時間後の夜。
『アカンアカンで!忘れてた!お笑い戦見る時に「おにぎりせんべい」は必需品やのに家にストックなかった!はよコンビニ行かな!あっ近道はこの公園通ったらええねんなっ!ん?あれは…?』
街灯が灯された公園のブランコに誰かが腰を下ろしていた。
:11/12/06 06:28
:S003
:HVGjt/ww
#47 [だーいし]
『やっぱり、キヨシか。』
『うわっ!鈴木君か!ビックリした!何してるの?』
『いや〜まぁちょっとコンビニに。』
『そう。じゃあ失礼するよ。』
『ちょ、ちょ、ちょまぁ待てや。自分は何しててん?』
『僕は塾の帰りだよ。』
『帰りって家近いんか?』
『まぁ、この辺だけど。じゃあこの辺で。』
:11/12/06 06:31
:S003
:HVGjt/ww
#48 [だーいし]
『いやいや!待てや!なんでまた公園に?』
『ここはちっちゃい頃からずっと遊んでた所なんだ…このブランコに乗るとなんか落ち着くんだ。心を引き締めたい時にはいつもここに来る。』
『なるほどな。ん、なんで今は心を引き締めたいんや?』
『なっ…明日はテストだろ!?もし君に負けたらしたくもない漫才とやらをしなくちゃならないからね!』
『せやで〜。』
『「せやで〜。」って!大丈夫なのかい?勉強とかちゃんとしてるの??』
『う、ま、まぁそれなりに。。』
:11/12/06 06:36
:S003
:HVGjt/ww
#49 [だーいし]
『その感じはどうやらやっていないようだね。』
『や、やってんで!』
『どうだか。まぁそれは明日分かる事だけどね!』
『絶対負けへんからな!』
『僕だって!じゃあ失礼するよ!』
『絶対相方にするからな〜!』
遠ざかるキヨシの背中にヒロシは放った。
『あっお笑い戦見られへんかった…』
:11/12/06 06:41
:S003
:HVGjt/ww
#50 [だーいし]
中間テスト当日
『はいっ始め!!』
マツモトの掛け声と共に中間テストが始まった。
ヒロシ・キヨシ、両者一瞬睨みあってから鉛筆を滑らした。
この高校は1日で5教科全てのテストをやりきる。
キーンコーンカーンコーン♪
『はーい!そこまでー!手置けよー!じゃあ後ろの人〜集めてきてー!』
中間テストの全科目が終了した。
『完璧だ…』
鉛筆を片付けながらキヨシが呟いた。
ヒロシはベロを出してへばっていた。
:11/12/06 06:48
:S003
:HVGjt/ww
#51 [だーいし]
感想ドンドン書いて下さいね!
:11/12/06 10:06
:S003
:HVGjt/ww
#52 [(*´∇`*)]
めっちゃ面白い

:11/12/07 01:20
:P08A3
:r.g8FWas
#53 [だーいし]
放課後。
キヨシは塾に行く準備をしていた。
『よう!どうだった?テストは?』
『なんだマヤか。完璧に決まってるだろ。』
『だよね〜。あれ?ヒロシ君は?』
『うん?さあな。なんかダッシュで出てったよ。』
『そっか。あってかさ、今日一緒に帰ろうよ!』
『わりぃ、塾なんだ。じゃあ』
『あ、うん。………つまんないのっ!』
そういうとマヤは去っていった。
:11/12/07 02:41
:S003
:UBBIUeuM
#54 [だーいし]
次の日
国語の授業中
国語の教師、東野は学校でも随一の厳しさを誇っている。今どき「竹刀」を常時しているのは全国だけでも東野だけだろう。
『であるからして、紫式部はかの有名な源氏物語を作ったわけだ。』
さすが東野の授業だけあっていつも寝ているヒロシもこの授業だけは真面目に取り組んでいた。
:11/12/07 03:09
:S003
:UBBIUeuM
#55 [だーいし]
『ゴメン、あの、授業ちゃんと受けたほうがいいよ。』
キヨシがコソコソとヒロシに話しかけた。
『何言うてんねん。オレは真面目に授業受けてるやんけ!』
『肩肘ついてかい?』
『これは〜その〜こうしたら落ち着くねん!』
『そうかい、てっきり学生服の内ポケットにいれてある携帯型ラジオのイヤホンを腕に通して肩肘ついてるフリして聞いてるのかと思ったよ。』
『げっ!いつから気ぃ付いてた!?』
:11/12/07 03:24
:S003
:UBBIUeuM
#56 [だーいし]
『みんなは騙せても聞こえるんだよね、隣の席だから音が。』
『あちゃ〜。でもまぁ見逃して!今日「漫才アワード」の発表やねん!開催地が大阪やからテレビでやってへんねん!だからこうやってラジオでやな〜まっお前に迷惑かけてないからええやん。』
『聞こえてくるんだよ!気になるんだよ!』
『分かった分かった!ボリューム下げるから〜』
『そういう問題じゃないんだよ!その光景が目に入って気が散るんだよ!』
『そんなん見ぃひんかったらええやんけ!』
『おい。』
『入るんだよ!視野に!いいかい人間の視野っていうのは…』
『あぁまてまて新人賞の発表やから』
『おい。』
:11/12/07 03:39
:S003
:UBBIUeuM
#57 [だーいし]
『さっきからおいおいうるさいねん!聞こえへんやろ!』
『僕はそんな事行っていない!』
『お―――い!!!!』
バシッ!!!!
『お前ら放課後生徒指導室にこいっ!!』
竹刀を床に降り下ろし、東野が2人に言い放った。
:11/12/07 03:44
:S003
:UBBIUeuM
#58 [だーいし]
放課後
東野からこっぴどく叱られた2人は罰として黙々と校庭の草むしりをしていた。
『あのさ、僕帰っていい?』
『何言うてんねん!このバケツいっぱいにするまで帰られへんねんて!まだ、半分も行ってないで…』
『僕、塾が…あもう無理だ!サボる事になったよ!初めてね!もともと君があんな事しなかったらね!』
『もぅえぇやんけ〜そんなん言うてもしゃーないやん!』
『ったく。早く終わらそう。』
『せやな。』
:11/12/07 04:06
:S003
:UBBIUeuM
#59 [だーいし]
草むしりをして2時間。
辺りはすっかり夜になっていた。
バケツの中の草はあと少しでうまりそうだった。
『いよいよ明日だな。』
『ん、何がやねん。』
『「何がやねん。」って。テストの返却日、明日だよ。』
『あぁ〜。』
『絶対負けないから。』
『もちろん、オレもやで!』
『あの、もし僕が負けたら…』
『おぉー!!やってるねー!』
2人に歩み寄ってきたのはマヤだった。
:11/12/07 04:24
:S003
:UBBIUeuM
#60 [だーいし]
『なんだマヤか。何しにきたんだ!?』
『何その言い方〜!せっかく差し入れ持ってきたのに〜』
『おぉ!マヤちゃん!気が利くね〜なんで分かったんや?』
『友達が言っててさ。』
マヤは2人に差し入れのおにぎりを渡しながら言った。
『てかさ!こんなに遅くまで、学校にいるのって初めてだよね!』
『あぁ、確かにな。僕は絶対にこの時間は塾だからね。』
『ヒロシ君は大阪の時、あった?こんな時間まで学校にいたこと?』
『ぁあま、まぁな。。』
『ん?何?』
:11/12/07 04:33
:S003
:UBBIUeuM
#61 [だーいし]
『とにかく、僕は失礼するよ!草むしりはこんなもんでいいだろ。』
2人に割り入るようにキヨシが言った。
『あぁ、すまんな。ありがと。』
『じゃあ、私も帰るね!』
『あぁ、すまんな!おにぎりありがと。』
『ヒロシ君、明日絶対負けないからね!』
『おぅ!ほなな!』
2人は帰っていった。
ヒロシはおにぎりを頬張りながら星を見上げていた。
暫くして、重い腰をあげ学校を去った。
:11/12/07 04:40
:S003
:UBBIUeuM
#62 [だーいし]
次の日
運命のテスト返却日
帰りのHRで全て返却される
『はい、じゃあテスト返すぞー。』
『えぇーーー!!』
松本の発言に台本通りのリアクションをするクラス一同。
『と、その前にだな、このクラスにとても優秀な人がいました!』
これまた台本通りにざわつくクラス一同
『えぇー、なんと5教科全て満点500点満点が出ました!』
一層ざわつくクラス一同
:11/12/07 08:07
:S003
:UBBIUeuM
#63 [だーいし]
『鈴木君じゃない?』
『多分鈴木だろ?』
『恐らくそうだろ。』
口々に呟くクラス一同。
『はーい!静かに!静かにしろーっ。はい、じゃあ発表するぞ!!…………、はいっ鈴木ぃ!』
おぉーっと驚きと共に『やっぱりな』という声もちらほら聞こえた。
『鈴木、おめでとう。』
松本の賛辞にキヨシは立ち上がって
『ありがとうございます。』
と一礼した。
:11/12/07 08:16
:S003
:UBBIUeuM
#64 [だーいし]
拍手に包まれた教室内
キヨシはみんなに挨拶をするかのように礼を続けた。
どや顔でヒロシの方を見たが、ヒロシは窓の外を見ていた。
『はい、おめでとうな鈴木。』
『ありがとうございます。』
キヨシは座りながらお礼を言った。
『えぇー……あと、小林!500点満点おめでとう。』
『え?』
拍手に包まれていた教室が一転、水が引くように静まりかえった。
:11/12/07 08:23
:S003
:UBBIUeuM
#65 [だーいし]
『えっ先生どういう事?』
ざわつくクラスを代表して学級委員長のユカが尋ねた。
『いや、だから小林も5教科全て100点だったんだよ。いや〜ビックリだな。』
松本がなぜか冷静に語った。
しばらくして、おぉーっという歓喜の声と共に拍手の渦がまた起こった。
:11/12/08 03:35
:S003
:KTs.2M8Q
#66 [だーいし]
『はい、静かにー!静かにー!でだな、全教科満点がなんと2人も出たという事で今度の全校集会で表彰される事になった!』
おぉーっとクラス一同。
ヒロシは喜びもせず、窓の外を見ていた。
HR終わり。
キヨシはヒロシに待ってましたと言わんばかりに尋ねた。
:11/12/08 03:44
:S003
:KTs.2M8Q
#67 [だーいし]
『ど、どういう事だよ!なんで、なんで君が満点なんだよ!授業中とか寝てばっかりじゃん!どうしてだよ!』
珍しく感情的になるキヨシ。
『勉強とか全然してないで!まぁテスト前に教科書読むぐらいしか…』
『す、すごい。それだけで満点とるなんて…』
『まっまあな。』
:11/12/08 03:50
:S003
:KTs.2M8Q
#68 [だーいし]
いつしか教室には2人だけ。
いつもの冷静さを取り戻したキヨシがこう続けた。
『完敗だよ…僕の負けだ。約束通りその漫才をやるよ。相方になるよ。』
『何言うてんねん。負けもクソもあれへんがな。引き分けや。』
『いやっ僕は完全勝利を目指していたんだ!負けも引き分けも同じなんだ!だから、漫才やるよ。』
『オレはな、嫌々やるやつとは漫才したないねん!ちゃんと漫才したい気持ちがあるやつとやりたいねん!』
:11/12/08 04:01
:S003
:KTs.2M8Q
#69 [だーいし]
『そっか、そうだよね。でも、なんか納得出来ないんだ!だから、なんでも言うこと聞くよ!何?何がいい?』
『グイグイくるなぁ!ん〜そう言われてもな〜。じゃああれやな!』
『なんだい?』
ヒロシは笑みを浮かべ立ち上がり、キヨシにこう告げた。
『今日、オレとデートしてくれっ!』
:11/12/08 04:06
:S003
:KTs.2M8Q
#70 [だーいし]
キヨシはヒロシの発言にキョトンとしていた。
『???あのどういう事かな???』
『せやからー。今からちとオレに付き合ってや!』
『悪いけど、今日塾が…』
『塾はいつもやろ!1日ぐらいえぇやろ〜?なぁなぁ〜』
ヒロシはキヨシをくすぐりながら言った。
『分かった、分かったよ!行くよ!行く!』
:11/12/08 04:17
:S003
:KTs.2M8Q
#71 [だーいし]
くすぐりに観念したのかキヨシはヒロシ言った。
『よしっ!そうと決まれば早く行くで〜!』
ヒロシはキヨシの腕を掴み教室を後にした。
その道中
『小林君、いい加減腕を離してくれないかな?』
『あぁわりぃ。わりぃ。で、もぅヒロシでえぇで!なんか前から統一性なかったし、オレだけ「キヨシ」言うてんのもおかしいしな!オレら友達やん!』
『友達?』
『あぁ!友達。ほら着いたで!』
ヒロシが指を指した先にあったのはたこ焼き屋。
『ほら、はよ行くで!』
『う、うん!』
先に店内に入ったヒロシを、キヨシは少し笑いながら追いかけてた。
:11/12/08 04:32
:S003
:KTs.2M8Q
#72 [だーいし]
『こんな所にたこ焼き屋あったんだね。』
『せやねん!こっちに引越ししてきてからずっと気になっててん!』
『僕も初めてだよ。あっきたよ!』
『なんでキヨシも同じ「明太マヨネーズ味」やねん!交換出来ひんやん!』
『しょうがないじゃん!好きなんだから!』
:11/12/08 04:39
:S003
:KTs.2M8Q
#73 [だーいし]
『おいしかったね。』
水を飲みながらキヨシが言った。
『うまかったけど、やっぱ大阪の方が美味いわ〜』
ヒロシがそういうと奥で作業をしていたガテン系の店長が2人を睨んだ。
『いやっまぁその〜めっちゃ美味かったな〜な、なぁキヨシ!』
『う、うん!』
:11/12/08 04:42
:S003
:KTs.2M8Q
#74 [だーいし]
ガテン系の店長は笑顔になり作業を続けた。
2人はため息をつきたこ焼き屋を後にした。
その後、2人はゲーセン・カラオケに行った。
辺りはすっかり暗くなっていた。
『楽しかったね。』
『あぁめっちゃ楽しかったな!』
『じゃあそろそろ…』
『最後にオレんちこーへんか?』
『ヒロシんちに?』
:11/12/08 04:46
:S003
:KTs.2M8Q
#75 [だーいし]
『こんな時間に大丈夫かい?親御さん心配しない?』
『うち、あれやねん。姉と2人暮らしやねん。だから大丈夫!』
『そ、そう。でも、ホントに大丈夫?』
『いいから、行くで!』
そういうとヒロシはまたキヨシの腕を掴んで歩き出した。
:11/12/08 04:49
:S003
:KTs.2M8Q
#76 [ラナケイン]
『さぁさぁさぁ、あがって!あがって!』
『おじゃまします。』
ヒロシの家は学校から歩いて30分の所にある10階立てマンションの最上階にある。
部屋は2LDK
『おかえりー。』
台所の奥で声がした。
パタパタパタとスリッパの音が近づいてくる。
『ちょうどよかった!今、ご飯の準備……こちらは?お友達?』
:11/12/08 08:10
:S003
:KTs.2M8Q
#77 [ラナケイン]
『おん!同じクラスのキヨシ。』
『初めまして、鈴木キヨシと申します。すいません夜分遅くにおじゃまして。』
『あら礼儀正しいわね〜。姉の小林ユイと申します!いつも弟がお世話になってます〜。』
ユイはエプロンで手を拭きながらキヨシをまじまじと見た。
『ん?どうかされましたか?』
『ねぇちゃん、初めて会う人をじっくり見る癖あんねん。』
:11/12/08 08:15
:S003
:KTs.2M8Q
#78 [ラナケイン]
『誰かさんとちがってしっかりしてるわね〜』
『誰のことやねん!そんな事より腹減ったわ〜』
『今日はね、塩ちゃんこ鍋よ!あっそうだ!キヨシ君も食べるわよね?』
『いやいや、僕は大丈夫です。その、ご飯時に来てやっぱり申し訳ないので帰ります。』
『何言ってんのよ、さぁ入って!』
今度はユイに腕を掴まれながらリビングに案内された。
:11/12/08 08:19
:S003
:KTs.2M8Q
#79 [だーいし]
すいません。名前が「ラナケイン」になっていました。
:11/12/08 08:20
:S003
:KTs.2M8Q
#80 [だーいし]
結局キヨシは夕食をご馳走になることになった。
『さぁ、そろそろ完成かな〜?フタ、オープン!!』
グツグツと土鍋の中で塩ちゃんこが煮えていた。
『お〜めっちゃ旨そうやん!』
『だろ〜誰が作ったと思うのよー?ユイシェフだぞー。ってか、キヨシ君リアクション薄くない?』
『はいっ?ああぁすいません。うわーおいしそーだー。』
キヨシは自分が出来る精一杯のリアクションをした。
それを見て小林姉弟は笑った。
:11/12/08 08:26
:S003
:KTs.2M8Q
#81 [だーいし]
『さすが、ヒロシの友達ねっ!おもしろいわ!』
塩ちゃんこをつつきながらユイが呟いた。
『あっありがとうございます。』
食事後、暫く他愛もない会話をしたあと、キヨシはある質問をユイにした。
ヒロシはバラエティ番組を見ている。
『あの、どうしてヒロシ君と2人暮らしを?』
『元々はこのマンションに先に上京してた私1人で住んでたの。でも、いきなりヒロシが東京で漫才したいとか言い出してね…』
:11/12/08 08:41
:S003
:KTs.2M8Q
#82 [だーいし]
『もちろん父さん母さんは猛反対してね、半ば家出する形でここに来たのよ。まぁ今でも怒ってると思うけど…』
『そうなんですか。』
『さっきから何の話してんねん!?』
バラエティ番組が終わりヒロシが2人の元へ。
『別に、あんたがカッコイイねって話よ。』
『嘘つけ!!まぁえぇわ。キヨシ、オレの部屋で漫才のDVD見ようぜ!』
:11/12/08 08:47
:S003
:KTs.2M8Q
#83 [だーいし]
『えっあっうん。』
キヨシはヒロシの後を追い、ヒロシの部屋に入った。
ヒロシの部屋は綺麗に整頓されており、壁一面にお笑い芸人のポスターが貼ってあった。
棚にはずらりとお笑いのDVDがところせましと並んでいた。
:11/12/09 15:59
:S003
:JfiVzRK.
#84 [だーいし]
『これ前買ってんけどまだ見てなかってん!伝説の漫才番組「気まぐれカウボーイ」の最新DVD〜』
『う、うん』
『何やねん!そのテンション!あっあれか?あんまお笑い番組見ぃひんとか?大丈夫!大丈夫!これは純粋に漫才しかしぃひんから初めてでも楽しめるで!』
『そ、そうなんだ。』
先ほどからぎこちない態度をとるキヨシにヒロシは疑問を感じていた。
『さっきから何やねん〜その感じ〜』
『ご、ごめん。じゃあ言うよ。………前から思ってたんだけど…………、漫才って何?』
:11/12/09 16:16
:S003
:JfiVzRK.
#85 [だーいし]
暫く沈黙が続いた。
『漫才を…………知らんのか?』
『う、うん。恥ずかしながら。』
ヒロシはDVDを一旦机に置いた。
『小さい頃から勉強しかしてなくてテレビは全然見せてくれなかったんだ。』
『それでも漫才は分かるやろ?』
:11/12/09 16:39
:S003
:JfiVzRK.
#86 [だーいし]
『いや……』
『でも、前から漫才漫才言うてたやん!!』
『あれは…、なんとなくっていうか知らないのがバレたら…みたいな。』
『そうなんや、よしっ!』
ヒロシは徐にベッドの上に立ち上がりこう言った。
『それでは「漫才」というものを説明しましょう!!』
:11/12/09 16:44
:S003
:JfiVzRK.
#87 [だーいし]
『漫才っていうのは基本的に2人でやるもんなんや。で、「ボケ」と「ツッコミ」という役割があるんや。』
『ボケ?……ツッコミ?』
『そう!この2人が滑稽な話をしてやな、お客さんを笑わすんや!』
『その役割って?』
『滑稽な話の中でおもしろおかしく洒落を言うのが「ボケ」、そのボケを正すのが「ツッコミ」なんや。』
:11/12/10 06:56
:S003
:f5ObjgjU
#88 [だーいし]
キヨシは顎に手をやり考えながらヒロシの話を聞いていた。
『その、なんとなく「ボケ」の役割は分かるんだけど、「ツッコミ」がイマイチ…』
『ん〜そやな、例えばボケが「最近暑くなってきましたね〜僕昨日コタツ出しましたよ。」というボケをしたとする。キヨシだったら何て言う?』
:11/12/10 07:00
:S003
:f5ObjgjU
#89 [だーいし]
『ん〜そうだね。「暑いのにコタツを出すのかい?普通はクーラーとかでしょ。まぁ人それぞれ体の特徴はあるけど。」かな。』
『…………ま、まぁそんな感じやな。でもそれやったら長すぎるやろ?オレやったら「いや出すかー!クーラーやろ!逆!逆!」みたいなね。』
『おぉーなるほどね。』
『漫才は「リズム」「コンビネーション」が大事やねん!どっちかが勝ってても疎かでもアカン絶妙なさじ加減が必要やねんな。』
:11/12/10 07:06
:S003
:f5ObjgjU
#90 [だーいし]
『奥が深いんだね。』
『あぁせやろ!』
ヒロシはテーブルに置いていたDVDを手に取った。
『じゃあそれを踏まえて〜』
DVDをプレイヤーに入れながら
『見てみましょう!』
ヒロシがリモコンを手に取り言った。
:11/12/10 07:10
:S003
:f5ObjgjU
#91 [だーいし]
DVDの時間は1時間15分。しかし、2人はそれより長く感じた。
ヒロシは笑いながら、キヨシはまじまじと初めて雪を見た子供のようにDVDを見ていた。
再生が終わりヒロシはDVDを取り出した。
:11/12/10 07:20
:S003
:f5ObjgjU
#92 [だーいし]
しばし沈黙が続いた。
『いや〜おもしろかったな〜。やっぱ最高やったなぁ!なぁ、キヨシ!あれ……どした?』
キヨシは黙ったまま遠くを見ていた。そして、重い口を開きこう言った。
『…………すごい。漫才ってこんなスゴいものだったんだ。日本にこんなすばらしい文化があったなんて、知らなかった……』
:11/12/16 17:00
:S003
:avd1Ac6E
#93 [だーいし]
『かん、感無量だよ。スゴいね。』
『せやな。そんだけ言うてくれたら漫才も嬉しいやろな〜。』
日付は変わろうとしていた。
『うわっもうこんな時間だ!それそろ帰るね。』
『いやっ泊まったらいいやん!』
:11/12/16 17:08
:S003
:avd1Ac6E
#94 [だーいし]
『そういうわけにはいかないよ。そろそろ親も帰ってくるしね。じゃあ、失礼するよ。』
キヨシが部屋を出ようとした瞬間にヒロシが話しかけた。
『キヨシ、オレと漫才やれへんか?』
『えっ?』
:11/12/16 17:11
:S003
:avd1Ac6E
#95 [だーいし]
『なんかよー分かれへんけど、漫才見てる時のキヨシ初めてオレが漫才見た時と同じ顔してたような気がしてな…せやからどやろキヨシ。』
『……気持ちはとっても嬉しいけど僕には無理だよ。勉強とかあるしね。今日は楽しかった。それじゃ。』
そう言い残しキヨシは部屋を出た。
『あれ?帰るの?』
キヨシが玄関で靴を履いているとリビングからユイが出てきた。
:11/12/16 17:17
:S003
:avd1Ac6E
#96 [だーいし]
『はい。』
『泊まったらいいのに。』
『いえっ大丈夫です。夕食ご馳走様でした。失礼します!』
キヨシはヒロシ宅を後にした。
その日は満月だった。
:11/12/16 17:18
:S003
:avd1Ac6E
#97 [だーいし]
数日後。
全校集会の日。
『だ!か!ら!僕は出ませんから!』
『そういうなよ鈴木〜これは名誉なことなんだぞ!?』
『だからって全校生徒の前で一言言うなんて…イヤです。』
キヨシは先日の中間テスト全教科満点の表彰を渋っていた。
:11/12/16 17:26
:S003
:avd1Ac6E
#98 [だーいし]
感想お待ちしてまーす!
:11/12/17 15:18
:S003
:4Q2AZYC6
#99 [だーいし]
松本は嫌がるキヨシを説得していた。
『小林を見てみろ。やる気満々だぞ!?』
教卓から自分の席を見てみると一人で表彰の練習をしているヒロシがいた。
『アイツはああいうのが好きなんです!僕は苦手なんです!』
『ん〜分かった。名前を言うだけにするよ。』
『お願いします。』
キヨシはホッと一息し、自分の席についた。
『なぁキヨシ、さっきから先生となんの話してたんや?』
『べっ別に。』
:11/12/17 15:33
:S003
:4Q2AZYC6
#100 [だーいし]
『そっか。まぁえぇわ、そんなことよりキヨシこの後頑張ろうぜ〜』
キヨシがため息をつき話そうとすると
『よーっし!そろそろ体育館に行くぞー!』
と松本が生徒に呼びかけた。
クラス全員が重い腰をあげた。
:11/12/17 15:38
:S003
:4Q2AZYC6
#101 [だーいし]
そして全校集会が始まった。
毎回校長の話が長い。
今日も話し始めて15分が経っていた。
『えぇという訳でもうすぐ1年生は遠足がありますが、上級生を見習ってよそに行っても我が校に恥じない行動をして下さい。えぇそれともうひとつ。前回の中間テストで1年生のクラスから全教科満点が2名出ました。B組の小林君と鈴木君前へ。』
:11/12/17 15:46
:S003
:4Q2AZYC6
#102 [だーいし]
二人の名前が上がると体育館がざわついた。
『よっと!はーいはい!話ながあてしんどいわー。』
ヒロシがブツブツ言いながら校長の元へ
『まっ満点とった一人ってきっ君かね?』
『あぁそやで!』
校長を含め体育館がまたざわついた。
『で、もう一人はまだかね?』
キヨシはうつむいていた。
:11/12/17 15:53
:S003
:4Q2AZYC6
#103 [だーいし]
『鈴木君、早く行きなさいよ!』
キヨシの前に座っていた佐藤が話しかけた。
『僕はいいよ。』
うつむいたまま答えた。
『こ、校長先生!』
慌てた様子で松本が校長の元へ
:11/12/17 15:56
:S003
:4Q2AZYC6
#104 [だーいし]
『実は鈴木は極度のシャイでありまして……』
ひそひそ話で松本が校長に報告する。
『そういうことか…なら仕方な…』
『おーい!!キヨシー!!はよー!!何してんねーん!!』
ヒロシがマイクで呼びかけた。
:11/12/17 16:02
:S003
:4Q2AZYC6
#105 [だーいし]
呼びかけを続けるヒロシ。
『あの、バカ。』
キヨシは前を向いた。
体育館はより一層ざわついている。
『こらっ!もうやめなさい!』校長がマイクを取り上げようとした所をひょいとかわし、ヒロシはキヨシの元にかけよった。
『おい!キヨシ行くで!』
ヒロシはキヨシの腕を掴んだ。
:11/12/17 16:07
:S003
:4Q2AZYC6
#106 [だーいし]
『何するんだよ!離せよ!』
強引に腕をとるヒロシにキヨシが言った。
『何言うてんねん!お前もくんねん!』
そして2人は全校生徒の前に。校長も落ち着きを取り戻し2人を見ている。
ざわついていた館内はいつのまにか静かになっていた。
:11/12/24 03:45
:S003
:lZ3yXS3o
#107 [だーいし]
まずはヒロシが話しだした。
『あぁ、ども。えぇ私が全教科満点取れたのは皆さんのお陰と言っても過言です!って過言か〜いってね!自分が一番カワイイっちゅーの!!』
ヒロシは両手を頭にやり猿のようなポーズをとりながら言った。
たまらず校長が咳払いした。
:11/12/24 03:49
:S003
:lZ3yXS3o
#108 [だーいし]
『ほらっ次、キヨシやで!』
ヒロシがキヨシの腕をとり言った。
キヨシは辺りを見渡した。
全校生徒の目線が自分の方を向いていた。
一気に身体中の体温が頭に集まる感じがして、おでこから汗が吹き出した。
『やっぱり無理だ。』
キヨシは自分が座っていた所に帰ろうとした。
:11/12/24 03:51
:S003
:lZ3yXS3o
#109 [だーいし]
『おいおいおい!何してんねん!なんか言えや!』
たまらずヒロシがキヨシの腕を掴む。
『僕には無理だよ!離してよ!』
『話すかいな!こんなチャンス滅多にないで!』
『チャンスって何だよ!離して!』
『おまっ!力強いねん!腕めっちゃ鍛えてるやろ!腕を中心に鍛えてるやろ!ほんで竹刀持って歩いてるやろ!』
『東野先生じゃないんだから!』
:11/12/24 03:55
:S003
:lZ3yXS3o
#110 [だーいし]
キヨシはヒロシの腕を振り払った。
しばらく館内に静寂が。
と、次の瞬間!
ドッハー!!!!!!!
全校生徒が一気に笑いだした。キヨシは何の事かサッパリわからなかった。
ヒロシも同じだった。
しばらく笑いは続いた。
『いつまで笑ってんだ!』
パーンッ!!!!
東野だった。
:11/12/24 03:58
:S003
:lZ3yXS3o
#111 [だーいし]
一気に沈黙の波が押し寄せる館内。
『そこの2人!後で職員室に来い!』
全校集会終了後、2人はこっぴどく叱られた。
説教が終わり2人は職員室を出た。
:11/12/24 04:01
:S003
:lZ3yXS3o
#112 [だーいし]
『なんで僕まで怒られないといけないんだよ!』
『知らんやんけ!東野が2人って言うたんやから。』
『君があそこで連れて行かなかったらこんなことにはならなかったよ!』
『いいやん!ウケたんやから!』
『出た出た。関西人はいつもそうだよ!笑いがあればいいっていう考え!あのね…』
『あぁー聞こえませーん!』
:11/12/24 04:04
:S003
:lZ3yXS3o
#113 [だーいし]
教室まで歩きながら2人が言い合っていると
『あんたたち!』
マヤが後ろから話しかけてきた。
『あんたたちまた問題起こしたわね〜』
『いいかマヤ。僕は関係ない!』
『おまっ!何やねん!ウケ…』
また言い争いが始まった。
『ハイハイハイハイ。分かったから2人とも落ち着いて。とにかく、おもしろかったよ。』
:11/12/24 04:08
:S003
:lZ3yXS3o
#114 [だーいし]
『えっ?』
マヤの思わぬ反応に2人とも目がテンになった。
『あれからうちのクラスでもさっきの話題で持ちきりになってさ。あの2人息ぴったりだねって!』
『はっ?馬鹿馬鹿しい!なんで僕がこんなやつと!』
『いや〜やっぱボケがバッシー決まったからな!』
:11/12/24 04:11
:S003
:lZ3yXS3o
#115 [だーいし]
『こう、バッシー決まったからお前のへなちょこツッコミでさえ生きたってことやな!』
『はいっ?僕がいつツッコミを?訂正しただけだよ?』
『それをツッコミ言うねん!』
『もういいから2人とも!』
:11/12/24 04:13
:S003
:lZ3yXS3o
#116 [だーいし]
『ねぇ!そんなことより遠足の場所どこにした?』
『あぁ今日までだっけあれ。』
『何の話や?』
『君はいつも寝てるからなんにも知らないんだね!』
:11/12/24 04:16
:S003
:lZ3yXS3o
#117 [だーいし]
3人が通う高校では1年生の時に遠足、2年生の時に修学旅行、3年生の時にも遠足があり無論進学校の為、行く場所は日本の歴史を垣間見れる場所などお堅い所が多い。
『今年は国会議事堂か人形浄瑠璃記念会館よ。』
『人形浄瑠璃記念会館?なんやそれ?絶対おもんないやん!』
『無難に国会議事堂だな。まっどっちもおもしろくないけど。』
『多分、圧倒的に国会議事堂の方が多そうね。去年も人形浄瑠璃記念会館の参加者は200人中3人だったらしいから…』
:11/12/24 04:23
:S003
:lZ3yXS3o
#118 [だーいし]
『そんなおれへんかったんや!』
『当たり前だろ!?今どきの高校生に人形浄瑠璃はないよ。』
『なるほどね〜』
『私も国会議事堂にしよ!じゃあね!』
そういうとマヤは去って行った。
:11/12/24 04:26
:S003
:lZ3yXS3o
#119 [だーいし]
帰りのHR。
クラス全員に遠足どちらに行くか選択する紙が配られた。
キヨシは迷う事なく「国会議事堂」の方に丸をつけた。
ヒロシの方を見た。
ヒロシは鉛筆を口に加えながら頭を左右に揺さぶりながらいた。
3日後、遠足の日がきた。
:11/12/24 04:30
:S003
:lZ3yXS3o
#120 [だーいし]
この学校の遠足は珍しく1泊2日ある。毎年決まって湘南にあるホテルに1泊するのだ。
グラウンド バス前
松本は点呼をとっていた。
『なんやお前来たんや!勉強ばっかやないんやな。』
『遠足といっても参加しないと内申点が下がるからね。』
『なんでも勉強かい。』
松本は点呼を終え生徒たちをバスへ誘った。
『はい、みんなおはよう。今からバスは東京駅博物館に向かいます。そこで昼食をとり、そこからは国会議事堂か人形浄瑠璃記念会館に各自向かってもらいます!この間みんなにどちらにするか書いてもらったなー!はい全員「国会議事堂」でしたー!!』
:11/12/24 04:38
:S003
:lZ3yXS3o
#121 [だーいし]
松本の言葉に『やっぱりな』という声がちらほら聞こえた。 しかし、松本は間髪いれずにこう続けた。
『と、思ったんだが……小林!お前人形浄瑠璃だな。』
車内がざわついた。
『せやで!楽しみやな〜』
一番後ろの5人乗れる席に座っていたヒロシが元気よく手を上げながら言った。
:11/12/26 02:30
:S003
:1VJcWcpA
#122 [だーいし]
『どんだけ君は目立ちたいんだよ。』
窓を眺めながら同じ5人乗れる席に座るキヨシが言った。
『へへっ!まぁみんなが行くとこ行ってもしゃあないしな!』
『…ふーん。まぁ1人で楽しんで。』
『へへっ!』
しばらくしてプシューと音を立ててバスが停車した。
:11/12/26 02:35
:S003
:1VJcWcpA
#123 [だーいし]
ついたのは「東京駅記念館」
東京駅の歴史はもちろん周辺の鉄道の歴史が刻まれた空間だ。しばらくして昼食。
大きな食堂に生徒全員が集まった。
昼食も終わり、松本がクラスの生徒にこう告げた。
『じゃあ今から、「国会議事堂行き」と「人形浄瑠璃記念館行き」に分かれてもらう。先に国会議事堂行きは先生と一緒に行こう!』
:11/12/26 02:42
:S003
:1VJcWcpA
#124 [だーいし]
『じゃあ行くぞー!』
松本がヒロシ以外を引き連れて東京駅記念館をあとにしようとしていた。
『っておい、鈴木何してんだ?』
松本が急に立ち止まり言った。
『はい?』
『お前、人形浄瑠璃の方だろ?そっちに丸してあったぞ。』
『いやっ僕は、国会議事堂…』
『おいおい、男に二言はないはずだろ?残って小林と勝手に電車で向かってくれ!』
:11/12/26 02:49
:S003
:1VJcWcpA
#125 [だーいし]
松本はそう言い残すと生徒を引き連れ出ていった。
他のクラスの生徒たちも同様に出ていった。
残されたのはヒロシとキヨシ。
『やっぱり、あんたたちも人形浄瑠璃にしたんだ!』
マヤが笑顔で近づいてきた。
『なんやマヤちゃんも人形浄瑠璃にしたんや〜』
『したんや〜じゃないよ!ヒロシ!勝手に書き替えただろ!!』
『な、なんのことかな〜』
:11/12/26 02:58
:S003
:1VJcWcpA
#126 [だーいし]
『とぼけるなよ!ったくなんで人形浄瑠璃なんだよ!』
『ええやん別に〜』
『いい加減に…』
『はいはい、2人とも喧嘩せずに行きましょう。』
マヤが2人の手を掴み記念館をあとにした。
:11/12/26 03:00
:S003
:1VJcWcpA
#127 [だーいし]
東京駅記念館から人形浄瑠璃博物館までは電車で15分ほど。国会議事堂とは真逆の位置だ。3人は切符を買い電車に乗り込んだ。時間は15時すぎだったが、座席は全て埋まっており3人は仕方なく並んでつり革を握った。
ヒロシとマヤは笑顔、キヨシはまだブツブツ言っていた。
:11/12/26 03:04
:S003
:1VJcWcpA
#128 [だーいし]
『あのさ、こういうのって普通だれか先生付き添いでこない?』
キヨシがいきなり言い出した。
『確かにせやなあ!なんでやろ。』
『誰も人形浄瑠璃にするなんて思わなかったんじゃない?結局3人なんだし。』
『なるほどね。だから僕は国会議事堂がよかったのに…あのさ、ヒロシは他の人と同じことはしたくなくて、僕は勝手に書き換えられて、マヤは一体どうして人形浄瑠璃にしたんだい?』
:11/12/26 03:08
:S003
:1VJcWcpA
#129 [だーいし]
『そ、それはあれよ。あんたたちが人形浄瑠璃にするかなって思って付き合ってあげただけよ!』
『やさしいな〜マヤちゃんは〜』
ヒロシとマヤは笑顔でじゃれあっていた。それを横目にキヨシはため息を着き流れる景色を見た。
:11/12/26 03:12
:S003
:1VJcWcpA
#130 [だーいし]
駅に到着。
人形浄瑠璃博物館までは駅から徒歩5分のとこにある。
『到着や〜!来たな!2人とも!』
建物が見えてき、ヒロシは2人を差し置いて走り出した。
『元気ね〜まるで子供みたい。』
『確かに。あんなヤツが全教科満点なんて信じられないよ。』
『…………』
『ん?マヤ?』
『…………あぁゴメンゴメン。早くいこ!』
そう言うとマヤは走り出した。
:11/12/26 03:21
:S003
:1VJcWcpA
#131 [だーいし]
キヨシも2人の後を追い人形浄瑠璃博物館へ。
キヨシは館内に入らずに建物の周りをうろうろしていた。
『どうしたの?早く入ろうよ!』
『いや〜マヤちゃんそうしたいんやけど、門閉まってへん?』
『うそ〜!?ほんとだ。』
館内に入る大きな鉄格子の門は固く閉ざされていた。
:11/12/26 03:26
:S003
:1VJcWcpA
#132 [だーいし]
『どうしたんだい?2人とも。』
2人に追いついたキヨシが投げかけた。
『いや〜中に入られへんねん。』
『え?』
『あ、まって中に人がいるわよ!』
マヤが指差す先に掃除をしている従業員らしき男性がいた。
:11/12/26 03:30
:S003
:1VJcWcpA
#133 [だーいし]
『すいませ〜ん!ここの方ですか?門開かないんですけど〜!』
マヤの呼びかけに気づき、従業員らしき男性が近づいてきた。
『あぁこんにちはー今日は臨時休業になりまして…』
『えっ???』
:11/12/26 03:33
:S003
:1VJcWcpA
#134 [だーいし]
『実は、私以外の従業員が差し入れに食べた饅頭にあたって集団食中毒になったんですよ。全く私を差し置いて饅頭なんか食べるからですよ!たまには遅刻するもんですね〜ハハハっ』
従業員が笑いながら言うもんで、3人は苦笑いで受け流した。
『で、どうする?』
門の前でマヤが2人に言った。
『どうするも何も皆と合流しようよ!さぁ行こう。』
歩き出すキヨシ。残りの2人は立ち止まったまま。
:11/12/26 03:43
:S003
:1VJcWcpA
#135 [だーいし]
『何言ってんの?こんなチャンス滅多にないわよ!遊びに行きましょうよ!』
『せやせや、キヨシ〜。お前なかなか遊ばれへんやろ?チャンスやって!』
『ダメだよ!遠足と言ってもあくまでも勉強の延長なんだから。』
『そっ。じゃあヒロシ2人で行きましょうか。』
『せやな。じゃあなキヨシ!1人で国会議事堂いってらっしぁ〜い!』
:11/12/26 03:47
:S003
:1VJcWcpA
#136 [だーいし]
『なっ。。じゃあ、僕は失礼するよ。』
キヨシは駅方面に向かって歩き出した。
どこ行く?うまいもん食いに行こう!などという会話が聞こえてきた。
しばらくしてキヨシが帰ってきた。
『い、今から国会議事堂行ってもほとんど説明終わってると思うし、こっちのほうが勉強になるかも。。』
ヒロシとマヤはお互い顔を合わせ笑った。
:11/12/26 03:53
:S003
:1VJcWcpA
#137 [ラナケイン]
とりあえず電車に乗り込む3人。また席が埋まっているためつり革を掴む。
『で、どこ行くんや?』
『そうね〜、とりあえずアキバ行かない?私、メイド喫茶ってずっと行きたかったのよね〜!』
『おぉ、いいね〜!俺も行きたかってん!なぁキヨシ。』
流れる景色を見ていたキヨシ。
『ん?あああ。あの「メイド喫茶」ってなに?』
『えっ?』
2人は言葉を失った。
:11/12/27 02:00
:S003
:WggWklQ6
#138 [ラナケイン]
しばらく沈黙が続きその後2人は笑いだした。
『あんた、メイド喫茶も知らないの?』
『キヨシ、マジか?』
『な、なんだよ!悪いかよ!で、メイド喫茶って何よ。』
:11/12/27 02:09
:S003
:WggWklQ6
#139 [ラナケイン]
ヒロシは咳払いをし、メイド喫茶の説明をしだした。
『メイド喫茶っていうのはメイドさんが自分たちの事をご主人様やお嬢様と称してお給仕をしてくれるってやつや。』
『つまり執事みたいなもので、給仕をしてくれるって事かい?』
『ザッツライッ!そういうことやで。』
『なんで、ご主人様になるの?僕たちは一般市民じゃないか?』
『まぁまぁ、行ってみたら分かるわよ!さぁ、着いたわよ。』
電車の扉が開き3人は秋葉原に到着した。
:11/12/27 02:20
:S003
:WggWklQ6
#140 [だーいし]
コテミスりました。すいません
:11/12/27 02:20
:S003
:WggWklQ6
#141 [だーいし]
『私、秋葉原くるの初めて!楽しみ〜』
『オレもや!キヨシはあんのか?』
『なんでご主人様と称されるんだい?』
『まだ言うてんのかい!とにかく行ったらわかるって!』
『そうよ、ほら着いたわよ!』
マヤが指差す方向には
『萌え萌えメイド喫茶 なちゅらる』
と看板を構える建物があった。
『もえ?萌えって何?』
:11/12/27 02:30
:S003
:WggWklQ6
#142 [だーいし]
『もぅ!入ったら分かるから!さぁ行くわよ!』
そういうとマヤはキヨシの腕を掴み店内に入っていった。
カランコロンカラーン♪
扉を開くとそこは学校の教室をモチーフにした内観だった。
『お帰りなさいませ!ご主人様とお嬢様!どうぞこちらへ。』
メイドの格好をした店員に案内される3人。
キヨシは目がテンになっていた。
:11/12/27 18:11
:S003
:WggWklQ6
#143 [だーいし]
『ご注文はお決まりですか?』
『いや、まだや。』
『あ、あの。』
『なんやキヨシ。もう決まったんか?』
『なんでご主人様とかお嬢様って呼ぶんですか?僕たちは普通の一般家庭に生まれ決して裕福とは言えないけ…』
『もぅ!いいからキヨシ!あっなんでもありません。また呼びます♪』
マヤはキヨシが意味不明な事を言い出したので店員に気を使った。
店員は愛想笑いを浮かべ店の奥に入っていった。
:11/12/27 18:15
:S003
:WggWklQ6
#144 [だーいし]
『あんた!要らないこと言わなくてもいいから!』
『何が要らないことだよ!僕は普通の…』
『分かった分かったから、早く注文決めましょ。』
そう言うと3人はメニューを眺めた。
よし決まった!とキヨシ以外の2人が言った。キヨシはまだ僕と言いながら必死にメニューを眺めた。
『すいませ〜ん。』
マヤが店員を呼ぶ。
『は〜い!お決まりですか?』先ほどと同じ店員がテーブルの前にきた。
:11/12/27 18:18
:S003
:WggWklQ6
#145 [だーいし]
『えっと、私はフルーツオレ〜おいしくなる呪文と共に〜』
『俺はアイスティー〜おいしくなる呪文と共に〜』
『えええっと、僕は、…………萌え萌えオムライス……で。』
『はい!かしこまりました♪』
店員は伝票にメニューを書き、店の奥へ入っていった。
:11/12/27 18:21
:S003
:WggWklQ6
#146 [だーいし]
と、ヒロシとマヤが笑いだす。
『な、なんだよ。』
ヒロシは不満げに2人に言った。
『お前ノリノリやんけぇ!』
『あんた本当に初めてきたの?』
また2人が笑った。
『そんなんじゃなくて、ぼ、僕はただオムライスが食べたかっただけだよ!』
『『ホテルに夕食あるのに〜?』』
2人は声を揃えてキヨシに言った。
キヨシは水を一気飲みした。
:11/12/27 18:25
:S003
:WggWklQ6
#147 [だーいし]
数分後。3人の注文のメニューがきた。
先ほどの店員の他に2名の店員がきた。
『では、お嬢様いっきまぁす♪おいしくなぁれ、ポン♪』
『では、ご主人様もいっきまぁす♪おいしくなぁれ、ポン♪』
ヒロシとマヤのが少し照れ笑いしながら飲み物を飲んだ。
キヨシは呆気にとられていた。
:11/12/28 20:21
:S003
:6yXC0Y4g
#148 [だーいし]
次はキヨシの番だ。
『ご主人様なんてお書きしますか?』
キヨシの頭に?が浮かんだ。
『何をですか?』
『あっ、ケチャップでご主人様のお好きな文字をお書きします♪』
『好きな文字……、じゃあ、「臥薪嘗胆」で。』
『えっ?』
店員は驚いた。
『ちょ、あんた!何言ってんのよ!』
『だって好きな文字だろ?僕の座右の銘を言っただけだよ。あっ意味を知らないんだね。意味はね、成功するには…』
『あっ店員さん、「きよしx」でお願いします。』
:11/12/28 20:33
:S003
:6yXC0Y4g
#149 [だーいし]
『はいっ♪』と店員は言いケチャップで書き始めた。
『おい、マヤ何勝手な事言ってんだよ!』
『あんたバカ?そういうのは「好き」とか「Love」とかなの!』
『そ、そうなのか。』
そうこうしているうちに、店員がケチャップで文字を書き終えた。
『はい!ご主人様書き終わりました〜♪』
そこには「きよしx」の文字が
:11/12/28 20:45
:S003
:6yXC0Y4g
#150 [だーいし]
『キヨシ、写メ撮らんでええんか?』
『と、とらないよ!恥ずかしい…』
『じゃあ、オレ撮ろーと。』
『か、勝手にしろよ。』
ヒロシはオムライスを撮影した。
しばらくして楽しんで3人はメイド喫茶を後にした。
店の前、マヤが切り出す。
『で、これからどうする?』
:11/12/28 20:51
:S003
:6yXC0Y4g
#151 [だーいし]
『もういいよ。そろそろ戻ろう時間だし。』
キヨシが時計を見ながら言った。
『え〜まだ遊ぼうよ〜。』
『せやせや!まだ行けるやろ〜』
『ダメだ。』
『なんやねん〜!オムライスニヤニヤしながら食うてたのに!』
『そ、そんな事ないよ。』
『てかてか、戻るのはいいけど1人で帰ったら怪しくない?』
『なっ………』
キヨシは黙った。
:11/12/29 03:13
:S003
:WjPgIqZs
#152 [だーいし]
『た、確かに。僕だけ帰るのはおかしいな。』
『でしょ?じゃあさ、プリクラ撮りに行こうよ!』
『いいね〜めっちゃいいやん!』
『キヨシ、プリクラっていうのは……』
『それはわかってるよ!』
3人は近くのゲーセンに寄ってプリクラを撮った。
『いい思い出になったな〜』
『そうね!』
『うん。』
3人は集合場所に戻った。
:11/12/29 03:23
:S003
:WjPgIqZs
#153 [だーいし]
集合場所近くでマヤと2人は別れた。
集合場所には他のクラスメイトがすでにいた。
恐る恐るソロリと列に入った。
『おお!戻ったか!どうだった人形浄瑠璃は?』
松本が列の先頭からこちらに向かってきた。
『いや〜先生それがね、なんや集団食中ど…』
『いやいや!大変よかったですよ〜!やっぱり日本の文化に触れるっていいですね〜』
『おお!そうかそうか!それはよかった!じゃあバスに乗るぞ〜』
松本の号令と共に、クラスメイトがバスに乗り込んだ。
『何正直に言ようとしてんだよ!バレるとこだったじゃないか!』
『いや〜悪い悪い!俺ばか正直やからな〜ハハハっ』
『たくっ。』
2人は一番最後にバスに乗り込んだ。
キヨシは少し笑顔だった。
:11/12/29 03:43
:S003
:WjPgIqZs
#154 [だーいし]
バスは湘南のホテルに着いた。ここは海に面しており、部屋からは湘南の海を一望できる。
バスをおりる一同。ホテルのロビーでこれからのスケジュール・部屋割りが発表された。
ヒロシとキヨシの部屋はバラバラだった。
『じゃあ、部屋についたら荷物を置いてまた下に降りてくるんだぞー。そっから食事だ。』
そう松本が言うと、一同は部屋に入っていった。
:11/12/30 01:12
:S003
:JvtjuTSY
#155 [ラナケイン]
待ちに待った食事。
この時ばかりはみんな、リラックスした様子で談笑しながら食事をしていた。
1人で食べていたキヨシにヒロシが話しかけた。
『1人で食うなんて水くさいやんけ!』
『あぁ。ゴメン』
『よくオムライス食べたのに食えるな〜』
『あ、あぁ』
:11/12/30 01:49
:S003
:JvtjuTSY
#156 [だーいし]
皆さん読んでくれていますでしょうか?ここでも構わないので、感想をお願い致します。
:11/12/30 18:48
:S003
:JvtjuTSY
#157 [だーいし]
『また2人で食べてんの?』
ヒロシとキヨシが夕食を食べているとマヤが夕食がのったお盆を持ってやってきた。
『なんだマヤか。メシの時くらい自分のクラスに行けよ。』
『なによその言い方〜!』
『ままま、キヨシいいやん!せっかく来てくれたんやから。』
言い争いながらも席につくマヤ。
『にしても遠出の外出、気の合う仲間との食事。やっぱりみんな笑顔やな。』
『ヒロシ君、いきなり何言ってんのよ!?』
:12/01/01 16:50
:S003
:aNbsd8Io
#158 [だーいし]
ヒロシが刺身を手にとり続けた。
『なんか、久しぶりに生きてるって感じたかも。』
『な、何言ってんの?ヒロシ君……』
『………あぁ、ゴメンゴメン。』
ヒロシはそういうと刺身を口にした。
食事も終わり3人はそれぞれの部屋に戻った。
『小林君そろそろ時間だよ。』
:12/01/01 17:06
:S003
:aNbsd8Io
#159 [だーいし]
扉付近で声をかける、同じ部屋の板尾と蔵野。
横になりテレビを見ていたヒロシ。
『時間てなんの時間や?』
『大浴場の時間だよ。A組の時間がもうすぐ終わりだから次は僕たちだよ。』
『おぉ、そうか!』
ヒロシはテレビを消し入浴の準備を始めた。
:12/01/01 17:16
:S003
:aNbsd8Io
#160 [だーいし]
部屋を出ると同じタイミングで向かいの部屋からキヨシたちも出てきた。
『おぉ、キヨシか。』
『うん、紛れもなく僕だよ。』
他愛もない会話をしながら大浴場へ。
そこにはすでにクラスの男子全員がいた。
2人は早速中へ。
2人は並んで背中を流した。
『なぁ、キヨシなんか静かすぎひんか?』
『何が?』
『いや、なんか「チ○コ見せろや!」とかあるやん!』
『あるわけないだろそんなの。』
:12/01/01 17:44
:S003
:aNbsd8Io
#161 [我輩は匿名である]
面白いです!
更新頑張ってください(^ω^)*
:12/01/01 19:31
:P03A
:uAkoqqFs
#162 [だーいし]
>>161ありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします!
:12/01/01 20:33
:S003
:aNbsd8Io
#163 [だーいし]
キヨシは体を洗い終え大きな浴槽の方へ向かった。
『おいっ!キヨシ!あっち露天風呂あんで!行こうや!』
『いいよ、僕は。みんなも入ってないし。』
クラスの男子は誰一人露天風呂に入っていない。
『ちぇっ、いいよ!一人で入るから!』
ヒロシは一人で露天風呂に入る。
:12/01/01 21:18
:S003
:aNbsd8Io
#164 [だーいし]
『はぁ〜いい湯やな〜。でも、なんでみんな来ぇへんねや?どんだけ早よー寝たいねん。ん……?』
ヒロシが独り言を言いながら露天風呂を堪能していると向こうから声が聞こえた。
『まさか!?』
ヒロシが声が聞こえる方に歩み寄る。
『おっ、やっぱり。』
露天風呂は一枚の塀を隔てて男湯・女湯がひとつになっていた。
ヒロシが急いで浴場の方に戻る。男子はほとんどいなかった。キヨシも出ようとしていた。
:12/01/01 21:33
:S003
:aNbsd8Io
#165 [だーいし]
『おいっ!みんな!女湯覗けるで!』
一気に男湯が静まりかえる。
男湯に残ったメンバーはキヨシをはじめ板尾・蔵野、キヨシと同じ部屋である篠原・吉田。そしてヒロシの計6名。
『小林君、今なんと?』
板尾が尋ねた。
ヒロシが手招きで皆を集めて話し出す。
『そこの露天風呂、壁があんねんけどちょっち穴空いてて女湯が見えんねん。』
『それで見えたのかい?』
興味津々を殺しつつ尋ねる蔵野。
:12/01/01 21:53
:S003
:aNbsd8Io
#166 [だーいし]
『いやっ、オレもビックリしてあんまよう見てないねん。』
少し落胆する一同。
『馬鹿馬鹿しい。そんな変態な事に興味はないね。じゃあ。』キヨシは浴場から出ようとした。
『ちょいまて!お前、そんなん言うて女子にチクるんやろ!』
『そんなことしないから。』
『ウソつけ!なぁみんな!』
ヒロシの掛け声に「そうだ!そうだ!」と口々に言う一同。
:12/01/01 22:02
:S003
:aNbsd8Io
#167 [だーいし]
『だから言わないって!ていうか何だろう?みんなそんなキャラクターだったの?そしてそんなヒロシと仲良くなかったよね?』
キヨシの反論にぐらつく一同。
『そんなこと関係ないっ!僕たちは男だぁ!!』
叫ぶ篠原。
『だからそんなキャラクターだったの?』
『とにかく!お前にはここにおってもらう!この秘密はオレらだけしか知らん事にしてもらうで!』
:12/01/01 22:14
:S003
:aNbsd8Io
#168 [だーいし]
『女湯は男のロマンやねん!だからおってもらうで!キヨシ!』
一同がキヨシの方を睨み付ける。
『わ、分かったよ。いればいいんだろ!いれば!』
「おぉ〜」
と歓声が上がったのち拍手がおこった。
『なんの拍手だよ。』
一同は頷き、露天風呂に向かった。
:12/01/01 22:21
:S003
:aNbsd8Io
#169 [だーいし]
『こっちや!こっち!ほら穴空いてるやろ?』
『ほんとだー。小林君すごいよ!』
『せやろ?』
キヨシ以外の連中は壁に這いつくばるようにいた。
『僕はここで見てるから。』
キヨシは浴場と露天風呂を繋ぐ扉付近にいた。
『何言うてんねん!お前も見んかい!』
:12/01/02 00:25
:S003
:8coA5JiE
#170 [だーいし]
『いいよ。ここにいるよ。あのもう1回聞くけど、なんでそんな仲いいの?てか、よくなってんの?』
すると先ほどまで黙って頷いていた吉田がこう切り出した。
『「女湯を覗く」それで生まれる友情もあるんじゃないかな…』
『……うん、何言ってんの?大丈夫なの?バレたら進学に響くよ。』
キヨシは一同に痛い所をついた。
:12/01/02 00:31
:S003
:8coA5JiE
#171 [だーいし]
一同の視線が扉の方に向いた。
『男には、何かを犠牲にしても得たいものがあるっ!』
篠原が叫んだ。
「シーっ!」っとヒロシ。
『いや、かっこよくないよ!欲望は人を変える…。』
『キヨシ!何を染々言うてんねん!お前も見んかい!』
キヨシを無理矢理穴の方に連れていくヒロシ。
:12/01/02 00:36
:S003
:8coA5JiE
#172 [だーいし]
6人は6台並んでいるマッサージチェアに座り、フルーツ牛乳を飲んでいた。みなポカンとしていた。
『ビバ、遠足』
ヒロシは呟いた。
数分前まで6人の目の前に広がっていた、壁をひとつ挟んだ向こうに広がるネバーランド。
『1分交代!』
ヒロシが掲げたルールもどこふく風…。
全員が穴から見えるネバーランドを堪能した。
:12/01/02 00:42
:S003
:8coA5JiE
#173 [だーいし]
『おい、キヨシ。おーい。キヨシ!』
『あああ。ゴメン。』
『いつまでポカンとしてんねん!』
『あれみんなは?』
『とっくに部屋に戻ったわ!このエロがり勉め!』
『誰がエロがり勉だよ!』
すでに次のクラスの男子たちがこちらをパッと見た。
『へ、部屋に戻ろう。』
しばらくして、就寝時間になった。
:12/01/02 00:49
:S003
:8coA5JiE
#174 [だーいし]
それは急にきた。
物事は何時なんどきどうなるか分からない。
『ダメだ!寝られない!』
布団をガバッと持ち上げ、キヨシは起きた。
『こ、興奮して寝られない。』
篠原と吉田はイビキを立てて寝てる。
2人とも口角が上がっている。テレビのリモコンを手にとり、テレビを付けるが普段テレビを見ないキヨシにとっては深夜のドバラエティの意味があまりわからなかった。
:12/01/02 00:58
:S003
:8coA5JiE
#175 [だーいし]
キヨシは忍び足で部屋を出た。深夜3時すぎ。見張りはいない。
ホテルを出て道路を挟んだ砂浜に向かった。
『こんな夜中に海に来たのは初めてだな。』
キヨシは砂浜にあったほどよい流木に座り海を眺めていた。
:12/01/02 01:09
:S003
:8coA5JiE
#176 [だーいし]
しばらく海を眺めていると、遠くで花火の音が聞こえた。
音が段々こちらに近づいてくる。キヨシは気になって音のする方に目線をやった。
『………ちょ……ひ……あっ!!!』
『なんだ?』
キヨシが近づくと誰かがひとりでロケット花火をしていた。
『いや〜1人で花火って中々おもろいな〜!』
:12/01/02 18:10
:S003
:8coA5JiE
#177 [だーいし]
『ヒロシ?』
『なにがおもろいんかな〜花火ってなんかテンション上がるな、……おぉ!キヨシやんけ!おお!おったんや!!ちょ花火しようや!花火!』
『お、おう。』
ヒロシは手に持ってあるロケット花火をキヨシに渡した。
:12/01/02 18:34
:S003
:8coA5JiE
#178 [だーいし]
『なんで花火してんの?』
ロケット花火を打ち終え2人は手持ち花火をしていた。
『いや〜なんか寝られへんくてな!そこのコンビニで買ってん。お前誘おうとしてんけど、そーいやケータイ知らんくてな。』
『あぁ、そうだったね。後で教えるよ。』
『イェイ!じゃあ最後線香花火しようぜ!』
『う、うん!』
:12/01/03 01:14
:S003
:G0CP4cME
#179 [だーいし]
『あぁ、終わっちゃった。』
キヨシの線香花火の明かりが地面に吸い込まれた。
『あれ?ヒロシは…?』
『おぉーい!ジュースとお菓子買ってきたで〜♪』
ヒロシの声が遠くの暗闇から聞こえた。
『もぅ、完っ全に目覚めたからな!朝まで呑もうぜっ〜』
『呑もうってジュースだろ。』
『冷たっ!!』
:12/01/03 01:28
:S003
:G0CP4cME
#180 [だーいし]
『じゃあ乾杯♪』
『乾杯。』
2人はお互いの缶を合わせた。ふぅと息をはきキヨシは話しだした。
『花火なんて久しぶりだな〜。』
『久しぶり?』
『うん。幼稚園の時によく家族でやってたんだけど小学校に入ってからは勉強勉強で全然しなくなったんだよね。』
:12/01/03 01:39
:S003
:G0CP4cME
#181 [だーいし]
『そっか。じゃあもぅ何十年ぶりか。』
『そうなるね。凄い楽しかった。』
『オレも。』
『ヒロシが転校してきてからなんか生活が楽しくなったよ。』
『えっ?』
キヨシの思わぬ発言にヒロシは少し戸惑った。
:12/01/03 01:44
:S003
:G0CP4cME
#182 [だーいし]
『一緒にたこ焼き屋行ったりとか、カラオケで歌ったり、今日で言うとメイド喫茶行ったりさ。僕、女湯覗くなんて今までしたことなかったよ。』
『フフっ!オレも初めて♪』
『なんか色々と今まで出来なかった経験が出来たってか。ありがとな。』
『な、なんやねん!改まって!』
ヒロシは笑って返したがキヨシは真剣だった。
:12/01/03 03:13
:S003
:G0CP4cME
#183 [だーいし]
『キヨシの家で漫才見ただろ?あん時なんていうか全身に電流が流れたっていうか、衝撃が走ったんだよね!』
ヒロシはポテチを食べながら黙って耳を傾ける。
『初めてだった、あんなの。限られた時間でマイク1本で笑いをとるなんて……信じられない』
『…、それが漫才が持つパワーなんや。』
:12/01/03 05:50
:S003
:G0CP4cME
#184 [だーいし]
『ヒロシあれ覚えてるかい?全校集会で2人で前に立ったの。』
『ああ!あれな、あの笑いとったやつや!』
『うん。あれは凄かったよね!見渡す限りみんな笑ってた。みんながそれぞれ何かを訴えるように笑ってたっていうか。……、あのさヒロシ』
『ん?なんや?』
キヨシは立ち上がり夜が空けそうな空を見上げてこう言った。
『僕にも出来るかな、漫才。』
:12/01/03 06:05
:S003
:G0CP4cME
#185 [我輩は匿名である]
主さんふぁいと!
更新楽しみぉ
:12/01/03 14:47
:K007
:☆☆☆
#186 [だーいし]
>>185ありがとうございます!
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!
:12/01/03 18:38
:S003
:G0CP4cME
#187 [だーいし]
しばらく沈黙が続いた。
『えっ?』
ヒロシがキョトンとした感じキヨシを見つめた。
『勉強以外の大事なものを見つけた気がするんだ。だからヒロシ僕といっ…』
『キヨシ、キヨシがマジなんは目見たら分かる。でもオレでええんか?』
キヨシは体をヒロシの方に向けた。
『もちろんだよ!』
:12/01/03 18:51
:S003
:G0CP4cME
#188 [だーいし]
『………そうか。一緒に…………、やるかっ!』
『ヒロシ……』
ヒロシは立ち上がり、波が足元まで届く所まで走り出した。 そして目の辺りを服で拭い振り向き様にこう言った。
『いつまで待たすねん!』
キヨシは大きく頷いた。
こうして後に伝説を残す漫才コンビが誕生した。
しかし、これが彼らにとっての試練の始まりだとまだ知る由もなかった。
:12/01/03 19:11
:S003
:G0CP4cME
#189 [だーいし]
2日目はお互いどこに行き、何をしたかあまり覚えていない。ただ、どの集合写真も2人とも「笑顔」だった。
遠足が終わって次の日の放課後ヒロシは気になっている事をキヨシに尋ねた。
『漫才の練習やねんけどどうする?』
『ん〜そうだね。毎日のように塾があるからね。でも…僕塾辞めるよ。』
『えっ?大丈夫なんか?』
『うん!勉強は家でも出来るからね!』
:12/01/03 20:29
:S003
:G0CP4cME
#190 [だーいし]
キヨシのただならぬ意気込みを感じたヒロシは単純に嬉しかった。
放課後、2人しかいない教室でヒロシは目標を黒板に書き出した。
「文化祭公演!」
黒板にはこう書いていた。
『いいかキヨシ!文化祭でオレらの漫才を見てもらうんや!』
:12/01/03 22:32
:S003
:G0CP4cME
#191 [だーいし]
『なんやねん、難しい顔して。』
『ん〜それは難しくないかな!?今までそんな事した人はいないよ。』
そう。2人が通っている帝都西高校は歴史を重んじる高校。文化祭では日本舞踊や琴の演奏などが行われていた。
『やってみな分からんやんけ!』
『……そうだよね。一緒に頑張ろう!』
:12/01/03 22:41
:S003
:G0CP4cME
#192 [だーいし]
次の日の昼休み。
2人は図書室にいた。
学年クラス関係なく勉学に励んだり調べものをしたりしていた。
『なんやねん、キヨシ図書室なんかで』
『ここに「生徒手帳図鑑」というこの高校の全てが書いてあるものがあるんだ。』
『うん、それで?』
『そこには校則も書いてあるんだ。どうやったら文化祭に出れるか見てみよう。』
:12/01/03 23:13
:S003
:G0CP4cME
#193 [だーいし]
『そんなの、松本に聞いたらええやん!?』
『あの人が確実な事言ってくれると思うかい?』
ヒロシは上を見上げる。
『あぁ確かに。』
『だろ?じゃあ早速見てみよう。』
生徒手帳図鑑にはこう記載してあった。
:12/01/03 23:17
:S003
:G0CP4cME
#194 [だーいし]
「二、帝都西文化祭に出場できる者。@部活動であることとし、顧問の教諭1名、生徒3名以上とする。A時間は15分以上20分以内とする。B上記の@を満たしている場合でも学校長の権限で取り消すことも可能とする。」
2人は生徒手帳図鑑を閉じ困り果てた。
『部活動……』
キヨシは呟いた。
ヒロシは徐に立ち上がりこう叫んだ。
『よっしゃ!「漫才部」の設立やで!やったるで!』
:12/01/03 23:41
:S003
:G0CP4cME
#195 [だーいし]
図書室にいる全員がこちらを見た。たまらずキヨシはヒロシを連れて図書室を出た。
『何言ってんだよ!ヒロシ!』
『だってせやろ!?部やないと文化祭出られへんねんで。』
『ん〜確かに。でも、まず部員がね。』
『誰か忘れてない?』
後ろで声がした。
『マヤ?』
『マヤちゃん?』
:12/01/04 02:18
:S003
:gYrv84dY
#196 [だーいし]
『漫才で文化祭に出るにはまず部にならないといけなくて、顧問と部員が必要なのね…』
『なんで分かんの?まだ誰にも言ってないのに。』
『さすが女の勘ってやつや……』
マヤが咳払いをしてこう続けた。
『いいよ!私が部員になってあげる♪』
『ホントかい?マヤ!?』
『うわぁぉ!トリオ漫才か〜』
:12/01/04 02:25
:S003
:gYrv84dY
#197 [だーいし]
『勘違いしないでね!あくまでも「マネージャー」としてよ!』
『そうか〜なんやトリオ出来ると思てんけど……』
『まぁヒロシこれで部員の件は解決だね!』
『おうよ!次は顧問か〜』
3人は職員室に向かった。
:12/01/04 02:38
:S003
:gYrv84dY
#198 [だーいし]
『漫才部ーっ!?』
『シーっ!声がデカイねん先生!!』
『あぁ、悪い。でも何言ってんだ?』
『僕たち漫才で文化祭に出たいんです!お願いします松本先生!』
『鈴木まで何言ってんだ!?』
:12/01/04 02:46
:S003
:gYrv84dY
#199 [だーいし]
『とにかく、そんなふざけた部活の顧問をするつもりはない!そもそも先生陸上部の顧問だしな。』
それでも引き下がらない3人。
『掛け持ちでもいいやん!』
『ダメだ。』
マヤが制服のリボンに手をやり
『これでもx』
『先生なガキには興味ないんだ。』
:12/01/04 02:50
:S003
:gYrv84dY
#200 [だーいし]
『そんな冷静に言わなくても…』
『じゃあ、陸上部の練習があるから』
そういうと松本は職員室を去った。
所変わって理科準備室。
『は〜ダメやったな〜。』
『松本先生以外いないもんね。』
『って何で理科準備室なのよ。』
:12/01/04 02:58
:S003
:gYrv84dY
#201 [だーいし]
マヤの素朴な疑問にキヨシも乗っかる。
『確かに。なんで?』
『あぁ、ここ部室にしようかなと思てな!もしどっちか学校休んでも1人で練習出来るしな!ほら!』
ヒロシが窓の隅を指差す。
『って人体模型じゃん。』
『で、なんでここを部室にすんの?』
:12/01/04 03:02
:S003
:gYrv84dY
#202 [だーいし]
『ここはキヨシと初めてガッツリ喋ったとこやねん。なんちゅうか「始まりの場所」っちゅうかな。ここがええねんな。』
『キヨシ…』
『ふーん。そうなんだ。で、どうすんのよ顧問。』
『困ったな〜。とりあえず明日にするか!明日までに各自案を持ち寄ろうや!』
『そうだな。分かった。じゃあ、また明日。』
『え、ちょ、いいの?』
3人は部室を出た。
:12/01/04 03:16
:S003
:gYrv84dY
#203 [だーいし]
その日の帰り道。
マヤとヒロシは家路についていた。ちなみに家は隣通しだ。
『てかキヨシ、あんた塾やめた事お母さんに言ったの?』
『いや、まだ。』
『ちょっと大丈夫なの?あんたんち厳しいんじゃないの?』
『ま、まぁそのうち言うよ。』
『お父さんもたまにしか帰ってこないんだからちゃんとしなよ。』
『わ、分かってるよ。じゃあな。』
キヨシは足早に去っていった。
:12/01/04 04:43
:S003
:gYrv84dY
#204 [だーいし]
次の日、朝のHR。
教頭がクラスに入る。
『はい、静かにー!えぇ、担任の松本先生が昨日ですね陸上部の指導中に左膝を複雑骨折して入院する事になった。』
ざわめくクラス
『静かに!で、新しく臨時で帝都東高校から応援でこのクラスを担当する先生を紹介する。はい、入って。』
教頭の一言で臨時の先生が教室に入ってきた。
:12/01/04 05:04
:S003
:gYrv84dY
#205 [だーいし]
そこには中肉中背の30代の男性がいた。
『臨時でこのクラスの担任になりました。今田と申します。短い間ではございますがよろしくお願いします。』
まばらな拍手が飛び交った。
昼休み。
ヒロシはパソコン室に忍び込んだ。
『やっぱり……、そうだ。』
そして、放課後。
ヒロシ・キヨシ・マヤの3人は部室にいた。
:12/01/04 05:11
:S003
:gYrv84dY
#206 [だーいし]
『2人のクラスに臨時の担任が来たんだって?』
マヤがバームクーヘンを食べながら言った。
『あぁ。松本が複雑骨折したみたいで。』
『顧問断ったからバチが当たったのよ!』
『2人ともいいかな?』
ヒロシが立ち上がった。
『どうしたの?』
:12/01/04 06:47
:S003
:gYrv84dY
#207 [だーいし]
『臨時担任の今田先生な、元芸人やねん。』
『えっ?』
2人はヒロシの方を凝視する。
『まぁ芸人言うてもインディーズやけどな。俺がまだ大阪におる中2の時によく、インディーズ芸人が集まるライブハウスに行ってたんや。そこで今田先生も漫才しててな。いっつもウケててな、それはめっちゃおもろかってん。でも、ある日を境にパタッと来んようになってな。誰も行方は知らんかった。まさか、こんなとこで会えるとわな。』
:12/01/04 06:53
:S003
:gYrv84dY
#208 [だーいし]
『そうだったんだ…。』
『でな、2人とも。俺に考えがあんねん!』
2人はさらにヒロシを凝視する。
『今田先生を漫才部の顧問にする!』
『なるほど。元芸人の観点で助言をしてもらうって訳だね。』
『おいキヨシ、なんで先言うねん!』
『ご、ごめん。』
『そうと決まれば行きましょ!』
3人は職員室に向かった。
:12/01/04 06:57
:S003
:gYrv84dY
#209 [我輩は匿名である]
:12/01/04 10:20
:Android
:76.5O9bY
#210 [だーいし]
:12/01/04 14:46
:S003
:gYrv84dY
#211 [だーいし]
『今田先生なら裏庭に行ったわよ。』
職員室で他の教師から情報を得た3人は裏庭に向かった。
裏庭の花壇の花に水をやる今田。
『先生。』
『やぁ、えっと小林君に鈴木君だっけ!?君は……?』
『隣のクラスの宮本と申します。』
『宮本さんね。覚えておくよ。』
:12/01/04 14:53
:S003
:gYrv84dY
#212 [だーいし]
『先生、なんで水やりをしてるんですか。』
キヨシは聞いた。
『これか?先生な花に水をやるのが好きなんだよ。帝都東でも毎日やってたんだ。いい大人なのに変わってるだろ?ハハハ』
今田は笑いながら水をやり続ける。
『ザ・ピスタチオ……』
ヒロシはボソッと呟いた。
と今田から先ほどの笑顔が消え、ホースから水が出なくなった。
:12/01/04 14:59
:S003
:gYrv84dY
#213 [だーいし]
『ザ・ピスタチオどうして解散したんや先生?あんなにおもしろかったやないですか!』
今田は戸惑いながらも無理矢理笑顔をつくり
『な、随分昔の事知ってるんだね、小林君。』
『どうしてなんや?』
黙り込む今田。
『あっ、変な事聞いてゴメンな先生!アッハハハ。あのな、先生俺ら今、「漫才部」っていうのやってて先生にその顧問やってほしいねん。顧問おらな文化祭でられへんくてな。だから先生に』
『断る!!』
今田の声が校舎の壁に反響した。
:12/01/04 15:09
:S003
:gYrv84dY
#214 [だーいし]
『ご、ごめん大きな声出して。じゃ先生失礼するよ。』
今田はホースを片付け去っていった。
『なによ!あれ!あんな言い方しなくてもいいじゃない!』
ヒロシとキヨシは黙ったままだった。
:12/01/04 15:15
:S003
:gYrv84dY
#215 [だーいし]
次の日。1年C組マヤのクラス。
『次は、体育か…』
次の授業が体育のため教室の後ろにあるロッカーに向かう。
『あれ?ない。』
ロッカーにあるはずの体操着がない。その間に他の生徒は体育館に向かっていく。
教室にはマヤ一人になった。
ふと、ゴミ箱に目がいく。
そこにはあるはずのないマヤの体操着が捨ててあった。
マヤはいじめにあっていた。
:12/01/05 01:39
:S003
:w3r/fQqk
#216 [だーいし]
放課後。部室。部屋にはキヨシだけ。
『ヒロシのやつどうしたんだろ。急にいなくなって…』
ガチャ…
『ちょ、キヨシ手伝ってくれ。』
ヒロシがテレビを抱えながら部屋に入ってきた。
『な、何してるんだよ!わ、分かったこっち持つね。』
2人は机にテレビを置いた。
:12/01/05 01:48
:S003
:w3r/fQqk
#217 [だーいし]
『ふ〜疲れた〜。いやーバレるかと思ったわ〜。』
『どうしたのこれ?』
『いや〜この部屋テレビなかったやん。だから。視聴覚室から余ってんの持ってきてん!』
『「持ってきてん!」ってどうしてだい?』
ヒロシは顔をくしゃくしゃにし笑いながら自分のカバンをあけた。
:12/01/05 01:52
:S003
:w3r/fQqk
#218 [だーいし]
バササササと音を立てて中からDVDが大量に出てきた。
『こ、これは?』
『お笑いDVDや〜!!キヨシに漫才とはなんぞやって言うのを勉強してもらおうと思ってな。まっオレも人の事言われへんけどな!』
『ヒロシ…ありがとう!』
『かめへん!かめへん!』
ヒロシは手を振りながら部屋を出ようとする。
:12/01/05 01:58
:S003
:w3r/fQqk
#219 [だーいし]
『どこに行くんだい?ヒロシ。』
『オレが、今田先生を説得するわ。何としても。それまで待っといてくれ。顧問捕まえたら、漫才練習しような。』
『うん。任せたよ。』
ヒロシは笑顔を見せて部屋を出た。
一息つきキヨシはDVDを見ていく事に。
ピリリリリリ……
携帯が鳴る。母からの着信。
キヨシは出ずにじっと鳴りやむのを待った。
母からの着信は今日で何度目だろう。
:12/01/05 02:06
:S003
:w3r/fQqk
#220 [だーいし]
裏庭に移動するヒロシ。
そこには今田が花に水をやっていた。
『断る!!』
今田の声が脳裏をよぎる。
後ろを振り返る今田。
『やぁ。この前はゴメンね。あんな大きな声出して。』
『いや、全然大丈夫っす。』
『こんな事言うのはあれなんだけど、もう僕の前で漫才の話はしないでくれるかな。もちろん「漫才部」の顧問の件も正式に断るよ。』
『先生……』
:12/01/05 02:15
:S003
:w3r/fQqk
#221 [だーいし]
それでも引き下がらないヒロシ。
『先生、俺らのコンビ絶対におもろくなると思うねん!ザ・ピスタチオに負けないような…』
今田は無言でヒロシを見つめた。何とも言えない哀しみにみちた顔をしていた今田にヒロシは言葉を詰まらした。
『じゃあ、失礼するよ。』
今田はその場を去ろうとした。校舎の入口の扉を開けて今田は立ち止まった。
『これだけは言っておくよ小林君。ただ「おもしろい」だけじゃダメなんだ。犠牲が多すぎるよ、漫才は…』
扉が閉まって。
ヒロシは何も言えなかった。
:12/01/05 02:22
:S003
:w3r/fQqk
#222 [だーいし]
数日後の放課後。部室。
キヨシは1人でDVDを見ながら何かをメモしていた。
ガチャ
『よう、キヨシ。』
『ヒロシ。』
ヒロシが机にカバンを置く。
『なんやまたマヤちゃんおれへんやん。』
『そうなんだよ。最近はあまり教室にもこないしね。まぁいいんじゃない?まだマネージャーとしての仕事はないわけだし。』
:12/01/05 04:36
:S003
:w3r/fQqk
#223 [だーいし]
『ま〜せやな。』
ピリリリリ……
キヨシの携帯が鳴る。母からの着信。
『ん?キヨシ電話ちゃうか?出んでえぇんか?』
『え、あああ、大丈夫。最近、イタズラ電話や間違い電話が多いんだよ。』
『ふ〜ん。そっか。』
『そ、そんな事よりどう今田先生は?』
:12/01/05 04:38
:S003
:w3r/fQqk
#224 [だーいし]
『これだけは言っておくよ小林君。ただ「おもしろい」だけじゃダメなんだ。犠牲が多すぎるよ、漫才は…』
今田の言葉が脳裏をよぎる。
『ん、あああ、それがな後もう少しやねん!あと一息ってとこかな。』
『そう。頑張ってね!』
『お、おう!』
ヒロシとキヨシは互いの大きな問題を解決出来ずにいた。
:12/01/05 04:43
:S003
:w3r/fQqk
#225 [だーいし]
『では、すいません。お先失礼します。』
『おや?もう仕事は片付いたんですか?今田先生。』
『教頭先生。はい。』
『早いですね〜さすがです!このまま松本先生と変わってほしいぐらいだ。』
職員室が笑いに包まれる。
『ではまた明日。』
『お疲れさまでした。』
:12/01/05 04:45
:S003
:w3r/fQqk
#226 [だーいし]
時計は20時を少し過ぎていた。今田は帰り道、夕食を買うため家の近くのコンビニに向かっていた。
『あれ?今ちゃん?今ちゃんだろ?』
『????大崎先輩?あぁーご無沙汰してます!』
『やっぱ今ちゃんや〜!!懐かしいな〜!!10年ぶりぐらいか〜』
『ですかね!お久しぶりです!』
:12/01/05 04:51
:S003
:w3r/fQqk
#227 [だーいし]
『へいっ久々の再開に乾杯♪』
『か、乾杯。』
2人は近くの居酒屋へ
今田が先ほどグラスを合わせたのは大学の1つ先輩の大崎。
『いや〜ホンマ懐かしいな!最後いつやあれ会ったの、大学のあれかな、ままえぇか。』
『先輩はスーツ姿って事は出張か何かですか?』
『ん〜ん、大学出て神奈川の会社に就職決まってん。で、今日は取引先がこの辺にあるからきてん。で、まさか今ちゃんに会えるとはやっぱ世間は狭いな♪』
:12/01/05 04:58
:S003
:w3r/fQqk
#228 [だーいし]
『で、今ちゃんは大阪から仕事かなんかできてんの?』
『いや、僕はこっちに住んでるんすよ。』
『へえっ?東京で「芸人」やってんのか?』
今田の顔が少し曇る。
『今、僕教師やってるんです。』
大崎は食べようとした焼き鳥を皿に戻した。
:12/01/05 05:03
:S003
:w3r/fQqk
#229 [だーいし]
『教師?なんでや?』
『芸人は……もういいんです。』
『お前、まさかあれが原因で…』
『違います!!…違います。先輩。』
今田の顔がこわばった。
大崎はそれを察知した。
『そっか…。もったいないな〜。「漫才サークル」の時は、今ちゃんピカ一やったのにな〜』
大崎は焼き鳥を食べた。
:12/01/05 05:07
:S003
:w3r/fQqk
#230 [だーいし]
『「夢」だけでは何とも…』
『まっそうか。オレも結局普通のサラリーマンやしな〜。まぁええわ、今日は昔話をつまみに呑もうや♪』
『はい、付き合います。』
昔話は夜中まで続いた。
ホテルに宿泊している大崎と別れ、少し酔いながらも自分の家にたどり着く今田。
:12/01/05 05:11
:S003
:w3r/fQqk
#231 [だーいし]
散らかったアパートの一室。 蛍光灯を付けずに布団に倒れこむ。
『今田、ありがとな。』
この言葉が今田の脳の中でスピーカーのように拡声され何度も何度も、何度も何度も繰り返される。
その瞬間、今田は右手で両目を覆い大泣きした。
時計は夜中の3時を少し過ぎたところだった。
:12/01/05 05:17
:S003
:w3r/fQqk
#232 [だーいし]
次の日。放課後の部室。
『どや?DVDの調子は?』
『僕なりに気付いた点をノートに書いてみたよ。』
キヨシはヒロシにノートを渡した。
『凄いやん!こんなギッシリ!じゃあ、そろそろ漫才の練習すっか。』
『え?顧問の件は大丈夫なのかい?』
『えっ?ま、まぁ、その、そろそろ漫才もやっといた方がいいかなと思って。顧問と両立しながらするから。』
『そうか。よし!頑張ろう。』
:12/01/05 05:25
:S003
:w3r/fQqk
#233 [だーいし]
『じゃあ、まずはお互いにDVDをめっちゃ見たと思うからこの「ジャンヌダルク」のネタを完コピしよか!』
『完コピ?』
『そう!まずは漫才のリズムっていうのを体に叩きこむで!セリフは一言一句同じで。もちろんタイミングも。』
『わかった!』
『じゃあ、行こう!はい、どーもジャンヌダルクで〜す♪』
練習は夜まで続いた。
:12/01/05 05:30
:S003
:w3r/fQqk
#234 [だーいし]
学校からの帰り道。
家の近所の公園のブランコが揺れている。
『マヤ??』
キヨシはブランコに近づいた。
『部活にこなくてこんな所には来るだ。』
『き、キヨシ!?お、おどかさないでよ。』
『なんで部室に来ないんだ?』
:12/01/05 05:33
:S003
:w3r/fQqk
#235 [だーいし]
『まだ部活も始まってないのに、マネージャーは必要ないでしょ!!』
『まぁね。横でお菓子食べるやつがいないから練習に専念できるよ!』
マヤは下を向いた。
『ねぇ、キヨシ。』
『ん?』
『今、楽しい?』
『なんだよそれ!?』
キヨシは隣のブランコに座る。それと同時にマヤはブランコを飛び降りる。
:12/01/05 05:37
:S003
:w3r/fQqk
#236 [だーいし]
『今、楽しいって聞いてんの!!』
『楽しいよ!部活やり出してから毎日発見ばかりだからね!』
『………そ、ならよかった♪キヨシが楽しかったら、私も楽しいから。』
そう言うとマヤは地面に置いてあったカバンを持って、キヨシの方を一度も見ずに去った。
『おい、待てよ!ったく、なんだよアイツ…。』
次の日からマヤは学校に来なくなった。でもその事実は、今のキヨシの耳には入ろうにも入らなかった。
:12/01/05 05:43
:S003
:w3r/fQqk
#237 [だーいし]
キヨシ宅。
家に入る前に、マヤの家を見るが2階の部屋は明かりが消えていた。
ガチャ…
扉を開けた。
『キヨシ…こちらに来なさい。』
リビングから母が出てきた。
『母さん…帰ってたんだ……』
キヨシはリビングに向かった。
:12/01/05 15:52
:S003
:w3r/fQqk
#238 [だーいし]
『そこに座りなさい。』
椅子に座るキヨシ。
『キヨシ、塾勝手に辞めたんだって。熊井君のお母さんから聞いたわ。塾やめて何やってるの?』
『…………。』
『勝手にやめたのね。いい?あなたは母さんと父さんのように東大に行かなきゃダメなの。母さんと父さんの顔に泥を塗らないでね。』
:12/01/06 01:45
:S003
:yWZePEFw
#239 [だーいし]
ずっと下を向いて黙り込むキヨシ。
『黙ってないで何かいいなさい。』
『…………。』
『キヨシ!……まぁいいわ。この事は父さんに言いますから。近いうちに父さんが家に帰ってくるから。その時、言います。』
キヨシは黙って部屋に戻った。キヨシはベッドに倒れ込み、天を仰いだ。
:12/01/06 01:50
:S003
:yWZePEFw
#240 [だーいし]
次の日。放課後、部室。
『違うて!キヨシ!』
『な、何が!?』
『完コピは完コピやけど、キヨシにはリズムがないねん!なんかセリフをただ単に言うてるだけって感じやねん!』
『ご、ゴメン。』
『もぅ1回行くで!』
『ちょっと、いいかい?』
:12/01/06 02:11
:S003
:yWZePEFw
#241 [だーいし]
『やっぱり部として成り立ってないのに練習するのはって…』
『なっ……』
キヨシは痛い所をついた。
『意味のない練習なんてないねん!!』
『ヒロシ、こればかりは綺麗事ではすまされないよ。』
『もぅいい!!今日は終わりや!』
:12/01/06 02:19
:S003
:yWZePEFw
#242 [だーいし]
そう言うとヒロシはカバンを持って出ていった。
外に出てため息をついた。
『確かに…意味ないかもな。』
ヒロシもどこかで不安を抱いていた。
部室に残ったキヨシ。
『ちょっと、言い過ぎたかな…マヤは何をしているんだ。』
:12/01/06 02:24
:S003
:yWZePEFw
#243 [だーいし]
その夜、キヨシのケータイにヒロシからメールが。
「やっぱ今田先生を説得してから練習しよう。 ヒロシ」
キヨシは
「わかった。」
と返信した。
:12/01/06 03:25
:S003
:yWZePEFw
#244 [だーいし]
その日からヒロシとキヨシの口数は減っていった。
休み時間。キヨシはC組へ。
教室を出る男子生徒に話しかける。
『あの、宮本さんいるかい?』
『あぁ、先日から休んでるねー。』
『わかった。ありがとう。』
マヤに電話をかけるが留守電。
『これで、何回目だよ。家行ってみるか。』
:12/01/06 03:35
:S003
:yWZePEFw
#245 [だーいし]
放課後。キヨシはマヤの家へ。
ピーンポーン♪
ピーンポーン♪
応答はない。
『やった事ないけど…』
キヨシは小石を何個か手にとり、マヤの部屋の窓に当てる。
カーテンがチラッと開いた。 しばらくして玄関の鍵が開いた。
:12/01/06 03:42
:S003
:yWZePEFw
#246 [だーいし]
『キヨシ…』
『よう。いいかい?入って。』
『う、うん。』
マヤが自分の部屋に案内する。
『懐かしいな〜。小学生ぶりか、マヤの部屋に入ったのは』
『たぶん、そうかな。』
キヨシは床に、マヤはベッドに座った。
:12/01/06 03:45
:S003
:yWZePEFw
#247 [だーいし]
『学校………なんで来ないの?』
マヤが下を向いたがすぐキヨシの方を向き
『ちょっと最近、調子が悪くてさ。疲れがドッときたのかな。』
マヤは作った笑顔で言った。
『今もちょっと、体調悪いから悪いけど帰ってもらえる?』
『……わかった。じゃあ、お大事に。』
そういうとキヨシは部屋を出た。
マヤの頬に何かがこぼれた。
キヨシは何かを確信した。
:12/01/06 16:52
:S003
:yWZePEFw
#248 [だーいし]
そろころヒロシはレンタルビデオショップにいた。
『悩んでる時はお笑いよりラブコメディーっと』
ヒロシは洋画のラブコメディーコーナーにいた。
ふと視界にお笑いコーナーが見えた。
『今田先生や………』
今田はお笑いコーナーでずっと立ち止まっていた。
:12/01/06 17:05
:S003
:yWZePEFw
#249 [だーいし]
今田はしばらく立ち止まったあと、その場を後にした。
『今田先生!』
入口付近でヒロシは声をかけた。
『あぁ、小林君か。』
『DVD借りひんのか?』
『……。お腹すいてないかい?』
:12/01/06 17:18
:S003
:yWZePEFw
#250 [だーいし]
2人は近くのファミレスへ
『いや〜めっちゃ食った〜。ごちそうさま♪』
『トホホ…よく食べるね。』
今田は財布の中身を気にしていた。
『今田先生、先生はいつまでいるんすか?』
『あぁ、どうやら松本先生骨折の他にも体悪かったみたいでしばらく入院するみたいなんだ。』
:12/01/06 18:19
:S003
:yWZePEFw
#251 [だーいし]
『そうなんや!じゃあ、まだチャンスはあるわけや!』
『…………。小林君、君はどうしてそこまで漫才がしたいんだい?』
不意打ちをつかれたようにヒロシは困った。
『ん〜〜〜。なんやろ。「笑顔の意味が分かったら生きている感じがする」からかな。』
『なっ…。』
今田は硬直した。
:12/01/07 01:44
:S003
:UTNO8QVw
#252 [だーいし]
『今田ぁ、笑いの意味が分かると「生きてるな〜」って感じんねん。』
今田の頭の中でこの言葉がこだまする。
『たけちゃん……?』
『先生?せんせー?せんせーい!?』
『あぁあ、ゴメン。そっか。』
『先生、「たけちゃん」って誰ですか?』
今田は大きく息を吐き語りだした。
:12/01/07 01:55
:S003
:UTNO8QVw
#253 [だーいし]
『中学高校と湿気った生活送ってたから大学生活はパッといきたいな〜』
今田はネクタイをし背広を着た。
今日は大学の入学式だ。
入学式が終わり外へ出ると、在校生達がサークルの勧誘をしていた。
『うわ〜こーゆーのってドラマだけかと思ってたけどホンマあるんや〜。やっぱここは飲みサーかな。』
今田は飲みサーの看板の方に向かった。
:12/01/07 02:14
:S003
:UTNO8QVw
#254 [だーいし]
『君、君!今、飲みサーのに入ろうとしてるやろ〜。』
馴れ馴れしく肩を組んでくる男性。
今田は腕を振り払った。
『ちょ、誰ですか。』
『どうも「漫才サークル」の大崎です。』
『漫才サークル?』
『飲みサーなんてあれやで、全然活動してないで!モテへんしな!その点漫才はな…』
『あの、そもそも漫才に興味がないんで…失礼します。』
:12/01/07 02:28
:S003
:UTNO8QVw
#255 [だーいし]
その場を去ろうとする今田。
『ちょちょちょ。待って待って!話だけでも!モテるで〜』
腕を引っ張りながら話す大崎。
『モテる?』
『ここが部室やで〜。今、コーヒー入れるから適当に座ってて!』
漫才サークルの部室…
部屋は散らかっておりお世辞でもキレイとは言えなかった。
:12/01/07 02:37
:S003
:UTNO8QVw
#256 [だーいし]
『モテると聞いてついついきちゃったな〜。』
『ふぇっ、コーヒー。』
『あ、ありがとうございます。漫才サークルは先輩1人なんですか。』
『んなわけあるかい!もう1人おんねんけど、今出てて。』
コンコン
『おっ帰ってきたぞ!』
:12/01/07 04:31
:S003
:UTNO8QVw
#257 [だーいし]
『大崎!1人漫才サークルに勧誘成功した…なんやお前も1人連れてきとるやん。』
『山崎!紹介する…あっ名前何やったっけ?』
『今田です。』
『あぁ、今田君や。』
『紹介する、北野くんや。』
『北野たけしです!よろしくお願いします!あれっ?』
北野は今田に近づいて顔をまじまじと見る。
:12/01/07 04:37
:S003
:UTNO8QVw
#258 [だーいし]
『今田ってあの今田やん!』
『ん??』
『ほらっ中学一緒やった!』
『たけちゃん??たけちゃんかい??』
『せやせや!おぉー久しぶりやんけぇー!!』
大崎と山崎は顔を見合わせる。2人は久しぶりの再会に酔いしれていた。
:12/01/07 04:40
:S003
:UTNO8QVw
#259 [だーいし]
北野の後押しもあり、今田は漫才サークルへ正式に入部した。部員は大崎・山崎・北野・今田の4人。
大崎は山崎と『サキザキ』というコンビを組んでいた。
そんなある日の部室。
部長である大崎が
『2人のコンビ名俺らが決めたるわ!』
と言った。
:12/01/07 04:44
:S003
:UTNO8QVw
#260 [だーいし]
『よっ!』
と言いながら拍手する山崎。
大崎(おおさき)と山崎(やまざき)だから命名された「サキザキ」というネーミングセンス。2人はあまりいい気がしなかった。
『ん〜せやな〜。あんまお互いパッとしてないからな〜。あっお互い顔が「ピスタチオ」みたいやから「ザ・ピスタチオ」でいいやん!なぁ、山崎!』
『いいね〜決まりやな!』
北野と今田は顔を見合わせた。
予感は的中した。
:12/01/07 04:48
:S003
:UTNO8QVw
#261 [だーいし]
『「ザ・ピスタチオ」結成記念にかんぱ〜い♪』
『かんぱ〜い♪』
北野と今田はグラスを交わした。
『てか今田ぁ、「ザ・ピスタチオ」ってひどすぎひん?』
『確かに。ネーミングセンス悪すぎ。』
『でも、なんか気に入ってたりして。』
『言えてる。』
2人はファミレスで大笑いする。
:12/01/07 04:53
:S003
:UTNO8QVw
#262 [だーいし]
『今田ぁ、タバスコとって。』
『さっきからその無駄なちっちゃい「ぁ」やめろ!中学の時に流行ったやつやん!』
タバスコを渡しながら言う。
『ハハっ!覚えてた?懐かしいな〜。』
『なぁ、たけちゃんは初めから漫才サークルに入ろうと思ったの?』
『ん〜。せやな。ちっちゃいころからお笑いが好きやってな。高校出たらお笑いの養成所入ろうと思てんけど、親に「大学は出とけ!」言われて。そしたら「漫才サークル」があるってなってな。』
:12/01/07 04:59
:S003
:UTNO8QVw
#263 [だーいし]
『へぇ〜。』
『今田ぁは?』
『オレは……モテたいから。』
北野がソファの上でズッコける。
『なんやねんそれ〜!理由!まぁでも、今田ぁは喋り達者やからいいコンビになると思うわ。』
『ありがとう。』
2人は夜中まで盛り上がった。
:12/01/07 05:03
:S003
:UTNO8QVw
#264 [だーいし]
学祭当日。
2組は出番を前に舞台袖で緊張していた。
『やぱ、緊張するな。。』
大崎と山崎は震えていた。
『サキザキさん!頑張りましょう!僕たちはこの為に頑張ってきたんだから!』
北野がサキザキを励ます。
『なんで、お前らに…』
最後まで言う前にサキザキの出囃子『翼の折れたエンジェル』が流れた。
『いくぞ!はいどうも〜サキザキで〜す。』
『選曲センスもないんかい。』今田は呟いた。
:12/01/07 05:12
:S003
:UTNO8QVw
#265 [だーいし]
『お疲れさまでした!』
部室で大きな拍手が起こる。
『ピスタチオめ〜俺らよりウケやがって!!』
大崎が2人に嫌みを込めて言い放つ。
『いえいえ。そんなことないですよー。』
『棒読みやんけ!!』
今田のボケに山崎が鋭くツッコむ。
:12/01/07 17:28
:S003
:UTNO8QVw
#266 [てる]
まんぴーのGすぽ
:12/01/07 17:29
:iPhone
:NJDbtfPU
#267 [だーいし]
ドッと部室が揺れる。
『いや〜、ホンマにおもろかったわ。お前らなら絶対に売れる。なぁ、山崎。』
『あぁ。間違いない。』
サキザキは珍しく真面目なトーンになった。
『ありがとうございます!』
2人は心から喜んだ。
そして2人は年々学祭で爆笑をとり続けた。
そして、卒業後インディーズだがデビューを果たす。
:12/01/07 17:42
:S003
:UTNO8QVw
#268 [だーいし]
ザ・ピスタチオの人気は他のコンビより遥かに凄かった。 ライブが終わると出待ちするファンもいた。
2人の願いは同じだった。
「プロになってテレビに出演、冠番組をいくつも持つ」
ライブをする事にその思いは大きくなっていった。
そんなある日の出来事だった。
:12/01/07 17:49
:S003
:UTNO8QVw
#269 [だーいし]
ライブ終わり。
いつものように出待ちするファン。その中にスーツを着た男性がいた。
『ザ・ピスタチオの今田さんと北野さんですね?』
2人は顔を見合わせる。
『そうですけど。』
今田が答える。
『少しお時間よろしいですか?』
:12/01/07 17:52
:S003
:UTNO8QVw
#270 [だーいし]
3人はファミレスへ。
『申し遅れました。私、吉木興業の藤原と申します。』
藤原は2人に名刺を渡す。
『よ、吉木興業ってあの…?』
北野は今田の方を見た。
吉木興業とは日本のお笑い界の大手事務所。テレビに出ているタレントのほとんどがここに属している。
『で……僕たちに何のようですか?』
今田は言った。
『はい。単刀直入に言いますと2人は我が事務所からデビューしてもらいたいのです。』
:12/01/07 18:00
:S003
:UTNO8QVw
#271 [だーいし]
『なっ……』
突然の事に2人は黙り込む。
『マジですか??よっしゃぁぁぁぁ!!!やったな、今田ぁ!!!!』
『たけちゃん!!!!』
2人は喜びのあまり座ったまま抱き合った。
藤原は続ける。
『お二人のネタは実にすばらしい!観客の心を掴むネタばかりだ。インディーズにしておくのはもったいない。』
『ですよね!ですよね!』
北野が食い気味で言う。
:12/01/07 18:05
:S003
:UTNO8QVw
#272 [だーいし]
『ただ、2人のネタは決してテレビ向きではない。』
2人から笑顔が消えた。
藤原は続ける。
『北野君のボケ、今田君のツッコミは互いに天下一品だ。しかし、それが反発し合って良さをいかしきれていない。実に惜しいコンビだよ。』
『………どういう事ですか?僕らをデビューさせてくれるのに否定するなんて…』
:12/01/07 18:10
:S003
:UTNO8QVw
#273 [だーいし]
『実はね、君たちみたいなコンビがもう1組いてね。そのコンビのボケと今田君が組み、ツッコミが北野君と組む。それは2組とも素晴らしいコンビになるよ。次世代のお笑い時代を担う2組にね。』
2人は黙ったまま。
『そして、その2組には全国放送のゴールデンの冠を持ってもらう。人気・知名度は全国区になるよ。悪い話ではないと思うが…どうだろ?』
2人は黙ったまま。
:12/01/07 18:15
:S003
:UTNO8QVw
#274 [だーいし]
『まぁ、考えていてくれ。返事は後日で。それじゃお先に。』
藤原は1万円をテーブルに置き、その場を後にした。
2人は近くの河川敷へ。
『どうする、たけちゃん。』
『オレは断ろうかな。やっぱり今田ぁじゃないと意味ないしな。』
北野は笑顔で言う。
『今田ぁはどうなん?』
『オレは…』
今田は空を見上げた。
『オレは、解散した方がえぇと思う。』
:12/01/07 18:21
:S003
:UTNO8QVw
#275 [だーいし]
北野は目を見開いた。
『な、何言うてんねん!今日初めて会うたようなヤツの話を鵜呑みにするんか?』
『少なくとも僕たちよりかは、プロだよ。』
『今田ぁ、目ぇ覚ませ、な。』
『目を覚ますのはたけちゃんの方だよ!!』
今田は一喝した。
:12/01/07 18:26
:S003
:UTNO8QVw
#276 [だーいし]
『所詮、「インディーズ」なんやで!!出待ちするファンや人気が出てもインディーズはインディーズ。これはチャンスやで、たけちゃん。』
『今田ぁ、でもオレ今田やないと…』
『いつまでも夢見る年頃じゃないやろ!!』
『なっ………』
北野は絶句した。
:12/01/07 18:31
:S003
:UTNO8QVw
#277 [だーいし]
『オレもたけちゃんとずっと漫才をしたい。でも、このままじゃいけない。チャンスはすぐそこに、そこにあるんや!!』
『……そっか。確かにそうかもしれんな。』
『たけちゃん、一緒にお笑い界を引っ張ろう!』
『………おう。』
『明日、藤原さんに電話しとくよ!』
『わかった。』
『じゃあ。』
『おう。』
今田は土手の階段を上っていった。
『今田ぁ。』
今田は振り返らずに立ち止まる。
:12/01/07 21:28
:S003
:UTNO8QVw
#278 [だーいし]
『今田ぁ、笑いの意味が分かると「生きてるな〜」って感じんねん。』
今田は何も言わない。
『またいつか、漫才しようや!今田ぁ。』
今田は振り返らずに頷いた。
その帰り道、今田は大泣きした。
:12/01/07 21:31
:S003
:UTNO8QVw
#279 [だーいし]
そして、今田と北野は別々の相方とデビューする事になった。
そして、今田のコンビの冠番組初収録の日を迎えた。
収録前の楽屋。
ガチャ。
『今田君!』
『藤原さん!ご無沙汰してます!』
『元気がいいね〜。若手はそうでなきゃ!』
『ありがとうございます!』
『君たちには期待しているんだ!頑張って!』
『はい!』
:12/01/07 21:36
:S003
:UTNO8QVw
#280 [だーいし]
『明日は北野君のとこも初収録なんだ。』
『そうなんですか。』
『まぁ、関係ないか。とにかく頑張って!』
『はい!』
藤原は出ていった。
『よし!頑張ろう!』
今田は並々ならぬ闘志を燃やしていた。
:12/01/07 21:39
:S003
:UTNO8QVw
#281 [だーいし]
『はい、今田さん入られま〜す!!』
ADが今田を紹介し、今田がスタジオに入る。
『よろしく〜今田ちゃんと石田ちゃ〜ん。Dの吉岡で〜す。』
チャラいD吉岡が話しかける。
『おはようございます!』
『2人には期待してるから〜、頼むよ〜。』
『はい!』
『で、今田ちゃん頼んでた高校の卒アル持ってきてくれた〜?』
:12/01/07 21:46
:S003
:UTNO8QVw
#282 [だーいし]
『あぁ、すいません。楽屋に忘れてきちゃいました。ちょっと取りにいってきます!』
『いいよ〜ADに…』
吉岡が言い切る前に今田は走り出した。
楽屋に戻る今田。
カバンに入ってある卒アルを手にとる。
テレビがつけっぱなしだった。
『チッ、あいつ消してけよ。』
今田がリモコンを手にとる。
:12/01/07 21:49
:S003
:UTNO8QVw
#283 [だーいし]
「え〜、繰り返しお伝えします。速報で入りました情報によりますと14時すぎ渋谷区内にありますマンションで住人が刺され重体、重体です。刺されたのは「北野たけし」さん24歳。都内の病院に運ばれましたが重体との事です。犯人は現在逃走中で……」
卒業アルバムが手から落ちた。テレビに映っているのは紛れもなく今田の知る北野だった。
『た……た、たけちゃん。。』
今田は部屋を飛び出した。
:12/01/07 21:58
:S003
:UTNO8QVw
#284 [だーいし]
ニュースでは「都内の病院」としか言っていなかった。
今田は東京で一番大きい病院に行くため、タクシーに飛び乗った。
『すいません、東京病院まで!急いで下さい!』
運転手は慌てて車を発進する。今田の電話がひっきりなしにかかる。
今田は確認するが出てる余裕はない。
:12/01/08 01:37
:S003
:a9OFN8iY
#285 [だーいし]
『運転手さん!ラジオ!大きくして!』
車内のラジオから先ほどの事件の事が流れていた。
『あぁぁ、はい、、』
運転手が音量を上げる。
『え〜先ほどからお伝えしております渋谷マンション殺傷事件の犯人がたった今現行犯逮捕されました。犯人は後藤アツシ容疑者26歳。被害者の北野たけしさんとはお笑いコンビを組んでいるとの情報も入っております。』
:12/01/08 01:46
:S003
:a9OFN8iY
#286 [だーいし]
『ま、マジか………』
今田は信じられなかった。
そして、タクシーは東京病院に到着した。
急いでタクシーを飛び降りる。
『すいません!北野たけしという男性が搬送されませんでしたか?』
受付で尋ねる。
『少々お待ちください。………今、緊急手術中です。』
今田は手術室の方へ走り出した。
:12/01/08 01:51
:S003
:a9OFN8iY
#287 [だーいし]
どれぐらい走ったか。
汗が止めどなくでる。
手術室の前に到着する。
「手術中」
入口の看板が赤く光っている。
『たけ……ちゃん。』
今田は近くのソファーに座り、両手で頭を抱えた。
:12/01/08 01:57
:S003
:a9OFN8iY
#288 [だーいし]
何時間待っただろうか…
いつの間にかケータイは鳴らなくなっていた。
『今田くん?』
頭上で声がした。
顔を上げる今田。
『おばさん…。』
そこにいたのは北野の母親だった。
:12/01/08 02:13
:S003
:a9OFN8iY
#289 [だーいし]
交わした会話はこれだけだった。
北野の母親は今田の隣に座った。
今田が病院に到着してから6時間が経った。
「手術中」の明かりが消えた。その瞬間、2人は立ち上がった。
中から手術を終えた医師が出てきた。
『親族の方ですか?』
『はい…』
母親が答える。
:12/01/08 02:42
:S003
:a9OFN8iY
#290 [だーいし]
『たけしは…たけしは…』
『手術は成功です。一命はとりとめました。しかし、まだ予断は許されない状況です。』
『よかった…』
今田はとりあえず胸を撫で下ろした。
北野は病室に移った。
:12/01/08 02:48
:S003
:a9OFN8iY
#291 [だーいし]
病室に移ってから3日…
北野は呼吸はしているが意識は戻らない状況だった。
それでも、今田は見守り続けた。
『今田くん、1回帰らなくて大丈夫?』
『はい、大丈夫です。』
『お仕事とか大丈夫なの?』
『えぇ、大丈夫です。』
大丈夫ではなかった。
無断で収録を抜け出した事が問題になり、番組は打ち切り。 今田と石田の新コンビも解散となった。
:12/01/08 02:55
:S003
:a9OFN8iY
#292 [だーいし]
後で分かった事だが後藤が北野を刺した理由は「ネタ合わせが上手く行かずカッとしたから」だった。
しかし、今田は自分が北野をこういう状況に追いやったと責めた。あの時、北野の言う通りインディーズで活動していたら…
自分を責めて、責めて、責め立てる今田。
『今田くん、何か買ってくるわ。』
『はい。』
母親が病室を出ていく。
:12/01/08 03:02
:S003
:a9OFN8iY
#293 [だーいし]
今田は北野が横たわっているベッドの横に椅子を並べて、自分を責めていた。
『…………だ……。』
『……ま………だ……』
『い……ま………だ……』
『たけちゃん??』
立ち上がり北野を見つめる。
呼吸器をしている北野のがゆっくりと目を開けていく。
:12/01/08 03:09
:S003
:a9OFN8iY
#294 [だーいし]
ガチャ
『今田くん、パンでよか』
『おばさん!!!たけちゃんが!!!たけちゃんが目を覚ましたよ!!!』
母親がビニール袋を放り投げ駆け寄った。
『たけしぃ!たけし!』
『かぁ……ちゃん…』
『よかった、、』
母親は思わず泣き出した。 そして、今田も泣いた。
:12/01/08 03:12
:S003
:a9OFN8iY
#295 [だーいし]
北野は驚異的な回復力をみせ、呼吸器を外して普通に喋れるようになった。
『かあちゃん、腹減ったよ〜。』
『まぁ、この子ったら。』
『たけちゃん、まだメシを食える体じゃないんだ。分かるやろ?』
『今田ぁ、点滴は食うた気せんて。』
今田と母親は笑った。
:12/01/08 05:06
:S003
:a9OFN8iY
#296 [だーいし]
その日の夜。
『…………、今田ぁ?オレ寝てたんか?』
『あぁ、目覚めたかい。』
今田は食べていたサンドイッチを無理矢理口に押し込んだ。
『あれ?母ちゃんは?』
『あぁ、1回大阪に帰ったよ。明日の朝一でまた来るって。』
『そうか……。なぁ、今田ぁ』
『ん?』
:12/01/08 05:11
:S003
:a9OFN8iY
#297 [だーいし]
『これでまた一緒に漫才できるな……』
『えっ?』
今田は目を見開いた。
『お前は収録ボイコットして吉木興業干されたし、オレの相方はムショやろ今。』
『…………。』
『これは神様の手荒い祝福や思うねや。「もう1度今田と漫才やれて」いう。』
『たけちゃん…。』
:12/01/08 05:17
:S003
:a9OFN8iY
#298 [だーいし]
『えぇやん。別にテレビ向きじゃなくてもインディーズでもよ。オレは今田ぁと漫才を「ザ・ピスタチオ」として漫才をしたい。』
今田は思わず泣き出した。
『何泣いてんねん…。オレ、1日でも早く退院するから…今田はおもしろいネタ考えといて。』
今田は泣きながら頷く。
:12/01/08 05:21
:S003
:a9OFN8iY
#299 [だーいし]
『だから…もぅオレを捨てんといてくれ…。ましてや刺さんといてくれ。』
北野のは冗談混じりに言った。
『アホか…』
今田は涙を拭きながら言う。
『今田、ありがとな。』
北野は今田の手を差し伸べた。今田も手を出し固く握手をした。
翌朝、母親が来た。
今田は家に帰って寝る事にした。
ほぼ不眠不休だったため、布団に潜るやいなや深い眠りについた。
:12/01/08 05:32
:S003
:a9OFN8iY
#300 [だーいし]
目覚めたら夕方近くになっていた。
ふとケータイで時間を見る。
17時すぎ。
「留守電1件」
『ん?』
今田はケータイを耳に近づけた。
ピー
『ぃ、い今田くん!?今すぐ病院来て!!たけしの、たけしの病態が急変したの!!早く来』
ピー
今田は家を飛び出した。
:12/01/08 05:39
:S003
:a9OFN8iY
#301 [我輩は匿名である]
気になるぉ
:12/01/08 20:44
:K007
:☆☆☆
#302 [だーいし]
今田は急いで病院に向かった。走って走って、息が切れるのも忘れるぐらい走った。
病院に到着する。
階段をかけ上がり病室に向かう。
『たけちゃん!!!』
北野の病室は今朝と変わらなかった。
変わったと言えば北野の母親がいる事。
そして……
北野の顔に白い布が被せてあった事だった。
:12/01/08 21:19
:S003
:a9OFN8iY
#303 [だーいし]
:12/01/08 21:20
:S003
:a9OFN8iY
#304 [だーいし]
『そんな……ウソや………』
今田は北野のベッドに駆け寄り北野の身体を大きく揺さぶる。
『たけちゃん!!ウソやろ!!なぁ!!何とか言うてや!!なぁ!!約束したやん!!また、漫才するって言うたやん…』
今田は崩れ落ちた。
数日後、北野の葬儀が行われた。
:12/01/08 21:28
:S003
:a9OFN8iY
#305 [だーいし]
今田は泣いた。来る日も来る日も泣いた。
だが、葬儀の時だけは泣かなかった。何故だか分からない。
葬儀が終わり今田は遺影を眺めていた。遺影は真っ直ぐな笑顔を見せている大学時代のもの。
『今田くん…。』
北野の母親が話しかける。
:12/01/08 21:34
:S003
:a9OFN8iY
#306 [だーいし]
『おばさん…』
『いい顔してるでしょ。』
『はい。』
母親が今田の横に座る。
『たけしね、最期まで今田くんの事言ってたのよ。』
『えっ。』
ピピピピピーン
ピピピピピーン
『先生!心肺停止しました!』
:12/01/08 21:42
:S003
:a9OFN8iY
#307 [だーいし]
『どいて!電気ショックの準備を!150に上げて!』
ピッピッピッピッ…
『なっ…信じられん。心肺機能が蘇生した……』
『かぁ……ちゃん…』
『どうしたの!!たけし!!』
母がたけしの手を両手で掴む。
:12/01/08 21:46
:S003
:a9OFN8iY
#308 [だーいし]
『い、い…ま……だ…は……?』
『今田くんね、今、向かってるから!!ね!!』
『あ……い、かわらず………空気……読まれ……へんな……。また……迷惑………かけて………もうた……』
ピピピピピーン
ピピピピピーン
『先生!心拍数下がっていきます!!』
『たけしぃぃぃぃ!!!!』
:12/01/08 21:54
:S003
:a9OFN8iY
#309 [だーいし]
『これで……めい…わく………かけず……に……すむ。』
ピ─────
『たけしぃぃ!!!!!!!』
『たけしにとって今田くんは、母親の私よりも特別な存在だったのかもしれないわ…』
帰り道。
今田はたまらず泣きじゃくった。
:12/01/08 22:01
:S003
:a9OFN8iY
#310 [だーいし]
自分勝手な解散で北野は死んだ。なのに北野は最期まで自分の事を心配してくれた。
「何が何でも売れたい。」
今田はこの事しか考えていなかった。
『これでまた一緒に漫才できるな……』
『これは神様の手荒い祝福や思うねや。「もう1度今田と漫才やれて」いう。』
『あ……い、かわらず………空気……読まれ……へんな……。また……迷惑………かけて………もうた……』
『これで……めい…わく………かけず……に……すむ。』
『今田、ありがとな。』
:12/01/08 22:20
:S003
:a9OFN8iY
#311 [だーいし]
『うわぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!』
悔やんでも悔やみきれない思いにかられ、今田は叫んだ。 何度も叫んだ。
『そんな事があったんや。』
今田の過去を知りヒロシは何とも言えない気持ちになった。
『だから僕はもう漫才はしない。触れてはいけないんだ。また僕は人を傷つけてしまう。』
:12/01/08 22:27
:S003
:a9OFN8iY
#312 [だーいし]
ヒロシは今田の言葉を噛み締め口を開いた。
『北野さんは先生に漫才をしてほしいんやないかな。』
『そんな事はない!約束したんだ、たけちゃんと漫才やるって。』
『だからこそ、やってほしいねん!「今田、ありがとな」の本当の意味は「漫才を続けてくれてありがとう」って意味やと思うねん!北野さんと約束した以上、漫才続けなきゃ。』
:12/01/09 02:35
:S003
:VQpWnN9.
#313 [だーいし]
今田は涙を浮かべた。
『僕は、いつまでも自分を悲劇の主人公みたいに扱っていたのかもしれない……ごめん、先に帰るね。』
そういうと今田は会計をすまし出ていった。
ヒロシは天井を向いて考えた。
すると、ケータイに着信が。
キヨシからメール。
「大事な話がある。あの公園で待ってる。 キヨシ」
『大事な話?なんや?』
ヒロシは店を出た。
:12/01/09 02:45
:S003
:VQpWnN9.
#314 [だーいし]
公園に到着する。
ブランコに座っているキヨシの後ろ姿が見えた。
『キヨシ、何や話って。』
『あぁ、まぁ座ってよ。』
ヒロシは横のブランコに座る。
『ま、まさか解散か?何も活動してないからか?そんな水くさい事言うなよ〜。』
『ごめん、まだ「あぁ、まぁ座ってよ。」しか言ってないよ。しかも、違うし。』
『なんや〜よかった〜。で?』
:12/01/09 02:54
:S003
:VQpWnN9.
#315 [だーいし]
キヨシが大きく息を吐いて話す。
『実はね、……マヤ多分学校でいじめられてると思うんだ。』
『なっ……なんやて??』
ヒロシはおもむろに立ち上がる。
『多分だけどね。実はマヤ小学校の頃もいじめられてたんだ。』
『えっ??』
:12/01/09 03:06
:S003
:VQpWnN9.
#316 [だーいし]
『小学校の頃に両親が離婚してからいじめられるようになったんだ。』
キヨシは話しはじめた。
小学校5年の冬のいつもの公園。
ブランコに乗る2人。
キヨシだけがブランコをこいでいた。
『マヤちゃん!僕お正月に家族で旅行に行くんだ〜!マヤちゃんは行くの?お正月』
『私は〜……行かない。』
:12/01/11 22:48
:S003
:w8pg4oKs
#317 [だーいし]
『そうなんだ。』
『キヨちゃん、今楽しい?』
『今?うん!楽しいよ!』
マヤは先ほどまでうかない顔をしていたが笑顔になった。
『そっか!キヨちゃんが楽しかったら私も楽しい!』
そう言うとマヤはブランコをこぎはじめた。
:12/01/11 22:51
:S003
:w8pg4oKs
#318 [だーいし]
『それでいじめが分かって解決したんだけど…この前言われたんだ。「今楽しい?」っていうのと「キヨシが楽しかったら私も楽しい」って。あのときと同じだった。』
ヒロシは黙ったままだった。
『ヒロシ、どうすればいいかな?』
キヨシは尋ねる。
ヒロシは口を開いた。
『決まってるやん。いじめをやめさす。』
:12/01/11 22:56
:S003
:w8pg4oKs
#319 [だーいし]
キヨシはうつむいた。
『いじめを無くしたって、傷ついた心は元に戻すのは難しいよ。』
ヒロシは立ち上がった。
『何弱気な事言うてんねん!オレにいい考えがある!マヤちゃんには学校に来てもらわな!部員なんやから!』
『そ、そうだよね。なんとかしないと…で、いい考えって?』
ヒロシはキヨシを手招きし、耳打ちをした。
:12/01/11 23:01
:S003
:w8pg4oKs
#320 [だーいし]
数日後。
マヤは2階の自分の部屋のベッドに横になって天井を見ていた。窓からは初夏の訪れを感じさす風がたまに入ってくる。
ふと視野に何かが動くのが分かった。
マヤはその方向に目をやる。
『紙飛行機…?』
床にあったのは紙飛行機。
すぐに外を見るが誰もいない。よく見ると翼の部分に矢印が書いてあった。
『開けって事?』
マヤは恐る恐る紙飛行機を開いた。
:12/01/12 02:12
:S003
:Qhdu4vGw
#321 [我輩は匿名である]
もう少しや頑張
:12/01/12 02:13
:W65T
:M5jJJskg
#322 [だーいし]
「玄関の横の鉢植えの下」
紙飛行機にはそう書いていた。誰かのイタズラだろうと思いながらもマヤは下に降り、母が大事に育てある鉢植えの下を見た。
『紙?』
そこには一枚の紙が。
「2丁目の駄菓子屋の公衆電話の下」
紙にはそう書いてあった。
:12/01/12 02:16
:S003
:Qhdu4vGw
#323 [だーいし]
マヤは駄菓子屋に向かった。 駄菓子屋の横には電話ボックスがある。
早速、電話の下を見ると何かがテープで固定してあった。
テープを剥がすと何かの鍵だった。
『駅のロッカーの鍵だ。』
マヤは近くの駅のロッカーに向かいロッカーをあける。
『また紙?』
その後、神社・橋の下・図書館など色々な所を回った。
そして、コンビニのゴミ箱の下で発見した紙にはこう書いていた。
「これで最後です。前を見て下さい。」
:12/01/12 02:28
:S003
:Qhdu4vGw
#324 [だーいし]
辺りはすっかり夜になっていた。
『前を見ろって…えっ?』
コンビニの前から見えたのは、帝都西高校の裏側だった。
『色々まわってたらこんなとこまで来てたんだ。いつも正面側しか行った事なかったから、コンビニなんてあったんだ。………で、なんだろ。』
マヤは紙をよく見てみた。
すると裏面に小さく
「※裏口開いてます」
と書いてあった。
:12/01/12 02:34
:S003
:Qhdu4vGw
#325 [だーいし]
マヤは恐る恐る高校の裏玄関へ。門は開いていた。
誰もいない夜の校舎。不気味なぐらい静かだった。
裏口を入ってすぐに矢印が書いてあるパネルがあった。
マヤはその方向に進む。 パネルは進む度にあった。
そして4枚目のパネル。
『ってこれ窓指してない?』
まさかと思い窓に手をやった。
『開いてる…』
マヤはよじ登り校舎へと入った。
:12/01/12 02:39
:S003
:Qhdu4vGw
#326 [だーいし]
マヤは少し不安だった。
もしかしたら今までの紙はいじめている誰かが自分をおびき寄せるために仕掛けたんじゃないかと。疑心暗鬼になりながらも校舎内にもあるパネルの通り進む。
『ここは…』
行き着いた先は、マヤのクラスだった。
ガラララ…
ドアを開けると教室には机が一切なく、中心にイスが置いてありその横にパネルがあった。
「お座り下さい。」
と書いてある。
:12/01/12 02:46
:S003
:Qhdu4vGw
#327 [だーいし]
教室は月明かりでうっすら明るいだけ。
マヤは教室の電気を着けようとした瞬間に腕を誰かに掴まれた。
『キャッ!誰?』
薄暗くて顔がよく見えない。 さらにマスクをしているのか誰だか分からない。
マスクをした人物はマヤをイスに座らすと教室を出た。
『どういう事?』
マヤが混乱していると、マスクの人物が教室に入り教室の電気を付けた。
:12/01/12 02:53
:S003
:Qhdu4vGw
#328 [だーいし]
『ちょっと!あんた誰よ!何がしたいのよ!』
マヤはマスクの人物を怒鳴りつけた。すると今度は別のマスクの人物が教室に入ってきた。
『誰…なのよ?』
別のマスクの人物は手に模造紙を持っていた。
最初にいたマスクの人物が後ろを指差す。
マヤは後ろを向いた。
:12/01/12 03:01
:S003
:Qhdu4vGw
#329 [だーいし]
後ろを見るが特に変わった様子はない。
『ちょっと!どういうこ…………あれ?』
マスクの人物が2人共いない。
『どこいったんだろ?えっ?』
マヤは黒板に目をやる。
先ほどマスクの人物が持っていた模造紙が磁石で貼られておりこう書いてあった。
「宮本マヤ限定漫才ライブ!」
テンポのいい出囃子が校内放送を通じて流れ出した。
:12/01/12 03:06
:S003
:Qhdu4vGw
#330 [我輩は匿名である]
感想板作らないのかな?
とっても面白いです
更新頑張って
:12/01/12 15:13
:K007
:☆☆☆
#331 [だーいし]
>>330感想ありがとうございます!感想板ありますので貼りますね。http://bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4975/
:12/01/12 15:16
:S003
:Qhdu4vGw
#332 [だーいし]
:12/01/12 15:17
:S003
:Qhdu4vGw
#333 [だーいし]
出囃子はザ・ハイロウズの「青春」
ガララララ!
勢いよく教室の扉が開く。
『『はいどーもー!!』』
マヤは呆気にとられていた。
『何?何?どういう事?キヨシとヒロシ君じゃん…』
ヒロシは持参していたセンターマイクを置いた。
『はい、どうもー!「小林鈴木」でーす。』
『お願いしまーす。』
:12/01/14 03:56
:S003
:tjTfrUHw
#334 [だーいし]
マヤはどうしていいかわからなかった。
『ねぇ、これなに?ねぇ!』
2人はマヤの言葉を受け流し、漫才を始める。
『ねぇ、鈴木君。今日は僕たちの初舞台、人がぎょうさんおるなー!』
『いないよ!1人しかいないよ!』
『えぇ!?そうかい??まぁでも1人でもいいやん!ねぇ、1人の客っていうのはあの人かな?』
『そうだよ。』
『まぁ、そうか、、まぁ、、べっぴんさん………か??まぁまぁ。』
『失礼だよ!』
:12/01/14 04:00
:S003
:tjTfrUHw
#335 [だーいし]
マヤは2人に話しかけ続けたが、しばらくして黙り、漫才を見ていた。
『てか、お前鈴木か?』
『そうだよ。』
『じゃあ、キヨシって事か?』
『どっちもそうだよ!紛れもなく僕だよ!!』
そして──
『もういいよ!』
『『どーもありがしたー。』』
数十分後、漫才は終わった。
:12/01/14 04:05
:S003
:tjTfrUHw
#336 [だーいし]
一息つきマヤは立ち上がり拍手をした。
『なかなかおもしかったよ!でも、……なんで?』
2人はフーッと息を吐いた。
『マヤ…お前、いじめられてるんだろ?』
『えっ??』
『僕に「楽しい?」とか「僕が楽しかったら私も楽しい。」とか言ってたから…学校もずっと休んでたみたいだし…』
マヤは窓の方を向いた。
『そ、そんな事ないわよ!!私が、そんな、い、いじめられるわ…』
『もういいだろ、マヤ!』
キヨシは一喝した。
:12/01/14 04:10
:S003
:tjTfrUHw
#337 [だーいし]
『無理するな。マヤ。』
マヤはキヨシの方を見た。
『き、キヨシ。』
『ヒロシがね、昨日マヤのクラスに乗り込んだんだ。』
『えっ??』
昨日──
朝のHR前
バーーーーン!!!!
C組の教室のドアを勢いよく開けるヒロシ。
『邪魔するでー!!』
クラス全員が唖然とする。
『あ、あなた誰ですか!?あっあのB組の小林君ですね!?』
:12/01/14 04:15
:S003
:tjTfrUHw
#338 [だーいし]
『あぁ、せや。自分は?』
教卓に両手を付き言う。
『学級委員の渡部ですけど。』
『あぁ、学級委員か。なら話は早い。この中にな、マヤちゃんをいじめとるヤツがおんねん!』
『なっ…』
渡部は立ち上がる。
『あなた何を言ってるの!このクラスにいじめなんてあるわけないじゃない!』
『それがあんねんな〜』
そういうとヒロシはカバンの中からあるものを出した。
:12/01/14 04:20
:S003
:tjTfrUHw
#339 [だーいし]
『これは、ゴミ箱にあったマヤちゃんのノートや。まぁこんな汚い言葉ばっか書かれて可哀想やなー。で、こっちにあるのはこのクラスの学級日誌や。えぇか?これとこれ!見比べたらな、誰が書いたか一目瞭然やねん!!』
ヒロシは2つのものを教卓に叩きつけた。
『なぁ、こんな汚い事すんなよ。オレらはこんな事する為に字習ってきたんか?なぁ、勉強しにきたんか?違うやろ!!言いたい事あるなら正々堂々面と向かって言え!!』
ヒロシは教室を出た。
その日の放課後何人かの生徒がヒロシの元を訪れて一連のイジメが自分でやった事を認めた。生徒達が言うには、明るく先生やクラスメイトに振る舞うマヤにイラついていた事が動機だった。
:12/01/14 04:28
:S003
:tjTfrUHw
#340 [だーいし]
『その生徒らなぁ、直接マヤちゃんに謝りたい言うてたわ。』
マヤは下を向いた。
『マヤちゃんは明るくて、気ぃ強いとこあるけど結局は可愛い「女の子」やねん。女の子はナイーブで傷つきやすい。その傷を癒すのが「男」やねん。』
『マヤ、マヤの為に漫才しようって提案したのヒロシなんだ。「少しでも笑顔になって欲しい、オレらの漫才の最初の客になって欲しい」って。』
マヤは下を向いたまま泣いた。
目から流れ落ちた雫が床を濡らしていた。
:12/01/14 04:35
:S003
:tjTfrUHw
#341 [だーいし]
そして、マヤは涙を拭きながら顔を上げた。
『あんた達の漫才、全っ然おもしろくない!さっきの「おもしろい」撤回ね!撤回!』
『な、なんでだよ。』
『漫才は笑いを与えるんでしょ!?な、泣かしてどうするのよ。』
ヒロシとキヨシは顔を見合わせる。
『これはやっぱり、マネージャーが必要ね!明日からビシビシ鍛えていくわよ!』
ヒロシとキヨシはたちまち笑顔になりマヤの手をとりバンザイをし喜びあった。
:12/01/14 04:40
:S003
:tjTfrUHw
#342 [だーいし]
ガララララ…
教室のドアが開く。
『あの〜そろそろ〜…』
マスクの人物だった。
『うわっ!で、誰なのよ!』
『B組の蔵野と』
『板尾です。』
『この2人にも協力してもらってん!』
蔵野と板尾はマヤに一礼をする。
:12/01/14 04:42
:S003
:tjTfrUHw
#343 [だーいし]
『あんたたちも、ありがとね!』
マヤは2人に笑顔を振り撒いた。
その天使のような笑顔に2人はとろけるような表情を浮かばせる。
『じゃあ〜腹減ったしたこ焼き食いにいっか!』
『あの店だね。前行った。』
『いいね〜♪』
『僕たちも行って』
『いいですか?』
こうして、マヤのいじめ事件は解決した。
:12/01/14 04:47
:S003
:tjTfrUHw
#344 [だーいし]
5人はヒロシとキヨシが前に行ったたこ焼き屋に向かった。
再び静けさに包まれる校舎。
『人に勇気を与える漫才……か。たけちゃん……僕らはそんな漫才してたかな……』
教室の真ん中に1つだけポツンとある椅子に寄りかかり、今田は呟いた。
:12/01/14 04:53
:S003
:tjTfrUHw
#345 [だーいし]
『えっ?まだ顧問が決まらないの?』
放課後の部室にキヨシの声が轟く。
『そんな大きい声だすなよー。』
『大きい声も出るよ!これじゃ文化祭に出られないよ〜。』
頭を抱えるキヨシと頭を掻くヒロシ。見かねたマヤがこう切り出す。
『今田先生はダメなの?ほら、元漫才師だって。』
『今田先生は〜もう、いいねん。』
『いいって?』
『ほ、ほら、臨時の人やし。な、急におらんようになってもやし。』
『そうだよね。』
『そっか。』
ヒロシはごまかした。
:12/01/14 05:08
:S003
:tjTfrUHw
#346 [だーいし]
『今田先生はあんな辛い過去があったんや。それは自分で乗り越えなアカン壁や。キヨシ、マヤちゃん、ごめん。これはオレだけが知っとく。』
ヒロシは心の中で言った。
『明日から家庭訪問始まるね!』
マヤが枝毛を気にしながら言った。
『えっ?そうなん?』
『何よー。知らなかったの?』
『うへーマジかー。』
ヒロシとマヤは話続けている。キヨシは上の空だった。
:12/01/14 05:14
:S003
:tjTfrUHw
#347 [だーいし]
それは昨日の夜の事。
母親とキヨシは夕食をしに高級レストランへ。
『キヨシ、明後日から家庭訪問が始まるわね。』
母親はワインを飲みながら言う。
『う、うん』
『お父さんが明後日から急に家に帰る事になったからお父さんにも家庭訪問に参加してもらいますから。』
『えっ?』
『その時、聞かせてね。塾を辞めた理由を。』
そう言うと母親はトイレに立った。
『ヒロシ、ごめん。もぅ漫才出来ないかも…』
キヨシは呟いた。
:12/01/14 05:22
:S003
:tjTfrUHw
#348 [我輩は匿名である]
アリアリ
:12/01/15 02:18
:SH01B
:qzTLcuHk
#349 [だーいし]
『どうやった?家庭訪問。』
『ちょっと周りより個性が強いだってさ。』
放課後部室でヒロシとマヤが話していた。
『まぁ、この学校で髪染めてんのマヤちゃんだけやもんな。』
マヤは肩まで伸びた茶髪を触る。
『でもママがさ「これは個性の一つです!!」って一喝したの。』
『ハハハ!マヤちゃんのオカンらしいな。』
『ちょっと、どういう意味?』
:12/01/17 00:57
:S003
:m/J5Jhcc
#350 [だーいし]
『キヨシは確か今日だったよね?』
『う、うん。』
キヨシはお笑いDVDを見るのをやめた。
『も、もうすぐだから行くね。』
『えっまだじ…』
ヒロシが最後まで言う前にキヨシは出ていった。
『いっちゃった。。』
『何時からなの?キヨシの家庭訪問。』
『確か………18時半。』
2人は時計を見た。
時刻は16時を少し過ぎた頃だった。
:12/01/17 01:03
:S003
:m/J5Jhcc
#351 [だーいし]
キヨシはいつもの公園のベンチにいた。
『お父さんが明後日から急に家に帰る事になったからお父さんにも家庭訪問に参加してもらいますから。』
『その時、聞かせてね。塾を辞めた理由を。』
母親のこの言葉が何度も脳裏をよぎる。
その度にキヨシはため息をついた。
『よし。』
キヨシは重い腰をあげ、家に向かった。
:12/01/17 01:13
:S003
:m/J5Jhcc
#352 [だーいし]
18時すぎ。
キヨシはリビングに向かった。すると、玄関が開いた。
『と、父さん。』
スーツ姿にオールバックのキヨシの父「鈴木正十郎」が帰ってきた。
約1年ぶりの対面にも関わらず、一言も発せずにリビングに向かった。
『あなたおかえりなさい。もうすぐ先生がくるわ。』
『あぁ。時間は1時間しかない。車も待たしてあるからな。』
正十郎はソファーに腰掛け、葉巻をくわえた。
:12/01/17 01:31
:S003
:m/J5Jhcc
#353 [だーいし]
『大きな家だな。』
周辺の家とは比べものにならない大豪邸に圧倒される今田。
ピンポーン。
チャイムを鳴らす。
『はい。』
『あっ私、キヨシ君の担任をしております今田と申します。』
インターホン越しにそう言うと、大きな門が自動で開き中から人が出てきた。
『夜分遅くにすいません。お母様。』
靴を脱ぎながら今田は言う。
『いえ、私は家政婦です。』
『か、家政婦??』
:12/01/17 01:38
:S003
:m/J5Jhcc
#354 [だーいし]
今田は家政婦に案内されリビングへ。
高級そうなソファーには母親・正十郎が隣通し、テーブルを挟んで前にキヨシが座っていた。
『あなたがキヨシの担任ですか?』
母親がたずねる。
今田は緊張しながら自己紹介をすませた。
『悪いが時間がないんだ。手短に簡潔に頼むよ。』
『な!?』
今田は正十郎の顔を見て、やっと緊張の意味が分かった。
:12/01/17 01:49
:S003
:m/J5Jhcc
#355 [だーいし]
『キヨシの親父って「鈴木正十郎」?あの、国会議員の!?』
ヒロシはイスから飛び上がった。
『何よそんな驚くことないじゃない。』
マヤは髪をいじりながら言う。
『超超超有名人やん!だって次期総理大臣の呼び声高い人やで!?』
『んー、そう言われても私は小さい頃から知ってるから…ただのおじさんって感じ♪』
『「ただのおじさんって感じ♪」やないわ!!!』
:12/01/17 01:54
:S003
:m/J5Jhcc
#356 [だーいし]
『多分、キヨシお父さんには塾やめた事言ってないんじゃないかな。もちろん漫才をやってる事も。最悪、……漫才出来なくなるかもね。』
マヤは真剣な面持ちで言った。
『なっ………。がんばってくれ!キヨシ。』
ヒロシは天井を見上げた。
:12/01/17 06:21
:S003
:m/J5Jhcc
#357 [だーいし]
『このようにキヨシ君は授業態度も優れており、学校でも成績は常にトップの優等生です。』
今田の言うことに頷く正十郎。
『もちろんです。キヨシには私と妻のように東大に入り、我が国に貢献できるような人間にいずれなりますから。あぁ、もうこんな時間だ。先生すいません。もうよろしいですか。』
正十郎は腕時計に目をやり言う。今田は焦りながら
『あっ、そうですね。では私もこれで失礼します。』
立ち上がる正十郎と今田。
『待って下さい。先生。』
:12/01/17 06:30
:S003
:m/J5Jhcc
#358 [だーいし]
母親が今田を引き留める。
『この子、最近塾を勝手に辞めたんです。なぜか先生理由を知っていますか?』
リビングのドアに手をかけていた正十郎がピタッと止まる。
『どういう事だ。キヨシ。』
正十郎は再びソファーに腰をかけた。と、同時に今田もただならぬ空気を感じソファーに座る。
『どうしてなんだと聞いているんだ、キヨシ。』
正十郎は葉巻をくわえた。
:12/01/17 06:35
:S003
:m/J5Jhcc
#359 [だーいし]
しばらく沈黙が続く。
両親は黙ったまま。キヨシは下を向いている。
『部活を始めたんだ…』
キヨシは切り出した。
思わぬ回答に両親は顔を見合わせた。
『部活?小中と勉強一筋だったあなたに?』
母親は少し笑いながら言う。
正十郎は葉巻の火を消した。
『なんの部活だ。』
キヨシは唇を噛み締めた。
:12/01/17 17:16
:S003
:m/J5Jhcc
#360 [だーいし]
『………ざ……い。』
『何?』
母親が問う。
『ま、漫才。』
間もなく時刻は19時半になる所だった。
『ま、ま、ま、漫才?キヨシあなた何言ってんの?』
母親は立ち上がった。
『あの学校にそんな部活ないはずよ!』
『作ったんだよ。僕が。』
:12/01/17 17:21
:S003
:m/J5Jhcc
#361 [だーいし]
『作ったって、そんなことの為に塾を辞めたの?』
『放課後練習をしたいからね。塾を辞めても勉強は出来る。』
キヨシはずっと下を向きながら答える。
『私が言ってるのはもっと重要な事です!!あなた漫才って何か知ってるの?あんなギャーギャー言って、笑われて、あんなの人間の底辺がやることなのよ!!』
今田が母親の顔を見た。
:12/01/17 17:25
:S003
:m/J5Jhcc
#362 [だーいし]
『すぐに辞めなさい!いい?』
キヨシは立ち上がり
『絶対に辞めない!』
と言い放った。
『あなたね、そんな事したら鈴木家の血が汚れる事になるのよ!考えただけで虫酸が走る!』
『そこまででいいですか?』
3人が今田の方を見る。
:12/01/17 17:29
:S003
:m/J5Jhcc
#363 [だーいし]
『「漫才」っていうのはお母様が考えていらっしゃる何十倍もすばらしいものです。「笑われる」のではなく、自分の話術だけで人を「笑わす・楽しませる」ものなんです。これ以上漫才をバカにしないで下さい。』
今田は下を向きながら言った。
『何?先生、昔やってたとか?』
『えぇ。』
母親は笑いだした。
『元漫才師が教師になるなんて、世も末ね!!口が上手いから不正でもしたんじゃないかしら。』
:12/01/17 17:35
:S003
:m/J5Jhcc
#364 [だーいし]
今田はももの上で握りこぶしを作り言い返そうとした。
『お前、よしなさい。人の職業をバカにするんじゃない。』
正十郎が母親に言う。
『キヨシ、お前その漫才をしてどうしたいんだ。「漫才師」になるのか。』
正十郎の思わぬ反応にキヨシは戸惑った。
『よし、なら質問を変えよう。お前は「東大」に進学するのか。』
『…………、東大には行く。まだ正直、自分でも将来何になりたいのか分からない。だけど今、一つだけ言えるのは「漫才」がしたいって事。』
:12/01/17 17:41
:S003
:m/J5Jhcc
#365 [だーいし]
正十郎は黙り込んだ。
『いいだろう。お前の好きなようにやりなさい。』
『えっ?』
『あ、あなた、キヨシに漫才なんかをやってもいいっていうの?』
『あぁ。だが東大には行ってもらう。もし東大に落ちたら、その時は親子の縁を切る。』
たまらず今田は
『お父様、何もそこまでは…』
『君には関係のない事だ。これが鈴木家に生まれた「宿命」なのだ。』
:12/01/17 17:46
:S003
:m/J5Jhcc
#366 [だーいし]
『わかったか、キヨシ。』
キヨシは黙り込んだ。
『わかったか!!!!』
正十郎は怒鳴った。
『分かりました。』
『よし。時間だ。これで失礼するよ。先生、ありがとうございました。』
正十郎は立ち上がり玄関の方へ向かった。
『先ほどは生意気な事を言ってしまいすいませんでした。それではお先に失礼します。』
今田は駆け足で正十郎より先に出ていった。
:12/01/17 17:51
:S003
:m/J5Jhcc
#367 [だーいし]
『フッフ、まだこの世にはあのような教師がいるんだな。』
母親は窓から見える門を閉める今田を睨み付けた。
正十郎は靴べらを使い靴を履いている。
『あなた、本当にあれでいいんですか?』
『初めてかもしれない…キヨシのあんな真っ直ぐな目を見たのは…。まぁ約束を果たしてくれればいいさ。』
正十郎はそう言うと家をあとにした。
母親は腑に落ちない顔をしている。
:12/01/17 17:57
:S003
:m/J5Jhcc
#368 [だーいし]
『お待ちしておりました。』
正十郎のドライバーが車の扉を開ける。
腕時計を見る。
時刻は20時5分前。
『間に合うか。』
『そうですね、なんとか。』
正十郎は流れる景色を見ながら呟いた。
『キヨシ、今の内に味わっておけ。「絶望」と「挫折」を。そして強くなれ。』
:12/01/17 18:14
:S003
:m/J5Jhcc
#369 [だーいし]
キヨシは部屋に戻るやいなや、何度も何度もガッツポーズをした。
「これで漫才が出来る。」
今はそう思っていた。
今田は帰り道にある河川敷に腰をかけていた。
どこを見るわけでもなく遠くを見ていた。
『たけちゃん……やっぱり僕は………』
その時、季節外れの突風が吹き、青々しい葉っぱが今田の手の甲に張り付いた。
『たけちゃん……』
今田はある決意を胸に、おもむろに立ち上がった。
:12/01/18 10:23
:S003
:NHL4oj6Y
#370 [だーいし]
『やったぁぁぁぁ!!これで心置き無く漫才が出来んねんな!?』
『うん!』
バンザイをしながら喜ぶヒロシとマヤに笑顔でお辞儀をするキヨシ。
『あとは、本当に顧問だけだ。』
キヨシの発言に一気に現実に戻されるヒロシとマヤ。
ガラララ…
部室の扉が開く。
:12/01/18 11:43
:S003
:NHL4oj6Y
#371 [だーいし]
『ここは理科準備室じゃないのかい?』
『い、今田先生!?』
今田は扉を閉め中に入ってきた。
『テレビまで置いて…ここは本来生徒は立ち入り禁止のはずじゃ…』
3人はごまかす素振りをみせた。
『いや〜これはその〜。』
ヒロシが言い訳を考えていると、キヨシがこう切り出した。
:12/01/19 07:15
:S003
:QMI5OXXI
#372 [だーいし]
『ここは「漫才部」の部室なんです。まだ顧問もいなくて正式に部活動としては動けていないのですが…。今田先生は顧問は無理と聞いてますので、ここは目を閉じてもらえないでしょうか。』
今田は人体模型をずっと黙ったまま触っていた。
『先生??』
疑問に思ったマヤが尋ねる。
『顧問………か。よし、今日から漫才部の顧問はこの僕が受け持つよ。』
:12/01/19 07:21
:S003
:QMI5OXXI
#373 [だーいし]
3人は状況を把握出来ずにいた。
『い、今、なんて?』
『だから、今日から僕が顧問だ。』
3人は開いた口が閉まらない。
『小林君と鈴木君を見てると、ほんと漫才をしてた頃の僕たちを見てるみたいなんだ…。この前、学校で漫才をしてただろ?』
ヒロシとキヨシはマヤを見る。
:12/01/19 07:25
:S003
:QMI5OXXI
#374 [だーいし]
『あれ見てさ、自分の中で勝手に閉めてた心の鍵がさパーンッて開いた気がしてね。』
今田はキヨシの方を見る。
『鈴木君、君の漫才に対する情熱はすばらしいよ。昨日の君を見て思った。』
次はヒロシの方を見る。
『最近ね、たけちゃんの声が聞こえる気がするんだ。「漫才やれー」って。でもそれは君の声なのかもしれない。』
今度は3人を見る。
『でも僕はもう漫才は出来ない。教師として今は生きているから。だけど、僕が持っている知識のすべてを教える事は出来る!どうかな?』
:12/01/19 07:34
:S003
:QMI5OXXI
#375 [だーいし]
3人は一瞬、何が起こったのかわからなかった。
『ほ、本当に………』
『今田先生が………』
『漫才部の顧問やるて』
『イェーイ!!!!!!』
3人はやっと状況を把握し大喜びした。
『キヨシ、昨日の事って何?』『いやヒロシ、「たけちゃん」て誰?』
『『まぁいいか!イェーイ!』』
今田はほくそ笑んだ。
:12/01/19 18:19
:S003
:QMI5OXXI
#376 [だーいし]
『さぁさぁ、落ち着いて。』
今田は3人をイスに座らす。
『で、君たち「コンビ名」は考えてあるの?』
ヒロシとキヨシは考えた。
というのも以前、マヤの前で漫才をした時のコンビ名「小林鈴木」は急遽のもの。
2人はもっといいコンビ名を模索中だった。
『考えてんねんけど…、いいん浮かばんくてな。』
『そうか……。コンビ名って結構大事だからね。』
:12/01/19 18:28
:S003
:QMI5OXXI
#377 [だーいし]
『あぁせや!先生、考えてや!なんかいいの!』
『えっ!?僕がかい?』
『なぁキヨシ!それでいいよな?』
『確かに、その方がいいかも!』
『えぇぇ、コンビ名っていうのはね…』
『はいっ!決まりやな!』
2人の強引な誘いに今田は頷くしかなかった。
しかし、内心はとてもうれしかった。
:12/01/19 18:31
:S003
:QMI5OXXI
#378 [だーいし]
ある日の事。
帝都西高校 学校長 『井本(いのもと)』は校長室の盆栽の手入れをしていた。
コンコン…
『はい。どうぞ。』
井本校長は時計を見た。そろそろ帝都東高校との合同会議に行く時間だった。
ノックの相手は教頭の井上。
『校長、教育委員会の委員長が…』
『これから会議に行くんだ。電話だろ?会議終わりに電話するよ。』
:12/01/19 18:38
:S003
:QMI5OXXI
#379 [だーいし]
『いえ、お、お見えなっております。』
『なっなに、…』
コツコツと聞こえるハイヒールの音。
『失礼します。』
『こ、これはこれは。教育委員長。』
教育委員長は校長室のソファーに何も言わず座る。
:12/01/19 18:41
:S003
:QMI5OXXI
#380 [だーいし]
『ど、どうされました。教育委員長。』
井本校長は焦りながら尋ねる。
『まぁ、お掛けになって。』
ハンカチで汗を拭いながら座る井本校長。
『どうです?最近、帝都西高校の様子は。』
いきなりの質問に困惑する井本校長。
『そ、それはですね……、勉学・部活動ともに都内トップの成績を残しておりまして…。』
:12/01/19 18:45
:S003
:QMI5OXXI
#381 [だーいし]
教育委員長はカバンから何やら資料を出す。
『これを見ていただけますか。これは先日の中間テストの学年平均です。こちらが帝都西でこちらが帝都東。テストの内容は同じと聞いております。見て下さい、平均点が東と比べ7点しか変わらない……。』
井本校長は2枚の紙を見比べる。
『このままでは、成績が東に抜かれるのは時間の問題です。帝都西高校は全国でも屈指の進学校…。これが、東となれば……どういう事か分かりますよね?』
:12/01/19 20:35
:S003
:QMI5OXXI
#382 [だーいし]
井本校長は下を向く。
『で、私はこちらを提案したい。』
教育委員長はまた何やら資料を出す。
その表紙を見て、井本校長は言葉を失った。
『部活動の廃止!私は帝都西高校にこれを提唱します。』
『なっ……、、しかし、部活動は我が校の伝統ある…』
『もちろん、それは重々承知の上です。』
:12/01/19 20:41
:S003
:QMI5OXXI
#383 [だーいし]
教育委員長は続ける。
『伝統あるもの成績がよい「陸上部」などは残します。それ以外のものは廃止する方向で。これは成績の向上及び部費の削減に繋がります。』
『し、しかし…』
教育委員長は立ち上がり帰り支度を始める。
『これはまだ私が提唱しているだけです。今度の教育委員会会議には話し合いたいと考えております。』
:12/01/19 20:55
:S003
:QMI5OXXI
#384 [だーいし]
『しかし、委員長!』
教育委員長は最後にこう言った。
『それと、最近集会で「漫才」をしたいと言った人がいるとか。』
『は、はぁ。』
『もしかしたら「漫才部」とやらが勝手に発足しているのかもしれないですね。そちらは早急に確認お願い致します。では。』
そういうと教育委員長は部屋から出た。
井本校長は頭を抱えた。
遠退くハイヒールの音。
教育委員長 鈴木薫子
東京都教育委員会のトップに君臨する、キヨシの母親だ。
:12/01/19 21:11
:S003
:QMI5OXXI
#385 [だーいし]
『合宿??』
ある日の昼休みの中庭。
パンを食べながらヒロシは叫んだ。
『そう、合宿よ!夏休みそろそろ近いでしょ?私の知り合いがね毎年、江ノ島で海の家をやってるの。そこで、バイトしながら合宿やるのよ!』
マヤの提案にキヨシは疑問を抱いた。
『合宿は分かるけど、なんでバイトなの?』
:12/01/20 01:15
:S003
:O08yZv8Y
#386 [だーいし]
『いい質問ね!いい、海の家は接客業よ。人と触れ合う事で人前で緊張しなくなるのよ!キヨシ、人前で緊張するでしょ?』
『確かに。』
『で、休憩中にはお客さん相手に漫才をするっていうね!』
『めっちゃいいアイデアやな!!』
マヤの考えに賛同するヒロシ。
『でも、夏休みは夏期講習があるよ。』
帝都西高校では学年に関係なく夏休みは夏期講習があり、強制参加である。
:12/01/20 01:21
:S003
:O08yZv8Y
#387 [だーいし]
『土日は休みでしょ?土日に行くのよ!』
『なるほど。』
『決まりね♪』
『合宿か〜。いいね。』
今田がおにぎりを片手に現れた。
『あっ先生もきてや!合宿!』
『行きたいけどね、夏期講習中は土日関係なく忙しいんだ。』
『そっか。。そらしゃあないなぁ。よし!キヨシ、夏休み中にもっともっとおもろくなろ!』
『うん!』
:12/01/20 01:24
:S003
:O08yZv8Y
#388 [だーいし]
夏休みが一週間と迫ったある日、事件は起きた。
放課後、ヒロシとキヨシは部室に向かっていた。
『ちょっと!出てってよ!』
『なっ、誰に向かって言っているんだ!』
部室から声が聞こえる。
2人が中に入るとマヤがテレビを抱えていた。
:12/01/21 22:53
:S003
:C//8JWAw
#389 [だーいし]
『マヤ!?』
『あぁ!キヨシ、助けてよ!』
マヤからテレビを取ろうとしていた人物は教頭と東野だった。
『君たち、ちょっと職員室に来なさい。』
ヒロシとキヨシは職員室に呼び出された。
:12/01/21 22:55
:S003
:C//8JWAw
#390 [だーいし]
『どういう事か説明して欲しいね〜。成績優秀な二人が、えぇ、勝手に視聴覚室からテレビを持ち出して、ましてやあそこの理科準備室は生徒は立ち入り禁止だぞ!』
教頭の赤羽は凄い剣幕で二人を怒る。
『あそこで何をしていたんだ?』
二人は下を向いたままだった。
『答えなさい!鈴木君!』
:12/01/21 23:00
:S003
:C//8JWAw
#391 [だーいし]
キヨシは赤羽教頭を見ながら言った。
『ま、漫才です。』
『なっ…ま、漫才!?』
『理科準備室を勝手に使っていたのはすいません。しかし、僕たちは「漫才部」として文化祭公演を目指しているんです。』
『何をバカな!顧問はいるのかね。』
赤羽は笑いながら言う。
『顧問は私です。』
後ろから現れたのは今田。
:12/01/21 23:04
:S003
:C//8JWAw
#392 [だーいし]
職員室で他の教師達がざわめく。
『今田先生、あなた自分の立場がお分かりですか?あなたは今、「臨時採用」なんですよ!』
『えぇ、それは重々承知の上です。しかし、臨時採用の教師が部活動の顧問になってはいけないとは「生徒手帳図鑑」には記載されていませんでした。』
『なっ何ぃ!?……まっこの事は校長先生に報告します!そして、理科準備室は今後立ち入り禁止!』
こうして、漫才部の部室はなくなった。
:12/01/21 23:09
:S003
:C//8JWAw
#393 [だーいし]
夏休み初日。
ヒロシとキヨシは共に学校に向かっていた。
『まさか、部室が無くなるとは…』
『ホンマやな。』
『でも、どうしていきなりバレたんだろ。あんなとこ誰も近寄らないはずだよ。』
普段は誰も近寄らない理科準備室。なぜ急に教頭にバレたのか、キヨシは疑問を抱いていた。それとは裏腹にヒロシは笑顔だった。
『何笑ってんの?』
:12/01/22 04:00
:S003
:vWQ077nY
#394 [だーいし]
『いやね、新しい部室候補が見つかったのよ〜!』
『ホントに!?』
『おん!早速夏期講習終わりに行こうや〜!』
『分かった!』
2人は教室に向かった。
:12/01/22 04:02
:S003
:vWQ077nY
#395 [だーいし]
『部室候補ってここ?』
夏期講習終わり、キヨシとマヤはヒロシに疑問を投げかけた。
『そやで〜。さぁ入って!』
そう言うとヒロシは中に入っていった。
『キヨシここ知ってるの?』
『あぁ。ヒロシと初めてデートした「たこ焼き屋」だよ。』
:12/01/22 04:51
:S003
:vWQ077nY
#396 [我輩は匿名である]
おもしろい(*^o^*)
:12/01/22 16:43
:N07A3
:XD754Qn6
#397 [だーいし]
>>396ありがとうございます!
感想板もありますので是非そちらにも!
:12/01/22 23:28
:S003
:vWQ077nY
#398 [だーいし]
ガラララ…
たこ焼き屋に入るキヨシとマヤ。するとヒロシは店長と楽しそうに話していた。
『お!兄ちゃんはヒロちゃんと前来たことあるよな?姉ちゃんは初めてやな!?』
少し困惑するキヨシに軽く会釈するマヤ。
『鈴木キヨシと申します。』
『宮本マヤです。』
『おぅ!礼儀正しいね〜』
:12/01/22 23:31
:S003
:vWQ077nY
#399 [だーいし]
『今から旨いん焼くさかい、ちょっと待っといて!!』
そういうと店長はたこ焼きの生地を鉄板に流し込んだ。
『てか、すごく仲良くなってない?』
『ここな、キヨシと来てからたまに一人で来ててん!で、店長と話してたらななんと地元が同じで中学の先輩やってん!』
『まっ、15年以上先輩やけどな!』
店長は焼きながら言う。
『で、意気投合して「漫才部」の事も言うて、部室が無くなった事も言うたら「ここを使ったらえぇやん!」って言うてくれたわけよ!』
:12/01/22 23:36
:S003
:vWQ077nY
#400 [だーいし]
『まっお前らしかあんま客こんしな!』
たこ焼きを回しながら店長は言う。
『ここやと先生にバレへんやろ?』
『ま、まぁ確かに。』
『ソースの臭いが制服につくんじゃ…』
店長がマヤを睨む。
『なんか言うたか?』
『い、いや何も。。』
:12/01/22 23:39
:S003
:vWQ077nY
#401 [だーいし]
『まぁ、たこ焼き食いながら練習出来るからええやろ?』
2人がたこ焼きを頬張りながら笑顔で頷く。
ガラララ…
入口が開く。
『ここが、新しい部室かぁ!』
『あっ今田先生!』
『らっしゃい!』
:12/01/24 03:48
:S003
:Wq8zui02
#402 [だーいし]
今田は3人が座っているカウンターに座る。
『店長、漫才部の顧問の今田先生。元芸人さんなんや!』
『は、初めまして。』
店長は鉄板の手入れをしていたのをやめ、まじまじと今田を見つめる。
『な、なんでしょうか。顔になんか付いてます?』
『先生……、こいつらに漫才絶対やらしたってな。』
:12/01/24 03:51
:S003
:Wq8zui02
#403 [だーいし]
店長の発言に全員きょとんとする。
『………、なぁ〜んてな!ハハハハ!さぁ、先生もたこ焼き食って!』
全員が愛想笑いする。
『でも、ホンマなんでバレたんやろな?』
ヒロシは言った。
今田はたこ焼きを手に取り言った。
『どうやら、教育委員会直々に申し入れがあったらしい…』
『えっ???』
キヨシは言葉を失った。
:12/01/24 03:54
:S003
:Wq8zui02
#404 [だーいし]
『教育委員会?なんでそんなもんが?』
『いや〜、僕もさっぱり分からないんだ。』
キヨシは重い口を開いた。
『母さんだ……』
マヤは下を向く。
『か、母さん?どういう事や?』
『僕の母さんは東京都教育委員会委員長なんだ…。それでだよ。』
:12/01/24 03:57
:S003
:Wq8zui02
#405 [だーいし]
『そ、そうやったんや。』
『次期総理候補に教育委員長……』
ヒロシと今田はショックを隠しきれなかった。
『なんや、身内が偉かったらお前らの夢は終わんのか?』
『えっ?』
店長は洗い物をしながら言った。
:12/01/24 06:33
:S003
:Wq8zui02
#406 [だーいし]
『「お袋が委員長やから」とかを言い訳にするんかー言うてんねん!!!』
4人は黙り込む。
『漫才したいんやろ?文化祭で!んなもん、やったったらえぇねん!やりたい気持ちがあるんなら、みんな分かってくれるはずや、な!そんなんを言い訳にするな!「迷わず行けよ!行けば分かるさ!」てな。』
『そうだよね、そうだよ!やりたい気持ちがあればみんな分かってくれるよ!』
『ホンマやな!よし、頑張るで〜!』
『やりましょ!』
『みんな、頑張ろう!』
:12/01/24 06:37
:S003
:Wq8zui02
#407 [だーいし]
4人は一致団結し、ハイタッチをした。店長はそれを見てまた洗い物を続けた。
『青春やな〜。』
見渡す限りの水平線。
太陽が熱く照りつけ、海は輝かしいほど眩しい。
『うわ〜!海や海!!見て、キヨシ海!!』
『電車だから静かにしようよ。みんな見てるよ。』
『そうよ、ヒロシ。遊びに来たんじゃないんだから。』
車窓から見える絶景にヒロシは人目を気にせず、はしゃいでいた。
そう、今日は合宿初日。
:12/01/24 06:43
:S003
:Wq8zui02
#408 [だーいし]
『くわ〜!!キヨシ見てみ!!ビキニばっかや!ビキニ!』
3人がやってきたのは湘南のとある海岸。毎年この季節になると海水浴を楽しみたい人でいっぱいになる。
『キヨシ、あんなエロ関西人ほっといて行きましょう。』
マヤはヒロシをほっていく。
『あっ待ってーな!』
:12/01/24 07:23
:S003
:Wq8zui02
#409 [だーいし]
『紹介するね、ヒロシにキヨシ。』
『小林ヒロシです!コバヒロ呼んで下さい!』
『鈴木キヨシです。よろしくお願いします。』
『で、この人が私の伯父さんでここの海の家のオーナーの徳井さん。』
『よろしく、みんな。』
:12/01/24 07:26
:S003
:Wq8zui02
#410 [だーいし]
2人は徳井に挨拶をすませた。
『結構、落ち着いた雰囲気やなぁ…』
店内には客が2組ほど。
周りの海の家に比べると閑散としていた。
『あぁ、そうなんだよ。周りの海の家はどんどん新メニューとか出すんだ。うちはそういうの嫌いでね。ハハッハハハ。』
徳井は謎の笑みを浮かべる。
:12/01/24 18:15
:S003
:Wq8zui02
#411 [だーいし]
『おじさん!何笑ってんのよ!このままでは赤字必至よ!』
徳井は口を尖らせ、下を向く。
『てなわけで、あんたたちに漫才で「客寄せ」をしてもらうの。昼と夜の2回公演ね!』
『おーけー!任しとき!』
キヨシも力強く頷く。
『でも、マヤちゃん。客が来んことにはな〜。』
『何言ってんの?あんたたちが集めてくんのよ。』
『へっ?』
2人の頭にはくっきりとクエスチョンマークが浮かんだ。
:12/01/24 18:25
:S003
:Wq8zui02
#412 [だーいし]
『ぱーどぅんみー?マヤちゃん。』
『だから、チラシでも配って集めんのよ。』
ヒロシとキヨシは顔を見合わせる。
『マヤ、それはいくらなんでも…』
『キヨシ、あんた緊張癖直したいんでしょ!?』
:12/01/24 18:50
:S003
:Wq8zui02
#413 [だーいし]
『ああ。』
『でもね〜マヤちゃん、いくらなんでも…』
『わかった!』
マヤはヒロシの言葉を遮った。
『おぉ!わかってくれたか?』
『チラシは私が作るわ!』
ヒロシはずっこける。
『そこ!?』
『とにかく、急は無理だから3日後の合宿までにネタよろしく!』
:12/01/24 18:57
:S003
:Wq8zui02
#414 [だーいし]
ヒロシとキヨシは本当は『3日後?そんなの無理』と言いたかったが、自分達を追い詰めるためにあえて言わなかった。
『上手く行ったらバイト代も弾むからね〜ハハッハハハ。』
徳井は天を見上げて笑っている。徳井は客が集まるとすっかり思い込んでいる。
:12/01/24 19:06
:S003
:Wq8zui02
#415 [だーいし]
漫才披露まであと2日。
夏期講習終わり、マヤはたこ焼き屋に向かった。
ガラララ…
『お疲れ!!……あれ?』
いつもならヒロシが明るく出迎えるはずがそうはいかなかった。
マヤが目撃したのは今まで見たことのない2人の真剣な姿だった。
『ねぇ!2人とも!』
すると、店長はカウンター越しにマヤに向かって縦に伸ばした人差し指を口元に当てる。
:12/01/24 19:14
:S003
:Wq8zui02
#416 [だーいし]
『やっぱり夏やからここは夏に関するボケに変えた方がええな。』
『なるほど。……、じゃあツッコミは…?』
『こうやな。』
『了解。』
しばらくマヤは2人のやりとりに見とれていた。
『よし!じゃあ一回やってみっか!』
『うん!あれ、マヤ。いたんだ。』
『おぉ!マヤちゃんなんやおったんやったら声かけてくれたらよかったのに!』
『へっ?いや、今来たばっかだったの。』
:12/01/25 03:04
:S003
:2SGpbcKQ
#417 [だーいし]
店長はマヤの方を見て笑った。マヤもそれに返すように笑った。
『今ネタ合わせしててん!』
『そう。あっこれ見て!チラシできたの!』
マヤはバッグからチラシを出し、2人に配る。
【夏だ!海だ!漫才だ!現役高校生による大爆笑必至の漫才ライブ!見なきゃ損♪損♪サマーラブよりサマースマイルをあなたに…絶対笑わす自信があります!───海の家 とっくん】
チラシにはこう書いてあり、下には時間と場所の地図そして2人が漫才をしているイラストが書いてあった。
:12/01/25 03:12
:S003
:2SGpbcKQ
#418 [だーいし]
2人は絶句した。
『これ……』
『ま、マヤちゃん??』
『何よ!文句ある!?』
『あまりにハードルあげすぎちゃう?サマースマイルて…』
バンっ!!!
マヤはテーブルを両手で叩く。
『これぐらいしないとダメよ!私、昨日徹夜で書いたんだから!コンビニでコピーもして!なんならコピー代欲しいぐらいよ!』
マヤの威圧感に圧倒される2人と店長。
:12/01/25 03:15
:S003
:2SGpbcKQ
#419 [だーいし]
ガラララ…
『やってるかい?みんな。』
『今田先生!今、ちょうどネタ合わせしてたんです!』
『ほう。これは?』
今田はチラシを手にとる。
『海の家でやる漫才のチラシです。いいでしょ?』
今田はまじまじとチラシを見ていた。
『結構いいできだね!すばらしい!』
:12/01/26 04:41
:S003
:T7fX44n2
#420 [だーいし]
ヒロシとキヨシはぽかんとしていた。
『ねー!!いいでしょ!ほら、先生は分かってくれるのよ〜。』
『あああ…………。』
2人は唖然とする。
『これぐらいインパクトがあった方がいいよ!うん。』
『………、せやな!キヨシ頑張ろうや!!』
『う、うん!そだね!』
:12/01/26 04:44
:S003
:T7fX44n2
#421 [だーいし]
『………、でもやっぱりハードル……』
『まだ文句あんの〜!!』
3人はまた言い争いだした。
その光景を眺めながら今田はこう切り出した。
『みんな、ちょっといいかな。』
3人は今田の方を見る。
『……漫才、頑張ってね。僕も合間見つけて海の家お邪魔するから。』
『今田先生!まかしとき!』
『うん!じゃあ戻るよ。』
:12/01/26 04:48
:S003
:T7fX44n2
#422 [だーいし]
ガラララ…バン。
3人は今田が帰ると、これからの段取りについて話し出した。この時、今田の異変に気づいていたのは店長だけだった。
今田は学校に戻り、中庭の花に水をあげ始める。
『やっぱり、言えないよ。』
数時間前───
『漫才をやめさせてほしい!?ど、どういう意味ですか?』
:12/01/26 04:52
:S003
:T7fX44n2
#423 [だーいし]
今田は校長室に呼ばれていた。そこには、井本校長・赤羽教頭がいた。
『教育委員会から直々に言われてね。部として成立させるのはいかがなものかと。』
赤羽教頭は言う。
『しかし、あの子達は真面目に取り組んでます!他の部活と変わりはないじゃないですか!』
『今田先生。我々は教育委員会に逆らう事は出来ないんです。伝統ある帝都西高校が「漫才」をやっているなんて世間にバレたら、大問題ですよ。』
『しかし、』
『とにかく!あなたの口からやめさせるように言って下さいね!』
:12/01/26 04:57
:S003
:T7fX44n2
#424 [だーいし]
『こ、校長先生はどうお考えなんですか?』
今田は窓の外の景色を見ている井本校長に問う。
『何を言っているんだ!私も校長先生も同意見です!ねぇ、校長先生。』
井本校長は黙ったまま窓の外の景色を見続けている。
『とにかくお願いしますよ!あなたは優秀なんですから。分かりますよね?』
:12/01/26 05:00
:S003
:T7fX44n2
#425 [だーいし]
今田は凄まじい葛藤と戦っていたのだ。
そんな事は知る由もなく、とうとう漫才披露当日を迎えた。
『あっつ〜。』
この日の気温は40℃近くあり、いつも以上に海岸は人で溢れていた。
:12/01/26 05:04
:S003
:T7fX44n2
#426 [だーいし]
『こんにちは〜。徳井さん今日はよ…』
ヒロシとキヨシは目の前に広がる光景に目を疑った。
【大爆笑!漫才オンステージ!】
店内の奥に設置されていたのは3日前までなかった特製のステージと看板だった。
看板は色とりどりに装飾され、ステージの真ん中にはセンターマイクがある。
:12/01/26 05:07
:S003
:T7fX44n2
#427 [だーいし]
『どう?いい感じでしょ?』
店の奥からマヤと徳井が出てきた。
『これって…?』
『特設ステージよ!伯父さん前大工さんだったの。』
『2人の為に作ったよ。ハハッハハハ。』
2人は愛想笑いするしかなかった。
:12/01/27 14:27
:S003
:7M7SLvP.
#428 [だーいし]
こうして、文字通り舞台は整った。
ヒロシとキヨシは早速チラシを配りに行くことに。
『キヨシ、バラバラで配ろう!その方が早いやろ。』
『う、うん。』
キヨシは返事をしたものの少し不安だった。
:12/01/27 14:31
:S003
:7M7SLvP.
#429 [だーいし]
ヒロシは海岸の入口、キヨシは砂浜でチラシを配る事にした。
『海の家とっくんでーす!漫才やりまーす!』
しかし、立ち止まる所かチラシを受け取ってさえくれない。
『なんやねん。』
ヒロシは不安になった。キヨシも同じだった。
:12/01/27 14:34
:S003
:7M7SLvP.
#430 [だーいし]
『海の家とっくんです。漫才やります。』
『…………。』
キヨシは砂浜でパラソルを立ててる女性客に声をかけたが無視された。
『海に来てるのに、漫才なんて。』
そう言われて気がした。
:12/01/27 14:37
:S003
:7M7SLvP.
#431 [だーいし]
それでもめげずに2人はチラシを配ろうとする。
キヨシはまだ全然チラシを配れていなかった。
パラソルの下で一人、麦わら帽子を被った女性に声をかけた。
『海の家とっくんです。漫才やります。』
『ヨ…シキ?』
キヨシはハッとした。自分の事を『ヨシキ』と呼ぶのはあの人しかいなかった。
『アキちゃん…。』
:12/01/27 14:41
:S003
:7M7SLvP.
#432 [だーいし]
一瞬時間が止まった気がした。お互い何も言わず見合っていた。
『ヨシキ、久しぶり!で、何?漫才がどうかした?』
『ああぁ、いやっなんでもないんだ。それじゃ。』
キヨシはその場をあとにしようとするがアキに止められる。
そしてキヨシが持っていたチラシを半ば強引に取った。
:12/01/27 17:29
:S003
:7M7SLvP.
#433 [だーいし]
『これって……、ヨシキ、漫才やってんの?』
『………あぁ。』
アキの表情がどんどんと曇っていく。
『こんな事するために帝都西に行ったの?』
キヨシは何も言えなかった。
:12/01/27 17:36
:S003
:7M7SLvP.
#434 [だーいし]
『こんなとこおったんや!はよ、行くぞ!時間や時間!』
ヒロシは息を切らしながらキヨシとアキの所に。
『あら可愛い子〜♪言うてる場合か!お前もナンパしてる場合か!』
ヒロシはキヨシの腕を引っ張り、海の家とっくんに向かった。引っ張られている時も、キヨシはアキの方を見ていた。お互い寂しそうな顔で。
:12/01/27 17:42
:S003
:7M7SLvP.
#435 [だーいし]
第1回目公演まであと10分。ヒロシは店の奥から、テーブルの方を見た。
『2……4…5、5人?普段と変わらんや〜ん。』
チラシを配った効果は全く出ず肩を落とす。
『客少ないけど頑張ろ!キヨシ!』
『…………』
『キヨシー。キヨシ!!』
『……ああぁ、ゴメン。』
:12/01/28 16:39
:S003
:dHQcGotE
#436 [だーいし]
『何ボーとしてんねん。もう時間や。準備ええか?』
『う、うん。』
出囃子が流れ、2人は勢いよくステージに飛び出した。
『『はーい!どーもー!小林鈴木でーす!』』
まばらな拍手が起こる。
マヤと徳井も固唾を飲んで2人を見守る。
:12/01/28 16:44
:S003
:dHQcGotE
#437 [だーいし]
『いや〜夏やな!』
『夏ですね〜』
『やっぱ夏は暑いな〜!』
『まぁ、夏ですからね。』
『夏って……やぱ暑いな〜。』
『ままぁ、ねっ、夏ですから。』
『あつ〜〜、やぱ夏は』
『何回言うんだよ!僕たちまだ「夏」しか言ってないよ!』
:12/02/03 19:12
:S003
:sili3k36
#438 [だーいし]
始めこそシーンとしていた店内だったが漫才が進行するにつれ、わずかではあるが笑いが起き始めていた。
『せやな!スイカ割りは塩で割った方がかける手間省けるもんな!』
『言ってないよ!そんなこと!まるで…』
キヨシはツッコミに詰まった。ヒロシは目を見開き、キヨシの方を見る。
キヨシの目線の先には、アキがいた。
:12/02/03 19:17
:S003
:sili3k36
#439 [だーいし]
『おまっ、緊張でセリフ忘れてるやんけ!もぅえぇわ!』
ヒロシはなんとかその場を誤魔化し、舞台からはけた。
客もハプニングの一つと捉え、笑っていた。
舞台裏。
『練習では上手くいったけど、やっぱ客前にしたら緊張癖出たな、キヨシ。』
『…………』
『まぁ、オレのアドリブがバッシーン決まったからよかったけど。』
『ご、ごめん。』
:12/02/03 19:21
:S003
:sili3k36
#440 [だーいし]
『初舞台にしてはよかったんじゃない?』
マヤと徳井が拍手をしながら2人に近づいてきた。
『いや〜よかったよ!2人とも!これでうちも潤うよ。ハハッハハハ』
『あの〜……』
キヨシは絶句した。
:12/02/03 19:24
:S003
:sili3k36
#441 [だーいし]
『げっ!バカアキ!なんでアイツがいるのよ!』
マヤがボソッと呟く。
舞台裏に現れたのは紛れもなくアキだった。
『初めまして、窪地アキっていいます。さっきの漫才すっごくおもしろかったです!』
『あっ!さっきの可愛い子やん!』
『どうも♪』
アキはいわゆる「ギャル」に近い面持ちだった。
:12/02/03 19:28
:S003
:sili3k36
#442 [だーいし]
『あっ!!なんだマヤちんもいたんだ!』
『あはっはは、うんいるんだ〜』
マヤは無理矢理作った笑顔で応える。
『マヤちゃんなんや2人は知り合いなんや?』
『知り合いも何も、マヤちんとヨシキと私は中学一緒なのよ!』
『ヨシキ?あああ、キヨシの事か。へぇ〜そうなんや!』
『ヨシキ、ちょっといい?』
『う、うん。』
アキはキヨシを呼び出した。
:12/02/03 19:33
:S003
:sili3k36
#443 [だーいし]
『だぁ〜!息が詰まるかと思ったわ!なんでアイツがいるのよ!!』
マヤは首元を両手で掴みながら言った。
『ん?どしたんや?』
『どうも苦手なのよねあの子、なんていうか生理的に合わないっていうか。分かるでしょ?』
『うん、なんとなく分かります。』
ヒロシは即答。
『あの2人あんな遠くの防波堤で何喋ってんねやろ…』
ヒロシの目線の先には遠くで並んで座っているキヨシとアキが見えた。
:12/02/03 19:37
:S003
:sili3k36
#444 [だーいし]
『さあね!』
『えらい冷たいな〜。』
誰もいなくなった店内でヒロシとマヤはかき氷を食べる。
マヤはヒロシとかき氷を交互に見た。
『どーせ、久々の再開に酔いしれてるのよっ!』
『ん?』
『あの2人、付き合ってたのよ。』
:12/02/03 19:40
:S003
:sili3k36
#445 [だーいし]
防波堤に腰をかけて2人は、静かに波打つ海を見ていた。
『漫才、おもしろかったよ。』
『うん。ありがとう。』
キヨシの返事はどこかぎこちない。
『あの事まだ気にしてるの?』
キヨシは何も言えなかった。
『気にしないで!もういいから…』
『………、ごめん。』
:12/02/05 22:29
:S003
:BTTuXwks
#446 [だーいし]
『なんでそうやって謝ってばっかなのよ!!』
アキは立ち上がり言い放った。
『ごめん……』
アキはたまらず走り出した。
キヨシは追いかけなかった。 というより追いかけられなかった。
『あっアキちゃんこっちくんで。』
『なに!?』
こちらに向かって走ってくるアキにヒロシは手をふった。
しかしアキはこちらを見向きもせずに去っていった。
:12/02/06 23:34
:S003
:bmb8rKHc
#447 [だーいし]
『あら、行っちゃった。』
しばらくしてキヨシが海の家に帰ってきた。
『おお、キヨシ、なんやったんや?アキちゃん帰ったで。』
『……うん。』
『なんや?どした?』
『この後の公演だけど、早退してもいいかな?具合が悪くて…』
『えっ?う、うん。いけるか?』
『うん。じゃあ。』
キヨシは帰り支度をすませ、海の家を出た。
:12/02/06 23:43
:S003
:bmb8rKHc
#448 [だーいし]
しばらくしてマヤが店の奥から出てきた。
『あれっ?キヨシは?』
『なんや体調悪い言うて帰ったで。』
『えっ?何それ?漫才はどうするの?』
『相方おらんのにどーせえいうねん。』
マヤは腕を組み考えた。
その結果、
『あんた1人で漫談やんなさいよ!』
『ほえ?』
:12/02/08 18:04
:S003
:VsTMJfqk
#449 [だーいし]
『お客さん裏切る訳にいかないでしょ!ほらさっさとネタ考える!』
マヤは有無を言わさずヒロシを強引に店の奥の部屋へ押し込んだ。
扉を閉めると部屋からドアを叩く音がしたが、しばらくして諦めたのか鳴りやんだ。
フーッとため息をつくマヤとヒロシ。
『キヨシったら、まーた悩んでんな、アイツ。』
キヨシの「体調が悪い」は悩んでる証拠。
マヤははっきりと気づいていた。
:12/02/08 18:09
:S003
:VsTMJfqk
#450 [だーいし]
東京へ向かう電車の中でキヨシは床を一点に見つめていた。
『あの時の僕は、どうかしていた。』
晴れ渡る夏空とは裏腹にキヨシの心は曇っていた。
2年前…
帝都中学校の朝は二人の喧嘩から始まる。
:12/02/08 18:14
:S003
:VsTMJfqk
#451 [だーいし]
「まーた始まったよ。」
「1年の時からだろ?」
「まぁあれ見ないと1日始まったって感じしないけどな。」
「平和だねー。」
クラスメイトの視線の先には何やら言い争っているキヨシとマヤがいた。
いつも些細な事から喧嘩する2人。
『だから、なんで僕が手伝わなくちゃいけないんだよ!』
『いいじゃない!たまには手伝ってよ!』
:12/02/11 23:58
:S003
:uR1t2C1M
#452 [だーいし]
『今日のテーマは何?』
『「私が日直だけど手伝いなさい」だって』
『毎度ながらのドSっぷりだな。』
クラスの男子達はいつも2人の喧嘩に「テーマ」を付ける。
『で、キヨシのやつ折れるだろ?』
『あぁ「ったく分かったよ」って。』
黒板消しを無理矢理渡すマヤ。
『いつもいつもやると思うな!』
キヨシは教室を出た。
『おっ??珍しいな〜。』
:12/02/12 00:59
:S003
:m4EjHC4M
#453 [だーいし]
『何よ!アイツ、帰ってきたらタダじゃすまないからね!ん?』
『やべっこっち見てっぞ!』
マヤは男子達の方を見た。
『あんたたち、手伝いなさいよ。』
男子数名は顔を見合わせる。 答えは1つだった。
『はい……』
:12/02/12 01:02
:S003
:m4EjHC4M
#454 [だーいし]
昼休み。
キヨシはいつものように参考書を片手に中庭のベンチで1人で昼食をとっていた。
『いつも1人ぼっちですね。』
1人の女子が話しかけてきた。
『ん?あぁ、1人の方が落ち着くんだ。……あの君は?』
『あっ私?私、窪地アキっていいます。4組の。』
『あっ初めまして。』
:12/02/12 01:06
:S003
:m4EjHC4M
#455 [だーいし]
『僕は、鈴木キ…』
『キヨシ君でしょ?知ってるよ〜♪有名だもん。』
アキはキヨシの隣に座る。
『有名?なんで?』
『だって毎日マヤちんと喧嘩してるでしょ?おしどり夫婦のノロケだって。いいな〜♪私も毎日喧嘩できる恋人欲しいな〜♪』
『恋人?なんの事?』
:12/02/12 01:12
:S003
:m4EjHC4M
#456 [だーいし]
『付き合ってんでしょ?マヤちんと。』
キヨシは目を見開く。
『とんだ誤解だな。付き合ってなんかないよ。』
『えっ?そうなの?』
アキは驚きを隠せない。
『だってあんなに仲良いじゃない?』
『ただの幼なじみってやつだよ。しかも、本当に腹立つから喧嘩してるんだよ。』
:12/02/12 01:15
:S003
:m4EjHC4M
#457 [だーいし]
まだ何か話そうとするアキにキヨシは
『もういいかな?勉強したいんだよね。』
『あっ、ゴメン。また話しましょう♪じゃ!』
アキは去って行った校舎に入る前にもう一度キヨシの方を向いて手を振った。
『なんだろう。あの子。』
これがキヨシとアキとの出会いだった。
:12/02/12 01:20
:S003
:m4EjHC4M
#458 [だーいし]
『うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!もう無理やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
2回目の公演まで2時間を切った。ヒロシはイスから立ち上がりウロウロする。
『なんでや。なんでこんな悩むんやろ。フリートークは自信あんねんけど、いざ客を前にするとなると…なんも浮かべへん。せや、全部キヨシのせいや!体調悪いとかウソやろ!クッソ!鬼電したろ!』
ヒロシはキヨシに電話する。
:12/02/12 01:25
:S003
:m4EjHC4M
#459 [だーいし]
自分の部屋のベッドに仰向けに寝転がりキヨシは天井を見ていた。
ピリリリリ……
【着信:ヒロシ】
キヨシはケータイを手に取るが電話にでない。
『ヒロシごめん…』
:12/02/12 01:30
:S003
:m4EjHC4M
#460 [だーいし]
『今日のテーマは?』
『それが、分かんねー。なんつうか、今日はシャレっ気がない。』
『ん??』
いつものようにキヨシとマヤは喧嘩をしているが、今日は雰囲気が違った。お互いに目を合わせずにしていた。まさに絶縁状態。
理由はこうだった。
:12/02/14 08:28
:S003
:Xd6BwVNc
#461 [だーいし]
それは登校時。
キヨシは欠伸をしながら目をこすり、学校に向かっていた。
『よ!』
後ろからマヤに肩を叩かれた。
『なんだ、マヤか。』
『何よその言い方〜。たまにはカワイイ幼なじみと登校したいと思わない?』
マヤはその場で一回転した。
キヨシはじっとマヤを見て、何も言わずまた歩き始めた。
『ちょっと!何か言いなさいよ!』
:12/02/15 06:00
:S003
:kgoawEVg
#462 [だーいし]
キヨシは黙って歩き出す。
マヤは膨れっ面で後を追う。
学校の正門が見えてきた時だった。
『あんたねぇ、そんなんじゃ一生彼女とかできないわよ!』
キヨシの歩みが止まる。
『なんていうか、女の子の気持ちをもっと理解しないとって感じよね。』
『………わかる。』
『えっ?』
『お前に何が分かるんだ!!!』
キヨシは珍しい大声を張り上げた。
:12/03/03 01:06
:S003
:cViPeg0M
#463 [だーいし]
それから2人は一切口を聞かなくなった。
昼休み
いつものようにキヨシは1人で昼食をとっていた。
『よっ!』
『窪地さん……』
アキはいつものようにキヨシの横に座る。
『アキでいいわよ♪聞いたわよ〜マヤちんと大喧嘩したんだって〜なんなの?理由は?』
キヨシは何も言わない。
:12/03/03 02:15
:S003
:cViPeg0M
#464 [だーいし]
アキは一息ついた。
『そっ。まっ理由はどうでもいいか!ねぇ、明日もここに来てよ。』
『来てよも何も僕はここにしかこないよ。この時間は。』
『絶対そう言うと思った〜♪フフッ!じゃあ明日ね!』
そういうとアキは去って行った。
:12/03/03 02:18
:S003
:cViPeg0M
#465 [だーいし]
『ねぇ〜いい加減仲直りしなよ〜』
マヤの親友アヤがマヤに切り出す。
『なんでよ!べ、別にあたし悪いことしてないし。』
『とかいってまた余計な一言言ったんでしょ〜?』
『それは〜……』
『でしょー?お互い頑固なんだからたまにはマヤが折れないと。ね。』
『う〜ん。』
『ね!』
『分かった!分かった!明日謝るわよ!』
:12/03/03 02:24
:S003
:cViPeg0M
#466 [だーいし]
次の日の昼休み
マヤはキヨシがいつも昼食をとっている中庭に向かった。
『……ったく、しょうがないわね〜。』
『ヨシキー!!』
後ろから声が聞こえ、マヤはとっさに草むらに身を潜めた。
『や、やぁ。ヨシキって?』
『キヨシ君の新しい呼び名よ♪いいでしょ?』
『う、うん。』
『(この声はアキ……)』
マヤはすぐに気付いた。
:12/03/03 02:29
:S003
:cViPeg0M
#467 [だーいし]
『聞いたよ〜。またマヤちんと喧嘩してるんだって?』
『あっあぁ。』
キヨシはうつ向く。そのキヨシを見上げるような体勢をとりアキは続ける。
『今回はマジだ。』
キヨシはアキの目線と自分の目線を合わせ、静かに頷いた。
アキはひょいと立ち上がり、こう言った。
『もぅ、いんじゃない?そのままで。』
:12/03/15 04:29
:S003
:vQjFKOfM
#468 [だーいし]
>>467ミス
『またマヤちんと』
→『まだマヤちんと』
:12/03/15 04:31
:S003
:vQjFKOfM
#469 [だーいし]
『えっ?』
思わず口から出た言葉を必死に両手で塞ぐマヤ。
キヨシは何も言わずただただ、アキの方を見つめる。
『何て言うか、その……見てて羨ましいっていうか……イライラするっていうか……。』
『えっ?』
『あんまし好きじゃないんだ……ってかイヤ!好きな人が誰かと喧嘩してんの。………私と付き合って。』
あまりにも突然の事でキヨシは驚いた。
マヤも同じだった。
:12/03/15 04:36
:S003
:vQjFKOfM
#470 [だーいし]
しばらく沈黙が続いた。
キーンコーンカーンコーン♪
昼休み終了を知らせるチャイムが鳴り響く。
『ごっごめーん!私何言ってんだろ〜。あっ気にしないで!ってか戻ろっ!遅刻になっちゃうよっ!』
アキは振り返り校舎の方へ走り出そうとし、またキヨシの方へ振り返る。
『……あっでも、好きなのは本当だから。』
そう言うとまた校舎の方へ振り返る。
『待って。』
キヨシがアキを引き留める。
『いいよ。付き合っても。』
:12/03/15 04:43
:S003
:vQjFKOfM
#471 [だーいし]
『えっ??うそ??』
アキは驚きを隠せない。
『だって……マヤちん……』
『ただの幼なじみだよ。』
アキの表情が笑顔に変わっていく。
『やったぁ!!絶対にダメだと思った!じゃあさ!今日一緒に帰ろうよ!』
『あぁ、いいよ。』
『じゃいこっ♪』
そういうと2人は校舎に向かって走り出した。そう2人は。
マヤはさっきまで2人が座っていたベンチに崩れるように座った。
:12/03/15 04:49
:S003
:vQjFKOfM
#472 [だーいし]
こうしてキヨシとアキは付き合う事になった。
毎回休み時間はアキがキヨシのクラスに来て2人で話す。
昼休みも一緒にご飯を食べ、放課後は一緒に帰る。
2人が付き合っている事実は、瞬く間に全クラスに知れ渡った。
『いいの?マヤ。』
アヤがマヤに尋ねた。
『べっ別にあいつはただの幼なじみだし!』
マヤは浮かない顔で2人が楽しそうに話しているのを見ていた。
浮かない顔をしていたのはマヤだけではなかった。
:12/03/15 04:54
:S003
:vQjFKOfM
#473 [だーいし]
コンコン。
ドアをノックする音。
『入るわよー。』
ガチャ。
『ってあんた何ていう顔してるの!?』
目を真っ赤に充血させ震えているヒロシ。
『もう、時間ですか?時間なのですか?』
『そうよ。さっきより人多いからね!』
『さいですか。。』
:12/03/15 04:57
:S003
:vQjFKOfM
#474 [だーいし]
『全校集会の時のテンションはどこに行ったのよ。』
『いざ知らない人達を目にすると、緊張すんねん〜。』
ヒロシはマヤの前で正座をし、マヤの足を両手で掴んだ。
『もぅ無理ですかぁ?出ないといけないですかぁ??』
半泣き状態のヒロシにマヤは腕を組みこう言った。
『ダメです!はいっ行くっ!』
と急にヒロシは立ち上がり
『やるしかないなぁ!!!!』
とマヤを押し退けステージへ向かった。
『ついていけないわ。』
マヤも後を追った。
:12/03/15 05:03
:S003
:vQjFKOfM
#475 [我輩は匿名である]
続きかなり楽しみにしてるぜ☆
:12/03/15 07:55
:840SH
:tG8mwWso
#476 [だーいし]
>>475職人さん!おはようございます!更新頑張ります!
:12/03/15 08:54
:S003
:vQjFKOfM
#477 [だーいし]
『ねぇ!明日、どっか遊びに行こうよ!そうね〜隣町の遊園地とか!』
『ごめん、明日塾なんだ。これからは毎日のように塾があって遊びには行けないな。』
昼休みのキヨシとアキのやり取り。
『……そっか。そうだよね!帝都西目指してるもんね!』
『窪地さんはどこ進学するの?』
『私も……帝都西かなっ!』
『そうなんだ。あっゴメン次の時間自習なんだけど先にやっときたいから戻るね。』
『えっ……あっうん。』
そういうとキヨシは校舎に向かっていった。
:12/03/15 09:16
:S003
:vQjFKOfM
#478 [だーいし]
残されたアキは空を見上げた。
『付き合って今日は1ヶ月記念なのになぁ〜。てか、付き合ってどこも遊びに行ってないな〜。これって付き合ってんのかな?』
アキはこの頃からあることを考えていた。
案の定、それは的中する。
:12/03/15 09:19
:S003
:vQjFKOfM
#479 [だーいし]
漫才を楽しみに?しているお客さんが今か今かと2人の登場を待っている。
ヒロシはその光景を舞台袖から震えながら見ていた。
『このまま出囃子鳴らんといてほしいな〜。』
けたたましい音とともに出囃子が店内に鳴り響く。
『鳴るんかい!……行くしかないっ!!』
ヒロシは拍手が鳴り響くステージへ飛び出した。
:12/03/15 09:24
:S003
:vQjFKOfM
#480 [だーいし]
『はいど〜も〜!!小林ヒロシです!コバヒロ呼んで下さい。』
会場から漫才じゃないの?などのどよめきが聞こえる。
『えぇ相方がね、ちょっち体調不良でね、僕1人で漫談でもしようかな〜って感じでね。まぁ会場には綺麗な人ばっかりですね!そちらから、不細工さん・不細工さん・1人飛ばして不細工さんって綺麗なん1人だけかい!言うてね!』
……………。
ヒロシはとっさに後ろを振り向いた。
『あの野郎、覚えとけよ!』
:12/03/15 09:30
:S003
:vQjFKOfM
#481 [だーいし]
キヨシは何も変わらない天井をベッドからただただ見ていた。ふと時計を見る。
『そろそろ、始まったかな。』
窓を見るとポツポツと雨が降りだしていた。
『雨?』
ヒロシは立ち上がり窓の外を見る。
『あの日も雨だったな。』
あの日とはキヨシとアキが付き合って1ヶ月と2週間が経とうとしていた日。
:12/03/15 09:34
:S003
:vQjFKOfM
#482 [だーいし]
塾帰り、時刻は23時をまわった所だった。
キヨシは足早に家路へと急いだ。家まで最後の曲がり角に差し掛かった時、コンビニ帰りのマヤに偶然出くわした。
『あっ。』
互いに思わず声を出した。
あの日、喧嘩して以来ろくに喋ってなかったのだ。
『じゅ、塾の帰り?』
『う、うん。』
『大変ね。』
『慣れっこだよ。』
会話がぎこちない。
:12/03/16 17:24
:S003
:HidMOvTg
#483 [だーいし]
『じゃあ、また学校で。』
キヨシはその場を離れようとした。
『あっ待って!』
マヤはキヨシを引き留める。
『ちょっと、いいかな。』
2人は河川敷にあるベンチに腰かけた。
『あのさ、謝りたくて…』
『……。』
『この前は、ひどい事言ったなって。許してくれる?』
『……。』
:12/03/16 17:33
:S003
:HidMOvTg
#484 [だーいし]
キヨシはしばらく黙った後にこう言った。
『明日は雨だな。うん、大雨だ。』
『えっ?なんでよ?』
空は雲一つなく、晴れ渡っており星が輝いている。
『マヤが謝ってきたから。』
キヨシは少し笑いながら言った。
『ちょっと!何よそれ!』
2人は笑いあった。
:12/03/17 10:25
:S003
:i96XLGtE
#485 [だーいし]
しばらく他愛もない会話が続き、さてとと2人は立ち上がる。マヤが神妙な面持ちでこう言った。
『アキと付き合ってんでしょ?』
キヨシの顔から笑顔が消える。
『あ、あぁ。』
『まさか、あんたに彼女ができるなんてね〜。』
キヨシは黙ったまま。
『いいじゃん!アキ可愛いし!』
『あ、ああ。』
:12/03/17 12:29
:S003
:i96XLGtE
#486 [だーいし]
『幸せにしてやんなよ〜。じゃあね!』
『あっ家まで送るよ。』
『いいよ。寄るとこあるし!じゃね!』
そう言うとマヤは河川敷の階段をかけのぼり、去って行った。
マヤの顔から笑顔が消えていた。
:12/03/17 12:33
:S003
:i96XLGtE
#487 [だーいし]
次の日の昼休み。
『よっ!』
アキはいつものようにキヨシが座っているベンチへ。
『さっきさ、体育で転んで超痛い!』
『うん。』
『あぁー午後から退屈な授業ばっかだなー。』
『うん。』
『ヨシキ?聞いてる?』
『うん。』
『ねぇ!明日の休みなんだけどどっか行かない?明日はだっ』『お願いがあるんだ。』
キヨシはアキの話を途中できった。
『別れてほしい。』
:12/03/17 12:38
:S003
:i96XLGtE
#488 [だーいし]
『えっ?』
アキは耳を疑った。
『学校でしかこうして話せないし、放課後・休みは僕は塾だから会えない。帝都西には絶対に行かなくちゃならない。このまま付き合ってても君を幸せにする事が出来ない。』
『いいよ。そんなこ』
『君には、君には僕よりいい人が見つかるよ。』
『私は、私には、ヨシキしか…』
『実は………』
キヨシは次の言葉をためらった。
『分かった。それ以上言わないで。。お願い。言いたい事はなんとなく分かる。』
午後の授業を知らせるチャイムが虚しく鳴った。
:12/03/17 12:45
:S003
:i96XLGtE
#489 [だーいし]
『ごめん。』
キヨシは足早に校舎に向かった。アキは1人、ベンチに腰かけた。
『まっさか、今日フラれるなんてね〜。だって明日は私の誕生日だよ。。』
アキの気持ちを悟るかのように、ポツポツと雨が降りだした。
:12/03/17 12:47
:S003
:i96XLGtE
#490 [だーいし]
江ノ島にもポツポツと雨が降りだした。
『まぁ夏やからスイカをねこう、手で割ろうとしたらね、』
ヒロシの必死の漫談をよそに、客たちは天気を気にしていた。
ドバー!!!!!
いきなりタライの水がひっくり返ったような雨が降りだした。途端に客たちはガヤガヤしだし、店を去って行った。
店内には誰もいなくなった。
『あれっ?おーい!オチまだやでー!』
:12/03/17 12:52
:S003
:i96XLGtE
#491 [だーいし]
次の日の夏期講習。
ヒロシは教室に入るやいなやキヨシの席に向かった。
キヨシはそれに気付き
『や、やぁ。昨日はごめん。』
『や、やぁちゃうわ!お前のせいで激スベリやってんで!雨降ってみんな帰るし!』
『ご、ごめん。』
『あんなにスベったん初めてやわ!「弘法も筆の誤り」ってやつや!』
『言い過ぎじゃない?』
『嫌みや!!』
『ご、ごめん。』
:12/03/17 12:56
:S003
:i96XLGtE
#492 [だーいし]
夏期講習が行われている最中、帝都東高校特別会議室にぞくぞくと近隣の学校関係者が集まってくる。
井本校長・赤羽教頭も席につく。井本は緊張で顔がこわばっていた。
最後に教育委員会委員長鈴木薫子が会議室に入る。
全員が立ち上がり、委員長に会釈をする。
『えぇ、それでは帝都地区高等学校定例集会を始めます。』
:12/03/17 16:30
:S003
:i96XLGtE
#493 [だーいし]
副会長の号令とともに帝都地区高等学校定例集会が始まった。
『えぇ今年から帝都東に導入された「文学強化クラス」の件ですが…すばらしい。全クラスの平均点が上がっていますね。』
おぉと会議室がどよめく。
『強化クラス以外のクラスにもほぼ強化クラスと同じ内容の授業をさせておりますからね。我が校が帝都地区…いや、東京都1位の進学校になるのは夢ではないかもしれません。』
帝都東の校長 坂本は井本の方を見ながら言った。井本はそれに気づいていたが坂本の方を見なかった。
:12/03/19 00:59
:S003
:uaFAbAvk
#494 [だーいし]
その後、各学校の現状・成績などの発表がされ定例集会は終わりに近づいた。
『了解です。では、以上で定例集会を終わります。次回は2週』
『少しよろしいでしょうか。』
誰かが席を立とうとした皆を引き留めた。委員長 鈴木薫子だ。皆は少し困惑していたが、井本と赤羽は引き留めた理由が分かっていた。
:12/03/19 05:18
:S003
:uaFAbAvk
#495 [だーいし]
『すいません、お忙しい所、お時間は取らせません。こちらをご覧下さい。』
薫子がリモコンを操作すると、天井からスクリーンが降りてきて棒グラフが表示されていた。
『こちらは帝都西高校と帝都東高校の中間テスト全校生徒の平均点のデータ過去10年分をグラフにしてみました。こうして見てもらったら一目瞭然ですね。帝都東が帝都西に追いついてきております。』
坂本は腕を組み、少しニヤリとする。
:12/03/19 05:24
:S003
:uaFAbAvk
#496 [だーいし]
『お互いにスキルアップせな!』
ヒロシは部室でたこ焼きを頬張りながら言う。
『………。』
『このまま同じネタちまちまやっても客は集まれへん。いかに笑いの要素を今のネタに盛り込むかや。』
『………。』
『ってキヨシ聞いてんのか?』
『あああ、ゴメン。』
『何やねん!夏バテか?』
キヨシはアキの事を思っていた。このまま漫才を続けていいのか…
葛藤に苦しんでいた。
:12/03/23 07:08
:S003
:7ZSFQc8c
#497 [我輩は匿名である]
ガラララ…
『おぅ!先生!』
店長が声をかけると、そこには何やらニヤニヤしている今田がいた。
『な、何?ニヤニヤして。』
『みんな!先生考えたぞ!コンビ名!』
おぉ!と店内がざわつく。
『ホンマか?ホンマか?』
『さすがだね。』
『やるじゃん!先生!』
今田は咳払いをし3人の前に起つ。
:12/04/05 04:34
:S003
:fcI939C2
#498 [だーいし]
『2人を見てて思うんだ。何か大切なものを教えてくれる。いわば、誰しもが通る道…』
3人は頷きながら集中し、今田の話を聞く。
『この2人の漫才を聞いたら、みんな思い出すであろう!』
今田は手に持っていた模造紙を大きく広げた。
『青 春 街 道 男 児 !どう?いいだろ〜』
『え、先生?』
『おいおい、嘘だろ。』
『………。』
カラン。
店長も思わず金属製のソースの容器を落とす。
『あれ??結構自信あったんだが…』
:12/04/05 04:41
:S003
:fcI939C2
#499 [だーいし]
『せ、先生せっかくやけどしばらく「小林鈴木」でいくわ、ちょっと「青春街道男児」は考えとくわ。。』
『あぁぁ、そう。。』
今田は明らかに落ち込んだ様子。
ピリリリ…
今田のケータイが鳴る。
『はい、今田ですが。えっと…今はちょっと、外に出てまして…えぇ、はい、はい、分かりました。すぐ戻ります。』
今田はケータイをポケットにしまうとガックリ肩を落とし部室を出ていった。
3人は何事もなかったかのように、今後について話し出した。
:12/04/05 04:48
:S003
:fcI939C2
#500 [我輩は匿名である]
ガララ…
職員室に戻った今田は周りをキョロキョロとした。
『あっ今田先生。』
『斉藤先生、どうしました?』
『いやっ用があるのは私ではないんだ。至急、校長室に向かって下さい。』
『こ、校長室……ですか。』
今田は何か嫌な予感がした。
:12/04/23 02:34
:S003
:rb4y0yyk
#501 [我輩は匿名である]
コンコン。
大きく息を吐き今田は校長室のドアをノックした。
『どうぞ。』
『失礼します。』
校長室に入ると井本校長は窓の外の景色を見ていた。
井本校長は振り返り今田をソファーに案内した。
『用件は何でしょうか?』
今田は何かに気づきながらも井本校長に問う。
『実はだな、この前の定例会で教育委員長が「部活動廃止」を提案してな。次回の定例会で他の学校に賛否を聞くそうだが………、どうやら決まりそうだ。間違いなくうちの学校から始まるだろう。』
:12/04/23 02:43
:S003
:rb4y0yyk
#502 [だーいし]
今田の嫌な予感は的中した。
『そ、そんなの生徒はどうなるんですか?勝手に決めて。』
『私も反対だ。しかし、私1人ではなんとも…』
『そんな、そもそも学校というのは生徒1人1人の意見をそ』『分かっている!!』
井本校長は声を張り、今田を遮った。
『所詮それは建前に過ぎないんだよ。学校は会社。上には逆らえないんだよ。君も、私も含めてね。』
今田は下を向く。
『漫才部は……まだあるんだろ?』
『えっ??』
『悪いことは言わない。事が大きくならないうちに、君の口から言うんだ。』
:12/04/23 02:49
:S003
:rb4y0yyk
#503 [だーいし]
『私は……私は納得いきません!失礼します!』
今田は校長室を飛び出した。
『ま、待ちなさい!今田先生!』
校長室のドアが虚しく閉まる。
『分かっているんだよ。私が一番ね。』
井本校長はまた窓の外の景色を眺めた。
:12/04/23 02:51
:S003
:rb4y0yyk
#504 [だーいし]
夏休み最後の週末。
漫才合宿も明日・明後日で終わりだ。
ヒロシとキヨシはいつもの公園でネタ合わせをしていた。
『ね、だからいつもおかんのねスカートを引っ張ってたわけですよー。』
『………。』
『スカートをね。こう……』
『………。』
『おいっ!』
『………、あぁぁゴメン。』
:12/04/23 02:57
:S003
:rb4y0yyk
#505 [だーいし]
『今日何回目やねん!ボーッとして!』
『ゴメン…。』
『明日・明後日やぞ!?いつまでも気ぃ抜いてんちゃうぞ!!』
『ご、ゴメン…。』
ネタ合わせは夜遅くまで続いた。
そして、土曜日。
『おーい!キヨシ見てみー。海やでー。』
『いつも言うねそれ。何回目だよ。』
湘南へ向かうこの電車に乗るのも今日で最後。
:12/04/23 03:01
:S003
:rb4y0yyk
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