その日が来る前に、
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#50 [愛華]
「お母さん…どしたの?」
「…なんでもっっない…の」
嘘。だって………
私だって馬鹿じゃない。
「私……なんの病気??」
「大した事ないって」
「じゃあなんでお母さんは
泣いてるの!!??」
私は叫んだ。
:10/06/20 12:23
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#51 [愛華]
「もう子供じゃないの。
教えてよ」
「……ご両親にお任せします
遅かれ早かれわかりますが…
それは今ではなくとも
よいと思います」
「…ありがとうございました」
私たちは家へ帰った。
お母さんはずっと泣いたまま。
お父さんは黙っていた。
:10/06/20 12:27
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#52 [愛華]
「私……なんの病気?」
「那佑……」
お父さんは覚悟を決めたようで
話し始めた。
そこからの事は、
あまりよく覚えてない。
覚えてるのは
私は心臓の病気で
25才まで生きられない
そう伝えられたって事だけ。
:10/06/20 12:34
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#53 [愛華]
それから、毎日のように
お父さんとお母さんは
ケンカした。
「お前は那佑が心配じゃないのか!」
「そんな訳ないでしょ!!
でも仕事が……」
どうやら二人とも
仕事を残して帰国したようで…
:10/06/20 12:39
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#54 [愛華]
「…二人とも戻っていーよ。
今すぐ、どーにかなる訳じゃ
ないし。
仕事かたしてから……
帰ってきて?」
「…だ、だめよ、そんなの!」
「無理に決まってるだろう!」
もう………いいよ
いいんだよ
:10/06/20 12:41
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#55 [愛華]
心が冷えてゆく。
二人は……私よりも仕事?
私と仕事を比べて……
ケンカしないで。
「大丈夫だから。戻って。
私………大丈夫だから」
私は 大丈夫 としか言わなかった。
:10/06/20 16:32
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#56 [愛華]
二人は結局、外国に戻った。
悲しくなんかない。
不思議と……
余命を告げられた事よりも
二人がいなくなった事の方が
私を苦しめた。
私ひとりだけの家。
「信じらんない…」
自分がお願いしたこととはいえ…
それでも、やっぱり
残って欲しかった。
:10/06/20 16:36
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#57 [愛華]
その日、
私は数年かぶりに泣いた。
声を出さずに静かに。
二人への気持ちは、
やがて憎しみへと変わり、
二人は一年後、帰国したけど
「あなたたちは私の親なんか
じゃない」
と言ってやった。
もう誰も信じてなんかやらない。
:10/06/20 20:33
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#58 [愛華]
それからは入退院の繰り返し。
退院する度、お母さんたちは
お祝いしてくれたけど…
嬉しくもなんともなかった。
病院の中が私の居場所。
たくさんの人と話をして…
私はいつも笑顔を忘れなかった。
:10/06/20 22:31
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#59 [愛華]
どーせ、もうすぐ死ぬんだし…
なら、笑顔で生きようと思った。
私が死ぬその日が来るまで
長くてあと8年。
そんな17才の春、
あなたに出会ったんだよね。
:10/06/20 22:35
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