その日が来る前に、
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#840 [愛華]
直純くんは弱くつぶやいた。
「自分が好かれてるって…
愛されてるって……
どうやったらわかるの?
理解できない自分がおかしい?」
直純くんは急に言い出した。
感情をむきだしにしている。
見つめられたその瞳の奥に
深い闇が見えた気がした。
「……ど……うしたの?」
:10/09/25 17:50
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#841 [愛華]
「………」
沈黙が流れる。
自分でもびっくりするほど
かすれた声しか出なかった。
怖い。怖いよ。
このひとは……愛を知らない?
目をそらせない。
まるで催眠術みたいに
瞳の闇に吸い込まれてゆく。
逃げられない。
闇がすぐそこに迫ってるのに…
:10/09/25 17:54
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#842 [愛華]
「………なんのつもり」
「ち……ダメだったか」
気がついたら、目の前に直純君の
顔があり、あたしは壁に
追い詰められていた。
「あとちょっとでちゅー
できたのになぁ……」
「甘くみないでよね。
てゆーかさっきのセリフなに?」
:10/09/25 17:58
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#843 [愛華]
「あ、それはコレコレ!!」
直純くんの手には
『愛の蜘蛛の巣』と書かれた
劇の台本。演劇部のものだろう。
愛の蜘蛛の巣って……
しかし危ない。直純くんの演技に
つられてしまうところだった。
でも……
理解できない自分がおかしい?
あの言葉は演技じゃない。
なぜかそんな気がしたんだ。
:10/09/25 18:03
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#844 [愛華]
「じゃあ直純くんは?」
「え、なにが?」
「どういう時に……
自分は好かれてるって
愛されてるって感じるの?」
「だからそれセリフ……」
「いいから答えてよ」
自分でもわかんない。
なんでこんなことを聞いたのか
でもこのひとの瞳の奥の闇。
あれは………わたしと似てる。
小さいころの私の目そっくり。
:10/09/25 18:28
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#845 [愛華]
「………そうだなぁ……」
ただ黙って直純くんの言葉を待つ
「……女の子とベッドにいる時
………かな」
……………はいぃぃぃ!?
:10/09/25 20:15
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#846 [愛華]
「な、なにそれっっ!!」
「えー?そのまんまだよー?
女の子ってあったかいしさー」
はぁ……深く考えすぎたな…
単なる気のせいかぁ……
「あれ?白石顔赤いよ?
……もしかしてまだ彼氏とは…」
「関係ないでしょ馬鹿っっ!!
結局スケベやろーじゃんか!」
あたしは衣装を手当たり次第
直純くんに投げつける。
:10/09/25 20:29
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#847 [愛華]
「ケホケホッ!!
だって愛の感じかたなんて
人それぞれでしょー」
「……真面目に答えてよー…」
確かにそうかもしんないけど
でも…やっぱり違うんだ。
これは直純くんの本音じゃない。
それは直感でわかるんだ。
あたしだって直純くんに本音は
見せない。
自分の中の弱いところなんか
大事な人にしか見せれないよ。
:10/09/25 20:44
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#848 [愛華]
だって直純くんと私は
そこまで深い関係じゃない。
あたしだって望んでない。
でも……なんだろう。
人が自分にたいして線をひいてる
ことに気づいた時。
その人との間の壁に気づいた時。
自分と同じものを持っている
ことに気づいた時。
ちかづきたい って思う。
それは恋という形じゃなくって。
:10/09/25 20:51
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#849 [愛華]
ただ純粋に。
隆則も、あたしにたいして
こんな気持ちだったのかな。
あたしは使えそうな衣装を
袋に詰めていった。
「……白石おこった?」
怒ってなんかない。
だってわかってるのに。
この人は過去の自分と同じ闇を
持ってるって。わかるのに。
:10/09/25 20:56
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