その日が来る前に、
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#551 [愛華]
「…梓ちゃんさぁ、
彼氏とかいないわけー?」
「……いませんけど」
「ほんとー?かわいいのにー!」
……なんなんだ、この男は。
さっきからふざけた感じで
ヘラヘラ関係ないこと聞いてきて
タカもなんでこんな男と……
梓はイライラしながら、
誨の前をずんずんと歩いていた。
:10/08/31 18:23
:840SH
:GnwUTjmo
#552 [愛華]
「……じゃあさぁ……
好きなひととかはぁ?」
ピタ
誨の言葉で梓の足が止まる。
「……いませんよ」
「…ほんとかなぁーってねー」
誨がトテテテと無邪気そうに走り
前を歩いていた梓を追い越す。
:10/08/31 18:29
:840SH
:GnwUTjmo
#553 [愛華]
「俺さぁ、わかっちゃうんだー
そーゆーの。才能みたいな?」
「………」
梓は黙ったまま。
見透かされてるみたいで
気持ち悪かった。
「……いつから隆則のこと、
好きだったの?」
誨は優しく、心を撫でるように
聞いた。
:10/08/31 18:34
:840SH
:GnwUTjmo
#554 [愛華]
「……小さい頃からですよ。
それがなんですか?」
梓は、誨に嘘をつく気には
なれなかった。
だって嘘じゃないし。
ほんとうのことだし。
「ふーん…那佑ちゃんとのことは
知ってるの?」
梓はやっと理解できた。
:10/08/31 19:54
:840SH
:GnwUTjmo
#555 [愛華]
誨さんは釘を刺しに来たんだ。
親友は今、大事な恋人がいる。
あたしが隆則を好きなのを知って
手をだすな。余計なことするな。
と。
でも、あたしは……
「…知ってます。那佑は…
あたしの親友です」
「親友?じゃ、病気のことも?」
「もちろん、です」
:10/08/31 20:00
:840SH
:GnwUTjmo
#556 [愛華]
誨は驚いた顔をした。
てっきり、知らないとばかり。
知らなくて想いを寄せていると…
「……なのに、好きなの?」
「ダメなんですかね?」
「いや、ダメじゃないけど…」
面くらったかんじだ。
本当はもっと別のことを言う
つもりでいたのに……
「叶わないってわかってるのに、
好きでいるの?」
:10/08/31 20:04
:840SH
:GnwUTjmo
#557 [愛華]
梓はにっこり微笑んだ。
「あたしは、隆則が幸せなら、
那佑が幸せならそれでいい。
どちらか一個なんて嫌です。
どっちとも幸せになってほしい。
想ってるだけでいいんですよ」
誨には理解できなかった。
だって傷つくじゃん、そんなの。
現に今、悲しそうな顔
してんじゃんか。
自分の中の、何かが
壊されたような。
でも心地好い痛み。
:10/08/31 20:09
:840SH
:GnwUTjmo
#558 [愛華]
「……つらくないの?」
「さっきから聞いてばっか」
梓はふっと笑った。
「たまに辛いかな?ぐらい。
二人の笑ったとこみると、
安心するし。
あたしはそれで充分。
充分すぎるくらいですよ?」
「君はしあわせに……」
なりたいと、思わないの?
でも言葉が出てこなかった。
:10/08/31 20:38
:840SH
:GnwUTjmo
#559 [愛華]
誨の中に一瞬だけ、ひとつの
想いがめぐっていった。
「ん?なんですか?」
「あ、いや……」
なんだ?今の…?
いつのまにか梓の家に着いていた
「電車のほうが早かったのにー」
そういって笑った彼女。
女神みたいな。
なんか、そーゆー系の。
すっごい綺麗な笑顔だった。
:10/08/31 20:42
:840SH
:GnwUTjmo
#560 [愛華]
「送ってくれて、ありがと。
一応いっときますね?一応」
「なんかムカつくなー」
「……」
ん?急に黙った。
「……大丈夫ですからね!
あたし、タカをとる気なんか
砂粒ほどもないですから!!」
「……うん、わかったってば。
てか、寒いから部屋はいんな」
「はい。……さよならっ」
:10/08/31 20:47
:840SH
:GnwUTjmo
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